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ジャスタウェイ
通算成績22戦6勝
獲得賞金9億940万円
生年月日 2009.03.08(平成21年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4 | GI有馬記念 | 中山 芝2500 | 3人気 | 福永祐一 | 2:35.5 | 上り33.4 | 映像 | |
| 2 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 3人気 | 福永祐一 | 2:23.8 | 上り35.1 | 映像 | |
| 8 | GI凱旋門賞 | フランス 芝2400 | 3人気 | 福永祐一 | — | 映像 | ||
| 1 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 1人気 | 柴田善臣 | 1:36.8 | 上り37.1 | 映像 | |
| 1 | GIドバイデューティフリ | アラブ首長国連邦 芝1800 | 1人気 | 福永祐一 | 1:45.5 | — | 映像 | |
| 1 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 2人気 | 横山典弘 | 1:49.8 | 上り36.6 | 映像 | |
| 1 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 5人気 | 福永祐一 | 1:57.5 | 上り34.6 | 映像 | |
| 2 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 6人気 | 柴田善臣 | 1:46.8 | 上り32.7 | — | |
| 2 | GIII関屋記念 | 新潟 芝1600 | 1人気 | 福永祐一 | 1:32.7 | 上り33.2 | — | |
| 2 | GIIIエプソムカップ | 東京 芝1800 | 3人気 | 福永祐一 | 1:45.7 | 上り32.7 | — | |
| 8 | GIII中日新聞杯 | 中京 芝2000 | 2人気 | D.バルジュー | 2:00.3 | 上り35.3 | — | |
| 5 | GII京都記念 | 京都 芝2200 | 1人気 | 内田博幸 | 2:13.2 | 上り34.9 | — | |
| 3 | GIII中山金杯 | 中山 芝2000 | 1人気 | 内田博幸 | 1:59.9 | 上り34.5 | — | |
| 6 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 8人気 | 内田博幸 | 1:57.8 | 上り34.0 | 映像 | |
| 2 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 12人気 | 柴田善臣 | 1:45.0 | 上り33.0 | — | |
| 11 | GI東京優駿 | 東京 芝2400 | 15人気 | 秋山真一郎 | 2:24.8 | 上り34.1 | 映像 | |
| 6 | GINHKマイルカップ | 東京 芝1600 | 4人気 | 福永祐一 | 1:35.3 | 上り34.2 | 映像 | |
| 1 | GIIIアーリントンC | 阪神 芝1600 | 2人気 | 福永祐一 | 1:36.3 | 上り34.2 | — | |
| 4 | GIIIきさらぎ賞 | 京都 芝1800 | 3人気 | 秋山真一郎 | 1:47.9 | 上り34.2 | — | |
| 4 | GIII東京スポーツ杯2歳S | 東京 芝1800 | 3人気 | 後藤浩輝 | 1:53.5 | 上り36.3 | — | |
| 2 | GIII新潟2歳S | 新潟 芝1600 | 1人気 | 福永祐一 | 1:33.9 | 上り32.6 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 新潟 芝1600 | 4人気 | 福永祐一 | 1:36.1 | 上り33.3 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ハーツクライHeart's Cry | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| アイリッシュダンス | トニービンTony Bin | |
