名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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ジューンベロシティのイメージビジュアル
ジューンベロシティJune Velocity
June Velocity

ジューンベロシティ

通算成績44戦10勝

獲得賞金39,860万円

生年月日 2018.04.10(平成30年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ジューンベロシティの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
2 東京ジャンプS 東京 障3110 1人気 高田潤 3:22.9 上り13.0映像
2 小倉ジャンプS 小倉 障3390 1人気 高田潤 3:50.2 上り13.6映像
4 JGⅠ中山大障害 中山 障4100 3人気 高田潤 4:48.5 上り14.1映像
1 JGⅡ東京ハイジャンプ 東京 障3110 1人気 高田潤 3:26.8 上り13.3映像
2 阪神ジャンプS 阪神 障3140 1人気 高田潤 3:29.7 上り13.4映像
1 東京ジャンプS 東京 障3110 1人気 高田潤 3:25.2 上り13.2映像
4 JGⅠ中山グランドジャンプ 中山 障4260 2人気 森一馬 4:53.3 上り13.8映像
2 阪神スプリングJ 阪神 障3900 1人気 森一馬 4:31.7 上り13.9
4 JGⅠ中山大障害 中山 障4100 1人気 高田潤 4:42.0 上り13.8映像
1 JGⅡ東京ハイジャンプ 東京 障3110 1人気 高田潤 3:24.8 上り13.2映像
1 東京ジャンプS 東京 障3110 2人気 高田潤 3:26.5 上り13.3映像
2 JGⅠ中山グランドジャンプ 中山 障4250 5人気 森一馬 4:47.7 上り13.5映像
2 OP春麗ジャンプS 小倉 障3390 1人気 高田潤 3:48.9 上り13.5
5 JGⅠ中山大障害 中山 障4100 2人気 西谷誠 4:42.0 上り13.8映像
4 JGⅡ東京ハイジャンプ 東京 障3110 1人気 西谷誠 3:33.7 上り13.7
1 阪神ジャンプS 阪神 障3140 1人気 西谷誠 3:25.7 上り13.1
1 東京ジャンプS 東京 障3110 6人気 西谷誠 3:26.5 上り13.3
6 JGⅠ中山グランドジャンプ 中山 障4250 7人気 西谷誠 4:59.0 上り14.1映像
2 OP春麗ジャンプS 小倉 障3390 4人気 西谷誠 3:48.2 上り13.5
1 障害4歳以上OP 小倉 障2860 9人気 西谷誠 3:12.4 上り13.5
1 障害3歳以上未勝利 福島 障2770 7人気 高田潤 3:01.9 上り13.1
9 障害3歳以上未勝利 新潟 障2850 10人気 高田潤 3:13.3 上り13.6
10 勝浦特別 中山 芝1200 11人気 酒井学 1:09.0 上り34.7
8 宗像特別 小倉 芝1200 10人気 富田暁 1:08.2 上り34.1
4 雲仙特別 小倉 芝1200 6人気 松若風馬 1:07.9 上り34.8
4 シンガポールTC賞 小倉 芝1200 3人気 富田暁 1:08.2 上り33.9
7 大日岳特別 新潟 芝1200 9人気 津村明秀 1:09.3 上り34.3
3 福島中央テレビ杯 福島 芝1200 10人気 太宰啓介 1:09.4 上り34.8
12 帆柱山特別 小倉 芝1200 4人気 横山和生 1:08.0 上り34.4
1 4歳以上1勝クラス 小倉 芝1200 3人気 富田暁 1:08.9 上り34.1
4 3歳以上1勝クラス 中京 ダ1200 8人気 富田暁 1:12.6 上り36.8
15 二本松特別 福島 芝1200 6人気 富田暁 1:11.4 上り35.4
2 3歳以上1勝クラス 福島 芝1200 3人気 富田暁 1:09.0 上り34.5
5 3歳以上1勝クラス 小倉 芝1200 3人気 富田暁 1:08.6 上り34.3
2 3歳以上1勝クラス 小倉 芝1200 5人気 富田暁 1:07.9 上り33.6
15 筑紫特別 小倉 芝1200 8人気 富田暁 1:09.2 上り36.0
7 3歳1勝クラス 中京 芝1200 6人気 富田暁 1:09.3 上り34.6
10 L橘S 中京 芝1400 12人気 富田暁 1:21.6 上り35.4
1 3歳未勝利 小倉 芝1200 4人気 富田暁 1:09.6 上り35.0
2 3歳未勝利 小倉 芝1200 3人気 富田暁 1:09.0 上り34.4
3 3歳未勝利 小倉 芝1200 4人気 富田暁 1:10.8 上り36.1
10 3歳未勝利 中京 ダ1400 3人気 福永祐一 1:28.8 上り41.2
7 2歳未勝利 京都 芝2000 3人気 藤岡康太 2:06.7 上り37.1
5 2歳新馬 中京 芝1600 3人気 藤岡康太 1:36.7 上り35.9

血統

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ジューンベロシティの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ロードカナロアLord KanaloaキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
レディブラッサムStorm Cat
サラトガデューSaratoga Dew
アドマイヤサブリナシンボリクリスエスSymboli Kris SKris S.
Tee Kay
ツィンクルヴェールサンデーサイレンスSunday Silence
ツィンクルブライド
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの青鹿毛の牡馬。父ロードカナロア、母アドマイヤサブリナ。

ジューンの速度 ― 名と血

馬主・吉川潤の冠名「ジューン」に、速度を意味するベロシティを継いだ。2018年4月10日、北海道浦河のヒダカファームに生まれた青鹿毛の牡馬である。 父はスプリント界を席巻したロードカナロア、母はシンボリクリスエスを父に持つアドマイヤサブリナ。半弟には、のちに平地で京都新聞杯と京都記念を制すジューンテイク(父キズナ)がいる。近親にはセントライト記念などを勝ったミッキースワロー、シンザン記念のペールギュントの名も連なる、勝負の血だった。 2020年10月、中京の芝1600メートル。デビュー戦の手綱をとったのは藤岡康太だった。結果は5着。名血の子の物語は、平地の一頭の走りから静かに始まる。

