名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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ルガルのイメージビジュアル
ルガルLugal
Lugal

ルガル

通算成績22戦5勝

獲得賞金45,287万円

生年月日 2020.03.07(令和2年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ルガルの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
8 GIQE2世ジュビリーS アスコット 芝1200 鮫島克駿
2 GIアルクオーツスプリント メイダン 芝1200 3人気 鮫島克駿
3 GIIIオーシャンS 中山 芝1200 1人気 鮫島克駿 1:07.1 上り34.5映像
1 GII阪神カップ 阪神 芝1400 3人気 鮫島克駿 1:19.0 上り33.9映像
2 GIII京阪杯 京都 芝1200 1人気 西村淳也 1:07.5 上り34.0映像
12 GIスプリンターズS 中山 芝1200 4人気 川田将雅 1:07.7 上り33.3映像
5 GIチェアマンズSP シャティン 芝1200 3人気 川田将雅
7 GI高松宮記念 中京 芝1200 3人気 西村淳也 1:08.8 上り34.8映像
11 GI香港スプリント シャティン 芝1200 2人気 西村淳也 映像
1 GIスプリンターズS 中山 芝1200 9人気 西村淳也 1:07.0 上り34.2映像
10 GI高松宮記念 中京 芝1200 1人気 西村淳也 1:10.1 上り34.8映像
1 GIIIシルクロードS 京都 芝1200 2人気 西村淳也 1:07.7 上り34.0映像
2 GIII京阪杯 京都 芝1200 1人気 西村淳也 1:07.7 上り33.3映像
4 GIIMBS賞スワンS 京都 芝1400 3人気 武豊 1:20.1 上り33.8映像
3 L朱鷺S 新潟 芝1400 1人気 角田大河 1:20.9 上り34.2
2 GIII葵S 京都 芝1200 2人気 団野大成 1:07.2 上り32.7映像
1 L橘S 京都 芝1400 2人気 角田大河 1:23.1 上り35.9
2 3歳1勝クラス 京都 芝1400 3人気 鮫島克駿 1:20.8 上り33.8
1 3歳未勝利 中京 ダ1200 1人気 坂井瑠星 1:13.6 上り37.2
4 3歳未勝利 中京 ダ1400 1人気 坂井瑠星 1:26.8 上り38.5
2 2歳未勝利 阪神 ダ1400 5人気 松若風馬 1:25.9 上り37.8
9 2歳新馬 阪神 ダ1800 2人気 松山弘平 1:58.1 上り39.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ルガルの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ドゥラメンテDuramenteキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
アドマイヤグルーヴAdmire GrooveサンデーサイレンスSunday Silence
エアグルーヴAir Groove
アタブAtabNew ApproachGalileo
Park Express
Moon's WhisperStorm Cat
East of the Moon
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの青鹿毛の牡馬。父ドゥラメンテ、母アタブ。主な勝ち鞍はスプリンターズS・シルクロードS・阪神C。

王の名 ― 二重に流れるミエスク

ルガル。シュメール語で「王」を意味する名である。 父は皐月賞と日本ダービーを制した二冠馬ドゥラメンテ。母アタブの血をさかのぼると、母の母の母イーストオブザムーンにたどり着く。フランスのオークスと1000ギニーを勝った名牝で、その母は競馬史に名を刻む大女傑ミエスク――英仏の1000ギニーとブリーダーズカップ・マイルを連覇した、二十世紀を代表する牝馬だ。しかもミエスクの血は、父系にももう一筋流れている。父ドゥラメンテの祖父キングマンボの母もまた、ミエスクその人なのだ。ルガルは父の血にも母の血にも、四代前に同じ名牝を宿している。 2020年3月7日、青鹿毛の牡馬。栗東・杉山晴紀厩舎。王の名と、二重に受け継いだ名牝の血。だが、この良血が最初から短距離の王座を約束していたわけではなかった。

