名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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レーベンスティールのイメージビジュアル
レーベンスティールLebensstil
Lebensstil

レーベンスティール

通算成績18戦7勝

獲得賞金33,156万円

生年月日 2020.03.08(令和2年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
レーベンスティールの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 GI安田記念 東京 芝1600 3人気 戸崎圭太 1:32.6 上り33.9映像
6 GI大阪杯 阪神 芝2000 5人気 C.ルメール 1:58.1 上り35.2映像
1 GII中山記念 中山 芝1800 3人気 戸崎圭太 1:45.1 上り33.8映像
12 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 5人気 D.レーン 1:32.4 上り33.7映像
1 GII毎日王冠 東京 芝1800 5人気 津村明秀 1:44.0 上り33.3映像
7 GIIIしらさぎS 阪神 芝1600 2人気 川田将雅 1:33.5 上り34.1映像
12 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 2人気 C.ルメール 2:13.2 上り37.1映像
8 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 3人気 C.ルメール 1:57.8 上り33.2映像
1 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 1人気 C.ルメール 2:11.8 上り34.1映像
1 GIIIエプソムカップ 東京 芝1800 1人気 C.ルメール 1:44.7 上り33.7映像
11 GIII新潟大賞典 新潟 芝2000 1人気 津村明秀 2:01.1 上り34.7映像
8 GI香港ヴァーズ シャティン 芝2400 1人気 J.モレイラ 映像
1 GII朝日セントライト記念 中山 芝2200 2人気 J.モレイラ 2:11.4 上り33.9映像
3 GIIIラジオNIKKEI賞 福島 芝1800 1人気 戸崎圭太 1:47.0 上り34.4映像
1 3歳1勝クラス 東京 芝1800 1人気 D.レーン 1:47.4 上り33.0
2 3歳1勝クラス 中山 芝1800 1人気 戸崎圭太 1:54.6 上り35.7
1 2歳未勝利 中山 芝1800 1人気 T.マーカンド 1:48.4 上り35.6
2 2歳新馬 東京 芝1800 2人気 T.マーカンド 1:50.8 上り33.2

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
レーベンスティールの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
リアルスティールReal SteelディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
ラヴズオンリーミーLoves Only MeStorm Cat
Monevassia
トウカイライフトウカイテイオーTokai TeioシンボリルドルフSymboli Rudolf
トウカイナチュラル
ファヴォリリアルシャダイReal Shadai
ベイリーフスイータ
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの鹿毛の牡馬。父リアルスティール、母トウカイライフ。主な勝ち鞍は朝日セントライト記念・エプソムC・産経賞オールカマー。

生き様という名 ― 二つの血を結んだ言葉

馬の名は、ときにその生き方を先取りする。 レーベンスティール――ドイツ語で「生き様」を意味するこの名は、二頭の親の名を一語に編み直して生まれた。父リアルスティールの「スティール(Steel)」に、母トウカイライフの「ライフ(=Leben)」を重ね、ドイツ語で結び直す。込められたのは、生き様で魅了する馬になれ、という願いだった。 その「生き様」の芯にあるのは、母から受け継いだ血だろう。母トウカイライフの父は、トウカイテイオー。父にシンボリルドルフを持ち、無敗のまま皐月賞と日本ダービーの二冠を駆け抜けた貴公子である。だが帝王が人々の記憶に深く刻まれたのは、その強さゆえだけではない。度重なる骨折に競走生活を幾度も断ち切られ、そのたびにターフへ還ってきた。約一年ぶりの実戦となった1993年の有馬記念、誰もが半信半疑で見守るなか、テイオーは先頭でゴール板を駆け抜ける――のちに「奇跡の復活」と語り継がれる一戦だった。倒れても、また立ち上がる。帝王がその血に託したのは、勝ち鞍の数ではなく、不屈の生き様そのものだった。 父リアルスティールもまた、時間をかけて実った馬である。共同通信杯であのドゥラメンテを負かしながら、クラシックでは同じ相手の後塵を拝し、GI初勝利は世代の争いを離れ、海を渡ったドバイターフでようやく掴んだものだった。 帝王の不屈と、遅れて咲いた父。二つの血を編んだ名を負って、この鹿毛は走り出す。派手な即効性ではなく、時間をかけて魅せる――そういう質の馬だった。

