名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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ロングランのイメージビジュアル
ロングランLong Run
Long Run

ロングラン

通算成績32戦7勝

獲得賞金22,028万円

生年月日 2018.02.09(平成30年)毛色 鹿毛セン

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ロングランの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
16 GI安田記念 東京 芝1600 17人気 F.ゴンサルベス 1:33.4 上り34.7映像
18 GII読売マイラーズカップ 京都 芝1600 16人気 団野大成 1:32.6 上り33.7映像
14 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 15人気 荻野極 1:37.8 上り37.4映像
15 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 16人気 岩田康誠 1:32.7 上り33.0映像
8 GII毎日王冠 東京 芝1800 9人気 丹内祐次 1:44.7 上り33.3映像
13 GI安田記念 東京 芝1600 15人気 岩田康誠 1:33.7 上り35.1映像
1 GII読売マイラーズカップ 京都 芝1600 5人気 岩田康誠 1:31.7 上り33.3映像
1 GIII小倉大賞典 小倉 芝1800 4人気 丹内祐次 1:46.1 上り34.0映像
8 LディセンバーS 中山 芝1800 4人気 丹内祐次 1:46.0 上り34.5
3 LカシオペアS 京都 芝1800 6人気 藤岡佑介 1:45.1 上り34.2
4 GIII中京記念 小倉 芝1800 6人気 松山弘平 1:47.4 上り35.9映像
8 L福島民報杯 福島 芝2000 1人気 丹内祐次 1:59.3 上り34.5
2 GIII小倉大賞典 小倉 芝1800 4人気 丹内祐次 1:45.3 上り34.3映像
1 LディセンバーS 中山 芝1800 6人気 丹内祐次 1:47.8 上り34.4
5 LアンドロメダS 京都 芝2000 6人気 岩田康誠 1:59.8 上り34.9
8 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 14人気 丹内祐次 2:12.7 上り34.8映像
15 GIII函館記念 函館 芝2000 16人気 勝浦正樹 2:05.0 上り39.4映像
11 GIII新潟大賞典 新潟 芝2000 11人気 勝浦正樹 2:06.6 上り38.7映像
6 L福島民報杯 福島 芝2000 3人気 丹内祐次 2:02.3 上り36.2
4 GIII小倉大賞典 小倉 芝1800 3人気 丹内祐次 1:49.9 上り35.9映像
5 LディセンバーS 中山 芝1800 5人気 丹内祐次 1:48.6 上り35.6
1 レインボーS 中山 芝1800 10人気 丹内祐次 1:49.9 上り35.3
1 三木特別 阪神 芝1800 10人気 荻野極 1:46.4 上り34.9
16 4歳以上2勝クラス 中山 ダ1800 8人気 大野拓弥 1:58.3 上り42.3
11 4歳以上2勝クラス 中山 ダ1800 5人気 大野拓弥 1:57.4 上り41.5
7 3歳以上2勝クラス 中山 ダ1800 7人気 大野拓弥 1:53.6 上り37.9
9 JpnⅠジャパンダートダービー 大井 ダ2000 9人気 大野拓弥 2:07.2 上り38.2映像
14 八王子特別 東京 ダ2100 4人気 大野拓弥 2:15.0 上り39.0
1 3歳1勝クラス 中山 ダ1800 3人気 大野拓弥 1:55.1 上り36.3
7 3歳1勝クラス 中山 ダ1800 4人気 北村宏司 1:54.4 上り38.0
1 3歳未勝利 中山 ダ1800 6人気 大野拓弥 1:56.5 上り38.5
10 2歳新馬 東京 芝1800 7人気 横山典弘 1:51.8 上り34.0

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ロングランの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ヴィクトワールピサVictoire PisaネオユニヴァースNeo UniverseサンデーサイレンスSunday Silence
ポインテッドパスPointed Path
ホワイトウォーターアフェアWhitewater AffairMachiavellian
Much Too Risky
ノッテビアンカNotte BiancaKendargentKendor
Pax Bella
BiancarosaDalakhani
Rosa di Brema
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの鹿毛のせん馬。父ヴィクトワールピサ、母ノッテビアンカ。主な勝ち鞍は小倉大賞典・読売マイラーズC。

