名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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ララベルのイメージビジュアル
ララベルLalabel
Lalabel

ララベル

通算成績19戦8勝

獲得賞金17,152万円

生年月日 2012.05.09(平成24年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ララベルの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
15 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 14人気 真島大輔 1:38.8 上り39.7映像
4 JpnⅢTCK女王盃 大井 ダ1800 3人気 真島大輔 1:55.1 上り39.6
1 JpnⅠJBCレディスクラシック 大井 ダ1800 5人気 真島大輔 1:54.2 上り39.1映像
4 JpnⅡレディスプレリュード 大井 ダ1800 6人気 真島大輔 1:54.9 上り40.4
2 JpnⅢスパーキングレディー 川崎 ダ1600 4人気 真島大輔 1:41.9 上り39.2
2 JpnⅢマリーンカップ 船橋 ダ1600 6人気 森泰斗 1:41.9 上り40.1
10 JpnⅢクイーン賞 船橋 ダ1800 4人気 真島大輔 1:57.2 上り43.0
JBCレディスクラシック 川崎 ダ1600 真島大輔 映像
4 JpnⅡレディスプレリュード 大井 ダ1800 6人気 真島大輔 1:55.1 上り39.8
1 しらさぎ賞 浦和 ダ1400 1人気 吉原寛人 1:28.4 上り38.9
2 東京シンデレラマイル 大井 ダ1600 1人気 真島大輔 1:41.2 上り37.9
1 ロジータ記念 川崎 ダ2100 1人気 真島大輔 2:21.9 上り42.3
1 ’15スターバースト 大井 ダ2000 4人気 真島大輔 2:12.3 上り36.7
4 東京ダービー 大井 ダ2000 3人気 真島大輔 2:08.0 上り39.9
3 東京プリンセス賞 大井 ダ1800 1人気 真島大輔 1:54.6 上り39.2
1 桜花賞 浦和 ダ1600 3人気 真島大輔 1:42.3 上り38.0
1 東京2歳優駿牝馬 大井 ダ1600 2人気 真島大輔 1:41.7 上り39.7
1 ローレル賞 川崎 ダ1600 4人気 真島大輔 1:44.2 上り40.8
2 つばめ特別 大井 ダ1200 4人気 真島大輔 1:14.1 上り38.2
1 2歳 新馬 大井 ダ1200 2人気 真島大輔 1:15.2 上り37.4

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ララベルの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ゴールドアリュールGold AllureサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ニキーヤNikiyaNureyev
Reluctant Guest
ブリージーウッズティンバーカントリーTimber CountryWoodman
Fall Aspen
オーナーズデライトHonor's DelightGulch
Weekend Delight
STORY

旅程 — この馬の物語

2012年生まれの栗毛の牝馬。父ゴールドアリュール、母ブリージーウッズ。

魔法の国から来た名前

2012年5月9日、北海道千歳市の社台ファームに、栗毛の牝馬が生まれた。父はゴールドアリュール、母はブリージーウッズ。 母もまたこの牧場で生まれ、同じ吉田照哉の名義で走った馬だった。美浦の小桧山悟厩舎から中央の短距離ダートを走り続け、29戦して2勝。2着が9回ある。あと半歩が届かない現役を終えて故郷へ帰り、繁殖牝馬になった。その母にゴールドアリュールが幾度も通われ、生まれた仔のうち三頭目が、この栗毛である。 JRAの登録に残る馬名意味の欄には、「魔法の国の住人名より」とだけある。ララベル。 社台ファームの生産で、吉田照哉の勝負服。それでも向かった先は美浦でも栗東でもなく、大井競馬・小林牧場の荒山勝徳厩舎だった。厩舎にはすでに三歳上の全姉ショコラヴェリーヌがいる。同じ父と母から生まれ、同じ砂を走り、南関東の重賞で2着を三度、3着を一度。名は記録に残したが、重賞の一着だけが遠い姉だった。 2014年7月10日、大井のダート1200メートル、2歳新馬。鞍上は真島大輔。佐賀の騎手一家に生まれ、2001年に大井でデビューしたこの騎手は、南関東の重賞をいくつも勝ちながら、JRAと地方が交わるダートグレードだけを、まだ一度も勝っていなかった。2番人気のララベルは、その手綱に応えて勝ち上がる。ここからの19戦のうち17戦を、この馬は真島の手で走ることになる。

姉が届かなかった場所

10月のつばめ特別で2着に敗れたあと、11月5日、川崎のローレル賞。4番人気。道中は八番手、四角で四番手まで押し上げ、直線でゼッタイリョウイキをクビ差だけ捉えた。重賞初制覇である。三年前、同じローレル賞で2着に敗れていたのが姉ショコラヴェリーヌだった。 大晦日、大井の東京2歳優駿牝馬。2番人気。三番手から四角で先頭に立つと、ティーズアライズが並びかけてくる。二頭は並んだままゴール板を過ぎ、写真判定の末、ハナ差でララベルの名が上に置かれた。姉が3着だったレースである。 その年のNARグランプリで、2歳最優秀牝馬に選ばれた。

