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一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。名馬録
スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。
ロゴタイプ
通算成績30戦6勝
獲得賞金(海外含む・概算)約5億9,499万円
生年月日 2010.03.10(平成22年)毛色 黒鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 8人気 | 田辺裕信 | 1:31.5 | 上り34.4 | 映像 | |
| 3 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 7人気 | 田辺裕信 | 1:47.8 | 上り34.5 | 映像 | |
| 5 | GI香港マイル | シャティン 芝1600 | 5人気 | M.デムーロ | 1:33.6 | — | 映像 | |
| 5 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 9人気 | 田辺裕信 | 1:59.9 | 上り34.5 | 映像 | |
| 8 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 5人気 | 田辺裕信 | 1:47.6 | 上り35.1 | — | |
| 1 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 8人気 | 田辺裕信 | 1:33.0 | 上り33.9 | 映像 | |
| 2 | GIIIダービー卿チャレンジトロフィー | 中山 芝1600 | 4人気 | 田辺裕信 | 1:32.8 | 上り34.2 | 映像 | |
| 7 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 5人気 | 田辺裕信 | 1:46.6 | 上り35.3 | 映像 | |
| 9 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 8人気 | 浜中俊 | 1:33.4 | 上り34.0 | 映像 | |
| 3 | GIII富士S | 東京 芝1600 | 3人気 | M.デムーロ | 1:32.9 | 上り33.8 | — | |
| 4 | GII産経賞オールカマー | 中山 芝2200 | 2人気 | M.デムーロ | 2:12.4 | 上り35.0 | — | |
| 5 | GII産経大阪杯 | 阪神 芝2000 | 3人気 | 福永祐一 | 2:04.0 | 上り38.0 | — | |
| 2 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 2人気 | C.デムーロ | 1:50.3 | 上り35.8 | 映像 | |
| 8 | GIII根岸S | 東京 ダ1400 | 3人気 | C.デムーロ | 1:23.9 | 上り35.8 | 映像 | |
| 2 | GIII中山金杯 | 中山 芝2000 | 1人気 | C.デムーロ | 1:58.0 | 上り34.6 | 映像 | |
| 7 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 5人気 | C.ルメール | 1:32.0 | 上り34.9 | 映像 | |
| 6 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 6人気 | 三浦皇成 | 1:45.6 | 上り33.9 | — | |
| 8 | GII札幌記念 | 札幌 芝2000 | 4人気 | 村田一誠 | 2:00.7 | 上り37.7 | 映像 | |
| 6 | GIドバイデューティフリ | アラブ首長国連邦 芝1800 | 6人気 | C.デムーロ | — | 映像 | ||
| 3 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 3人気 | C.デムーロ | 1:50.4 | 上り37.1 | 映像 | |
