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イロゴトシ
通算成績31戦6勝
獲得賞金2億849万円
生年月日 2017.03.07(平成29年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | JGⅠ中山グランドジャンプ | 中山 障4250 | 2人気 | 黒岩悠 | 4:47.2 | 上り13.5 | 映像 | |
| 13 | スピカS | 中山 芝1800 | 14人気 | 松岡正海 | 1:48.5 | 上り34.5 | — | |
| 6 | JGⅡ東京ハイジャンプ | 東京 障3110 | 2人気 | 黒岩悠 | 3:35.0 | 上り13.8 | — | |
| 1 | JGⅠ中山グランドジャンプ | 中山 障4250 | 6人気 | 黒岩悠 | 4:54.1 | 上り13.8 | 映像 | |
| 3 | OPペガサスジャンプS | 中山 障3350 | 5人気 | 黒岩悠 | 3:48.7 | 上り13.7 | — | |
| 1 | 障害4歳以上未勝利 | 小倉 障2860 | 2人気 | 黒岩悠 | 3:09.2 | 上り13.2 | — | |
| 3 | 障害4歳以上未勝利 | 小倉 障2860 | 3人気 | 黒岩悠 | 3:13.8 | 上り13.6 | — | |
| 13 | 魚沼S | 新潟 芝2000 | 13人気 | 古川吉洋 | 2:01.6 | 上り35.8 | — | |
| 16 | 関ケ原S | 中京 芝2000 | 16人気 | 斎藤新 | 2:00.3 | 上り34.6 | — | |
| 9 | 不知火S | 小倉 芝1800 | 7人気 | 荻野極 | 1:49.3 | 上り34.8 | — | |
| 5 | 博多S | 小倉 芝2000 | 10人気 | 和田竜二 | 1:58.0 | 上り35.4 | — | |
| 5 | 弥彦S | 新潟 芝1800 | 7人気 | 荻野極 | 1:47.3 | 上り34.2 | — | |
| 16 | 府中S | 東京 芝2000 | 12人気 | 津村明秀 | 2:00.0 | 上り36.4 | — | |
| 5 | 甲斐路S | 東京 芝2000 | 5人気 | 石川裕紀人 | 2:00.2 | 上り35.5 | — | |
| 4 | 関ケ原S | 中京 芝2000 | 4人気 | 松若風馬 | 2:00.0 | 上り34.5 | — | |
| 3 | 博多S | 小倉 芝2000 | 4人気 | 松山弘平 | 2:01.8 | 上り34.6 | — | |
| 1 | 揖斐川特別 | 中京 芝2000 | 4人気 | 松山弘平 | 2:00.4 | 上り34.9 | — | |
| 3 | 安城特別 | 中京 芝2000 | 5人気 | 岩田望来 | 2:02.0 | 上り33.8 | — | |
| 5 | 鹿野山特別 | 中山 芝2000 | 8人気 | 岩田望来 | 2:02.6 | 上り36.1 | — | |
| 7 | 清滝特別 | 京都 芝1800 | 11人気 | 小崎綾也 | 1:50.6 | 上り35.9 | — | |
| 14 | GII神戸新聞杯 | 中京 芝2200 | 18人気 | 小崎綾也 | 2:14.1 | 上り37.2 | 映像 | |
| 2 | 霧島賞 | 佐賀 ダ1400 | 3人気 | 小崎綾也 | 1:29.0 | 上り37.5 | — | |
| 7 | L白百合S | 京都 芝1800 | 7人気 | 小崎綾也 | 1:49.5 | 上り34.6 | — | |
| 5 | GII京都新聞杯 | 京都 芝2200 | 13人気 | 小崎綾也 | 2:12.5 | 上り36.2 | 映像 | |
| 7 | L若葉S | 阪神 芝2000 | 12人気 | 川又賢治 | 2:00.0 | 上り34.5 | — | |
