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レッツゴードンキ
通算成績36戦3勝
獲得賞金4億8,267万円
生年月日 2012.04.06(平成24年)毛色 栗毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4 | GII阪神カップ | 阪神 芝1400 | 5人気 | 岩田康誠 | 1:20.2 | 上り34.1 | 映像 | |
| 6 | JpnⅠJBCレディスクラシック | 浦和 ダ1400 | 5人気 | 岩田康誠 | 1:26.9 | 上り38.2 | 映像 | |
| 5 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 9人気 | 岩田康誠 | 1:07.5 | 上り33.4 | 映像 | |
| 10 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 13人気 | 岩田康誠 | 1:31.2 | 上り33.2 | 映像 | |
| 6 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 5人気 | 岩田康誠 | 1:07.6 | 上り33.3 | 映像 | |
| 2 | GIII阪急杯 | 阪神 芝1400 | 4人気 | 岩田康誠 | 1:20.5 | 上り34.6 | 映像 | |
| 5 | GIJBCスプリント | 京都 ダ1200 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:11.0 | 上り36.0 | — | |
| 5 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 4人気 | 岩田康誠 | 1:08.6 | 上り34.3 | 映像 | |
| 5 | GIIIキーンランドカップ | 札幌 芝1200 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:10.2 | 上り35.5 | 映像 | |
| 6 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 6人気 | 岩田康誠 | 1:32.7 | 上り33.9 | 映像 | |
| 2 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 3人気 | 岩田康誠 | 1:08.5 | 上り34.6 | 映像 | |
| 5 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 10人気 | 幸英明 | 1:36.7 | 上り37.0 | 映像 | |
| 6 | GI香港スプリント | シャティン 芝1200 | 3人気 | 岩田康誠 | — | 映像 | ||
| 3 | GII毎日放送賞スワンS | 京都 芝1400 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:22.7 | 上り35.5 | 映像 | |
| 2 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 5人気 | 岩田康誠 | 1:07.6 | 上り33.1 | 映像 | |
| 11 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 3人気 | 岩田康誠 | 1:34.6 | 上り34.2 | 映像 | |
| 2 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:08.9 | 上り33.9 | 映像 | |
| 1 | GIII京都牝馬S | 京都 芝1400 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:22.5 | 上り34.0 | 映像 | |
| 2 | LターコイズS | 中山 芝1600 | 6人気 | 岩田康誠 | 1:33.8 | 上り34.1 | — | |
| 2 | JpnⅠJBCレディスクラシック | 川崎 ダ1600 | 4人気 | 岩田康誠 | 1:41.5 | 上り39.9 | 映像 | |
| 9 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 7人気 | 岩田康誠 | 1:07.8 | 上り32.9 | 映像 | |
