名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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ラウダシオンのイメージビジュアル
ラウダシオンLauda Sion
Lauda Sion

ラウダシオン

通算成績25戦5勝

獲得賞金3146万円

生年月日 2017.02.02(平成29年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ラウダシオンの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 GII京王杯スプリングカップ 東京 芝1400 9人気 岩田康誠 1:20.7 上り33.9映像
11 GIIゴドルフィンマイル メイダン ダ1600 11人気 B.ムルザバエフ 映像
9 GIII1351ターフスプリント キングアブドゥル 芝1351 8人気 B.ムルザバエフ 1:18.4 映像
3 GII阪神カップ 阪神 芝1400 11人気 B.ムルザバエフ 1:20.3 上り34.5映像
8 GII富士S 東京 芝1600 10人気 菅原明良 1:33.1 上り34.9映像
12 サマーチャンピオン 佐賀 ダ1400 4人気 M.デムーロ 1:30.1 上り41.4
5 GII京王杯スプリングカップ 東京 芝1400 7人気 M.デムーロ 1:20.5 上り34.4映像
9 GIアルクオーツスプリント メイダン 芝1200 8人気 C.デムーロ
4 GIII1351ターフスプリント キングアブドゥル 芝1351 10人気 C.デムーロ 映像
11 GII阪神カップ 阪神 芝1400 7人気 M.デムーロ 1:21.3 上り35.7映像
8 GII富士S 東京 芝1600 6人気 M.デムーロ 1:33.9 上り34.9映像
13 GII産経賞セントウルS 中京 芝1200 5人気 M.デムーロ 1:08.2 上り34.3映像
14 GI安田記念 東京 芝1600 7人気 M.デムーロ 1:34.5 上り36.3映像
1 GII京王杯スプリングカップ 東京 芝1400 1人気 M.デムーロ 1:19.8 上り33.5映像
14 GI高松宮記念 中京 芝1200 5人気 M.デムーロ 1:10.1 上り35.6映像
3 GIIIシルクロードS 中京 芝1200 2人気 M.デムーロ 1:08.5 上り34.2映像
15 GIマイルチャンピオンS 阪神 芝1600 6人気 武豊 1:33.2 上り34.6映像
2 GII富士S 東京 芝1600 3人気 M.デムーロ 1:33.6 上り35.2映像
1 GINHKマイルカップ 東京 芝1600 9人気 M.デムーロ 1:32.5 上り34.4映像
2 GIII中スポ賞ファルコンS 中京 芝1400 1人気 武豊 1:21.5 上り35.2映像
1 LクロッカスS 東京 芝1400 3人気 武豊 1:21.2 上り33.5
8 GI朝日杯フューチュリティステークス 阪神 芝1600 6人気 C.ルメール 1:34.0 上り36.1映像
1 OPもみじS 京都 芝1400 1人気 C.ルメール 1:24.1 上り35.5
3 GIII小倉2歳S 小倉 芝1200 4人気 武豊 1:10.6 上り35.9
1 2歳新馬 阪神 芝1200 1人気 福永祐一 1:10.7 上り35.7

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ラウダシオンの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
リアルインパクトReal ImpactディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
トキオリアリティーMeadowlake
What a Reality
アンティフォナSongandaprayerUnbridled's Song
Alizea
スナッチドCat Thief
Christmas Star
STORY

旅程 — この馬の物語

2017年生まれの鹿毛の牡馬。父リアルインパクト、母アンティフォナ。主な勝ち鞍はNHKマイルC・京王杯スプリングC。

聖歌の名を継いで ― 名前の由来

母の名はアンティフォナ。ミサで交わし歌う交唱を指す、グレゴリオ聖歌の言葉である。その牝馬が北海道の白老ファームで産んだ仔たちには、代々、聖歌の名が与えられた。昇階唱を意味するグラドゥアーレ、聖アンブロジウスに由来するアンブロジオ、賛美を歌うグロリアラウス――教会音楽の言葉が、一族の系図に静かに並んだ。 2017年に生まれた鹿毛の牡馬に授けられたのは、ラウダシオン。聖体の祝日に歌われる続唱、『シオンよ、救い主を讃えよ』の一節である。父はリアルインパクトディープインパクトの産駒で、2011年、まだ3歳の身で古馬を蹴散らして安田記念を奪った馬だ。グレード制導入後、3歳馬が春のマイル王決定戦を制したのは、この父が初めてだった。しかもそのとき、リアルインパクトは9番人気だった。 聖歌の名を負い、番狂わせの血を継ぐ。その取り合わせが後にどんな一日を呼び込むか、このときはまだ誰も知らない。