| ビューパーダンスBuper Dance | ||
| 母シビル | Wild Again | Icecapade |
| Bushel-n-Peck | ||
| シャロンCharon | Mo Exception | |
| Double Wiggle |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2009年生まれの鹿毛の牡馬。父ハーツクライ、母シビル。主な勝ち鞍は天皇賞・ドバイデューティフリ・安田記念。
一千二百万円の四番仔 ― 名前と馬主
2010年のセレクトセールに、「シビルの4番仔」が上場されていた。最低落札価格の1000万円から札を入れ、1200万円で競り落としたのは、アニメの脚本家・大和屋暁である。競馬サークルに伝手のない男は、その年もハーツクライ産駒に片っ端から入札していた。 大和屋がハーツクライに出会ったのは一口馬主として、2頭目の出資馬がその馬だった。2006年のドバイシーマクラシックは現地で優勝を見届け、続くイギリスまで応援に出向いた。だが喘鳴症が公表され、その年の暮れに引退が決まる。引退パーティーの壇上で、大和屋は馬主になってハーツクライの仔で無念を晴らすと宣言した。 落札の挨拶に赴いた白老ファームで、知っている調教師はいるかと問われ、いないので紹介してほしいと答えた。そこへ通りがかったのが栗東の須貝尚介だった。こうして預けられた鹿毛に、大和屋は「ジャスタウェイ」と名を与える。綴りはJust a Way、意味は「その道」で届け出た。実際には、自分が脚本を書いたアニメ『銀魂』に出てくる、目と口だけが描かれた円筒形の爆弾の名だった。
母のいない仔 ― シビルとシャロン
母シビルは1999年、白老ファームの生まれ。5戦して未勝利のまま繁殖に上がった牝馬である。その母シャロンはアメリカで重賞5勝、1990年のコーチングクラブアメリカンオークスを勝った牝馬で、受胎したまま1998年に日本へ渡ってきた。腹にいたのがシビルだった。 シビルの初仔スカイノダンは2010年の北九州記念で半馬身差の2着に迫るスプリンターになり、4番仔は2009年3月8日、浦河に生まれた。だが翌2010年、5番仔を産んだシビルは結腸捻転で急死する。この馬が世に出るころ、母も、後に続く弟妹もいなかった。 2011年7月23日、新潟の芝1600m。ゲート練習に時間をかけた分だけ体は硬かったが、4番人気の鹿毛は直線半ばで先頭に立ち、後ろを5馬身突き放した。福永祐一とのデビュー戦で初出走初勝利。大和屋が馬主として初めて送り出した一戦でもあり、須貝は「何とか決めたかった」と明かしている[^1]。
出典:スポーツニッポン「【新潟新馬戦】ジャスタウェイ5馬身差の完勝!」2011年7月24日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2011/07/24/kiji/K20110724001268250.html 、閲覧日:2026年7月30日。
惜敗の作法 ― 二〇一二年の春と秋
初戦の勝ちっぷりで、次の新潟2歳Sは単勝1.7倍の1番人気になった。最後方からメンバー最速の脚で追い込んだが、先に抜け出したモンストールに4分の3馬身届かない。不良馬場の東京スポーツ杯2歳Sは後藤浩輝を鞍上に4着、明けてきさらぎ賞は右にもたれながら4着だった。 その癖を舌を縛って抑えて臨んだアーリントンカップで、最後方から大外を回り、内で抜け出していたオリービンをゴール寸前に半馬身捉えて重賞初制覇。だがNHKマイルカップはカレンブラックヒルの逃げ切りを見て6着、東京優駿は15番人気の11着に終わる。福永は有力馬ワールドエースに騎乗し、ダービーの手綱は秋山真一郎が取っていた。 菊花賞ではなく古馬の中距離を選んだ秋、毎日王冠でカレンブラックヒルとクビ差の2着。古馬14頭を相手に、3歳馬2頭でのワンツーだった。続く天皇賞(秋)は内田博幸で6着。強いのに勝てない、という評判だけが積み上がっていく。
勝てそうで勝てない馬 ― 二〇一三年の停滞
4歳の年は重賞の下から仕切り直した。1番人気の中山金杯はタッチミーノットに押し切られて3着、1番人気の京都記念は流れが緩まず5着、中日新聞杯は伸びを欠いて8着。着順は下がる一方の3連敗で放牧に出される。ところが帰ってきた馬が別物になっていた。担当厩務員の榎本優也は、エプソムカップに向かうころにはもうGIに届くと感じたという。 そのエプソムカップは出遅れて最後方から最内をこじ開け、先に抜け出したクラレントにハナ差届かず2着。関屋記念もまた出遅れ、大外からメンバー最速の33秒2でレッドスパーダに迫ってハナ差の2着。秋の毎日王冠はエイシンフラッシュに半馬身差の2着。重賞3連続2着。惜敗を重ねる姿は父ハーツクライを思い出させ、勝てそうで勝てない馬と評された。厩舎には同期のゴールドシップがいて、この馬はその陰にいた。
