名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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ジュンブロッサムのイメージビジュアル
ジュンブロッサムJun Blossom
Jun Blossom

ジュンブロッサム

通算成績27戦5勝

獲得賞金21,113万円

生年月日 2019.04.15(令和元年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ジュンブロッサムの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
9 GIIIエプソムカップ 東京 芝1800 7人気 荻野極 1:45.8 上り33.2映像
11 GIIIダービー卿チャレンジトロフィー 中山 芝1600 12人気 荻野極 1:34.5 上り35.3映像
7 LキャピタルS 東京 芝1600 1人気 石川裕紀人 1:32.2 上り33.5
4 GII富士S 東京 芝1600 9人気 石川裕紀人 1:32.1 上り32.8映像
11 GI安田記念 東京 芝1600 6人気 武豊 1:33.4 上り34.0映像
2 GII読売マイラーズカップ 京都 芝1600 1人気 武豊 1:31.8 上り33.2映像
10 GIII東京新聞杯 東京 芝1600 6人気 戸崎圭太 1:33.4 上り34.2映像
10 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 5人気 戸崎圭太 1:32.7 上り34.0映像
1 GII富士S 東京 芝1600 4人気 戸崎圭太 1:32.1 上り33.1映像
3 GIII関屋記念 新潟 芝1600 1人気 戸崎圭太 1:33.2 上り32.5映像
1 水無月S 京都 芝1600 1人気 川田将雅 1:31.5 上り33.1
5 石清水S 京都 芝1600 1人気 川田将雅 1:35.2 上り34.9
1 Mロードカナロア 阪神 芝1600 1人気 川田将雅 1:31.8 上り32.6
2 五頭連峰特別 新潟 芝1600 1人気 石川裕紀人 1:33.3 上り32.7
2 豊栄特別 新潟 芝1600 1人気 坂井瑠星 1:33.6 上り32.4
6 館山特別 中山 芝2000 1人気 C.ルメール 2:06.3 上り38.1
2 須磨特別 阪神 芝1800 1人気 坂井瑠星 1:46.0 上り33.1
4 フォーチュンC 阪神 芝2000 1人気 川田将雅 1:59.9 上り35.2
2 オリエンタル賞 東京 芝2000 1人気 C.デムーロ 1:59.0 上り33.1
4 GII神戸新聞杯 中京 芝2200 6人気 坂井瑠星 2:11.8 上り35.1映像
1 出雲崎特別 新潟 芝1800 1人気 川田将雅 1:44.1 上り33.2
4 3歳1勝クラス 中京 芝1600 1人気 福永祐一 1:34.2 上り32.6
4 GIIIアーリントンC 阪神 芝1600 2人気 吉田隼人 1:32.9 上り33.3
2 アルメリア賞 阪神 芝1800 1人気 吉田隼人 1:46.4 上り34.7
4 GIII共同通信杯 東京 芝1800 6人気 武豊 1:48.5 上り34.5映像
1 2歳未勝利 東京 芝2000 2人気 武豊 1:59.2 上り34.4
2 2歳新馬 東京 芝2000 2人気 武豊 2:03.4 上り34.5

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ジュンブロッサムの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ワールドエースディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
マンデラMandelaAcatenango
Mandellicht
エンプレスティアラクロフネKurofuneフレンチデピュティFrench Deputy
ブルーアヴェニューBlue Avenue
ゴールドティアラSeeking the Gold
Bright Tiara
STORY

旅程 — この馬の物語

2019年生まれの黒鹿毛の牡馬。父ワールドエース、母エンプレスティアラ。主な勝ち鞍は富士S。

開花せよ ― 名前の由来

名は、祈りだった。 馬主・河合純二の一字「純(じゅん)」に、花の咲くことを指す英語ブロッサムを重ねる。ジュンブロッサム――「開花する様に」。ノーザンファームで二〇一九年四月に生まれた黒鹿毛には、咲け、という願いがそのまま名として掛けられた。 血にも、遅れて咲く者の気配があった。父ワールドエースは、二〇一二年の皐月賞を二番人気で二着に惜しんだ素質馬。だがダービーののちに脚を痛め、屈腱炎で一年八か月を棒に振り、戻ってきた五歳の春にマイラーズカップをコースレコードで奪う――クラシックの器と目されながら、本当の花はマイルで、しかも歳を重ねてから開いた馬である。母エンプレスティアラの母、つまり祖母は、南部杯を制した砂の女傑ゴールドティアラ。華やかな名の連なる牝系だった。 二〇二一年秋、東京の新馬戦。鞍上は武豊。二着に敗れたが、続く未勝利戦を二歳レコードの好時計で勝ち上がる。名前どおり、すぐにでも咲きそうに見えた。だが、そこからが長かった。

