名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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キングズソードのイメージビジュアル
キングズソードKing's Sword
King's Sword

キングズソード

通算成績20戦8勝

獲得賞金33,849万円

生年月日 2019.04.04(令和元年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
キングズソードの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
4 GI東京大賞典 大井 ダ2000 6人気 岩田望来 2:05.3 上り38.9映像
4 JpnⅠJBCクラシック 船橋 ダ1800 5人気 藤岡佑介 1:54.1 上り40.6映像
4 JpnⅡ日本テレビ盃 船橋 ダ1800 3人気 藤岡佑介 1:52.8 上り39.2
1 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 3人気 藤岡佑介 2:06.9 上り37.8映像
4 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 1人気 J.モレイラ 1:39.8 上り39.4映像
5 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 4人気 岩田望来 1:36.0 上り37.0映像
5 GI東京大賞典 大井 ダ2000 2人気 岩田望来 2:07.7 上り37.6映像
1 JpnⅠJBCクラシック 大井 ダ2000 4人気 J.モレイラ 2:05.1 上り37.9映像
1 OP阿蘇S 小倉 ダ1700 1人気 川田将雅 1:42.0 上り36.3
1 OP三宮S 阪神 ダ1800 1人気 川田将雅 1:49.9 上り35.6
3 GIIIアンタレスS 阪神 ダ1800 2人気 岩田康誠 1:49.9 上り36.9映像
1 伊丹S 阪神 ダ1800 2人気 岩田望来 1:51.1 上り36.3
1 赤穂特別 阪神 ダ1800 1人気 川田将雅 1:53.2 上り37.1
2 3歳以上2勝クラス 阪神 ダ1800 4人気 今村聖奈 1:51.9 上り38.2
5 大府特別 中京 ダ1800 2人気 今村聖奈 1:53.0 上り37.8
5 岩国特別 小倉 ダ1700 3人気 今村聖奈 1:44.9 上り38.1
1 3歳以上1勝クラス 小倉 ダ1700 1人気 今村聖奈 1:45.4 上り38.4
6 3歳以上1勝クラス 中京 ダ1400 3人気 今村聖奈 1:24.7 上り36.7
8 3歳1勝クラス 阪神 ダ1800 6人気 藤岡康太 1:55.6 上り41.3
1 3歳新馬 中山 ダ1800 1人気 藤岡佑介 1:56.8 上り38.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
キングズソードの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
シニスターミニスターSinister MinisterOld TriesteA.P. Indy
Lovlier Linda
Sweet MinisterThe Prime Minister
Sweet Blue
キングスベリーキングヘイローKing HaloダンシングブレーヴDancing Brave
グッバイヘイローGoodbye Halo
リボンストロベリーデインヒルDanehill
ハローキティー
STORY

旅程 — この馬の物語

2019年生まれの鹿毛の牡馬。父シニスターミニスター、母キングスベリー。

「王の剣」― 名と血

2019年4月4日、日進牧場に一頭の鹿毛の牡馬が生まれた。馬主はヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン。名は「王の剣」を意味する。全兄キングズガードから連想し、兄のような走りを願って付けられた名だという。その兄は2017年のプロキオンステークス(GIII)を制し、フェブラリーステークスの舞台にも立ったダート馬で、弟がデビューを迎えた2022年の春に、十一歳で世を去っている。 父シニスターミニスターはアメリカに生まれ、日本へ渡ってダートの一大血脈を築いた種牡馬だ。チャンピオンズカップと帝王賞を制したテーオーケインズも、その産駒にあたる。母キングスベリー、その父は高松宮記念を勝ったキングヘイロー。剣の名は、まだ何も証していない仔への、静かな注文だった。

新馬の冬 ― 藤岡佑介と

デビューは2022年1月10日、中山ダート1800m。鞍上は藤岡佑介。一番人気に応えて危なげなく勝ち上がった。だが、そこからが長かった。三月の一勝クラスは八着、初夏の一戦も六着。素質を見込まれながら、二勝目までに半年を要している。 その間、手綱は幾人もの手に渡った。二勝目を挙げたのは、この年デビューした新人・今村聖奈を背にした七月の小倉。そして三月の一戦で、一度だけ手綱をとったのが、佑介の弟・藤岡康太だった。兄が扉を開け、弟も跨った一頭は、このときはまだ、条件戦を勝ち上がるのに手を焼く一頭にすぎなかった。

