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コガネノソラ
通算成績15戦5勝
獲得賞金1億4,603万円
生年月日 2021.05.06(令和3年)毛色 芦毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2 | GIIIクイーンS | 札幌 芝1800 | 3人気 | 丹内祐次 | 1:46.2 | 上り34.4 | 映像 | |
| 5 | GIII府中牝馬S | 東京 芝1800 | 3人気 | 菊沢一樹 | 1:46.3 | 上り34.4 | 映像 | |
| 1 | GIII福島牝馬S | 福島 芝1800 | 9人気 | 菊沢一樹 | 1:45.6 | 上り34.1 | 映像 | |
| 11 | GIII福島記念 | 福島 芝2000 | 8人気 | 丹内祐次 | 2:00.7 | 上り34.1 | 映像 | |
| 3 | GIII小倉牝馬S | 小倉 芝2000 | 5人気 | 横山武史 | 1:58.6 | 上り35.5 | 映像 | |
| 8 | GIIIチャレンジカップ | 京都 芝2000 | 8人気 | 丹内祐次 | 1:59.5 | 上り36.2 | 映像 | |
| 9 | GI秋華賞 | 京都 芝2000 | 9人気 | 坂井瑠星 | 1:58.0 | 上り35.2 | 映像 | |
| 1 | GIIIクイーンS | 札幌 芝1800 | 5人気 | 丹内祐次 | 1:47.4 | 上り34.8 | 映像 | |
| 12 | GI優駿牝馬 | 東京 芝2400 | 7人気 | 石川裕紀人 | 2:25.2 | 上り35.0 | 映像 | |
| 1 | LスイートピーS | 東京 芝1800 | 6人気 | 石川裕紀人 | 1:45.6 | 上り34.1 | — | |
| 1 | 3歳1勝クラス | 中山 芝1800 | 1人気 | 横山武史 | 1:48.3 | 上り35.2 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 東京 芝1800 | 2人気 | 横山武史 | 1:48.6 | 上り34.6 | — | |
| 4 | 2歳未勝利 | 中山 芝1800 | 3人気 | 柴田大知 | 1:49.6 | 上り34.7 | — | |
| 2 | 2歳未勝利 | 新潟 芝1600 | 2人気 | 柴田大知 | 1:34.8 | 上り34.2 | — | |
| 3 | 2歳新馬 | 新潟 芝1800 | 2人気 | 柴田大知 | 1:51.2 | 上り34.0 | — |
旅程 — この馬の物語
2021年生まれの芦毛の牝馬。主な勝ち鞍はクイーンS・福島牝馬S。
黄金の空の名 ― 血と由来
父の名に「黄金(ゴールド)」が宿り、母の名に「空(ヒメル)」が宿る。その二つを日本語へ翻訳して合わせたとき、コガネノソラという名が生まれた。 2021年5月6日、北海道新冠町のビッグレッドファームに生まれた芦毛の牝馬。父はゴールドシップ――皐月賞・菊花賞・有馬記念・宝塚記念(2連覇)・天皇賞(春)と国内GIを6勝した気骨あふれる名馬で、その芦毛の遺伝子は産駒にも色濃く受け継がれている。母マイネヒメルの父はロージズインメイ、祖母はコスモチェーロ。同じコスモチェーロを母として2022年の香港ヴァーズ(GI)を制したウインマリリンがいる。コガネノソラにとって、ウインマリリンは叔母にあたる。国際GIの血が、この芦毛の牝馬の牝系を流れている。 そして、ルシェルドール(父オルフェーヴル、母マイネヒメル)はコガネノソラの半姉にあたる。そのルシェルドールが送り出した仔がコラソンビートで、2023年の京王杯2歳S(GII)を制した。コガネノソラを見れば、姪が重賞馬という近親の充実ぶりが浮かぶ。 ビッグレッドファームはゴールドシップの繋養場所でもある。父が育ち、仔が生まれ、同じ牧場で走る準備を整えた。馬名は、その父と母の名前の核を引き継いで空に解き放つ――「黄金の空」。
三着の夏、逃げ切りの秋 ― デビューから初勝利
2023年8月5日、新潟の芝1800m。デビュー戦は2番人気に推されたが3着に終わった。続く未勝利戦でも2着、4着と跳ね返され、三度の壁が続く。 転機は秋に訪れる。10月9日、東京の芝1800m。鞍上が横山武史に替わると、コガネノソラはじわっとハナへ出た。雨が降りしきる稍重の馬場。前半1000m通過を1分1秒2のマイペースで運び、直線でも二枚腰で粘って1馬身半差の完勝。横山武史は言った。「やっぱりゴールドシップ産駒らしく、この馬場をうまくこなしていました」[^1]。重い馬場に強い父の血が、早くも顔を出した初勝利だった。
出典:スポーツ報知「【東京3R・2歳未勝利】2番人気コガネノソラが逃げ切る 横山武史騎手『やっぱりゴールドシップ産駒らしく』」2023年10月9日、https://news.yahoo.co.jp/articles/816c263986920628fe55020f5fc7c6824f8b6542、閲覧日:2026年6月29日。
ソラを使う牝馬 ― スイートピーSからクイーンS
