名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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キープカルムのイメージビジュアル
キープカルムKeep Calm
Keep Calm

キープカルム

通算成績20戦5勝

獲得賞金16,111万円

生年月日 2021.04.08(令和3年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
キープカルムの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
2 GIIIしらさぎS 阪神 芝1600 6人気 坂井瑠星 1:33.3 上り33.8映像
6 GII京王杯スプリングカップ 東京 芝1400 6人気 荻野極 1:19.5 上り32.6映像
9 GIII京都金杯 京都 芝1600 3人気 坂井瑠星 1:34.1 上り34.1映像
6 GII富士S 東京 芝1600 6人気 坂井瑠星 1:32.3 上り33.3映像
5 GIII中京記念 中京 芝1600 3人気 松山弘平 1:32.6 上り33.3映像
1 GIIIしらさぎS 阪神 芝1600 5人気 坂井瑠星 1:33.0 上り33.4映像
3 GIIIダービー卿チャレンジトロフィー 中山 芝1600 6人気 A.シュタルケ 1:32.6 上り33.9映像
9 L東風S 中山 芝1600 1人気 三浦皇成 1:38.2 上り38.9
4 LニューイヤーS 中山 芝1600 2人気 三浦皇成 1:32.7 上り34.6
3 LリゲルS 京都 芝1600 1人気 三浦皇成 1:33.1 上り33.9
1 キセキC 京都 芝1600 1人気 A.シュタルケ 1:34.3 上り34.1
1 木更津特別 中山 芝1600 2人気 三浦皇成 1:32.4 上り33.8
2 五頭連峰特別 新潟 芝1600 2人気 永島まなみ 1:34.1 上り32.7
5 GII京都新聞杯 京都 芝2200 4人気 武豊 2:11.7 上り33.9映像
1 ひめさゆり賞 福島 芝2000 1人気 荻野極 2:00.1 上り35.2
3 L若葉S 阪神 芝2000 2人気 鮫島克駿 1:59.8 上り34.1
2 つばき賞 京都 芝1800 1人気 鮫島克駿 1:46.9 上り33.9
5 GIIIラジオN杯京都2歳S 京都 芝2000 8人気 鮫島克駿 1:59.9 上り35.2映像
1 2歳未勝利 京都 芝2000 2人気 鮫島克駿 2:01.0 上り33.8
2 2歳新馬 京都 芝1800 6人気 岩田望来 1:47.8 上り34.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
キープカルムの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ロードカナロアLord KanaloaキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
レディブラッサムStorm Cat
サラトガデューSaratoga Dew
ダンスアミーガサクラバクシンオーSakura Bakushin Oサクラユタカオー
サクラハゴロモ
ダンスオールナイトエルコンドルパサーEl Condor Pasa
ダンスパートナー
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの鹿毛の牡馬。父ロードカナロア、母ダンスアミーガ。主な勝ち鞍はしらさぎS。

「冷静を保て」という名

英字の馬名 Keep Calm は、「冷静を保つ」の意である。2021年4月8日、社台ファームに生まれた鹿毛の牡馬。父はロードカナロア、母ダンスアミーガ、母父にサクラバクシンオーを持つ。馬主は前田晋二、栗東・中竹和也厩舎に入った。 血の背骨は母系にある。3代母ダンスパートナーは1995年の優駿牝馬を制し、翌1996年にはエリザベス女王杯を戴いた女傑。その一族は、菊花賞馬ダンスインザダーク、桜花賞馬ダンスインザムードを送り出した名門ダンシングキイの牝系である。カタログを飾る流行の良血ではないが、母の背には、クラシックを掴む血が確かに通っていた。 2023年10月8日、京都・芝1800メートルの新馬。岩田望来を背に2着に敗れると、二戦目の未勝利戦を鮫島克駿とともに勝ち上がる。冷静という名を負った鹿毛の旅は、静かに始まった。

距離を探す

はじめ、陣営はこの馬に中距離の器を見ていた。年が明けて京都のつばき賞で2着、阪神の若葉ステークスで3着。福島のひめさゆり賞では初めて1番人気に推され、その支持に圧勝で応える。だが2200メートルの京都新聞杯では、武豊を背に5着。クラシックへ続く長い距離では、あと一歩の切れ味が足りなかった。 そこから舞台をマイルへ寄せていく。木更津特別、キセキカップと連勝してオープン入りを決めると、リゲルステークス3着、ニューイヤーステークス4着、ダービー卿チャレンジトロフィー3着と、マイルの重賞・リステッドで確かに上位を賑わせた。人気を裏切って大きく崩れた一戦もある。勝ち切れないまま、しかし自分の距離は、少しずつ輪郭を結んでいった。

初代王者 ― しらさぎステークス

2025年6月22日、阪神・芝1600メートル。この年から重賞となった、第1回しらさぎステークス。5番人気のキープカルムの手綱は、坂井瑠星が取った。 後方に控えた鹿毛は、4コーナーで内を突き、直線で馬群の間へ体をねじ込む。少し狭い進路をこじ開けて、鋭く伸びた。1番人気は、前年に牝馬二冠を制したチェルヴィニア。その女王を1馬身抑え込んで、キープカルムは重賞初制覇を果たす。新設された一冠の、初代王者だった。 坂井は、勝ち馬の質をこう言い表した。「操縦性がいい馬ですね」[^1]。狭いところへも臆せず入っていける従順さ――冷静という名は、そのまま走りの質だった。

出典:中日スポーツ「【しらさぎS】5番人気キープカルムが直線差し切り重賞初V 1番人気チェルヴィニアは2着」2025年6月22日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/1086402、閲覧日:2026年7月16日。

妹の戴冠、そして続く旅

その勝利のおよそ一か月前、2025年5月25日の東京で、一族はもう一つの冠を戴いていた。半妹カムニャック――父ブラックタイドを持つ牝馬が、優駿牝馬を制していたのである。3代母ダンスパートナーが1995年に掴んだのと同じオークスの栄冠を、30年を経て、同じ牝系の一頭がもう一度手にした。兄は、その血の一角として、同じ年に自らの重賞を掴んでいた。 夏を越えても旅は続く。中京記念5着、富士ステークス6着、明けて京都金杯9着、京王杯スプリングカップ6着。そして2026年6月21日、前年覇者として臨んだしらさぎステークスは、混戦を抜けたエルトンバローズに半馬身及ばず2着。守るべき冠には、あと半馬身が届かなかった。 キープカルムは、いまも現役にある。派手な連勝も、大きなタイトルの塔もない。それでも、長い距離で躓き、マイルで一冠を掴み、名牝の一族に生まれて自分の一つを確かに刻んだ歩みは、この馬にしか描けない線だ。冷静に、次の一戦を待てばいい。

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