名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

名馬録
◀ 名馬録へ
キョウエイギアのイメージビジュアル
キョウエイギアKyoei Gere
Kyoei Gere

キョウエイギア

通算成績13戦4勝

獲得賞金9,407万円

生年月日 2013.02.16(平成25年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
キョウエイギアの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 GIIIみやこS 京都 ダ1800 8人気 M.バルザローナ 1:51.0 上り37.2
8 GIIIシリウスS 阪神 ダ2000 3人気 M.デムーロ 2:03.5 上り38.1
1 JpnⅠジャパンダートダービー 大井 ダ2000 4人気 戸崎圭太 2:05.7 上り38.5
1 OP鳳雛S 京都 ダ1800 4人気 松若風馬 1:51.3 上り36.8
3 OP青竜S 東京 ダ1600 6人気 中谷雄太 1:37.3 上り36.3
5 OP伏竜S 中山 ダ1800 7人気 中谷雄太 1:53.2 上り39.1
1 くすのき賞 小倉 ダ1700 1人気 中谷雄太 1:46.5 上り38.4
2 3歳500万下 中山 ダ1800 1人気 池添謙一 1:55.1 上り37.0
5 樅の木賞 阪神 ダ1800 2人気 川田将雅 1:53.6 上り38.1
3 寒椿賞 中京 ダ1400 4人気 中谷雄太 1:24.8 上り37.3
4 JpnⅢ北海道2歳優駿 門別 ダ1800 3人気 中谷雄太 1:56.2 上り40.1
1 2歳未勝利 阪神 ダ1800 3人気 中谷雄太 1:54.8 上り39.1
3 2歳新馬 阪神 ダ1800 6人気 中谷雄太 1:57.3 上り38.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
キョウエイギアの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ディープスカイDeep SkyアグネスタキオンAgnes TachyonサンデーサイレンスSunday Silence
アグネスフローラ
アビAbiChief's Crown
Carmelized
ローレルアンジュパラダイスクリークParadise CreekIrish River
North Of Eden
スマートダーリンAlydar
Smartaire
STORY

旅程 — この馬の物語

2013年生まれの黒鹿毛の牡馬。父ディープスカイ、母ローレルアンジュ。

階上町の牧場に生まれる

2013年2月16日、青森県三戸郡階上町のワールドファームに一頭の牡馬が生まれた。八戸の南、太平洋に面した町である。生産者は村上幹夫。 母ローレルアンジュも、この牧場で生まれた馬だった。中央では41戦して5勝、1600万下の壁を越えられないまま2005年の秋に登録を抹消され、船橋へ移る。そこで馬が変わった。移籍2戦目、初めての重賞挑戦となった2006年のエンプレス杯を、8番人気で、的場文男を背に、川崎の重い馬場で勝ち切ったのである。通算44戦7勝。引退後は生まれ故郷へ戻って繁殖牝馬となり、その4番仔がこの牡馬だった。 血は海の向こうから来ている。3代母Smartaireは、1979年のアメリカ最優秀2歳牝馬Smart Angleを産んだ牝馬だった。その娘スマートダーリン――1982年生まれ、父Alydar――が日本へ渡って繁殖牝馬となり、十数年にわたって仔を産み続けた。名門の傍流が、東北の土に根を下ろしていた。 父は2008年にNHKマイルカップと日本ダービーを連勝した変則二冠馬ディープスカイ。頭に置かれた「キョウエイ」は、馬主・田中晴夫が長く使ってきた冠名である。キョウエイギア。栗東の矢作芳人厩舎に入った。

阪神の秋 ― 一番人気を退ける

2015年9月21日、阪神のダート1800メートル。6番人気で3着。鞍上の中谷雄太は、その年の5月に美浦から栗東へ所属を移したばかりで、矢作厩舎の馬に乗って騎乗数を増やしている最中だった。 2戦目の未勝利戦は重馬場。2着に0秒8の差をつけて勝ち上がる。このとき1番人気で敗れた相手が、翌年、日本調教馬として初めてUAEダービーを制し、アメリカクラシック三冠のすべてに出走することになるラニだった。 初のダートグレードとなった門別の北海道2歳優駿は3番人気で4着。中京の寒椿賞3着、阪神の樅の木賞5着。2歳のうちにタイトルは手にしていない。ただ、一度も掲示板を外さなかった。