| 3 | GIIIキーンランドカップ | 札幌 芝1200 | 3人気 | 岩田康誠 | 1:08.7 | 上り33.9 | — | |
| 3 | GIII函館スプリントS | 函館 芝1200 | 7人気 | 吉田隼人 | 1:08.0 | 上り34.0 | 映像 | |
| 10 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 8人気 | 岩田康誠 | 1:32.9 | 上り34.8 | 映像 | |
| 8 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 10人気 | 岩田康誠 | 1:07.4 | 上り33.4 | 映像 | |
| 6 | GIII阪急杯 | 阪神 芝1400 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:20.1 | 上り34.7 | 映像 | |
| 6 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 10人気 | 戸崎圭太 | 1:33.3 | 上り34.3 | 映像 | |
| 17 | GI秋華賞 | 京都 芝2000 | 3人気 | 岩田康誠 | 1:59.8 | 上り38.0 | 映像 | |
| 4 | GII関西TVローズS | 阪神 芝1800 | 3人気 | 岩田康誠 | 1:45.9 | 上り35.6 | — | |
| 10 | GI優駿牝馬 | 東京 芝2400 | 2人気 | 岩田康誠 | 2:26.1 | 上り35.2 | 映像 | |
| 1 | GI桜花賞 | 阪神 芝1600 | 5人気 | 岩田康誠 | 1:36.0 | 上り33.5 | 映像 | |
| 3 | GIIIチューリップ賞 | 阪神 芝1600 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:38.0 | 上り36.6 | 映像 | |
| 2 | GI阪神ジュベナイルフィリーズ | 阪神 芝1600 | 2人気 | 浜中俊 | 1:34.5 | 上り34.3 | 映像 | |
| 2 | GIIIアルテミスS | 東京 芝1600 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:34.4 | 上り33.6 | — | |
| 3 | GIII札幌2歳S | 札幌 芝1800 | 7人気 | 吉田隼人 | 1:50.2 | 上り36.4 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 札幌 芝1800 | 3人気 | 戸崎圭太 | 1:53.2 | 上り34.9 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父キングカメハメハKing Kamehameha | Kingmambo | Mr. Prospector |
| Miesque | ||
| マンファスManfath | ラストタイクーンLast Tycoon | |
| Pilot Bird | ||
| 母マルトク | マーベラスサンデーMarvelous Sunday | サンデーサイレンスSunday Silence |
| モミジダンサー | ||
| エリットビーナス | ジェイドロバリーJade Robbery | |
| フリースピリット |
旅程 — この馬の物語
2012年生まれの栗毛の牝馬。父キングカメハメハ、母マルトク。主な勝ち鞍は桜花賞・京都牝馬S。
さあ進もう ― 平取の栗毛
北海道平取町の清水牧場は、1967年の創業から半世紀のあいだに、マイルチャンピオンシップを連覇したダイタクヘリオスや、中山大障害と中山グランドジャンプを制したマジェスティバイオを送り出してきた。だが中央のクラシックだけは、まだ手が届いていなかった。 2012年4月6日、その牧場で栗毛の牝馬が生まれる。父はキングカメハメハ。母マルトクは中央のダート1200mから1400mばかりを32戦して5勝を挙げた短距離馬で、栗東の梅田康雄厩舎に所属していた。2歳上の半兄マルトクスパートは中央で19戦して勝てず、地方へ移ってからは園田を中心に22勝を積み上げ、地方の重賞を三つ勝っている。派手ではないが、走ることをやめない一族だった。 娘を預かったのは、その康雄の息子・梅田智之である。父が管理した母の仔を、息子が管理する。 馬主は廣崎利洋。所有馬には社名からとった「アスク」の冠名がつくのが常だが、この牝馬にはつかなかった。名付けたのは廣崎と親しい実業家の安田隆夫で、由来は安田が創業したディスカウントストアだと報じられている。JRAの登録上の馬名意味は、『さあ進もう「ドンキホーテ」のように』。 さあ進もう。前へ出ろという意味の名を、この馬は生まれたときから背負っていた。