砂の上の出発

2022年11月、阪神のダート1800m。デビュー戦は2番人気に推されたが、結果は9着。距離もダートも、まだ噛み合わなかった。 続く未勝利戦でも壁は厚く、勝ち上がりは年を越す。ようやく初勝利を挙げたのは、明けて2023年1月、中京のダート1200mだった。単勝1番人気に応え、ここで初めて掲示板の頂に自分の名を置く。王の名を負って生まれた馬の出発は、芝ではなく砂の上の、短い一戦だった。そしてこの距離の短さこそが、やがて生涯の武器になる。

芝で見つけた本領

陣営は、この馬を芝へ移す。2023年4月、京都の芝1400mで2着に好走したのは鮫島克駿を背にしてのことだった。翌5月の橘ステークスを角田大河で快勝すると、続く葵ステークスでは上がり3ハロン32秒7という速い脚を使って2着に入る。芝の、それも短い距離でこそ、ルガルは弾けた。 秋にはスワンステークスで武豊が手綱を取り、京阪杯では西村淳也が初めて背にまたがった。まだ重賞のタイトルはない。それでも、砂をさまよっていた馬は、いつのまにか関西のスプリント戦線で名の売れた一頭になっていた。

淀の重賞、そして砕けた夢

2024年1月、シルクロードステークス。西村淳也とのコンビで、ルガルはついに重賞のタイトルを手にする。京都の芝1200mを勝ち切り、ルガルにとって初めての重賞タイトルとなった。 次なる目標は、春の短距離王決定戦・高松宮記念。単勝1番人気に支持されて中京へ乗り込んだが、結果は10着の大敗だった。しかも、レースの後に左膝の骨折が判明する。橈側手根骨と第3手根骨。杉山調教師によれば、本来なら六か月以上の休養を要する診断だった。王の名を負った馬の夢は、頂点をうかがう寸前で一度、砕けた。

中山の九月、王が戴冠する

2024年9月29日、中山のスプリンターズステークス。骨折明けをぶっつけ本番で迎えたルガルは、9番人気にすぎなかった。 逃げた3歳牝馬ピューロマジックが最初の3ハロンを32秒1で飛ばす超ハイペース。その流れをルガルは絶好の3番手で追走した。前が力尽きる残り200m、西村淳也の追い出しに応えて一気に先頭へ突き抜けると、内から伸びるトウシンマカオをクビ差だけ抑え込む。勝ちタイム1分07秒0。3着はナムラクレア。人も馬も、これがGI初制覇だった。 勝った西村は25歳。喜びのあまり、レースの記憶そのものを失っていた。「競馬で記憶がなくなるなんて、今までなかったですね」[^1]。骨折を乗り越えた馬と、初めての大舞台を勝ち切った若武者。父ドゥラメンテの産駒にとっても、これがGI初勝利だった。この年、ルガルはJRA賞最優秀スプリンターに選ばれる。

出典:スポーツナビ「【スプリンターズS】骨折乗り越えてルガル秋の最速王に 初GIの25歳・西村淳也騎手「競馬で記憶がなくなるなんて……」」2024年9月30日配信、https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/2024093000011-spnaviow、閲覧日:2026年7月18日。

王の名は世界へ

戴冠のあと、ルガルの戦いの舞台は海を渡っていく。暮れの香港スプリント、明けての高松宮記念、香港のチェアマンズプライズ――世界の快速馬がひしめく1200mで、王の名は幾度も跳ね返された。連覇を狙った2025年のスプリンターズステークスも、12着に沈む。 それでも、この馬は終わらなかった。2025年暮れの阪神カップ。手綱を取ったのは、三歳の春に芝で初めて跨っていた鮫島克駿である。芝1400mを勝ち切り、GI馬は重賞の勝ち味を取り戻した。年が明ければドバイ・メイダンのアルクオーツスプリント。直線で一度は先頭に立ちながら、半馬身だけ差されて2着に惜敗する。さらに海を越え、イギリス・ロイヤルアスコットのGIにも駒を進めた。世界の壁は高く8着に終わったが、日本のスプリント王は世界の1200mへ挑み続けている。 父ドゥラメンテが立てなかった短距離の頂に立ち、二重に受け継いだミエスクの血を脚に変えて、王の名を負った馬はまだ旅の途中にいる。次にゲートが開く日を、静かに待てばいい。

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