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マカヒキ
通算成績28戦6勝
獲得賞金(海外含む・概算)約6億4,847万円
生年月日 2013.01.28(平成25年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 16 | GII札幌記念 | 札幌 芝2000 | 10人気 | 武豊 | 2:04.6 | 上り39.0 | 映像 | |
| 14 | GI大阪杯 | 阪神 芝2000 | 13人気 | 岩田望来 | 2:00.0 | 上り36.0 | 映像 | |
| 11 | GII京都記念 | 阪神 芝2200 | 9人気 | 岩田望来 | 2:13.3 | 上り34.5 | 映像 | |
| 14 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 12人気 | 藤岡康太 | 2:26.5 | 上り34.9 | 映像 | |
| 1 | GII京都大賞典 | 阪神 芝2400 | 9人気 | 藤岡康太 | 2:24.5 | 上り35.9 | 映像 | |
| 8 | GI天皇賞(春) | 阪神 芝3200 | 12人気 | 藤岡康太 | 3:16.5 | 上り38.3 | 映像 | |
| 9 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 11人気 | 三浦皇成 | 2:24.2 | 上り35.1 | 映像 | |
| 11 | GI大阪杯 | 阪神 芝2000 | 7人気 | L.ヒューイットソン | 1:59.5 | 上り34.7 | 映像 | |
| 4 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 12人気 | 武豊 | 2:26.5 | 上り36.3 | 映像 | |
| 10 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 8人気 | 武豊 | 1:57.6 | 上り34.4 | 映像 | |
| 11 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 7人気 | 岩田康誠 | 2:12.9 | 上り36.3 | 映像 | |
| 4 | GI大阪杯 | 阪神 芝2000 | 10人気 | 岩田康誠 | 2:01.2 | 上り34.9 | 映像 | |
| 3 | GII京都記念 | 京都 芝2200 | 2人気 | 岩田康誠 | 2:14.9 | 上り34.7 | 映像 | |
| 10 | GI有馬記念 | 中山 芝2500 | 12人気 | 岩田康誠 | 2:33.0 | 上り36.3 | 映像 | |
| 7 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 3人気 | 武豊 | 1:57.7 | 上り33.7 | 映像 | |
| 2 | GII札幌記念 | 札幌 芝2000 | 1人気 | C.ルメール | 2:01.1 | 上り36.4 | 映像 | |
| 4 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 6人気 | 内田博幸 | 2:24.6 | 上り35.1 | 映像 | |
| 5 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 9人気 | 内田博幸 | 2:09.5 | 上り38.6 | 映像 | |
| 6 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 2人気 | 内田博幸 | 1:45.9 | 上り33.3 | 映像 | |
| 4 | GI大阪杯 | 阪神 芝2000 | 2人気 | C.ルメール | 1:59.3 | 上り33.9 | 映像 | |
| 3 | GII京都記念 | 京都 芝2200 | 1人気 | R.ムーア | 2:14.3 | 上り34.9 | 映像 | |
| 14 | GI凱旋門賞 | シャンティイ 芝2400 | 1人気 | C.ルメール | — | 映像 | ||