平地の袋小路

短距離王の子は、短距離に活路を求めた。芝1200メートルを中心に走り続けたが、勝ち上がりは遠かった。ようやく未勝利を抜けたのは2021年2月、小倉の芝1200メートル。富田暁を背にしての白星だった。 だが重賞の壁は厚い。リステッドの橘ステークスでは二桁着順に沈み、以後は1勝クラスを行きつ戻りつする日々が続く。二つ目の勝利は2022年1月、同じ小倉の芝1200メートル。四歳になっていた。 父が約束したはずのスピードは、平地の器では実らなかった。二十二戦して二勝。行き場を失いかけた血に、別の扉が用意されていた。

障害という活路

2022年10月、新潟。ジューンベロシティは初めて障害に挑んだ。手綱は高田潤。結果は9着。だが、そこに眠っていた才が顔を出すのに、時間はかからなかった。 三週間後の福島、障害未勝利戦をあっさりと勝ち上がる。年が明けた小倉の障害オープンでは、九番人気の低評価をものともせず先頭でゴールした。飛越の巧みさが、平地では引き出せなかった速度を、次々に呼び覚ましていく。 頭打ちだった短距離馬は、障害の世界で息を吹き返した。ここから、この馬の本当の物語が始まる。

重賞の扉 ― 二〇二三年

2023年6月、東京の障害3110メートル。単勝六番人気のジューンベロシティは、スタートで出遅れた。だが西谷誠は慌てない。向正面でじわりと進出し、四角で外に持ち出すと、直線半ばで力強く抜け出す。障害重賞初制覇だった。 三か月後の阪神ジャンプステークスでは一番人気に応え、直線でホッコーメヴィウスを捉えて重賞連勝。西谷は充実の五歳馬をこう讃えた――「まだ5歳、本当にかっこいい」[^1]。 もっとも、頂はまだ遠い。同じ年、中山グランドジャンプは6着、暮れの中山大障害は5着。最も高い障害と最も長い距離は、この馬に別の課題を突きつけていた。

出典:中日スポーツ「ジューンベロシティ、人気に応え重賞連勝 西谷は大絶賛『余裕ありすぎ…まだ5歳、本当にかっこいい』【阪神ジャンプS】」2023年9月16日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/770613 、閲覧日:2026年7月20日。

東京の飛越を庭に ― 高田潤との日々

2024年、手綱は再び高田潤に託される。ここから、東京の障害はジューンベロシティのものになった。 六月の東京ジャンプステークスを連覇すると、十月の東京ハイジャンプ(J・GII)ではハナを切り、飛越のたびに後続との差を広げて逃げ切った。三番人気エコロデュエルに二馬身差、堂々の押し切りで重賞四勝目。明けて2025年、東京ジャンプステークスは好位から二周目の向正面で先頭をかわし、長く脚を使って三連覇を果たす。「馬のポテンシャルに助けられました」[^1]と、高田は万全でなかった相棒を讃えた。 そして十月、東京ハイジャンプ。ゴール前の競り合いをハナ差で凌ぎ、連覇を達成する。同レースの連覇はオジュウチョウサン以来、史上二頭目。高田にとっては石神深一と並ぶ障害重賞最多タイの二十六勝目でもあった。半弟ジューンテイクが平地の京都で重賞を積み上げていくころ、兄は東京の障害を庭にしていた。

出典:中日スポーツ「【東京ジャンプステークス】ジューンベロシティが当レース3連覇 コンビを組んだ高田『馬のポテンシャルに助けられました』」2025年6月14日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/1082386 、閲覧日:2026年7月20日。

大障害の壁

東京の飛越では敵がいなくても、中山の大障害は別の山だった。四千メートルを超える距離と、日本一高い障害。ジューンベロシティにとって、J・GIの二つ――中山グランドジャンプと中山大障害――は、どうしても越えられない頂であり続けた。 最も近づいたのは2024年春の中山グランドジャンプ。森一馬を背に、勝ったイロゴトシに続いて二着に粘った。だが年末の中山大障害は一番人気で四着。翌2025年の暮れ、高田が自らまたがってきた中で最高の状態だと評して送り出した大障害でも、順位は四着だった。 届きそうで、届かない。栄光の裏に置かれたこの影が、東京での圧倒的な強さを、いっそう際立たせていた。

跳び続ける ― 二〇二六年

2026年、ジューンベロシティは八歳になってなお現役にある。六月の東京ジャンプステークスで二着に走ったのが、今のところ最後の一戦だ。 デビューの二戦を託した藤岡康太は、もういない。2024年春、落馬事故により三十五歳で世を去った。始まりの手綱をとった人がいなくなっても、その人が送り出した馬は、いまも障害の向こうへ跳び続けている。 「これからもジャンプ界を引っ張っていってくれると思う」[^1]。連覇の日、高田はそう相棒を語った。平地では実らなかった父の速度を、この馬は障害という舞台で咲かせた。八歳になってなお、その脚は衰えを見せない。また障害の向こうへ跳ぶ日を、静かに待ちたい。

出典:スポーツ報知「【東京ハイジャンプ】ジューンベロシティ連覇で高田騎手が歴代最多タイの障害重賞26勝目 相棒へ『これからもジャンプ界を引っ張っていってくれると思う』」2025年10月19日配信、https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/hochi/sports/hochi-20251019-OHT1T51276 、閲覧日:2026年7月20日。

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