二〇一三年十月二十七日 ― 四馬身
天皇賞(秋)には、出られないところだった。1週前の出走優先順位は20番目。直前に上位の4頭が回避して、フルゲート18頭の内側へ滑り込んだ。台風接近で輸送は前々日。単勝15.5倍の5番人気で、1番人気は牝馬三冠のジェンティルドンナだった。 トウケイヘイローが前半1000mを58秒4で飛ばす流れを、9番手の外で追走する。直線で外へ持ち出すと、前で先頭を奪ったのはジェンティルドンナ。並ぶ間もなく抜き去り、乾き始めた内へ切れ込みながら伸び続け、2着ジェンティルドンナに4馬身、3着エイシンフラッシュに6馬身をつけた。1年8か月ぶりの勝利が、GIだった。 天皇賞(秋)の4馬身差は、1987年のニッポーテイオーの5馬身に次ぐ。通算2勝の馬が天皇賞を勝ったのは史上初だった。ハーツクライ産駒にとって初のJRA・GIでもある。父がディープインパクトを降して初めてGIを掴んだように、仔はディープインパクト産駒の三冠牝馬を降して最初のGIを掴んだ。福永は12回目の挑戦で天皇賞(秋)初制覇、前週の菊花賞(エピファネイア)から2週連続のGI。父・福永洋一が1972年にヤマニンウエーブでこのレースを勝っており、父子制覇は横山富雄・典弘父子以来2組目となった。須貝は「一番勝ちたかったレースを、なかなか勝てなかった馬で勝てたことがうれしくて、ほろっときました」と明かした[^1]。表彰式に立った大和屋の手には、馬名の由来になった爆弾の人形があった。
出典:デイリースポーツ「【天皇賞】ジャスタ覚醒V福永G1連覇」2013年10月28日配信、https://www.daily.co.jp/horse/2013/10/28/0006452217.shtml 、閲覧日:2026年7月30日。
メイダンの一分四十五秒五二 ― 世界単独一位
「可能なら来年はドバイに挑戦したい」[^1]。天皇賞の表彰式で、大和屋はそう言った。ドバイミーティング制覇は、人生の目標に据えていたものだった。 前哨戦の中山記念は福永が騎乗停止で乗れず、横山典弘の手綱。好位の内を回して3馬身半差の完勝。そして3月29日、メイダン競馬場のドバイデューティフリー。イギリスのブックメーカーは自国のザフューグを差し置いて、この馬を1番人気に置いた。 出遅れて後方2番手。デビュー以来無敗で6連勝の南アフリカ調教馬ウェルキンゲトリクスの背後につけ、直線は外から追い込む。残り300メートルで捉えると、そこから独走になった。2着ウェルキンゲトリクスに6馬身4分の1、その後ろに約8馬身。1分45秒52は、従来のコースレコードを2秒41縮める時計だった。父ハーツクライは2006年のドバイシーマクラシックを勝っている。父仔でのドバイミーティング制覇だった。 この勝ち方に与えられた評価が130ポンド。IFHAのロンジンワールドベストレースホースランキングで、世界単独1位。日本調教馬が単独首位に立ったのは、これが初めてだった。
出典:スポーツニッポン「【天皇賞・秋】ジャスタ馬主・大和屋氏『来年はドバイに』」2013年10月28日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2013/10/28/kiji/K20131028006895420.html 、閲覧日:2026年7月30日。
泥の中の九センチ ― 安田記念
アスコット、ヨーク、ムーニーヴァレー。世界一になった馬には各国から招待が届いたが、須貝は日本のファンの前で走らせたいと言って、帰国初戦に安田記念を選んだ。1週前の追い切りでは、指揮官が化け物と呼ぶほどの動きを見せていた。 ところが福永に、また騎乗停止の処分が下る。代打に立ったのは柴田善臣。前年の毎日王冠で乗っている47歳で、須貝とはJRA競馬学校の第1期生同士、同期でGIを取れたらいいと話していた相手だった。 6月8日、東京は3日続いた雨で不良馬場。GI級を勝った馬が何頭も並ぶ組み合わせを相手に、単勝1.7倍。中団の内で運び、直線は外を塞がれて、荒れた内へ進路を切り替える。先に抜け出したのは16番人気のグランプリボス。何度も泥に脚を取られながら並びかけ、ゴール前の叩き合いを約9センチのハナ差でねじ伏せた。上がりは37秒1。重賞4連勝、GI級3勝目。柴田は「やっぱり世界一の馬」と繰り返した[^1]。
出典:デイリースポーツ「【安田記念】ジャスタ世界一のド根性V」2014年6月9日配信、https://www.daily.co.jp/horse/2014/06/09/0007035166.shtml 、閲覧日:2026年7月30日。
