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キングカメハメハ
通算成績8戦7勝
獲得賞金4億2,973万円
生年月日 2001.03.20(平成13年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | GII神戸新聞杯 | 阪神 芝2000 | 1人気 | 安藤勝己 | 1:59.0 | 上り33.7 | 映像 | |
| 1 | GI東京優駿 | 東京 芝2400 | 1人気 | 安藤勝己 | 2:23.3 | 上り35.4 | 映像 | |
| 1 | GINHKマイルカップ | 東京 芝1600 | 1人気 | 安藤勝己 | 1:32.5 | 上り34.0 | 映像 | |
| 1 | GIII毎日杯 | 阪神 芝2000 | 2人気 | 福永祐一 | 2:01.2 | 上り34.5 | 映像 | |
| 1 | OPすみれS | 阪神 芝2200 | 1人気 | 安藤勝己 | 2:16.4 | 上り34.2 | — | |
| 3 | GIII京成杯 | 中山 芝2000 | 1人気 | D.バルジュー | 2:00.0 | 上り36.7 | — | |
| 1 | エリカ賞 | 阪神 芝2000 | 1人気 | 武豊 | 2:02.6 | 上り34.6 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 京都 芝1800 | 1人気 | 安藤勝己 | 1:50.5 | 上り35.2 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父Kingmambo | Mr. Prospector | Raise a Native |
| Gold Digger | ||
| Miesque | Nureyev | |
| Pasadoble | ||
| 母マンファスManfath | ラストタイクーンLast Tycoon | トライマイベストTry My Best |
| Mill Princess | ||
| Pilot Bird | Blakeney | |
| The Dancer |
旅程 — この馬の物語
2001年生まれの鹿毛の牡馬。父Kingmambo、母マンファス。主な勝ち鞍はNHKマイルC・東京優駿・毎日杯。
ハワイの王の名 ― 名と血
2001年3月20日、ノーザンファームに鹿毛の牡馬が生まれた。父はアメリカの名種牡馬キングマンボ。その母は欧米のマイル界を席巻した名牝ミエスク。母はマンファス、アイルランドに生まれイギリスで走った牝馬で、その初仔ザデピュティはアメリカのサンタアニタダービー(米GI)を勝っていた。半兄に大レースの勝ち馬を持つ、確かな血だった。 名は、ハワイ全島を統一したカメハメハ大王に由来する。父キングマンボの「キング」を、海の向こうの王の名が受け継いだかのようだった。馬主は金子真人――のちにディープインパクトをも所有することになる人物。預けられたのは栗東・松田国英の厩舎。2003年11月、京都の芝1800mの新馬戦を、安藤勝己を背に危なげなく勝ち上がった。
ただ一度の黒星
暮れのエリカ賞は武豊が手綱を取り、難なく連勝。明けて2004年、1番人気で迎えた京成杯(GIII)で、しかしこの馬は初めてつまずく。鞍上はバルジュ。直線で伸びきれず、フォーカルポイント、マイネルマクロスに先着を許して3着――生涯ただ一度の敗戦だった。バルジュは敗因を経験不足と見て、いずれはチャンピオンになる、と言い残した。 その言葉どおり、馬はすぐに立て直す。すみれステークスを快勝し、毎日杯(GIII)も福永祐一を背に押し切った。手綱は人から人へ渡ったが、走るたびに、底知れぬ器の片鱗がのぞいていた。
マツクニの賭け ― 皐月賞を使わない
クラシックの春、松田国英は大胆な道を選んだ。皐月賞を使わない。中山の小回りはこの馬に向かない――そう見切って、NHKマイルカップから日本ダービーへ向かう変則ローテーションを敷いたのだ。 それは、松田自身がかつて歩こうとして果たせなかった道でもあった。3年前の2001年、同じ厩舎のクロフネがNHKマイルカップを勝ちながら、ダービーでは5着に沈み、二冠には届かなかった。マイルの一戦と二千四百の頂を、ひと月のうちに両方勝つ――先輩馬の誰も成し遂げていない難業に、松田はもう一度、今度はキングカメハメハで挑もうとしていた。
大外一気 ― NHKマイルカップ
2004年5月9日、東京の芝1600m。1番人気に推されたキングカメハメハは、中団の外を進んだ。直線、大外に持ち出されると、前を行く先行勢をまとめて飲み込むように突き抜ける。勝ち時計1分32秒5はレースレコード。2着コスモサンビームにつけた差は、5馬身。 マイルのスピード決着を、力でねじ伏せた走りだった。GI初制覇。だが松田の本当の狙いは、その三週間後にあった。
二分二十三秒三 ― ダービー
安藤勝己にとって、ダービーは特別な舞台になっていた。前年2003年のダービー、安藤はザッツザプレンティで3着に敗れ、勝ったデムーロのネオユニヴァースが大歓声に包まれるのを、すぐ横で見ていた。「前はGIはどれも一緒だと思ってたけど、去年3着に負けて、その横で、勝ったデムーロがすごい歓声で迎えられるのを見ていて、やっぱりダービーは違うなあと思ったね」[^1]。笠松から中央へ移ってまだ二年目の男は、この一冠の重さを、痛いほど知っていた。 2004年5月30日、第71回東京優駿。1番人気。1000m通過57秒6のハイペースを、安藤は中団で待った。早めに仕掛けても、なお余りある脚があった。直線で先頭に立つと、後方から伸びたハーツクライを1馬身半抑えてゴールへ。走破時計2分23秒3は、従来のコースレコードを2秒も縮める驚異的な数字だった。 NHKマイルカップと日本ダービー。ひと月のうちに二つのGIを勝つ「変則二冠」を、史上初めて成し遂げた馬となった。松田が果たせなかった道を、キングカメハメハが踏破した。そして安藤勝己は、移籍後初めてのダービー制覇を、自らの手に掴んだ。
出典:Number Web「『何かやんなきゃまずいかなと』安藤勝己がキングカメハメハで初制覇したとき感じたこととは?」2021年5月25日配信、https://number.bunshun.jp/articles/-/848206 、閲覧日:2026年6月28日。
秋、早すぎる別れ
秋の初戦、神戸新聞杯を安藤を背に快勝。菊花賞か、それとも古馬の待つ天皇賞か――その先には、まだ見ぬ大舞台が広がっていた。 だが、右前脚に浅屈腱炎が見つかる。再起の難しい故障だった。天皇賞・秋を二週間後に控えた頃、陣営は引退を発表する。10月27日、登録は抹消された。生涯8戦7勝。ターフを去るには、あまりに早い幕引きだった。けれど、この馬の物語は、ここで終わりではなかった。
王の血 ― 種牡馬として
種牡馬となったキングカメハメハは、サンデーサイレンスの血が席巻する日本の生産界で、別の源流から名馬を送り出し続けた。2010年と2011年、リーディングサイアーの座に就く。以後も長く、ディープインパクトに次ぐ二番手として血を広げた。 産駒には、牝馬三冠のアパパネ、香港やドバイで世界を制したロードカナロア、二冠馬ドゥラメンテ、そしてダービー馬レイデオロ。父の名のとおり、競馬界に一つの王朝を築いた。 2019年8月9日、キングカメハメハは18歳でその生涯を閉じた。免疫機能の衰えからその年に種牡馬を退き、療養していた矢先の急変だった。8戦という短いキャリアに刻んだただ一度の敗戦すら、いまや王の物語の小さな影でしかない。新馬から頂まで駆け上がった脚は、いくつもの子孫の走りの中で、今も確かに脈打っている。
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