長く、元気に ― 名前の由来

願いが、そのまま名になった馬がいる。ロングラン――「長く元気に走ってほしい」。競走馬にそう名づけるとき、人はたいてい、その願いが叶うほどの長い時間を、その馬が与えられるとは思っていない。 母はノッテビアンカ。2013年にフランスで生まれ、現地でクリテリヨムドサンクルー(GⅠ)に3着、イソノミ賞(L)に2着した牝馬で、海を渡って社台ファームの繁殖入りした。父は皐月賞と有馬記念を制し、日本馬として初めてドバイワールドカップを勝ったヴィクトワールピサ。血の格は、決して悪くない。 2018年2月9日、鹿毛の牡馬が生まれる。梅澤明の勝負服で走り出したデビューは、2020年11月29日、東京の芝1800m。7番人気で10着だった。名に託された「長く」がどれほどの意味を持つのか、このときはまだ、誰も知らない。

ダートの底で ― 去勢という選び直し

芝で結果が出ず、陣営はダートへ矛先を変えた。2021年1月5日、中山ダート1800mの未勝利戦を大野拓弥で勝ち上がる。初勝利。だが、そこから先が長かった。 3歳の1勝クラスをひとつ勝つと、夏にはジャパンダートダービー(JpnⅠ)へ挑むが9着。古馬に混じった2勝クラスでは二桁着順が続き、ダートのロングランは、どこへも抜け出せなかった。 決断は、体にまで及んだ。4歳の夏を前に、この馬は去勢される。牡馬として血を残す道を断ち、走ることだけに専心するせん馬として、もう一度、今度は芝で試される。名が約束した「長く」を全うするための、痛みを伴う選び直しだった。

芝で生き返る ― 丹内祐次と歩き出す

芝に戻した効果は、劇的だった。2022年6月19日、阪神の三木特別を荻野極で勝つと、9月18日のレインボーステークスも連勝。ここで手綱を取ったのが、丹内祐次だった。10番人気の低評価をあざ笑うように勝ち抜け、オープンの舞台まで一気に駆け上がる。 派手な良血でも、早熟の天才でもない。距離と芝を一戦ごとに確かめながら、少しずつ強くなっていく馬。その歩みに、丹内は長く付き合うことになる。ダートで燻っていた4年目の馬は、去勢と芝転向という二つの選び直しを経て、ようやく自分の居場所を見つけた。

三度の小倉 ― 届きそうで、届かない

だが、オープンから重賞までの壁は厚かった。2023年の小倉大賞典は4着。同じ年、オールカマー、新潟大賞典、函館記念と重賞に挑んでは跳ね返され、暮れのディセンバーステークス(L)を勝って格好はついても、タイトルには手が届かない。 2024年、小倉大賞典に再び挑むと、今度は2着。前年の4着から、あと一歩まで詰めた。中京記念4着、カシオペアステークス3着――掲示板の常連になりながら、勝ち切れない。惜敗が、静かに積み上がっていく。 それでも陣営は、この馬を見限らなかった。狙いは定まっていた。冬の小倉、1800m。三度目の挑戦が、翌年に控えていた。

七歳の春 ― 二十五戦目の栄冠

2025年2月23日、小倉大賞典。三度目の挑戦で、丹内祐次を背にしたロングランは後方に構えた。直線、外へ持ち出して馬群を割ると、好位から抜け出したショウナンアデイブをクビ差だけ捉え、ゴールへ飛び込む。デビューから二十五戦目、七歳での重賞初制覇だった。 勢いは、止まらなかった。二か月後、京都のマイラーズカップ(GII)。鞍上は岩田康誠に替わったが、走りは本物だった。馬群の間を割って抜け出すと、外から迫る1番人気ジュンブロッサムを半馬身しのいで重賞連勝。マイルGIIのタイトルまで、この遅咲きの馬は掴み取った。 「長く元気に走ってほしい」。願いとして与えられた名は、七歳の春、ふたつの重賞という形で現実になった。かつてダートの底で燻っていた、あの馬が、である。

それでも、走る

頂の先には、さらに高い壁があった。マイラーズカップの勢いで臨んだ安田記念(GI)は13着。秋のマイルチャンピオンシップ、明けてフェブラリーステークス、連覇を狙った翌春のマイラーズカップ――GIとGIIの舞台で、ロングランは何度も跳ね返された。全盛の春は、長いキャリアのなかのひと時だったのかもしれない。 それでも、走ることをやめなかった。2026年6月、八歳になっても安田記念のゲートに立つ。母ノッテビアンカの産んだ馬のうち、重賞を勝ったのはこの馬だけ。仏のGⅠで3着した母の血は、日本の遅咲きのせん馬となって、ようやく重賞のタイトルへ届いた。 今は放牧に出て、次の始動を待っている。「長く元気に走ってほしい」――その願いは、まだ現在進行形のままだ。再び芝に戻ってくる日を、静かに待てばいい。

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