| 1 | GIIニエル賞 | フランス 芝2400 | 1人気 | C.ルメール | 2:35.8 | — | 映像 | |
| 1 | GI東京優駿 | 東京 芝2400 | 3人気 | 川田将雅 | 2:24.0 | 上り33.3 | 映像 | |
| 2 | GI皐月賞 | 中山 芝2000 | 3人気 | 川田将雅 | 1:58.1 | 上り33.9 | 映像 | |
| 1 | GII報知杯弥生賞 | 中山 芝2000 | 2人気 | C.ルメール | 1:59.9 | 上り33.6 | 映像 | |
| 1 | OP若駒S | 京都 芝2000 | 1人気 | C.ルメール | 2:02.4 | 上り32.6 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 京都 芝1800 | 1人気 | M.デムーロ | 1:47.7 | 上り33.5 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | Alzao | |
| Burghclere | ||
| 母ウィキウィキ | フレンチデピュティFrench Deputy | Deputy Minister |
| Mitterand | ||
| リアルナンバーReal Number | Rainbow Corner | |
| Numeraria |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2013年生まれの鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母ウィキウィキ。主な勝ち鞍は東京優駿・報知杯弥生賞・ニエル賞。
新年の名 ― 安平の冬に生まれる
2013年1月28日、北海道安平町のノーザンファームに一頭の鹿毛が生まれた。父はディープインパクト、母はウィキウィキ、母の父はフレンチデピュティ。 母は中央で5戦1勝。3歳春にダートの未勝利を勝ち上がったきり、あとは2着を三度重ねて繁殖に上がった牝馬である。それでも全姉のウリウリは京都牝馬ステークスとCBC賞を勝ち、短距離路線で重賞を二つ手にしていた。姉は1200mで弾け、弟は2400mを走ることになる。同じ父と母から出た二頭の距離は、そこまで離れた。 名は、ハワイの収穫祭から採られた。マカヒキ――すばるが日没後の水平線に昇るころに始まり、そこから四か月を収穫と休息に充てる、ハワイ先住民の新年である。母ウィキウィキも、姉ウリウリ(ハワイの楽器の名)も、この一族の名はみな南の島の言葉で揃えられていた。 1歳の秋にノーザンファーム空港牧場へ移り、育成が始まる。到着したときの馬体重は442キロ。翌年の秋に牧場を離れるころには520キロほどになっていた。場長の菅谷清史は、大人しく、体がしっかりしていて、乗っても悪さをしない馬だったと振り返っている。強い負荷をかけても体には応えず、いつも余裕があった。だから距離も持つだろう、と。跨った人間たちは、ただ者ではない、と口を揃えたという。 同じころ、同じ牧場には、のちに府中のゴール板で8センチを争うことになる一頭がいた。サトノダイヤモンドである。 預けられたのは、栗東の友道康夫厩舎。この調教師は、引退の日まで一度も替わらない。
無傷の三連勝 ― そして手綱が動いた
2015年10月18日、京都の芝1800m。ミルコ・デムーロを背に、1番人気に応えて新馬戦を勝つ。直線半ばで勝利を確信したデムーロが、ゴール前に馬の首を撫でる余裕さえ見せた。だがレースの後、鼻出血が判明する。次走に注目が集まっていた矢先の、やむを得ない放牧だった。 明けて2016年、若駒ステークスからクリストフ・ルメールに手綱が渡る。中団の後ろから直線で抜け出し、1馬身1/4差。続く報知杯弥生賞は、強い相手とやりたいという馬主・金子真人の意向を受けての重賞初挑戦だった。相手は前年の朝日杯フューチュリティステークスの1着馬リオンディーズと2着馬エアスピネル。二頭を前に見ながら後方を進み、先に抜け出したリオンディーズをクビ差で捉える。レースレコード。無傷の三連勝だった。 そして皐月賞。ルメールがサトノダイヤモンドを選んだため、鞍上には川田将雅が座った。前半1000m58秒4のハイペースを後方で待ち、直線はよく伸びた。それでも、共同通信杯から直行してきたディーマジェスティには届かない。2着。初めての黒星である。