一段ずつ ― 三歳の春

年が明けて中山の3歳500万下。中谷とは競馬学校の同期にあたる池添謙一に手綱が渡り、1番人気に推されたが、マイネルバサラにわずかに及ばず2着。 2月末、小倉のくすのき賞。中谷が戻り、3番手からの競馬を押し切って2勝目を挙げた。 中山の伏竜ステークスは7番人気で5着、東京の青竜ステークスは6番人気で3着。勝ったのはグレンツェントだった。中谷が手綱を取ったのは、この青竜ステークスが最後になる。デビューからの9戦のうち、7戦はこの男が乗っていた。 一週後、連闘で京都の鳳雛ステークスへ。松若風馬を背に好位から抜け出し、マイネルバサラをクビ差で退けてオープンを勝つ。そして陣営が次に選んだのは、6月のユニコーンステークスではなく、7月の大井だった。

大井、四馬身

2016年7月13日、ジャパンダートダービー。1番人気はユニコーンステークスを制したゴールドドリーム。逃げるのは兵庫チャンピオンシップを勝ったケイティブレイブ。キョウエイギアは単勝14.2倍の4番人気だった。 鞍上は戸崎圭太。1998年に大井でデビューし、南関東で全国リーディングに立ち、2013年に中央へ移った男である。2010年にはマグニフィカでこのレースを逃げ切っていた。大井は、彼が始まった場所だった。 先行策から直線を向く。並びかけていたゴールドドリームを突き放して先頭に立つと、粘るケイティブレイブとの差は開く一方になった。4馬身。2分5秒7。3歳ダート王である。 青森県産馬によるGI級競走の勝利は、2004年の川崎記念を制したエスプリシーズ以来だった。母が中央では届かなかったタイトルを南関東で掴んだように、息子もまた南関東の大舞台で頂点に立った。この一勝で得た4500万円は、生涯に稼いだ9407万円のおよそ半分にあたる。

秋に折れる

秋初戦のシリウスステークスは3番人気で8着。11月6日、京都のみやこステークスは8番人気で7着。13戦のうち掲示板を外したのは、この2戦だけだった。 そしてみやこステークスのあと、右トモの遠位端骨折が判明する。全治6か月程度と診断され、休養に入った。復帰の日は来なかった。2019年2月7日付で競走馬登録抹消。13戦4勝、獲得賞金9407万円。最後の一戦は、3歳の秋のままである。 デビューから七度その背に跨がった中谷雄太もまた、2018年4月に福島で落馬し、頸椎と胸椎を折る重傷を負った。およそ8か月のリハビリを経て一度は戻り、2020年5月に鞍を降りる。JRA通算181勝。重賞には81回騎乗して、最高は2着だった。「まだ乗れる自信はありますが、後悔などは全くありません」[^1]。キョウエイギアで挙げた未勝利戦とくすのき賞の2勝は、その181勝のなかにある。

出典:デイリースポーツ「中谷雄太が電撃引退「後悔などは全くありません」 調教助手などへの転身はせず」2020年5月23日配信、https://www.daily.co.jp/horse/2020/05/23/0013363416.shtml 、閲覧日:2026年7月26日。

牧場へ帰る

2019年、キョウエイギアは生まれた牧場に戻り、種牡馬になった。 父ディープスカイは、初年度から4年続けて三桁の繁殖牝馬を集めながら、5年目には30頭ほどにまで数を落としていた。息子がJpnIを勝っても、繁殖牝馬は戻ってこなかった。ディープスカイ産駒でGI級競走を制したのは、2015年の全日本2歳優駿を勝ったサウンドスカイと、この馬の2頭である。 息子が残した産駒も、多くはない。それでも仔は生まれた。キョウエイルーマーは佐賀へ、タイホーリバティは盛岡へ、ギアセカンドは笠松へ。いずれも父と同じ、ワールドファームの生産馬である。 2023年9月5日付で用途変更となり、種牡馬を退いた。母ローレルアンジュが繁殖を退いたのも、同じ日付だった。以後は引退名馬繋養展示事業の助成対象馬として、母と同じ牧場で草を食んだ。

二〇二五年、五月と九月

2025年5月4日、京都で天皇賞(春)が行われた。ワールドファームが生産したハヤテノフクノスケが出走して11着。青森県産馬がこのレースに出走するのは5年ぶりのことだった。 その日の夜、階上の牧場から火が出た。厩舎2棟と事務所が全焼。牧場は日付が変わる前に、人も馬も無事であること、鎮火したことを自ら伝えた。 「これからどうなるのだろうっていう不安な気持ちしかなかった」[^1]。場長の村上幹夫は、のちにそう振り返っている。全国から支援物資が届き、再建のためのクラウドファンディングは二千人を超える支援を集めて目標の2000万円を上回り、7月末に幕を閉じた。 そして9月25日、キョウエイギアは体調を崩し、12歳で死んだ。 生まれたのは階上の牧場だった。13戦のうち最も遠くまで行ったのが、大井の2000メートルである。そこで4馬身の差をつけて先頭でゴールし、3歳ダート王と呼ばれた。あとは帰ってきて、生まれた場所で仔をつくり、生まれた場所で目を閉じた。短く、そして最初の一点へ戻る形をした旅だった。