| 8 | JpnⅠ全日本2歳優駿 | 川崎 ダ1600 | 11人気 | 幸英明 | 1:43.8 | 上り40.5 | — | |
| 7 | JpnⅡ兵庫ジュニアグランプリ | 園田 ダ1400 | 7人気 | 幸英明 | 1:30.3 | 上り39.6 | — | |
| 9 | GIIIサウジアラビアロイヤルカップ | 東京 芝1600 | 8人気 | 小崎綾也 | 1:34.5 | 上り35.0 | 映像 | |
| 1 | OPひまわり賞 | 小倉 芝1200 | 3人気 | 小崎綾也 | 1:09.9 | 上り35.8 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 小倉 芝1200 | 3人気 | 小崎綾也 | 1:10.2 | 上り35.0 | — | |
| 4 | 2歳新馬 | 小倉 芝1200 | 5人気 | 小崎綾也 | 1:11.0 | 上り36.5 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ヴァンセンヌ | ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence |
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | ||
| フラワーパーク | ニホンピロウイナー | |
| ノーザンフラワー | ||
| 母イロジカケ | クロフネKurofune | フレンチデピュティFrench Deputy |
| ブルーアヴェニューBlue Avenue | ||
| リッジローズRidge Rose | Sadler's Wells | |
| Fig Tree Drive |
旅程 — この馬の物語
2017年生まれの鹿毛の牡馬。父ヴァンセンヌ、母イロジカケ。
色の一族 ― 熊本に生まれた鹿毛
北海道に生産の主役を譲って久しい九州の地に、その馬は生まれた。2017年3月7日、熊本県、本田土寿の牧場。母の名はイロジカケ――色仕掛け。その仔に付いた名は、イロゴトシ。色事師である。恋の駆け引きに長けた、移り気な色男の名だ。母イロジカケの産駒はみな「イロ」を冠され、弟妹には色鉛筆、色眼鏡と続く。名前からして、どこか洒落者の血だった。 血の縦糸は、意外にも華やかだった。父ヴァンセンヌはディープインパクトの産駒で、東京新聞杯を勝ち、安田記念では2着に食い込んだ一頭。その名は、花の展覧会で知られるパリ郊外ヴァンセンヌの森に由来する。父の母フラワーパーク――花の公園――は、高松宮杯とスプリンターズステークスを制した1996年の短距離女王だった。父方は、花と速さの血。一方、母イロジカケの父はクロフネ、その母リッジローズはサドラーズウェルズを父に持つ欧州の牝馬で、長丁場を苦にしない底力が、母系の底に静かに眠っていた。花の父系と、色の母系。短距離の血に長い距離の底力が織り込まれた、風変わりな配合だった。
小倉の申し子 ― 二歳の夏
2019年7月27日、小倉の芝1200mでデビュー。鞍上は小崎綾也。初戦は4着に敗れたが、二週間後の未勝利戦を勝ち上がると、さらに二週後、同じ小倉のひまわり賞を制した。ひまわり賞は、九州産馬だけが出走できるオープン特別――九州に生まれた馬が、九州の夏に、九州のための一戦を、連勝で駆け抜けた。まさに地元の申し子だった。 その脚に、世は色めき立つ。秋、舞台を東京へ移してサウジアラビアロイヤルカップに挑むと、初めての重賞、初めての府中の直線で9着。小倉の短距離で見せた鋭さは、広いコースではまだ通用しなかった。それでも、二歳の夏に二連勝でオープンを勝った馬に、期待を寄せる声は小さくなかった。
迷い道 ― あらゆる舞台を訪ねて