八センチ ― 二〇一六年五月二十九日
東京優駿。皐月賞の上位五頭がそのまま揃い、京都新聞杯を勝ったスマートオーディンや青葉賞のヴァンキッシュランも加わって、空前のハイレベルと評された一戦だった。マカヒキはディーマジェスティ、サトノダイヤモンドに次ぐ3番人気。 逃げたのはマイネルハニー。前半1000mはちょうど60秒0。皐月賞より前、中団の内で脚をためた。 直線、坂を駆け上がりながらエアスピネルが先頭に躍り出る。その外からサトノダイヤモンドとディーマジェスティ。マカヒキは前をエアスピネルにふさがれた。だが外のサトノダイヤモンドがわずかに膨れ、そこに隙間が生まれる。川田は迷わずそこへ入れた。残り100m、勝負はマカヒキとサトノダイヤモンドの二頭に絞られ、二頭は並んだまま、ほとんど同時にゴール板を過ぎた。 長い写真判定のあいだ、叩き合いを演じた川田将雅とクリストフ・ルメールは、手をつないで互いの健闘を讃えていた。掲示された着差はハナ――実測で8センチだった。 3着ディーマジェスティ、4着エアスピネル、5着リオンディーズ。皐月賞の掲示板がそっくり並び、上位3頭はいずれもディープインパクト産駒である。4着に敗れたエアスピネルの鞍上・武豊は言った。「生まれた年が悪かった」[^1] 川田将雅はこの日、ダービーを初めて勝ち、あわせてクラシック五競走の完全制覇を史上8人目として果たした。友道康夫は4度目の挑戦で初めてのダービー。ディープインパクト産駒の東京優駿制覇は、ディープブリランテ、キズナに次いで3頭目だった。勝った直後、川田は嬉し涙を流していた。
出典:日本中央競馬会「第83回 東京優駿(日本ダービー)」レース回顧(谷川善久)、2016年5月29日施行、https://www.jra.go.jp/datafile/seiseki/g1/derby/result/derby2016.html、閲覧日:2026年7月26日。
シャンティイの五頭立て
陣営は秋の最大目標を凱旋門賞に定めた。父ディープインパクトが2006年に挑んで届かなかった舞台へ、3歳のうちに海を渡る。8月19日に日本を発ち、オランダを経由してフランスへ。ベースは、シャンティイで開業する日本人調教師・小林智の厩舎だった。 鞍上は若駒ステークスと弥生賞で手綱を取ったルメール。前哨戦へ向けた最終追い切りでは、帯同馬マイフリヴァに、凱旋門賞を4勝しているティエリ・ジャルネが跨った。ルメールが兄弟子に自ら電話をかけて頼み込んだ助力である。 9月11日、ニエル賞。ロンシャンの改修工事に伴い、この年は前哨戦も本番もシャンティイで行われた。出走はわずか5頭。GI馬はマカヒキ一頭だけだった。 昼前に競馬場へ着いたマカヒキを見て、友道の眉間に皺が寄る。今までに見たことがないほどイレ込んでいた、と後に語っている。常に落ち着いている馬だからこそ3歳での遠征に踏み切ったのに、その落ち着きが消えていた。曳き運動でなだめると、パドックに現れるころにはいつものマカヒキが戻っていた。 超のつくスローペースを3番手で我慢し、直線で前の二頭を交わす。クビ差。海外初戦を、勝利で飾った。
十四着 ― 出口の見えない扉
10月2日、同じシャンティイ。抽選で引いたのは、この競馬場では不利とされる外の14番枠だった。1番人気は、前年のキングジョージを勝ち、この年のドバイシーマクラシックでは日本から遠征したドゥラメンテにも先着していたポストポンド。マカヒキはそれに次ぐ支持を集めていた。 好スタートからポストポンドをマークして中団。ただし馬群の外を通らされ続けた。そして道中、この馬らしくないことが起きる。序盤から行きたがったのだ。折り合いを欠いたのは初めてだった、とルメールは明かしている。直線を向いても、脚はもう残っていなかった。14着。勝ったのはファウンドだった。 「調子は良いと感じたのに、最終コーナーではもう余力がありませんでした。最後はマカヒキをリスペクトして、無理をさせませんでした」[^1] 敗因として、友道は外枠と、前走から中2週という間隔を挙げた。馬主の金子真人は、分からない、とだけ繰り返した。 有馬記念への出走も一時は語られたが、年内は休むことになる。この一戦が長いトンネルの入口だったと分かるのは、ずっと後のことである。
