名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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ジャスティンパレスのイメージビジュアル
ジャスティンパレスJustin Palace
Justin Palace

ジャスティンパレス

通算成績24戦5勝

獲得賞金103,024万円

生年月日 2019.04.12(令和元年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ジャスティンパレスの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 GI有馬記念 中山 芝2500 5人気 団野大成 2:32.1 上り35.2映像
5 GIジャパンカップ 東京 芝2400 5人気 C.デムーロ 2:20.9 上り33.5映像
3 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 8人気 団野大成 1:58.8 上り32.6映像
3 GI宝塚記念 阪神 芝2200 10人気 M.ディー 2:11.6 上り35.1映像
6 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 3人気 鮫島克駿 3:15.1 上り36.6映像
6 GI大阪杯 阪神 芝2000 6人気 鮫島克駿 1:56.6 上り34.2映像
5 GI有馬記念 中山 芝2500 4人気 坂井瑠星 2:32.3 上り35.1映像
5 GIジャパンカップ 東京 芝2400 3人気 C.デムーロ 2:26.0 上り33.3映像
4 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 6人気 坂井瑠星 1:57.6 上り33.0映像
10 GI宝塚記念 京都 芝2200 2人気 C.ルメール 2:13.6 上り35.9映像
4 GIドバイシーマクラシック メイダン 芝2410 4人気 J.モレイラ 映像
4 GI有馬記念 中山 芝2500 1人気 横山武史 2:31.2 上り34.4映像
2 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 6人気 横山武史 1:55.6 上り33.7映像
3 GI宝塚記念 阪神 芝2200 2人気 鮫島克駿 2:11.4 上り35.1映像
1 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 2人気 C.ルメール 3:16.1 上り34.9映像
1 GII阪神大賞典 阪神 芝3000 2人気 C.ルメール 3:06.1 上り34.2映像
7 GI有馬記念 中山 芝2500 7人気 T.マーカンド 2:33.5 上り36.6映像
3 GI菊花賞 阪神 芝3000 4人気 鮫島克駿 3:02.5 上り36.5映像
1 GII神戸新聞杯 中京 芝2200 5人気 鮫島克駿 2:11.1 上り34.4映像
9 GI東京優駿 東京 芝2400 10人気 M.デムーロ 2:23.2 上り35.4映像
9 GI皐月賞 中山 芝2000 9人気 M.デムーロ 2:00.5 上り34.5映像
2 GIホープフルS 中山 芝2000 4人気 C.デムーロ 2:00.8 上り35.7映像
1 黄菊賞 阪神 芝2000 1人気 C.ルメール 2:03.3 上り34.6
1 2歳新馬 中京 芝2000 1人気 C.ルメール 2:02.3 上り34.3

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ジャスティンパレスの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ウインドインハーヘアWind in Her HairAlzao
Burghclere
パレスルーマーPalace RumorRoyal AnthemTheatrical
In Neon
WhisperifyoudareRed Ransom
Stellar Affair

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2019年生まれの青鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母パレスルーマー。主な勝ち鞍は天皇賞・神戸新聞杯・阪神大賞典。

漆黒のステイヤー ― 母から継いだ距離の血

冠名「ジャスティン」は、馬主・三木正浩がかつてアメリカで呼ばれていた愛称からとられている(牝馬には「エリカ」を充てる)。「パレス」は母の名パレスルーマーの一部。父はディープインパクト。2019年4月12日、北海道安平町のノーザンファームに生まれた青鹿毛の牡馬は、2020年のセレクトセールで税込2億900万円の値がつき、栗東・杉山晴紀厩舎に入った。 だが、この馬の背骨は父よりも母の血にある。母パレスルーマーの産駒には、2013年のベルモントステークス(米GI・ダート2400メートル)を制したパレスマリスがおり、半兄には2023年のステイヤーズステークス(芝3600メートル)を勝ったアイアンバローズがいる。母の父ロイヤルアンセムもまた、芝の中長距離に映える馬だった。ベルモントの2400メートル、ステイヤーズの3600メートル――母系が湛えていたのは、まぎれもなく「距離」である。スピードを身上とする産駒の多い父ディープインパクトにあって、この馬は母から、長く走り続けるためのスタミナを引いた。 2021年9月、中京の芝2000メートル。デビュー戦はルメールを背に1番人気に応え、上がり34秒3の脚で差し切った。11月の黄菊賞も同じくルメールで連勝。年末のホープフルステークス(GI)はキラーアビリティに1馬身半及ばず2着だったが、漆黒の2歳馬は、静かに世代の上位へ名を連ねていた。