出典:デイリースポーツ「火災で全焼 牧場再建を託されたハヤテノフクノスケ 青森・ワールドファームに全国のファンから支援物資届けられる」2025年7月30日配信、https://www.daily.co.jp/umaya/news/2025/07/30/0019287644.shtml 、閲覧日:2026年7月26日。

ABOUT

このサイトについて

名馬ジャーニーとは

名馬ジャーニーは、競馬の名レースと、引退した馬たちのその後を記録する、個人運営のアーカイブサイトです。数分のレースだけでなく、馬がターフを去ってからの時間まで辿れることを大切にしています。JRAなどの競馬主催者・関連団体とは関係のない、一人の競馬好きが続けている場所です。

情報について

本サイトの競走馬プロフィールやレース記録は、報道記事やWikipediaなど、一般に公開されている情報をもとに、当サイトの言葉で整理・編集しています。各馬の歩みをたどる読み物には、参考にした記事の出典を末尾に記載し、引用は必要な範囲にとどめています。

競走成績などのデータは、Wikipediaを主として一般に公開されている情報を参考に、当サイトが独自に整理・編集したものです。JRAの公式サイトやJRA-VAN、netkeibaといった競馬情報サービスのデータベースを転載・複製したものではありません。個人が公開情報をもとにまとめたものであり、内容の正確性を保証するものではありません。

文章の制作には生成AIを活用し、運営者が確認のうえ公開しています。ただし個人による運営で、一部は自動的に更新されるため、誤りや古くなった情報が含まれている場合があります。誤りにお気づきの際は、お知らせいただけると幸いです。馬券の購入その他の判断は、JRA・各主催者の公式発表にもとづき、ご自身の責任で行ってください。

画像について

本サイトに掲載している競走馬のイラストなどの画像は、AIで生成したオリジナルのものです。実在する写真を複製・加工したものではありません。競走馬の毛色や特徴を完全に再現できるものではない点は、あらかじめご了承ください。なお、映像のサムネイルは、YouTube上の各動画のサムネイル画像を表示しています。

映像について

本サイトのレース映像は、競馬主催者などの公式チャンネルが公開し、埋め込みを許可している動画だけを、YouTubeの標準的な埋め込み機能でご紹介しています。権利者に無断で転載された映像は扱いません。牧場の映像も同じ仕組みで、牧場や、牧場を訪ねた方々が自身のチャンネルで公開している動画をご紹介しています。

動画は埋め込み先でもYouTube上で再生され、再生数・広告収益はすべて各チャンネルに帰属します。あわせて各チャンネルの登録ボタンを設け、ご覧になった方が配信元のチャンネルへ辿り着けるようにしています。本サイトが動画ファイルを保存・配信することはありません。

名レースの記憶を残し、馬たちの引退後まで辿るこのサイトが、その映像を遺してくださった各チャンネルと、新しい競馬ファンとの出会いに少しでも役立てば幸いです。

広告について

本サイトは、運営を続けるための費用にあてるため、競走馬プロフィールや成績表など、当サイトが制作したコンテンツが主体のページに広告を掲載することがあります。動画の視聴が主となる場面には広告を置きません。アフィリエイトリンクなどを掲載する場合は、広告であることがわかる表示を行います。

アクセス解析について

本サイトは、閲覧状況の把握と改善のため、Googleアナリティクスを利用しています。GoogleアナリティクスはCookieを用いてアクセス情報を収集しますが、個人を特定する情報は含まれません。仕組みの詳細はGoogleのポリシーと規約をご確認ください。Cookieは、お使いのブラウザの設定で無効にすることもできます。

免責事項

掲載内容には正確を期していますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。本サイトの利用、およびリンク先の外部サイトの利用によって生じた損害について、運営者は責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

お問い合わせ・権利者の方へ

掲載内容についてのお問い合わせ、誤りのご指摘、掲載をご希望されない場合の削除・修正のご依頼を承ります。権利者やご関係者の方からのお申し出には、内容を確認のうえ、速やかに対応いたします。お問い合わせ先は、準備が整い次第このページに掲載いたします。映像については、各チャンネル側の設定でも表示を停止いただけます。

DREAM

ドリームレース

歴代名馬のオールスターを、選んだ舞台で走らせる夢想レース