名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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ジュンライトボルトのイメージビジュアル
ジュンライトボルトJun Light Bolt
Jun Light Bolt

ジュンライトボルト

通算成績28戦7勝

獲得賞金34,365万円

生年月日 2017.04.27(平成29年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ジュンライトボルトの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 7人気 石川裕紀人 2:03.3 上り37.6映像
15 GIドバイワールドカップ メイダン ダ2000 6人気 R.ムーア 映像
7 GIサウジカップ キングアブドゥル ダ1800 3人気 R.ムーア 1:52.2 映像
1 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 3人気 石川裕紀人 1:51.9 上り36.2映像
1 GIIIシリウスS 中京 ダ1900 4人気 石川裕紀人 1:57.7 上り37.6映像
1 LBSN賞 新潟 ダ1800 4人気 石川裕紀人 1:51.5 上り37.6
2 LジュライS 福島 ダ1700 6人気 石川裕紀人 1:43.9 上り37.4
7 LキャピタルS 東京 芝1600 5人気 石橋脩 1:33.5 上り34.7
11 LポートアイランドS 中京 芝1600 3人気 石橋脩 1:33.3 上り35.0
6 OP関越S 新潟 芝1800 1人気 岩田望来 1:46.3 上り33.2
1 むらさき賞 東京 芝1800 2人気 川田将雅 1:44.3 上り33.8
1 鞍ケ池特別 中京 芝1600 1人気 川田将雅 1:33.1 上り33.3
2 須磨特別 阪神 芝1800 2人気 浜中俊 1:48.9 上り33.3
5 玄海特別 小倉 芝1800 1人気 浜中俊 1:48.7 上り35.0
2 宇佐特別 小倉 芝1800 4人気 浜中俊 1:46.8 上り34.7
4 春待月賞 阪神 芝1600 3人気 岩田望来 1:34.3 上り33.7
7 3歳以上2勝クラス 阪神 芝1600 4人気 藤井勘一郎 1:34.0 上り34.7
7 Mブエナビスタ 中京 芝1600 4人気 藤井勘一郎 1:34.0 上り34.8
5 月岡温泉特別 新潟 芝1600 3人気 藤井勘一郎 1:33.5 上り33.6
2 L橘S 京都 芝1400 4人気 川田将雅 1:21.4 上り34.7
6 GIIIアーリントンC 阪神 芝1600 9人気 藤井勘一郎 1:35.2 上り37.0
1 フローラルウォーク賞 中京 芝1600 2人気 藤井勘一郎 1:34.5 上り34.9
7 つばき賞 京都 芝1800 1人気 福永祐一 1:52.6 上り36.8
6 GI朝日杯フューチュリティステークス 阪神 芝1600 10人気 岩田康誠 1:33.9 上り35.6映像
2 ベゴニア賞 東京 芝1600 2人気 C.スミヨン 1:36.4 上り35.8
3 紫菊賞 京都 芝2000 3人気 福永祐一 2:03.9 上り35.1
1 2歳未勝利 阪神 芝1800 1人気 福永祐一 1:47.5 上り33.4
3 2歳新馬 中京 芝2000 1人気 福永祐一 2:04.3 上り36.0

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ジュンライトボルトの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
キングカメハメハKing KamehamehaKingmamboMr. Prospector
Miesque
マンファスManfathラストタイクーンLast Tycoon
Pilot Bird
スペシャルグルーヴスペシャルウィークSpecial WeekサンデーサイレンスSunday Silence
キャンペンガール
ソニックグルーヴフレンチデピュティFrench Deputy
エアグルーヴAir Groove

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2017年生まれの鹿毛の牡馬。父キングカメハメハ、母スペシャルグルーヴ。主な勝ち鞍はチャンピオンズC・シリウスS。

稲妻の名を負って

2017年4月27日、北海道安平町のノーザンファームに、父キングカメハメハ、母スペシャルグルーヴの牡馬が生まれた。翌2018年のセレクトセールで、河合純二が1億2000万円で競り落とす。与えられた名は、馬主の冠名「ジュン」に、稲妻と落雷を意味する「ライトボルト」を継いだもの——ひとことで言えば、稲妻だった。 だが名の通りに空を裂くには、ずいぶんと時間がかかる。2019年7月21日、中京の芝2000mの新馬戦。1番人気に推されながら3着。9月7日、阪神の未勝利を福永祐一が勝ち上がって初勝利を挙げると、暮れの朝日杯フューチュリティステークスへ駒を進めた。10番人気の6着。初めてのGIは、遠くから舞台を眺めるだけで終わる。 血の格は、申し分なかった。三代母には、女帝と呼ばれたエアグルーヴが座る。それでもこの日の稲妻は、まだ雲の奥で息をひそめていた。