行きたがる仔 ― 二歳の秋と、桜の前
2014年8月24日、札幌の芝1800m。戸崎圭太を背に3番人気で新馬戦を勝ち上がった。このときの馬体重は450キロである。 続く札幌2歳ステークスは吉田隼人で3着。11月のアルテミスステークスから岩田康誠が手綱を取り、以後この馬の36戦のうち30戦を、兵庫県姫路市に生まれ園田で腕を磨いたこの騎手が乗ることになる。アルテミスSはココロノアイにわずかに及ばず2着、12月の阪神ジュベナイルフィリーズもショウナンアデラの0秒1差2着。世代の上位にいながら、勝ちきれない。 もうひとつの課題は気性だった。3歳緒戦のチューリップ賞、重馬場のスタートから押し出されるように先頭へ出てしまい、直線で失速して3着。元騎手の安藤勝己は、この馬の行きたがる面を欠点に挙げ、その克服が鍵になると評した。厩舎は敗戦のあと、後ろで我慢させることを重んじた調教に切り替える。桜の一冠へ向けての宿題は、この馬をいかに抑えるか、だった。
とっさの判断 ― 二〇一五年四月十二日
阪神の1600m。3戦無敗のルージュバックが単勝1.6倍の圧倒的1番人気に支持され、無敗のまま桜の女王が誕生するのではないかと言われていた。レッツゴードンキは10.2倍の5番人気にすぎない。 陣営が描いていたのは、そのルージュバックのすぐ後ろ、4、5番手の直後で我慢させる形だった。前走で逃げて失速したあと、厩舎は後ろで我慢させる調教を積んできている。岩田自身も、控えて運ぶつもりでいたと明かしている。 ゲートが開く。内の2番枠からムーンエクスプレスがハナに立ち、ノットフォーマル、トーセンラークが続く。その外から、レッツゴードンキがまとめてかわして先頭に出た。ゲートから1ハロンほどの地点だった。前に行きそうな馬がハナを主張しない――それを見た岩田が、牽制して馬とケンカするよりはいい、と一瞬で切り替えた結果だった。 競馬場2階の厩務員控室で、それを見ていた調教助手がいる。西原玲奈。JRA史上6人目の女性騎手として10年騎乗し、2010年に鞍を降りて梅田厩舎の裏方になった人だ。彼女はのちにこう振り返っている。「まずハナに立ったときに“やっちゃった”と思いました」[^1] ところが、追いかけてくる馬がいなかった。前半600m通過は37秒1、800mが50秒0、1000mが1分2秒5。良馬場のマイル戦としては超がつくスローである。大きく遅れた1頭を除く17頭が、手綱を引かれたまま10馬身強のなかにひしめいた。単騎の先頭で、レッツゴードンキだけが自分のリズムで走っていた。
出典:デイリースポーツ「桜花賞制した西原玲奈調教助手を直撃」2015年5月5日配信、https://www.daily.co.jp/opinion-d/2015/05/05/0007991654.shtml、閲覧日:2026年7月27日。
四馬身 ― 二十八年目のフェンス際
直線、騎手たちのアクションが一斉に大きくなった。それでも馬順は動かない。流れが遅すぎて、前を行く馬にもまた余力がたっぷり残っていたからだ。クルミナル、コンテッサトゥーレ、クイーンズリングが脚を伸ばしても、差は開く一方だった。逃げた馬が上がり3ハロンを33秒5でまとめてしまえば、後ろに打つ手はない。 2着に4馬身。勝ち時計1分36秒0は、良馬場で行われた過去5年の桜花賞のどれよりも遅かった。それでも、桜花賞を逃げ切った馬は1985年のエルプス以来30年ぶりであり、新馬戦以来ふたつめの勝利が、クラシックだった。清水牧場の生産馬が中央のクラシックを勝つのも、これが初めてである。 梅田智之にとって、JRAのGIはこれが初めてだった。前年秋にアドマイヤラクティでオーストラリアのコーフィールドカップを勝ってはいたが、その馬は次走のメルボルンカップのあと心不全で急死している。「これでアドマイヤラクティにもいい報告ができます。天国のラクティに恥ずかしくない成績を挙げていきたいと思います」[^1] 廣崎利洋は西宮に生まれ、小売業を営む両親の商品を配達して、学生のころから阪神競馬場の厩舎に出入りしていた。だからこそ、この競馬場の大レースである桜花賞を、馬主としての最大の目標にしてきた。1987年に馬主となって28年目のその日、彼は馬主席にいなかった。ゴール前のフェンス沿いに立ち、ゴールの瞬間、周りにいたファンから握手攻めに遭った。
出典:Number Web「例年接戦の桜花賞でなぜ4馬身差が?レッツゴードンキ岩田会心の逃げ戦術。」2015年4月13日配信、https://number.bunshun.jp/articles/-/823114、閲覧日:2026年7月27日。
