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ケイティブレイブ
通算成績46戦12勝
獲得賞金6億8,970万円
生年月日 2013.05.11(平成25年)毛色 栗毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 16 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 16人気 | 菅原明良 | 1:36.1 | 上り36.3 | 映像 | |
| 11 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 8人気 | 笹川翼 | 2:18.6 | 上り41.6 | 映像 | |
| 13 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 16人気 | 内田博幸 | 1:52.1 | 上り37.4 | 映像 | |
| 5 | JpnⅠJBCクラシック | 金沢 ダ2100 | 7人気 | 内田博幸 | 2:14.3 | 上り37.1 | 映像 | |
| 11 | GIIIシリウスS | 中京 ダ1900 | 10人気 | 内田博幸 | 1:59.5 | 上り39.3 | 映像 | |
| 6 | GIIIエルムS | 函館 ダ1700 | 12人気 | 団野大成 | 1:45.2 | 上り38.3 | 映像 | |
| 6 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 5人気 | 長岡禎仁 | 2:06.3 | 上り36.9 | — | |
| 2 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 5人気 | 長岡禎仁 | 1:39.0 | 上り36.0 | — | |
| 2 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 16人気 | 長岡禎仁 | 1:35.6 | 上り35.6 | 映像 | |
| 6 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 2人気 | 森泰斗 | 2:15.9 | 上り40.8 | — | |
| 8 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 3人気 | 御神本訓史 | 2:08.1 | 上り41.9 | — | |
| 1 | JpnⅡ浦和記念 | 浦和 ダ2000 | 2人気 | 御神本訓史 | 2:05.4 | 上り37.6 | — | |
| 取 | GIドバイワールドカップ | メイダン ダ2000 | モレイラ | — | 映像 | |||
| 2 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 1人気 | 福永祐一 | 2:15.5 | 上り39.9 | — | |
| 3 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 2人気 | 福永祐一 | 2:06.3 | 上り39.4 | — | |
| 11 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 2人気 | 福永祐一 | 1:51.5 | 上り36.7 | 映像 | |
| 1 | GIJBCクラシック | 京都 ダ1900 | 3人気 | 福永祐一 | 1:56.7 | 上り37.0 | — | |
| 1 | JpnⅡ日本テレビ盃 | 船橋 ダ1800 | 1人気 | 福永祐一 | 1:52.5 | 上り36.4 | — | |
| 2 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 1人気 | 福永祐一 | 2:04.3 | 上り38.8 | — | |
| 1 | JpnⅡダイオライト記念 | 船橋 ダ2400 | 1人気 | 福永祐一 | 2:34.8 | 上り40.4 | — | |
| 11 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 5人気 | 福永祐一 | 1:37.7 | 上り39.4 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 1人気 | 福永祐一 | 2:14.9 | 上り37.1 | — | |