芝で届かなかった刻

3歳の春、素質は確かに光っていた。だが、つばき賞では1番人気で7着に沈み、フローラルウォーク賞を勝つ一方で、重賞のアーリントンカップは6着、リステッドの橘Sは2着。勝ち切れない。クラシックの舞台に、その名が載ることはなかった。 4歳になった2021年、川田将雅を背に鞍ケ池特別とむらさき賞を連勝し、オープンまで駆け上がる。しかし、そこが芝での天井だった。1番人気に支持された関越Sは6着、ポートアイランドSは11着、キャピタルSは7着。持てるものの大きさが、着順に結びつかない。速い上がりを使いながら、いつも半歩、届かなかった。稲妻と名づけられた馬は、芝の上では、鳴りきらない雷のままだった。

ダートという発見

転機は、5歳の夏に訪れた。陣営が、一度も走ったことのなかったダートを試す。2022年7月24日、福島のジュライステークス。初めての砂で、いきなり2着に来た。鞍上は、この日から主戦となる石川裕紀人。芝で三年かけて掴めなかった手応えが、砂の上には最初からあった。 続く8月のBSN賞を制してダート初勝利。10月のシリウスステークスでは、重賞のタイトルまで奪う。矛先を砂へ変えてわずか三戦で、二勝と一つの2着。上りづめの勢いのまま、馬は初めてのGIへ向かった。名の意味が、ようやく身体に追いついてきた。

九年目の夢

2022年12月4日、中京ダート1800m、チャンピオンズカップ。3番人気。大外からレッドソルダードが逃げ、前半3ハロンは緩み、遅い流れになった。前年の覇者テーオーケインズは動かない。ジュンライトボルトは中団で脚をため、直線で外へ持ち出す。 先に抜け出したのは、2番手から粘り込みをはかる3歳のクラウンプライド——鞍上は、かつてこの馬の未勝利を勝たせた福永祐一だった。残り100m、外から伸びた稲妻が、その首をゴールぎりぎりで捉える。クビ差。上がり最速の36秒2の末脚が、初めて空を裂いた瞬間だった。 騎乗していた石川裕紀人にとっても、デビュー9年目でようやく掴んだ初のGIだった。夢のようだ——石川は勝利をそう表し、何よりジュンライトボルトが自分たち関係者にG1をプレゼントしてくれたのだと、繰り返し馬への感謝を口にした。人も馬も、初めて見る大きな景色だった。

世界の壁、その先へ

戴冠の勢いのまま、6歳の稲妻は海を渡った。2023年2月のサウジカップは3番人気で7着、3月のドバイワールドカップは15着。世界のダートの層の厚さは、日本の一冬を照らした閃光を、あっさりと呑み込んだ。 帰国後、6月28日の帝王賞。大井のダート2000mで7着。これが、現役最後の一戦になった。同年9月に登録を抹消され、翌2024年から新冠の優駿スタリオンステーションで種牡馬入りする。ダート路線の体系が整いゆくいまこそ、種牡馬として送り出す好機だと陣営は語った。芝で生まれ、砂で花を開いた稲妻は、次の世代へ光を託す側にまわった。

血のバトン

この馬の背には、日本競馬でも屈指の牝系が流れている。三代母エアグルーヴは、1996年の優駿牝馬を、母ダイナカール(1983年の同レース馬)との母娘制覇で飾り、翌1997年には天皇賞(秋)を制して、牝馬として26年ぶりの年度代表馬に輝いた女帝である。その血からは、エリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴ、香港でクイーンエリザベス2世カップを制したルーラーシップ、皐月賞・ダービーの二冠馬ドゥラメンテが出た。二代母ソニックグルーヴは、そのエアグルーヴが産んだ一頭——一族の勲章の多くは、芝で刻まれてきた。 キングカメハメハエアグルーヴの血に重ねる配合は、ルーラーシップドゥラメンテと同じ筋にある。だがジュンライトボルトは、その血で初めて、ダートのGIを射抜いた。 そして松明は、さらに若い半弟へ渡る。芝では半兄グルーヴィットが2019年の中京記念を勝っていたが、同じスペシャルグルーヴが産んだ半弟ミッキーファイトは、砂で開花した。2025年に帝王賞でJpnI初制覇、JBCクラシックを圧勝し、2026年には帝王賞を連覇——メイショウハリオ以来、史上2頭目の連覇である。奇しくもその帝王賞は、兄ジュンライトボルトが現役最後に走った舞台でもあった。兄が閉じた扉の前で、弟が戴冠を重ねていく。 芝の女帝の血は、二頭の兄弟を通して、砂という新しい大地に根を張った。その最初の一閃が、ジュンライトボルトだった。長く雲にこもっていた稲妻は、中京の十二月の空をたった一度、たしかに裂いた——そして、弟の走る道を明るく照らした。

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