| 5 | GII札幌記念 | 函館 芝2000 | 1人気 | 村田一誠 | 2:08.6 | 上り41.3 | 映像 | |
| 5 | GI東京優駿 | 東京 芝2400 | 2人気 | C.デムーロ | 2:24.6 | 上り34.5 | 映像 | |
| 1 | GI皐月賞 | 中山 芝2000 | 1人気 | M.デムーロ | 1:58.0 | 上り35.3 | 映像 | |
| 1 | GIIフジTVスプリングS | 中山 芝1800 | 1人気 | C.デムーロ | 1:47.8 | 上り35.2 | — | |
| 1 | GI朝日杯フューチュリティステークス | 中山 芝1600 | 7人気 | M.デムーロ | 1:33.4 | 上り36.1 | 映像 | |
| 1 | ベゴニア賞 | 東京 芝1600 | 4人気 | M.デムーロ | 1:33.6 | 上り34.0 | — | |
| 4 | GIII札幌2歳S | 札幌 芝1800 | 8人気 | 村田一誠 | 1:49.2 | 上り35.6 | — | |
| 3 | OPクローバー賞 | 札幌 芝1500 | 2人気 | 村田一誠 | 1:30.0 | 上り35.2 | — | |
| 4 | GIII函館2歳S | 函館 芝1200 | 14人気 | 村田一誠 | 1:10.5 | 上り36.0 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 函館 芝1200 | 1人気 | 村田一誠 | 1:13.1 | 上り35.6 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ローエングリン | Singspiel | In the Wings In The Wings |
| Glorious Song | ||
| カーリングCarling | Garde Royale | |
| Corraleja | ||
| 母ステレオタイプ | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| スターバレリーナ | Risen Star | |
| ベリアーニBerliani |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2010年生まれの黒鹿毛の牡馬。父ローエングリン、母ステレオタイプ。主な勝ち鞍は朝日フューチュリティ・皐月賞・安田記念。
活字の名 ― ロゴタイプとステレオタイプ
2010年3月10日、北海道千歳市の社台ファームで生まれた黒鹿毛の牡馬。父ローエングリン、母ステレオタイプ。 馬名の由来は、文字を組み合わせて個性的な書体に図案化したもの――ロゴタイプ。もとは活版印刷の言葉で、一語ぶんをひとかたまりに鋳た連字活字を指す。母の名も同じ工房から出ている。ステレオタイプの語源は、紙型から起こす鉛版、いわゆるステロ版である。母子そろって、印刷所の用語だった。 もっとも、その周りに並ぶのは踊りの名前だ。3代母ベリアーニの父はヌレイエフ。祖母は1993年のローズステークスを勝ったスターバレリーナ。母のきょうだいには、ダート重賞2勝のアンドゥオールと、中日新聞杯を勝ったグランパドドゥがいて、グランパドドゥの仔パドトロワは、ロゴタイプが2歳だった2012年のサマースプリントチャンピオンに輝いている。踊り子たちの一族で、母だけが活字の名を与えられ、その名を息子に渡した。 母ステレオタイプ自身は22戦2勝。中央では一度も勝てず、2勝はどちらも地方だった。父ローエングリンは48戦10勝、中山記念とマイラーズカップを二度ずつ制した重賞4勝の逃げ馬だが、国内外あわせて18回GIに出走して、一度も勝てないまま種牡馬になっている。 社台グループオーナーズでの募集価格は、総額1000万円。JRAの登録上の馬主は、生産牧場の代表でもある吉田照哉である。5代のうちにHalo4×3。どんな書体に組み上がるのかは、まだ紙の上に出ていなかった。
障害の名手が、厩舎を開けた年