府中のクビ差 ― 敗者としての出発

2022年11月13日、東京・芝1800mの新馬戦。デビュー戦のレーベンスティールは好位から直線で伸び、一頭の馬と馬体を併せて競り合った。相手はソールオリエンス。半年後に皐月賞を制することになる同期である。クビ差――わずかに前へ出られて、キャリアの最初の一戦は2着に終わった。 負けはしたが、後の皐月賞馬を相手にクビ差まで詰めた事実は、この馬の器を静かに告げていた。翌月の未勝利戦を危なげなく勝ち上がると、年が明けて3歳。一勝クラスをひとつ挟み、5月には東京でクラスを卒業する。ただ、クラシックの本番には間に合わなかった。ラジオNIKKEI賞では1番人気に推されながら3着。同世代が皐月賞やダービーで火花を散らす頃、レーベンスティールはまだ、その舞台の外にいた。

デビュー戦の借り ― セントライト記念

秋、中山のセントライト記念で、府中の伏線が回収される。鞍上はジョアン・モレイラ。2番人気のレーベンスティールは好位から早めに抜け出し、後方から追い込む1番人気を1馬身3/4振り切った。その1番人気こそ、新馬戦でクビ差だけ前にいた皐月賞馬ソールオリエンス。半年前の敗者が、菊花賞への優先出走権とともに、確かに貸しを取り返した。 菊花賞は疲労を考えて見送られた。三冠最後の一冠より、無理をさせないことを陣営は選ぶ。代わりに向かったのは、初めての海。12月、香港ヴァーズに1番人気で挑んだが、シャティンの2400mでは8着に沈んだ。世界の壁は、国内の重賞とは別の高さでそびえていた。

ルメールと重賞という舞台 ― 2024

4歳の春は、つまずきから始まった。新潟大賞典は1番人気で11着。だが立て直しは早かった。クリストフ・ルメールを鞍上に迎えたエプソムカップで、中団からメンバー最速タイの上がり33秒7を繰り出し、2着に2馬身差をつけて完勝する。 秋初戦のオールカマーは、さらに強い内容だった。1番人気。道中は3〜4番手の好位につけ、直線で前が壁になって馬群に閉じ込められても、最内に空いたわずかな隙間を突いて抜け出す。半馬身差で先頭でゴール。狭いところを馬群のなかから割ってくる勝ち方は、能力だけでなく勝負根性の証だった。重賞の主役として、この馬は堂々と勝ち切れる存在になっていた。残る問いは、ただひとつだった。

届かない一冠 ― GIの壁

問いは、GIだった。連勝の勢いで臨んだ2024年の天皇賞・秋。三強の一角として3番人気に支持されたが、外枠から中団やや後ろに構え、直線の末脚も届かずに8着。鞍上のルメールは外枠を悔やみ、それでも前を向いた。「折り合いは我慢できた。ただ、後ろからでは勝った馬以外は大変でした。また、トライしたいですね」[^1]。 続くアメリカジョッキークラブカップは12着、距離を詰めたしらさぎステークスも7着と、GIの手前で歯車が噛み合わない時期が続いた。だが2025年秋、毎日王冠で津村明秀とのコンビが甦る。5番人気の低評価をものともせず、前を行く各馬を鮮やかに差し切って快勝。年をまたいだ2026年の中山記念では戸崎圭太を背に勝ち切り、重賞5勝目を刻んだ。GIII・GIIの舞台では、勝ち方を確かに知っていた。 それでも、頂の一冠は遠い。大阪杯6着、安田記念7着。GIの扉は、叩いても叩いても、まだ開かない。

出典:中日スポーツ・東京中日スポーツ「【天皇賞・秋】JRA・G1初挑戦のレーベンスティールは8着 ルメールは敗因に『外枠』挙げる」2024年10月27日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/977825、閲覧日:2026年7月17日。

生き様で魅せる ― まだ途上の物語

母の父トウカイテイオーは、幾度も競走生活を絶たれながら、そのたびに立ち上がり、最後は約一年ぶりの有馬記念で頂へ還ってきた。父リアルスティールもまた、世代の争いに敗れ続けた末に、海の向こうで自らGIの扉をこじ開けた馬である。倒れても還り、遅れても咲く――レーベンスティールの背には、その二つの血が流れている。 レーベンスティールは、朝日セントライト記念、エプソムカップ、産経賞オールカマー、毎日王冠、中山記念。重賞のさまざまな格を、ひとつずつ勝ち上がってきた。華やかなGIのタイトルは、まだ持たない。けれど、府中のクビ差から始まり、皐月賞馬を負かし、狭い馬群を割り、5番人気で差し切ってきた歩みそのものが、この馬の値打ちを語っている。 生き様で魅了する馬になれ――名に託された願いを、この鹿毛はもう十分に果たしている。あとは、まだ開かない一冠の扉を、帝王の血が知るあの不屈で、もう一度その脚で叩きにいくだけだ。

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