早すぎた才 ― 二歳の夏から

2019年6月、阪神の芝1200mの新馬戦。福永祐一を背に、1番人気に応えてデビューを飾る。9月の小倉2歳ステークスは武豊で3着、10月のもみじステークスはルメールに導かれて完勝と、素質はすぐに評判になった。年末の朝日杯フューチュリティステークスでは8着に沈んだが、明けて3歳、東京のクロッカスステークスを制し、中京のファルコンステークスでも2着に好走して、マイルの舞台へ駒を進める。 短い距離を前々から運ぶ、気持ちのいい先行力。それがこの馬の身上だった。ただ、重賞のタイトルには、まだ手が届いていない。

無観客の府中 ― NHKマイルカップ

2020年春、疫禍が世界を覆い、競馬場から歓声が消えた。無人のスタンドが見下ろす府中で、5月10日のNHKマイルカップを迎える。9番人気。人気を集めたのは、阪神ジュベナイルフィリーズを制した1番人気レシステンシアだった。 ミルコ・デムーロは好スタートを決め、ハナを切ったレシステンシアの外、2番手にぴたりとつけた。直線で平均ペースの一番人気に馬体を並べると、残りわずかで抜け出す。勝ち時計1分32秒5。重賞初制覇が、そのままGIの初戴冠になった。デムーロは前年のアドマイヤマーズに続いてこのレースを連覇し、管理する斉藤崇史調教師にとっては、これがGI初勝利だった。 人気を裏切って東京のマイルGIを9番人気で奪う――それは9年前、父リアルインパクトが安田記念でやってのけたことの、そっくりな再現だった。ただ、勝利を分かち合うはずの歓声は、その日の府中になかった。

頂の風 ― マイルからの転身

戴冠のあとに待っていたのは、勝ちきれない日々だった。秋の富士ステークスは2着、暮れのマイルチャンピオンシップは武豊を背に15着と大敗する。トップクラスのマイル路線で、あと一歩が遠い。 陣営は距離を詰め、短距離へと矛先を変えた。年明けのシルクロードステークスは3着と可能性を見せたが、続く高松宮記念は14着。1200mの一線級は、想像以上に速く、そして厚かった。GIの舞台で、ラウダシオンはもがいていた。

一年ぶりの歓声 ― 京王杯スプリングカップ

2021年5月15日、東京の京王杯スプリングカップ。1番人気に推されたラウダシオンは、デムーロとともにここでよみがえる。好スタートから2番手を進み、残り1ハロンで先頭に立つと、後方から伸びるトゥラヴェスーラを振り切った。NHKマイルカップ以来、実に一年ぶりの勝利。重賞2勝目を、得意の東京・1400mで飾る。 勢いを駆って向かったのは、翌月の安田記念。父リアルインパクトが3歳で制した、あの春のマイル王決定戦である。だが父の背に届くことはなく、14着に終わった。同じ府中のマイルでも、勝った日と負けた日がある。ラウダシオンは、その両方を知る馬になっていた。

世界を巡る旅 ― そして南の牧場へ

京王杯スプリングカップの美酒のあとは、長い下り坂だった。それでもこの馬は、走ることをやめなかった。2022年には弟のクリスチャン・デムーロを鞍上にサウジアラビアの1351ターフスプリントとドバイのアルクオーツスプリントへ遠征し、夏には佐賀のダートまで試した。芝の短距離、砂の1400m――勝ち鞍こそ増えなかったが、この馬の旅路は国境も馬場も選ばなかった。年末の阪神カップでは11番人気の低評価をはねのけ、3着に食い込んでみせる。まだ終わっていない、とでもいうように。 2023年、ふたたびサウジとドバイを回り、5月13日の京王杯スプリングカップを7着で走り終える。これが日本での最後の一戦となった。同月、JRAの競走馬登録を抹消され、ラウダシオンはオーストラリアへ渡る。そして2024年7月、現役を退き、ヴィクトリア州のラーニュークスタッドで種牡馬となった。 25戦5勝。母アンティフォナが送り出した聖歌の一族のなかで、GIの頂に立ったのは、この馬ただ一頭だった。交唱の名を持つ母から、続唱の名を継いだ仔へ。その血は海を越え、南半球の牧場で、次に歌い継ぐ者を待っている。

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