美浦の田中剛は、その前年の秋まで騎手だった。1979年から30年、5253回ゲートを出て364勝。うち207勝は障害での勝ち星である。1980年12月、19歳の暮れにカチウマタローで中山大障害(秋)を勝ち、1995年には日本人騎手として初めてイギリスのグランドナショナルに騎乗した。1998年には、横山富雄以来2人目となる平地100勝・障害100勝を達成している。優秀障害騎手賞は5度。 その経歴に、ひとつだけ空白があった。平地のグレードレースを勝っていない。1995年の東京新聞杯を制してはいるが、その日の東京競馬場は雪で、芝がダートに変更され、格付けなしの施行になっていた。重賞13勝の内訳から、平地のグレードだけが抜け落ちたまま時間が過ぎた。 2009年、怪我からの復帰前の精密検査で変形性頚椎症と診断される。主治医から生命の危険を指摘され、障害免許を返上して平地に専念する道も考えたが、年齢を思って引退を決めた。10月31日、東京競馬場の障害未勝利戦のあとに引退式が行われている。 翌2010年3月に技術調教師となり、10月21日に厩舎を開業した。その年の3月10日、社台ファームでは一頭の黒鹿毛が生まれていた。厩舎と、馬と、同じ年である。 2012年6月24日、函館の芝1200m。村田一誠を背に1番人気に応え、新馬戦を勝った。だが夏の北海道は、函館2歳ステークスが14番人気の4着、クローバー賞3着、札幌2歳ステークスは勝ったコディーノから0秒7離された4着。世代の中心にいたのは、コディーノのほうだった。
中山の暮れ、クビ差
休養の間に馬体が増えた。11月25日、東京のベゴニア賞。鞍上は、ワールドスーパージョッキーズシリーズの招待騎手として来日していたミルコ・デムーロ。1分33秒6は2歳のコースレコードだった。 12月16日、朝日杯フューチュリティステークス。抽選をくぐって出走枠を得た身で、単勝7番人気、7枠14番。1000m通過57秒3というハイペースを3番手で追走し、直線でコディーノと馬体を併せた。譲らなかった。クビ差。勝ち時計1分33秒4は、2004年のマイネルレコルトに並ぶレースレコードタイだった。 重賞初勝利が、そのままGI初制覇になった。父ローエングリンにとっても、自身の現役時代を含めて、これが初めてのGIだった。 田中剛はこの年の1月、フェデラリストで中山金杯を勝ち、騎手時代を通じて届かなかった平地のグレードをようやく手にしていた。その11か月後に、平地のGIが加わる。年が明けて、ロゴタイプは2012年のJRA賞最優秀2歳牡馬に選ばれた。
一分五十八秒〇 ― 二〇一三年皐月賞
3歳初戦は3月17日のスプリングステークス。乗ったのはクリスチャン・デムーロ、ミルコの弟である。好位から早めに抜け出し、タマモベストプレイに1馬身半差をつけた。 4月14日、皐月賞。手綱はミルコに戻り、1番人気。中団から4コーナーで進出すると、直線でエピファネイアとの叩き合いを半馬身しのいだ。1分58秒0、中山芝2000mのレコード。3着は、暮れにクビ差で退けたコディーノだった。 朝日杯を勝った2歳王者がクラシックを制するのは、1994年のナリタブライアン以来19年ぶり。田中剛にとっては初めてのクラシックであり、ミルコ・デムーロにとっては2003年のネオユニヴァース、2004年のダイワメジャーに続く3つ目の皐月賞だった。 総額1000万円で募集された黒鹿毛が、世代の頂に立った。ここまで8戦5勝。
三年二か月
5月26日の東京優駿は2番人気に推されたが、直線で伸び切れずキズナの5着。ベゴニア賞から続いた連勝は4で止まった。 夏、その年の札幌記念は函館競馬場で行われた。1番人気に支持されながら重馬場に脚を取られ、トウケイヘイローから2秒1離された5着。この日の馬場が左後肢に疲労を残し、予定していた毎日王冠から天皇賞(秋)というローテーションは白紙になる。山元トレーニングセンターへ放牧。皐月賞馬の3歳秋は、そのまま消えた。 4歳初戦の中山記念はジャスタウェイの3着に健闘し、その勢いでドバイデューティフリーへ向かった。だがメイダンで圧勝したのも同じジャスタウェイで、ロゴタイプは6着。帰国後の札幌記念はハープスター、ゴールドシップの末脚に抵抗できず8着、毎日王冠6着、マイルチャンピオンシップ7着。同期のキズナが話題を集め、エピファネイアがジャパンカップを勝った年に、皐月賞馬の名は紙面から遠ざかっていった。 5歳の中山金杯は1番人気。2着に敗れただけでなく、自分が皐月賞で刻んだ中山2000mのレコードを、勝ったラブリーデイに塗り替えられた。2月にはダート適性を確かめに根岸ステークスへ出て8着。3月の中山記念は番手から抜け出しを図りながら、ヌーヴォレコルトのイン強襲を許して2着。不良馬場の大阪杯5着。秋はオールカマー4着、富士ステークス3着、マイルチャンピオンシップ9着。 鞍上は村田一誠、デムーロ兄弟、三浦皇成、ルメール、福永祐一、浜中俊と替わり続けた。皐月賞から数えて16戦。勝ち鞍はひとつも増えなかった。