明けて2024年、中山の3歳1勝クラスを1番人気で快勝し、勢いに乗って臨んだスイートピーS(リステッド、東京・芝1800m)。鞍上は石川裕紀人に替わっていた。「ソラを使う面があると聞いていたので、追い出しをぎりぎり我慢した。内容としては満点の競馬ができたと思います」[^1]。後方から直線一気の末脚で首差制し、3連勝でオークスの切符をつかんだ。 だがオークスは12着に沈んだ。長い2400mの府中、集中力の糸は途中で切れた。 その夏、丹内祐次が手綱を握った。クイーンS(GIII、札幌・芝1800m)、稍重の洋芝コース。51kgの最軽量で出走したコガネノソラは中団外から運ばれ、直線で馬群の真ん中へ。0.1秒以内に5頭が集まる大接戦を制して重賞初制覇を飾った。1分47秒4。 「攻め馬でずっと乗ってこの馬のことは把握していたので、自信を持って仕掛けていきました。見た目はそんなに走る感じはしないのですが、乗るとバネがあって凄く良い馬です」[^2]。丹内は、馬体の外見と内側の能力のギャップを言い表した。調教師の菊沢隆徳も、馬が目に見えて成長してきていると手応えを口にした。
出典:中日スポーツ「コガネノソラ、後方追走から直線一気の末脚で首差制す 鞍上の石川『満点の競馬』【スイートピーS】」2024年4月28日、https://www.chunichi.co.jp/article/891545?rct=race、閲覧日:2026年6月29日。/東スポ競馬「【クイーンS結果&コメント】コガネノソラが軽量生かして快勝 丹内『51キロなんで多少外を回っても大丈夫だなというのはありました』」2024年7月28日、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/47621、閲覧日:2026年6月29日。
折れた骨と孤独な秋 ― 骨折と離脱
秋華賞の前日、丹内祐次が新潟の馬場で落馬した。腹部の負傷。翌日の京都に乗ることはできなかった。急遽鞍上は坂井瑠星に代わり、コガネノソラは9番人気で出走した。チェルヴィニアが二冠を達成したその一戦で、コガネノソラは9着。自分本来の形を取り戻せないまま秋は暮れていく。 チャレンジカップは8着、年が明けた小倉牝馬Sは3着と復調の気配を見せたが、レース後に異変が報告された。右第3中手骨の骨折。休養期間未定の診断が下された。 重賞を勝った矢先、秋に主戦を欠き、冬に骨を折った。立て直すための時間が、コガネノソラには必要だった。
9番人気の春 ― 福島牝馬S、レコードの戴冠
骨折からの休養は長かった。戦列復帰は2025年11月22日の福島記念(GIII)――丹内祐次を背にした約10か月ぶりの実戦は11着に終わり、本格的な巻き返しは年を越した春へ持ち越された。 2026年4月19日、福島の芝1800m。手綱を握ったのは菊沢一樹――調教師・菊沢隆徳の息子であり、6年9か月ぶりの重賞勝利を狙う騎手でもあった。9番人気の評価は、骨折と長い休養を越えてきた馬に対する正直な市場の声だった。 レースは想定どおりに動いた。中団の外から流れに乗り、直線で馬群を割らず外へ。菊沢一樹は「ペースはそこまで速くないのかなと思うぐらい手ごたえに余裕があり、楽しみでした」と振り返る。切れ味が炸裂した直線、1馬身半差の完勝。タイムは1分45秒6――従来のレースレコードを0.4秒更新した。 「切れ味はあるといつも思っていましたが、抜け出してソラを使うところがあると今まで乗った騎手に聞いていたので、早く抜け出してしまったかなぁと思いましたが、力で押し切ってくれました。能力が高く上のステージでも楽しみです」[^1]。「ソラを使う」という個性を知り、なお仕掛けを我慢し、それでも馬が応えた。父から受け継いだその気ままさは、制御する対象ではなく、受け入れて走らせるものだったのかもしれない。 菊沢父子での重賞勝利。父の教え子を息子が動かし、その馬がレコードで走った福島の春。 続く6月21日の府中牝馬ステークス(GIII、東京芝1800m)では、レコード勝ちの勢いで3番人気に支持され、菊沢一樹とのコンビで5着。9番人気の伏兵だった春から、人気を背負う立場へと、この牝馬は静かに移っていた。
出典:東スポ競馬「【福島牝馬S結果&コメント】伏兵コガネノソラが重賞2勝目 菊沢一樹『手応えにも余裕があったので…』」2026年4月19日、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/70701、閲覧日:2026年6月29日。
二年後の札幌 ― もういちど、丹内と
夏がまた巡ってきた。2026年8月2日、札幌・芝1800m。クイーンステークス――二年前、51キロの最軽量を味方に0.1秒以内の大接戦を制し、この牝馬が重賞というものを初めて手にした、その同じ舞台である。手綱も、二年前と同じ丹内祐次に戻っていた。 3番人気。あの夏からここまで戻るのに、右第3中手骨の骨折と、長い休養と、二年の時間がかかっている。道中は中団の後ろで折り合い、馬場の外めを運んだ。直線は外から力強く脚を伸ばした。ただ、4コーナーで、勝ち馬ココナッツブラウンが一、二完歩だけ先に動いていた。1分46秒2、その分だけ届かない2着。 丹内は、折り合いも道中のリズムも申し分なく、先に動かれたぶんの差だと振り返り、そのうえで、やはりこの馬には力がある、と言い添えた。かつては51キロを背負った3歳馬だった。いまは、骨を折って帰ってきた5歳の牝馬として、同じ札幌の直線を、勝ち馬とほとんど並んで走っている。 コガネノソラ――黄金の空。父ゴールドシップと母マイネヒメル、二つの名の核を空へ解き放って授かった名前である。福島でレコードを刻み、札幌でもう一度あの夏のすぐ隣まで戻ってきた。空は、まだ突き抜けきってはいない。黄金色の光は、次の直線の先に残されたままだ。
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