二冠の声 ― 桜のあとの半年
勝ち方が評価を変えた。史上14頭目の牝馬二冠なるか、という声が広がる。しかも優駿牝馬の1週前のヴィクトリアマイルを、同じ廣崎の所有馬ストレイトガールが勝った。オーナーには2週連続のGI制覇がかかると騒がれたが、本人は、本当に勝ってしまったら大変なことになると、むしろ不安だったと後に述懐している。 5月24日、東京の2400m。2番人気。岩田も調教師も状態は万全だったと語ったが、桜花賞のときのようにスムーズには走れず、10着に終わった。オーナーは、負けてほっとしたと漏らしている。 秋はローズステークス4着から秋華賞へ。3番人気に推されながら道中で折り合いを欠き、17着に沈んだ。距離を詰めたマイルチャンピオンシップは6着。掲示板には届かない着順だが、この年の年度代表馬となるモーリスから0秒5差である。梅田はこの一戦で、この馬の短距離の素質を感じ取っていた。
一年十か月 ― 馬体が変わる
明けて4歳、勝てない季節が続いた。阪急杯6着、高松宮記念8着、ヴィクトリアマイル10着。函館スプリントステークス3着、キーンランドカップ3着、スプリンターズステークス9着。掲示板に載ることさえ難しい時期もあった。それでも重賞で後方から伸びて3着に食い込んだとき、廣崎と梅田は、勝ったわけでもないのに喜んだという。着順は振るわなくとも、後方待機で不利を受けた大敗のなかに、陣営はこの馬の成長と1200mへの適性を見ていた。 11月、川崎のJBCレディスクラシック。初めてのダートだった。母マルトクがダートで5勝していたことが、その挑戦を後押しした。前年の覇者ホワイトフーガに0秒2差の2着。短ければ、芝でもダートでも走る。 12月のターコイズステークスで2着に入り、2017年2月18日、京都牝馬ステークス。1番人気に応えて先頭でゴールした。桜花賞から1年10か月ぶりの勝利である。デビュー戦で450キロだった馬体は、この日502キロ。牡馬のスプリンターのような体つきに変わっていた。
銀の季節 ― 高松宮とスプリンターズ
2017年3月26日、稍重の中京。2番人気で高松宮記念に臨み、セイウンコウセイに1馬身1/4差の2着。10月1日、中山のスプリンターズステークスでは上がり33秒1で伸びたが、連覇を狙うレッドファルクスにクビ差で捉えられて、また2着。12月には初めての海外遠征として香港スプリントへ向かい、6着に終わった。 2018年3月25日、ふたたび中京。直線で粘るセイウンコウセイを内から交わして先頭に立ったのは、前年この舞台とスプリンターズSで2着に泣いたレッツゴードンキだった。後続を振り切りにかかるその外から、急追してきたのがファインニードルである。ハナ差。二年続けて、同じ競馬場の同じ距離で、あと一完歩が足りなかった。 これでJRAのGIでの2着は、2歳暮れの阪神ジュベナイルフィリーズから数えて4度目になる。地方のJpnIでもひとつ、銀を持っている。だが7歳まで一線級のスプリント戦に立ち続け、幾度も勝ち馬のすぐ後ろまで押し上げてきた馬を、惜敗という言葉だけで語るのは正しくない。前へ出る名の馬は、最後の一完歩まで前を目指していた。
三十六戦 ― そして海を渡る
2019年、7歳。阪急杯で2着に粘り、高松宮記念6着、ヴィクトリアマイル10着、スプリンターズステークス5着、浦和のJBCレディスクラシック6着。12月21日、阪神カップ。中団のやや後ろから追い込んで4着だった。その日の最終レースが終わったあと、阪神競馬場で引退式が行われた。桜花賞を勝った競馬場が、送り出す場所になった。 36戦3勝。勝ったのは札幌の新馬戦と、桜花賞と、京都牝馬ステークスだけである。だがJRAのGIで4度、地方のJpnIで1度、2着の位置からゴール板を過ぎた。12月26日、競走馬登録抹消。 翌2020年、レッツゴードンキはアイルランドへ渡る。初仔は2021年2月、英国の牧場で生まれたガリレオの牝馬――ミスガリレオアスク。名には、桜花賞のときにはつかなかった「アスク」が戻っていた。2番仔はフランケルのアスクヴォルテージ、3番仔はエピファネイアのファイティンアスク。コントレイル、キタサンブラックの仔も続いている。 そして平取の清水牧場では、彼女がまだ走っていた2018年の春に、父も母も同じ弟が生まれていた。梅田智之厩舎に入ったその牡馬の名は、アスクドンキバック。姉の名を継いで、同じ厩舎の同じ道を歩いた。 さあ進もう、という名だった。みなが手綱を引きあっていた阪神の1600mで、その名のとおりに前へ出た一頭だけが、桜を持ち帰った。
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