府中を一頭で ― 二〇一六年安田記念
6歳の初戦、中山記念から田辺裕信が乗った。ドゥラメンテ、イスラボニータと皐月賞馬が3頭そろった一戦で、変則的なペースに巻き込まれて7着。予定していたオーストラリア遠征は見送られ、陣営は国内のマイル路線を選ぶ。4月のダービー卿チャレンジトロフィーは3番手から抜け出しを図り、インをすくったマジックタイムに交わされて2着。それでも前年の中山記念以来の連対だった。 6月5日、東京の芝1600m。12頭立ての8番人気、単勝3690円。 ゲートが開くと、好ダッシュを切ったディサイファを外から交わして先頭に立った。逃げて勝ったことのない馬だった。前半1000m通過59秒1。後ろではモーリスが掛かり、リアルスティールも掛かり気味に進む。直線、田辺は最内のラチ沿いへ入れた。雨上がりの内目を他の騎手が避けるなかを、一頭だけ最短距離で走った。 残り200mを過ぎて、リードはむしろ3馬身に広がる。馬場の真ん中からモーリスが懸命に伸びたが、差は詰まりきらなかった。1馬身1/4差、1分33秒0。2013年4月の皐月賞から3年2か月、16戦ぶりの勝利だった。 父ローエングリンは、この安田記念に4度出走している。うち2度は1番人気に推され、それでも勝てなかった。父が届かなかった一つを、仔が、父と同じ逃げで奪ってきたことになる。田辺裕信も田中剛も、このレースを勝つのは初めてだった。 秋は毎日王冠8着。天皇賞(秋)は差し馬が台頭する流れを先行して粘り5着。12月には香港へ渡り、シャティンの香港マイルは出遅れが響いて5着だった。
もう一度、同じ逃げで
7歳。中山記念は4年連続の出走になった。直線でいったん先頭に立ちながら、ネオリアリズムの3着。次に予定していたダービー卿チャレンジトロフィーはフレグモーネを発症して回避した。父ローエングリンが二度勝った中山記念だけは、4回走って、ついに勝てなかった。 6月4日、連覇のかかった安田記念。18頭立ての大外16番から、またハナを主張した。前半800m通過45秒5。前年のようなスローではない。それでも残り300mで二の脚を使い、リードを3馬身まで広げる。そのままゴールに飛び込むかと見えたところへ、大外からサトノアラジンが伸びてきた。クビ差だった。 追いかけてきた先行勢が軒並み沈んだ流れのなかで、粘り込んだのはこの馬だけだった。上位5着までがすべてクビ差の接戦、勝ち時計1分31秒5。勝った前年より、負けたこの日の走りのほうが強かったのかもしれない。 秋は富士ステークスでの復帰を予定していたが、背腰の張りで回避。山元トレーニングセンターで調整を続けたものの症状は戻らず、むしろ悪化した。10月27日、競走馬登録抹消。30戦6勝だった。
刷り上がった一語
2018年から社台スタリオンステーションで種牡馬に。初年度の種付け料は80万円、種付け数は97頭だった。 2021年6月27日、札幌の新馬戦をラブリイユアアイズが勝って産駒初勝利。同じ馬は8月にクローバー賞も制している。父が2歳の夏、3着に敗れたレースである。 2022年、ベラジオソノダラブが無敗の3連勝で兵庫若駒賞を勝ち、産駒初の重賞。翌2023年の兵庫チャンピオンシップでは、ミトノオーがそのベラジオソノダラブらを退けて優勝し、産駒初のグレード重賞制覇となった。ミトノオーは2024年に平安ステークスも勝っている。2023年からは、北海道新ひだか町のレックススタッドで繋養されている。父ローエングリンが2010年から2018年まで過ごしたのも、同じ牧場だった。 田中剛は2023年、シャンパンカラーでNHKマイルカップを勝った。ロゴタイプの安田記念以来のGIだった。 活版でロゴタイプといえば、一語ぶんをまとめて一本に鋳た活字を指す。文字を一つずつ拾って並べるのではなく、ひとかたまりで組み、そのまま紙へ押しつける。函館の新馬戦から府中の逃げ切りまで、六つの勝ち鞍は年ごとに眺めれば途切れ途切れだが、まとめて一本に見れば、ちゃんと読める言葉になっている。刷り上がった一語は、もう動かない。
産駒 — 旅を継ぐ馬
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