オープンへの階段

歯車が噛み合いはじめたのは、その二勝目からだった。2022年暮れの赤穂特別、年明けの伊丹ステークスと白星を重ね、川田将雅や岩田望来といった手綱が背に乗る。2023年4月、重賞初挑戦のアンタレスステークス(GIII)では三着。頂こそ譲ったが、重賞でも通用する足がかりを掴んだ。 夏には三宮ステークス、阿蘇ステークスとオープン特別を連勝。ダート1800mを舞台に、勝ち方は一戦ごとにたくましくなっていった。それでも、この時点ではまだ重賞のタイトルを持たない。オープンの常連が一頭、静かに刃を研いでいた。

JBCクラシック2023 ― 四馬身の戴冠

2023年11月3日、大井。JBCクラシックは、キングズソードにとって初のJpnI挑戦だった。四番人気。鞍上にJ・モレイラを迎え、道中は三、四番手の好位を進む。直線を向くと、迷いなく抜け出した。逃げ粘るノットゥルノを競り落とし、二着に四馬身。三着には、父シニスターミニスターを同じくする先輩――チャンピオンズカップと帝王賞を制したテーオーケインズがいた。 重賞を一つも勝たぬまま、いきなり最高峰を四馬身差。GI初挑戦とは思えぬ危なげのない勝ちっぷりに、モレイラは短く言った。「強い勝ち方でした。気持ち良かったです」[^1]。オープンの常連は、一夜にしてダートの主役の一頭になった。

出典:東スポ競馬「【JBCクラシック結果&コメント】モレイラ騎乗のキングズソードが頂点に輝く 「強い勝ち方でした。気持ち良かったです」」2023年11月3日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/38338、閲覧日:2026年7月18日。

帝王賞2024 ― 弟の背も知る相棒と

頂点に立ってからの半年は、むしろ苦かった。暮れの東京大賞典は五着、明けてフェブラリーステークスも五着、一番人気に推されたかしわ記念も四着。最上級の壁に、あと一歩が届かない。 そして2024年春、競馬界を悲報が襲う。4月6日、阪神競馬場で落馬した藤岡康太が、10日、三十五歳で息を引き取った。佑介の弟であり、かつてこの馬の背に一度跨った男だった。 6月26日、大井の帝王賞。佑介がキングズソードに戻ってきた――新馬戦以来の手綱である。三番手を追走し、四コーナーで早くも先頭。追いすがるウィルソンテソーロを一馬身四分の三退け、JpnI二勝目を掴んだ。弟を喪って二か月半、その弟も一度は背にした相棒での勝利だった。鞍上は多くを語らず、「すごく強い競馬だった」[^1] とだけ振り返った。

出典:東スポ競馬「【帝王賞】キングズソードがJpnⅠ2勝目!藤岡佑「すごく強い競馬だった」 寺島調教師は鞍上の手腕を称賛」2024年6月26日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/46636、閲覧日:2026年7月18日。

二度、止められても

帝王賞のあと、陣営は秋のJBCクラシック――一年前に制した舞台での連覇を見据えていた。だが11月、左前脚に屈腱炎が判明する。長い休養に入り、ターフに戻ったのは一年三か月後、2025年秋の日本テレビ盃だった。復帰の二戦、日本テレビ盃とJBCクラシックの手綱はふたたび佑介が、暮れの東京大賞典は岩田望来が握った。三戦いずれも四着。最上級の舞台には戻ってきたが、勝ち星には手が届かなかった。 そしてその東京大賞典のあと、今度は左第1指骨の骨折が見つかる。大みそか、栗東で緊急手術。全治九か月と診断された。それでも陣営は、現役続行を選んだ。二度、走りを止められてなお、この剣は鞘に納められていない。再び抜き放たれる日を、静かに待っている。

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