| 3 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 1人気 | 福永祐一 | 2:05.3 | 上り38.0 | — | |
| 4 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 3人気 | 福永祐一 | 1:50.4 | 上り36.2 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠJBCクラシック | 大井 ダ2000 | 3人気 | 福永祐一 | 2:04.7 | 上り37.6 | 映像 | |
| 3 | JpnⅡ日本テレビ盃 | 船橋 ダ1800 | 1人気 | 福永祐一 | 1:53.0 | 上り37.3 | — | |
| 1 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 6人気 | 福永祐一 | 2:04.4 | 上り36.5 | — | |
| 5 | GIII平安S | 京都 ダ1900 | 4人気 | 福永祐一 | 1:56.5 | 上り38.8 | 映像 | |
| 1 | JpnⅢ名古屋大賞典 | 名古屋 ダ1900 | 3人気 | 福永祐一 | 2:02.5 | 上り40.5 | — | |
| 6 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 11人気 | 幸英明 | 1:35.6 | 上り36.3 | 映像 | |
| 5 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 2人気 | 武豊 | 2:15.5 | 上り38.7 | — | |
| 2 | JpnⅡ名古屋グランプリ | 名古屋 ダ2500 | 1人気 | 武豊 | 2:42.4 | 上り38.9 | — | |
| 1 | JpnⅡ浦和記念 | 浦和 ダ2000 | 1人気 | 武豊 | 2:07.0 | 上り39.1 | — | |
| 1 | JpnⅢ白山大賞典 | 金沢 ダ2100 | 1人気 | 武豊 | 2:15.1 | 上り38.9 | — | |
| 2 | OPラジオ日本賞 | 中山 ダ1800 | 1人気 | 蛯名正義 | 1:50.7 | 上り37.9 | — | |
| 2 | GIIIレパードS | 新潟 ダ1800 | 1人気 | 武豊 | 1:50.6 | 上り37.3 | — | |
| 2 | JpnⅠジャパンダートダービー | 大井 ダ2000 | 3人気 | 武豊 | 2:06.6 | 上り39.8 | — | |
| 1 | JpnⅡ兵庫チャンピオンシップ | 園田 ダ1870 | 2人気 | 川原正一 | 2:00.2 | 上り37.7 | — | |
| 3 | OP伏竜S | 中山 ダ1800 | 4人気 | 勝浦正樹 | 1:52.8 | 上り38.7 | — | |
| 4 | OPヒヤシンスS | 東京 ダ1600 | 7人気 | 勝浦正樹 | 1:35.8 | 上り36.1 | — | |
| 1 | 3歳500万下 | 京都 ダ1800 | 1人気 | 国分優作 | 1:54.2 | 上り37.8 | — | |
| 3 | 樅の木賞 | 阪神 ダ1800 | 4人気 | 国分優作 | 1:52.9 | 上り37.5 | — | |
| 5 | 寒椿賞 | 中京 ダ1400 | 2人気 | 石橋脩 | 1:25.6 | 上り39.1 | — | |
| 3 | プラタナス賞 | 東京 ダ1600 | 6人気 | 津村明秀 | 1:36.7 | 上り37.9 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 阪神 ダ1800 | 2人気 | 国分優作 | 1:56.2 | 上り40.5 | — | |
| 2 | 2歳未勝利 | 阪神 ダ1800 | 12人気 | 国分優作 | 1:54.5 | 上り38.5 | — | |
| 8 | 2歳新馬 | 小倉 芝1800 | 6人気 | 三津谷隼人 | 1:53.7 | 上り38.3 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父アドマイヤマックスAdmire Max | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ダイナシュート | ノーザンテーストNorthern Taste | |
| シヤダイマイン | ||