ロンシャンの馬群 ― 凱旋門賞
不良馬場をこじ開けた代償は大きく、宝塚記念は回避となった。秋の照準はロンシャンに定まる。実績に見合ったレースは世界中にあり、招待も届いていた。それでも須貝は未知の側を選ぶ。「凱旋門賞を勝つことは日本競馬の悲願」[^1]。世界一になった馬を預かる者の責任だと語った。 須貝厩舎からはゴールドシップとの2頭。馬房が隣同士で仲が良く、須貝は別の帯同馬を用意せず、互いが互いの帯同馬になることを期待した。ジャスタウェイは前哨戦を使わず、4か月ぶりのぶっつけ本番。パリへの直行便がストライキで飛ばず、アムステルダム経由の陸送に切り替え、予定を8時間超えて現地に入った。仕上がりはドバイの時以上だと福永は見ていた。 10月5日、20年ぶりのフルゲート20頭立て。ハープスターを加えた日本勢3頭はいずれも上位人気に支持された。スタートは良かったが追走に苦しみ、後方の馬群に置かれる。コーナーでは外から寄られて内から出られず、揉まれ通し。直線、最内に進路はなく、外へ持ち出すのに手間取った。先に抜け出したトレヴが独走し、約5馬身差の8着。福永は敗因を距離ではなく力負けだとした。
出典:スポーツニッポン「【凱旋門賞】須貝師 最強2頭出しも無念『また挑戦したい』」2014年10月6日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/10/06/kiji/K20141006009055970.html 、閲覧日:2026年7月30日。
二着と四着 ― そしてロンドンの壇上
帰国初戦は、凱旋門賞と同じ2400メートルのジャパンカップ。福永はエピファネイアの主戦でもあったが、こちらの手綱を選んだ。1枠1番から中団の内を回り、直線は外へ。イスラボニータを競り落とし、後ろから来た馬たちにも前を譲らなかったが、先に抜け出したエピファネイアとの差は開くばかりで、4馬身差の2着。この一戦のエピファネイアは129ポンドと評価され、世界2位。日本調教馬が世界の一位と二位を占める年になった。 12月28日の有馬記念は4着。勝ったのはジェンティルドンナで、あちらもラストランだった。日が落ちてから、ゴールドシップと連れ立って中山を出て、栗東へ帰った。 年明けの1月4日、京都で引退式。榎本の好きな『終わりなき旅』が流れ、天皇賞(秋)のゼッケンを着け、福永を背にキャンターを見せた。JRA賞は285票中242票を集めて最優秀4歳以上牡馬。 1月20日、ロンドン。2014年度のロンジンワールドベストレースホースランキングが発表され、130ポンドで年間単独1位。日本調教馬として初めての首位であり、2位のエピファネイアと並んでの表彰だった。壇上に立った大和屋は、前にイギリスへ来たのはハーツクライがキングジョージに出走したときで、あのときは残念だったが、この賞をもらってロンドンが好きになったと語った。引退パーティーの壇上で口にした宣言は、こうして果たされた。
継ぐ者たち ― 日高の十七歳
種牡馬として社台スタリオンステーションに入ったとき、割り当てられた馬房は父ハーツクライの真向かいだった。初年度に220頭と交配し、産駒が走り出した2018年、新種牡馬の頂点に立つ。 初年度産駒のヴェロックスは皐月賞2着、東京優駿3着、菊花賞3着とクラシック三冠すべてで上位に食い込んだ。マスターフェンサーは日本生産馬として初めてケンタッキーダービーに出走して6着、ベルモントステークスは5着。アドマイヤジャスタは須貝と榎本の手で函館記念を勝ち、テオレーマはJBCレディスクラシックを制した。3年目産駒のダノンザキッドはホープフルステークスを勝ち、産駒に初めてのJRA・GIとJRA賞をもたらす。近年もヤマニンウルスが東海ステークス、ミステリーウェイがアルゼンチン共和国杯、コレペティトールが京都金杯を勝っている。母を早くに亡くし、後に続く弟妹もいなかった血が、いまは幾筋にも分かれて走っている。 2021年からは日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで供用され、17歳になった今も種牡馬として立つ。 惜敗ばかりを積み上げた鹿毛は、四歳の秋の府中で一度だけ音を立て、その音が世界の頂まで届いた。Just a Way――届け出た意味は「その道」。ハナ差で二着を続けた夏も、ロンシャンで揉まれた十月も、あとから見ればすべてがその道だった。
産駒 — 旅を継ぐ馬
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