咲かぬ一番人気

翌春、クラシックを夢見て共同通信杯へ進むも四着。距離を二千、二千二百と延ばして臨んだ神戸新聞杯も四着。重賞の壁は、思いのほか高かった。 それでも条件戦では走った。出雲崎特別、Mロードカナロアカップ、水無月ステークス――主に川田将雅の手綱で、格の下のレースを一つずつ勝ち上がっていく。厄介だったのは、勝ちきれなさのほうだ。アルメリア賞、須磨特別、豊栄特別、五頭連峰特別。単勝一番人気に推されては二着に取りこぼす日が、幾度も続いた。期待は毎回されるのに、あと半馬身が届かない。 手綱は名手たちの間を渡り歩いた。武豊、吉田隼人、福永祐一、坂井瑠星、ルメール。誰が跨っても、重賞のタイトルだけは遠かった。ただ、走りは少しずつマイルへ寄っていった。父ワールドエースがそうであったように、この馬の本当の居場所も、長い距離ではなく一マイルにあったのだ。

五歳の秋、開花 ― 富士ステークス

五歳を迎えても、歯がゆさは続いた。八月の関屋記念は一番人気に応えられず三着。またも、あと一歩だった。 二〇二四年十月十九日、東京・富士ステークス。デビューからほぼ三年、これが十九戦目である。鞍上には戸崎圭太。四番人気と、評価はまだ半信半疑のままだった。 中団で脚を溜め、直線で外へ持ち出す。前をゆく先行勢を、外から一完歩ずつ捉えていく。ソウルラッシュらを差し切って先頭でゴールを駆け抜けたとき、時計は一分三十二秒一。五歳の秋、十九戦目、五勝目にして、ついに掴んだ重賞のタイトルだった。名づけられて三年、馬はようやく名前どおりに咲いた。 この一勝には、もう一つの意味があった。父ワールドエース――クラシックで咲ききれず、マイルで遅れて開いたあの馬の産駒として、これがJRA重賞の初制覇だったのだ。届かなかった父の栄光を、遅咲きの息子が別のかたちで受け継いだ。

血は二度咲く ― 十年前の同じ舞台

咲いた花には、根があった。 祖母ゴールドティアラは、二〇〇〇年の南部杯を勝った砂の女傑。ノーザンファームで繁殖牝馬となり、クロフネを配された二頭の娘を遺す――エンプレスティアラと、ココシュニックである。父も母も同じくする、全姉妹だった。 そのココシュニックの仔が、ステファノスだった。父はディープインパクト。二〇一四年、ちょうど十年前の富士ステークスを制し、のちに天皇賞・秋や大阪杯で二着を重ね、GIにあと一歩まで迫った名脇役である。そして――その日ステファノスに跨っていたのも、戸崎圭太だったのだ。 ゴールドティアラという一つの牝系が、十年を隔てて二頭のいとこを同じ富士ステークスへ送り出し、二度とも戸崎の手で勝たせた。血は、同じ場所で二度咲く。ジュンブロッサムの開花は、一族の物語の続きでもあった。

咲いたその先へ

一度咲いた花に、競馬は次の高さを求める。続くマイルチャンピオンシップは十着、翌年の安田記念も十一着。GIの舞台では、まだ一つ壁があった。富士ステークスの連覇を狙った二〇二五年も四着に終わり、王座は戻らなかった。 それでも、この馬らしい一戦があった。六歳の春、読売マイラーズカップ。かつて父ワールドエースがコースレコードで駆け抜けた、あの重賞である。鞍上は武豊――デビュー戦に跨った男が、再び手綱を取った。一番人気に応え、惜しくも二着。父の記念碑の上で、息子はもう一度、あと半馬身の位置に立った。 二〇二六年、七歳。この馬はなおターフに在る。遅れて咲くことを、誰よりよく知っている一頭だ。急がなくていい。名前が最初から約束していたとおり、また咲く日を、静かに待てばいい。

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