出典:Number Web「《8歳で復活V秘話》マカヒキの“5年勝利なし”は、16年の凱旋門賞惨敗から始まった…それでも京都大賞典を勝てた“理由”とは?」(平松さとし)2021年10月13日配信、https://number.bunshun.jp/articles/-/850170、閲覧日:2026年7月26日。
十七戦 ― 手綱は人から人へ
2017年、京都記念をライアン・ムーアで始動して3着。大阪杯はルメールに戻して4着、勝ったのはキタサンブラックだった。秋は内田博幸を迎え、毎日王冠6着、不良馬場の天皇賞(秋)は5着。ジャパンカップは4着で、勝ったのは同じ友道厩舎のシュヴァルグラン。堅実に走るのに、勝てない。そして12月下旬、骨折が判明する。 2018年、札幌記念でルメールと復帰した。直線で一度は先頭に立ちながら、最後にサングレーザーへハナ差だけ交わされて2着。あと一完歩だった。天皇賞(秋)はルメールがレイデオロを選んだため武豊が指名されて7着。暮れの有馬記念は岩田康誠で10着――国内では初めての二桁着順である。 2019年も勝てなかった。京都記念3着、大阪杯4着、宝塚記念11着、天皇賞(秋)10着。それでもジャパンカップでは、12番人気の最後方から上がり3ハロン最速の脚を使って4着まで押し上げた。鞍上の武豊は、復活の兆しが見えたと語っている。 2020年、大阪杯は短期免許で来日中のライル・ヒューイットソンに託して11着。三冠馬が三頭揃ったジャパンカップでは、ダービー馬の単勝が226.1倍という数字になり、9着。2021年春の天皇賞は藤岡康太を鞍上に12番人気の8着だった。 ニエル賞の勝利から、17戦。誰の手綱でも、この馬は先頭でゴール板を過ぎることがなかった。それでも厩舎は数を使わなかった。2020年の出走は2回きり。大事に、大事に走らせ続けていた。
五年と二十八日
2021年10月10日、阪神競馬場。京都競馬場の改修工事のため、京都大賞典はこの年、阪神の芝2400mで行われた。8歳になったマカヒキは9番人気。鞍上は、この春から手綱を取っている藤岡康太だった。 直線、先に抜け出したのは逃げるキセキ。その外からアリストテレスが並びかけ、二頭の叩き合いになる。そのさらに外から、8歳の脚が伸びてきた。ゴール前、アリストテレスをハナ差だけ捉える。 ニエル賞から中5年28日。ダービーから中5年4か月10日。ダービー馬としては史上最長のブランクだった。 レースの前、友道は言っていた。「数を使っていないので衰えは感じません」[^1] 意地になって使い減りさせることをせず、勝てない五年を、それでも走らせ続けた厩舎の答えが、この一戦だった。
出典:Number Web「《8歳で復活V秘話》マカヒキの“5年勝利なし”は、16年の凱旋門賞惨敗から始まった…それでも京都大賞典を勝てた“理由”とは?」(平松さとし)2021年10月13日配信、https://number.bunshun.jp/articles/-/850170、閲覧日:2026年7月26日。
収穫と、休息の季節
その年のジャパンカップには、ワグネリアン、コントレイル、シャフリヤールと、四つの世代のダービー馬が並んだ。マカヒキは14着。 2022年は京都記念11着、大阪杯14着。4か月の休養を挟んで8月21日、札幌記念に出走して16着。この日の鞍上は武豊だった。六年前の府中で、生まれた年が悪かった、と言った男が、その世代を制した馬の最後の手綱を握っていた。 10月25日、引退が発表される。翌26日に競走馬登録は抹消された。通算28戦6勝。2023年から北海道新ひだか町のレックススタッドで種牡馬となり、初年度の産駒は2024年に生まれた。2026年、その仔たちが2歳戦を走り始めている。 京都大賞典の手綱を取った藤岡康太は、2024年4月、レース中の落馬による負傷のため35歳で亡くなった。8歳馬をハナ差だけ前に出したあの直線は、彼が遺した仕事のひとつとして残っている。 マカヒキ――ハワイの新年。収穫を祝い、そこから四か月を休息に充てる季節の名である。5年と28日の空白は、成績表の上ではただの敗戦の連なりにしか見えない。だが名のとおり、その長い季節の果てに、この馬はもう一度、先頭でゴール板を過ぎてみせた。新ひだかの牧場で、いまは次の世代を送り出す側にいる。
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