| 母ケイティローレル | サクラローレルSakura Laurel | Rainbow Quest |
| ローラローラLola Lola | ||
| ビーマイファイアBe My Fire | Be My Guest | |
| Fire and Ice |
旅程 — この馬の物語
2013年生まれの栗毛の牡馬。父アドマイヤマックス、母ケイティローレル。主な勝ち鞍は帝王賞・川崎記念・JBCクラシック。
冠名に、勇士 ― 名前と血
2013年5月11日、北海道新ひだか町の岡野牧場に、栗毛の牡馬が生まれた。 父アドマイヤマックスはサンデーサイレンス産駒で、2005年の高松宮記念を勝った芝の短距離馬。母ケイティローレルの父サクラローレルは、1996年に天皇賞(春)と有馬記念を制し、その年の年度代表馬になった馬である。速さと重さを両端に置いた配合から出てきたこの馬が、やがて生涯の大半を過ごす場所は、芝でもマイルでもなく、二千メートル前後の砂の上だった。 馬名の意味は、冠名に「勇士」を重ねたもの。冠名の「ケイティ」は母の名にもあり、母の半姉ウイニングリバーが産んだケイティラブ——2010年のアイビスサマーダッシュ勝ち馬——も、同じ瀧本和義の勝負服で走っている。 血の裏側は、はっきりと砂の色をしている。母ケイティローレルの半兄ビーマイナカヤマは、1999年の北海道スプリントカップを皮切りに、黒船賞、群馬記念、朱鷺大賞典、ガーネットステークス連覇と、ダートの重賞を八つ勝った。同じウイニングリバーからは、2004年のきさらぎ賞を勝ったマイネルブルックも出ている。牝系を八代さかのぼれば、一大牝系を築いた名繁殖牝馬ラトロワンヌに行き着く。 砂で走る血は、はじめから用意されていた。あとは、この馬がそれを見つけるだけだった。
砂を見つける ― 二歳と三歳
2015年8月30日、小倉の芝1800m。6番人気で8着。デビュー戦は、いま振り返れば場所を間違えていた。 次走からダートへ移ると、9月12日の阪神・2歳未勝利は12番人気で2着と好走する。二週間後、同じ阪神のダート1800mで向こう正面から一気に先頭へ立ち、2着に5馬身の差をつけて圧勝した。鞍上は国分優作。 秋から冬は3着、5着、3着と足踏みしたが、年が明けた1月17日、京都の3歳500万下を1番人気で勝ち上がる。オープンのヒヤシンスステークスは4着、伏竜ステークスは3着。中央では、あと一歩が遠かった。 5月4日、園田の兵庫チャンピオンシップ。単勝1.3倍の支持を集めていたのは、ヒヤシンスステークスを勝ったゴールドドリームである。ケイティブレイブは2番人気。だが川原正一を背に先手を取ると、直線で追ってきたゴールドドリームを突き放し、7馬身差でゴールした。重賞初制覇だった。 そこからは武豊が手綱を取る。ジャパンダートダービーはキョウエイギアに離されて2着、レパードステークスはグレンツェントにクビ差の2着、蛯名正義が乗ったラジオ日本賞も2着。勝ち切れない夏を越え、秋には金沢の白山大賞典を勝ち、続く浦和記念でクリソライトに4馬身差をつけて連勝した。年内最後の名古屋グランプリは、前年優勝馬アムールブリエに直線入り口で交わされて2着。 三歳が終わるころ、この馬の輪郭は決まっていた。中央のオープンでは二着どまり、地方の砂では勝ち切る。
大井の逆転 ― 福永祐一が乗った日
2017年の始動戦、川崎記念は逃げるオールブラッシュを捕まえられず5着。続くフェブラリーステークスは、武豊がコパノリッキーに騎乗するため幸英明への乗り替わりとなり、11番人気で6着に終わった。 福永祐一がこの馬に乗ったのは、3月30日の名古屋大賞典が最初である。スタートから先手を奪い、ピオネロに1馬身半差をつけて逃げ切った。5月の平安ステークスは3コーナーでいったん先頭に立ちながら失速して5着。順風とは言えない滑り出しだった。 6月28日、大井の帝王賞。6番人気。ところがゲートで躓き、いつもの先行策とは正反対の、後方からの競馬になった。それでも直線、外に持ち出されたケイティブレイブは、そこから一気に脚を伸ばした。前を行くアウォーディーとクリソライトを捉え、2着に1馬身3/4差をつけた。JpnI初制覇である。 管理する目野哲也にとって、これは1999年にニホンピロジュピタで勝ったマイルチャンピオンシップ南部杯以来の、GI級競走の勝利だった。 秋は苦い。日本テレビ盃は四頭の叩き合いから外の二頭に交わされて3着。大井のJBCクラシックは直線で先頭に並びかけながら、外から来たサウンドトゥルーに差されて2着。チャンピオンズカップ4着、1番人気で臨んだ東京大賞典は3着。頂に手はかかるのに、指が滑る。そんな半年だった。
師の最後の冬 ― 一度目の転厩