浦和の桜、そして牡馬の海

2015年の春。浦和の桜花賞へ向かう途中で一度は調子を落としたが、レースには間に合った。3番人気。逃げたのは兵庫から遠征してきたトーコーヴィーナス。ララベルは二番手を追い、直線で並びかけ、半馬身だけ前に出た。3歳になって最初のタイトルだった。 一か月後の東京プリンセス賞は1番人気。だが勝ったのは、大晦日にハナ差で退けたはずのティーズアライズだった。四番手から追ったララベルは3着。取り返されるということを、この世代の牝馬同士は互いに知っている。 6月3日、東京ダービー。牝馬の身で牡馬に混じって3番人気、4着。勝ったのは9番人気のラッキープリンスだった。

川崎の泥

秋は大井のスターバーストカップから始めた。2000メートルを4番人気で勝ち、上がりは36秒7。距離が延びても脚が鈍らないことを、この一戦が示した。 11月18日、川崎のロジータ記念。不良まで湿った砂を、1番人気で走る。またトーコーヴィーナスがハナを切り、ララベルは四番手から四角で二番手へ上がった。直線では並ぶ間もなく突き放し、着差は4馬身。春の浦和で半馬身だった相手との差は、同じ年のうちにそこまで開いていた。 大晦日の東京シンデレラマイルは1番人気の2着。3歳の一年を重賞2勝を含む3勝で終え、NARグランプリの3歳最優秀牝馬に選ばれた。2歳に続いて二年連続である。

ゲートに入れなかった秋

2016年4月27日、浦和のしらさぎ賞。この日の鞍上は吉原寛人。57キロを背負って1番人気に応え、三番手から四角で先頭に立ち、1馬身半突き放した。姉が二年前に2着で終えたレースだった。これで重賞5勝。 韓国の国際競走トゥクソムカップの出走馬に選ばれたが、回避した。そのまま夏を休み、秋はレディスプレリュード4着から始動する。 狙いは11月3日、川崎のJBCレディスクラシック。牝馬がダートで立てる、いちばん高い場所のひとつである。ところが前日、右トモに不安が出た。経過を見たうえで、最終的に競走除外。ゲートに入ることもないまま、その日は過ぎていった。 12月のクイーン賞は10着。大目標を失った一年は、そのまま暮れた。

二〇一七年十一月三日、大井

5歳。4月の船橋・マリーンカップは森泰斗に乗り替わって6番人気の2着。7月の川崎・スパーキングレディーカップも2着。JRA勢を相手に二度続けて二番目でゴール板を過ぎ、あと一つが上がらない。10月のレディスプレリュードは4着だった。 この年の2月18日、父ゴールドアリュールが世を去っている。 11月3日、大井のダート1800メートル、重馬場。JBCレディスクラシック。15頭立ての5番人気。武豊のプリンシアコメータがハナを切り、ララベルは三番手を追走した。四角で二番手に取りつき、直線で並びかける。二頭の追い比べはゴールまで続き、アタマ差。前に出ていたのはララベルだった。 荒山勝徳は、大井の調教師だった父・荒山徳一に憧れて騎手になり、父の管理馬ホワイトシルバーで1993年の東京大賞典を勝った人である。2007年に小林牧場で厩舎を開き、この日が初めてのダートグレード制覇だった。レース後のインタビューで、涙をこらえられなかった。 真島大輔にとっても、これが交流重賞の初勝利だった。最初の一つが、JpnIだった。 JBCレディスクラシックを地方所属馬が勝ったのは、この年が初めてである。JBCの競走全体を通しても、2007年のフジノウェーブ以来、二頭目だった。 なお、直線の追い比べにおける御法をめぐって、真島には2日間の騎乗停止処分が下されている。着順はそのまま確定した。

千歳へ帰る

年が明け、NARグランプリの4歳以上最優秀牝馬に選ばれた。年度代表馬の投票では、2票差でヒガシウィルウィンに及ばなかった。TCK大賞の授賞式の席で、荒山師は次のフェブラリーステークスを最後の一戦にすると明かしている。 1月24日のTCK女王盃は4着。そして2月18日、東京。中央のGI、フェブラリーステークス。16頭立ての14番人気、15着。勝ったのはノンコノユメ。府中の直線は、大井の砂とは違う速さで流れていった。生涯19戦目だった。 2月に登録を抹消し、24日、大井競馬場で引退式が行われた。19戦8勝、獲得賞金1億7152万円。2歳、3歳、4歳以上と、三つの世代区分でNARグランプリの最優秀牝馬に名を呼ばれた牝馬である。 千歳へ帰り、繁殖牝馬になった。初仔エーギル(2019年生、父ロードカナロア)は、母と同じ大井・小林の荒山勝徳厩舎に入り、21戦して1勝を挙げて競走生活を終えた。三番仔ビスクウィザードは金沢で、2024年生まれのドッカンキャベツは北海道で、いまも走っている。 真島大輔は2023年3月末で騎手を引退し、翌年4月、小林分場に自分の厩舎を開いた。荒山厩舎はその後も伸び続け、2025年にはディクテオンでコリアカップと東京大賞典を勝っている。その厩舎が初めて手にしたダートグレードのタイトルは、いまも一頭の牝馬の名で記録に残っている。 魔法の国から借りた名前の馬は、魔法で勝ったのではなかった。姉が届かなかったレースを一つずつ勝ち直し、ゲートに入れなかった秋を挟んで、五歳の十一月にようやく届いた。生まれた牧場へ帰ったいまも、その名は次の世代の血統表の母欄に、一頭また一頭と書き足されている。

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