春に説かれ、秋に見つけた居場所

2022年、春のクラシックはこの馬に冷たかった。皐月賞9着、東京優駿9着。同世代にはイクイノックスがおり、ダービーはドウデュースが制した。2000メートルと2400メートルの速い決着に、ジャスティンパレスの脚はどうしても間に合わなかった。 風向きが変わったのは秋、距離が延びてからだ。9月の神戸新聞杯(GII)を鮫島克駿とともに抜け出して重賞初制覇。続く菊花賞(GI・芝3000メートル)は、勝ったアスクビクターモアとわずか0秒1差の3着だった。3000メートルの淀で、ようやくこの馬は自分の土俵を見つける。3歳暮れの有馬記念は7着に終わり、勝ったのはやはり同世代のイクイノックスだったが――春に説かれた馬は、秋の長い距離に、遅れてきた自分の居場所を見つけていた。

戴冠 ― 新しい京都の、最初の天皇賞

明けて4歳。始動戦の阪神大賞典(GII・芝3000メートル)をルメールで危なげなく勝ち、ジャスティンパレスは春の盾へ向かった。2023年4月30日、京都の芝3200メートル。改修工事を終えて生まれ変わった京都競馬場で行われる、最初の天皇賞(春)だった。 稍重の馬場。中団で折り合ったジャスティンパレスは、最後の直線で上がり34秒9の脚を伸ばして抜け出す。勝ちタイム3分16秒1、2着ディープボンドに2馬身半。1番人気タイトルホルダーが2周目で競走を中止する波乱のなか、6度目のGI挑戦でつかんだ、悲願の初戴冠だった。 レース後、ルメールは直線を向いた瞬間に勝利を確信したと振り返り、こう言い添えた。「ポジションをだんだん上げてきて、直線ではずっとエンジョイしました」[^1]。父ディープインパクトもかつて制した3200メートルの王座を、その子は、母から継いだスタミナで手に入れた。

出典:中日スポーツ「ジャスティンパレス騎乗のルメール、天皇賞・春を制覇」2023年4月30日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/681947、閲覧日:2026年7月8日。

怪物の隣で

だが、この馬が頂点に立った同じ年、日本にはイクイノックスがいた。 6月の宝塚記念、ジャスティンパレスは3着。前を行く芦毛には届かない。そして10月29日、天皇賞(秋)。逃げ馬を捉えてイクイノックスが抜け出すと、その脚色はまるで別の生き物のようだった。勝ちタイム1分55秒2――前年までのJRAレコード、トーセンジョーダンの1分56秒1を0秒9も塗り替える、「世界レコード級」と語られた数字である。 その2馬身半うしろで、ジャスティンパレスは1分55秒6を刻んでいた。旧レコードをなお0秒5上回る時計。ほとんどの年であれば、これで勝っていた。それでも、届かない。怪物と同じ時代に生まれた馬の宿命を、この2着はそのまま背負っていた。暮れの有馬記念は1番人気に推されながら4着。栄冠と、越えられない一頭。2023年のジャスティンパレスは、その両方を抱えて走っていた。

長い旅、そして花道

5歳の春、初めて海を渡った。ドバイシーマクラシック4着。帰国後の宝塚記念は10着に沈み、ここから、勝ち鞍の増えない長い時間が始まる。天皇賞(秋)4着、ジャパンカップ5着、有馬記念5着。鞍上は坂井瑠星、クリストフ・デムーロ、鮫島克駿と替わっても、この馬は上位から大きく崩れることをしなかった。 6歳になっても、走ることをやめなかった。2025年、大阪杯と天皇賞(春)こそ案外の内容に終わったが、夏の宝塚記念は10番人気で3着。秋の天皇賞(秋)は8番人気、団野大成を背に、緩んだ流れの直線を馬群の間から鋭く伸びて3着に食い込み、勝ち馬との差はわずか0秒2だった。人気を落としてなお上位を脅かすその姿を、人はいつしか「波乱の使者」と呼んだ。 そして2025年12月28日、有馬記念。4年連続の参戦は、この馬のラストランでもあった。結果は7着。それでも同年のファン投票では6位、37万1556票を集めている。GIを勝ったのは天皇賞(春)ただ一度。デビューから手をかけてきた池水健児助手が万感の思いで送り出したこの青鹿毛が、これほど多くの支持を集めたのは、勝った数のためではない。怪物の隣で腐らず、人気があろうとなかろうと最後まで脚を使う――その走りが、幾度もファンの胸を打ったからだ。 24戦5勝。母パレスルーマーから受け継ぎ、淀の3200メートルで一度だけ極点に届いた「距離の血」は、種牡馬となって次の世代へ渡されていく。ステイヤーの旅は、まだ終わらない。

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