2018年1月31日、川崎記念。好スタートから迷わずハナを奪い、直線でもリードを保ったまま押し切った。JpnI2勝目。 この勝利には期限がついていた。目野哲也は2月末で定年を迎える。2月18日のフェブラリーステークスは、師にとって最後の中央GIだった。逃げたニシケンモノノフが最下位に沈むほど流れは速く、3番手を進んだケイティブレイブは11着。中央のタイトルは、師の手には残らなかった。 2月28日、目野は調教師を引退した。厩舎は解散し、ケイティブレイブは栗東の杉山晴紀厩舎へ移る。開業から一年余りの若い厩舎に、JpnI2勝の古馬がやってきた。 二週間後、3月14日の船橋・ダイオライト記念。アポロケンタッキーと二頭で1倍台の支持を分け合い、先頭で引っ張って、並んできた相手を振り切る。杉山晴紀にとって、調教師として初めての重賞制覇だった。 6月の帝王賞は1番人気。ハイペースで逃げるテイエムジンソクを先団から追い、直線でゴールドドリームと叩き合ってクビ差の2着。秋は海外遠征を目指したが招待が届かず、10月3日の日本テレビ盃へ回った。この日、福永は二週間前の落馬負傷から復帰したばかりだった。復帰初戦の相棒がこの馬で、2番手から抜け出して2馬身差。人と馬が、同じ日に戻ってきた。
京都の砂 ― 二〇一八年十一月四日
JBCがJRAの競馬場で行われたのは、この年が初めてだった。舞台は京都のダート1900m。 新しい厩舎でこの馬の担当になったのは、房野陽介という調教助手である。競馬に縁のない家に育ち、大学を中退して牧場で働き、厩務員課程を経て栗東へ来た男だった。彼はケイティブレイブを、極端に前掛かりでトモの弱い馬だと見立て、常歩からずっと抱えて乗る調教を続けた。速い時計そのものより、フォームが大事だと考えていた。「最後の最後まで、理性的に、一生懸命走る馬をつくりたいんですよ」[^1] 中央での勝利は2016年1月の条件戦が最後で、支持はサンライズソア、オメガパフュームに次ぐ3番人気にとどまった。福永は枠順が決まる前に八番を引きたいと口にし、そのとおり八番を引いた——と、房野はのちに振り返っている。 レースは中団から。向こう正面から3コーナーにかけて外を回りながら位置を押し上げ、直線で内ラチ沿いを回ってきたサンライズソアを交わして先頭に立つ。追い込んできたオメガパフュームを、そのまま振り切った。 1分56秒7。JBCクラシックが1900mで行われたときのレースレコードとして、いまも残る数字である。JpnI3勝目にして、JRAの競馬場で獲った初めてのタイトル。杉山晴紀にとっては、GI級競走の初勝利だった。 もっとも、房野が本当に狙うと言っていたのは翌月のチャンピオンズカップだった。杉山厩舎のケイティブレイブになるには中京を勝ちたい——そう語っていた一戦は、2番人気で11着に終わる。鞍上はこんなに負ける馬ではないと言い、直線で西日を気にしていたことを敗因のひとつに挙げている。暮れの東京大賞典も3着。京都の一日は、この馬が中央の競馬場で立った、ただ一度の頂として残った。
出典:競馬ラボ「【杉山晴紀厩舎の房野陽介調教助手】ケイティブレイブ 見えたNEWケイティ 弱点克服の地味トレで悲願のJRAG1獲りへ」2018年11月1日配信、https://www.keibalab.jp/column/interview/1865/、閲覧日:2026年7月26日。
メイダンで止まる ― 二〇一九年
2019年1月30日、単勝1.2倍で臨んだ川崎記念。先団から直線で先頭に並びかけたが、内のオールブラッシュとの間を割って伸びてきたミツバに突き放され、2馬身半差の2着に終わる。 3月、ドバイワールドカップに招待され、受諾した。鞍上にはジョアン・モレイラを迎える予定だった。だがレース前日に疝痛を発症し、出走を取り消す。メイダンのゲートは、この馬のために開かなかった。 事態はそこで止まらなかった。腸捻転を発症し、緊急手術を受ける。手術は成功した。4月2日、栗東で報道陣に応じた杉山は「処置が早かったことで最悪の事態を避けられて良かったです」[^1]と語っている。勝ち負けの話では、もうなかった。 戻ってきたのは八か月後、11月28日の浦和記念だった。短期免許で来日していたクリストフ・スミヨンが前日の調教で負傷し、御神本訓史に手綱が渡る。スタートから押して3番手につけ、二周目の向こう正面で先頭に並びかけ、4コーナーで抜け出して3馬身差。2016年以来、二度目の浦和記念制覇である。開腹手術を受けた馬が、復帰初戦で重賞を勝った。 暮れの東京大賞典は8着。それでも、この年を走って終えたこと自体が、この馬にとっては大きかった。
出典:スポニチアネックス「ドバイWC取消ケイティブレイブ 腸捻転の手術成功、秋の復帰目指す」2019年4月2日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/04/02/kiji/20190402s00004048117000c.html、閲覧日:2026年7月26日。
最低人気の銀 ― 長岡禎仁
2020年1月29日の川崎記念は、森泰斗を背に逃げの手を打ったが、二周目の3コーナーで早々に後退して6着。七歳の年明けは重かった。 2月23日、フェブラリーステークス。鞍上は長岡禎仁。馬主・瀧本和義の要望による起用だった。1993年生まれ、和歌山県の出身。周囲に甘えない環境を求めて関東を志望し、美浦の小島茂之厩舎からデビューした騎手である。2017年4月の落馬で腎臓破裂の重傷を負い、五か月後に復帰したものの乗り鞍は激減していた。通算62勝、重賞はまだ勝っていない。GI級競走は、この日が初めての騎乗だった。起用の根拠は、長く調教でこの馬に乗ってきたという一点である。 単勝142.6倍。16頭立ての16番人気。ハイペースの中団に控え、直線では外から伸びた。勝ったモズアスコットには2馬身半及ばなかったが、2着でゴールを駆け抜ける。上がり35秒6は、この馬が全出走を通じて記録したなかで最も速い数字だった。 引き揚げてきた鞍上を報道陣が囲み、瀧本のもとにも取材陣が殺到した。オーナーは笑ってこう言った。「長岡くんが完璧な騎乗をしてくれた。私にとっては勝ったも同然です」[^1] 5月5日、船橋のかしわ記念。7頭立ての5番人気で、ワイドファラオのスローの逃げを捕まえきれず2馬身差の2着。伯父にあたるビーマイナカヤマが同じ競走を勝ったのは2000年、まだ統一GIIIだった頃である。二十年のあいだにその競走はJpnIへ格上げされ、血のほうも、同じ船橋のマイルへ戻ってきていた。 6月24日の帝王賞は大外枠から後方に置かれ、道中で押し上げたものの6着。クリソベリルが勝った一戦だった。 そして8月16日、長岡はアールスターで小倉記念を制し、重賞初勝利を挙げる。フェブラリーステークスから、半年も経っていなかった。
出典:スポニチアネックス「【フェブラリーS】最低人気ケイティブレイブ、大健闘の2着 長岡「あそこまで行ったら勝ちたかった」」2020年2月23日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2020/02/23/kiji/20200223s00004048370000c.html、閲覧日:2026年7月26日。
東へ、そして日高へ
帝王賞のあと、ケイティブレイブは一年以上レースから遠ざかった。脚部不安による長期休養である。 2021年6月30日、栗東の杉山厩舎から美浦の清水英克厩舎へ転厩する。デビュー以来ずっと関西のトレーニングセンターで作られてきた八歳馬が、関東の厩舎の管理馬になった。二度目の転厩だった。一度目は師の定年、今度は長い休養のさなかの移籍である。 1年1か月ぶりの実戦となった8月8日、函館のエルムステークスは6着。10月のシリウスステークスはトップハンデ58.5キロを背負って11着。金沢のJBCクラシックは好位から運んで5着、暮れのチャンピオンズカップは13着。 2022年、川崎記念11着、フェブラリーステークス16着。3月19日、左前浅屈腱炎を発症していることが判明する。九か月以上の休養を要すると診断され、3月30日付で競走馬登録を抹消された。九歳だった。 46戦12勝。中央22戦3勝、地方24戦9勝。獲得賞金6億8970万2000円のうち、4億8421万円は地方の砂で稼いだものである。JpnIが三つ、重賞は十。中央での勝利は三つで、そのうちの一つが京都のJpnIだった。 だが、この馬の履歴には勝ち鞍の欄に収まらないものがある。目野哲也の、調教師人生で最後のGI級勝利。杉山晴紀の、初めての重賞と初めてのGI級。他人のGI馬を引き継いだ房野陽介が、自分の厩舎の馬にしようと積み上げた三年余り。落馬から戻ってきた福永祐一の、復帰初戦の一鞍。そして長岡禎仁の、最初のGI騎乗。この馬は人の節目に、何度も居合わせている。手綱を最も長く預かった福永は2023年に騎手を引退し、いまは調教師として厩舎を構えている。 引退後は新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬となり、2024年の暮れ、馬主の預託馬として日高町のYogiboヴェルサイユリゾートファームへ移った。引退した競走馬を引き取るために開かれた分場である。2025年からは、そこで種牡馬として繋養されている。 芝の短距離王を父に持ちながら砂を選び、地方の砂で九つ勝った栗毛は、いま日高の牧場にいる。冠名に重ねられていた二文字は、勇士、だった。
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