名は、馬に似るのかもしれない。色事師は、ひとつの舞台に落ち着かなかった。二歳の暮れには園田と川崎のダートを訪ね、兵庫ジュニアグランプリ、全日本2歳優駿と交流重賞を渡り歩く。明けて三歳、今度は芝の中距離へ舵を切り、若葉ステークス、京都新聞杯、神戸新聞杯とクラシックの裏街道を辿った。京都新聞杯では13番人気で5着に食い込む見せ場もあったが、神戸新聞杯は14着。ダートも、マイルも、中距離も――どこへ行っても、あと一歩、本気の姿を見せなかった。 それでも、走る場は与えられ続けた。2021年5月、中京の揖斐川特別を松山弘平とともに制し、条件戦をひとつ抜ける。だが上のクラスでは、好走と大敗が交互に訪れた。博多ステークスで3着に来たかと思えば、府中ステークスでは16着に沈む。移り気な色男は、心を捧げる相手を、まだ見つけられずにいた。四歳、五歳と齢を重ねても、平地のイロゴトシは、どこか掴みどころのないままだった。
転向 ― 六歳、障害へ
六歳の冬、陣営は大きく舵を切った。障害である。2023年1月、小倉の障害未勝利戦。手綱を取ったのは黒岩悠だった。 黒岩もまた、遠回りをしてきた男だ。高知に生まれ、2002年にデビュー。だが騎乗中の落馬で骨盤を折り、平地の第一線からは退いて、活躍の場を障害に移した。特別勝ちも重賞勝ちも、人より遅れてやってきた。デビュー21年目の2022年、新潟ジャンプステークスでようやく掴んだ初重賞。遅咲きの障害騎手と、行き場を探し続けた色事師。二つの遠回りが、小倉の障害コースで交わった。 初戦は3着。だが二戦目、同じ小倉の障害未勝利戦を、イロゴトシは危なげなく勝ち切った。障害を飛ぶその走りに、ためらいはなかった。続くペガサスジャンプステークスでも3着に粘る。平地ではあれほど掴みどころのなかった馬が、障害の舞台では、まるで別の顔を見せ始めていた。恋する相手は、飛ぶことだったのかもしれない。
中山の頂 ― 二〇二三年四月
2023年4月15日、中山グランドジャンプ。障害の最高峰、J・GI。距離は4250m――短距離女王フラワーパークを父方の祖母に持つ馬が挑むには、あまりに遠い道のりだった。人気は6番手。世間の評価は、まだ半信半疑だった。 だが、レースが動くと迷いはなかった。三コーナー、五番手から一気に先頭へ押し上げると、あとは後続を突き放すばかり。二着ミッキーメテオにつけた着差は、計測不能を意味する「大差」。圧巻の初タイトルだった。 この一勝は、いくつもの「初」を積み上げた。イロゴトシにとっても、黒岩悠にとっても、人馬ともに初めての障害GI。父ヴァンセンヌにとっては産駒初のGI級制覇。そして――九州に生まれた馬が中央競馬のGIを勝ったのは、長い歴史のなかで、これが初めてのことだった。熊本の小さな牧場に生まれた色事師が、九州産馬の悲願を背負い、その重い扉をこじ開けた。 「ひと言で言うとセンス抜群ですね」[^1]。勝利の直後、黒岩はまだ実感が湧かないと繰り返しながら、この馬の非凡さをそう言い表した。遠回りの果てに二人でたどり着いた、初めての大きな景色だった。
出典:スポーツ報知「【中山グランドJ】イロゴトシが障害G1初V 黒岩悠騎手も初ビッグタイトル『実感わかない』」2023年4月15日配信、https://hochi.news/articles/20230415-OHT1T51163.html、閲覧日:2026年7月22日。
連覇、そして放牧地 ― 二〇二四年四月
翌2024年、イロゴトシは王座の防衛に向かった。秋の東京ハイジャンプは6着、春先には一度だけ平地のスピカステークスに戻って13着。寄り道の癖は、どこかまだ残っていた。だが4月13日、中山グランドジャンプの舞台に立つと、色男の目は据わっていた。 断然の人気を集めたのはマイネルグロン。イロゴトシは二番人気に過ぎなかった。それでも二周目の三コーナー手前で先頭に立つと、追いすがるジューンベロシティを三馬身振り切る。マイネルグロンは六着に沈み、連覇を果たしたのは、やはりこの馬だった。二年続けて、障害の頂に同じ名が刻まれた。 「ゴトシが頑張ってくれました」[^1]。黒岩は愛馬を愛称で呼び、その走りを誇らしげに讃えた。行き場を探して平地をさまよった馬と、遠回りを重ねた障害騎手は、二度、いちばん高い場所で並んで立った。 その年の秋、イロゴトシは左前脚に浅屈腱炎を発症した。幸い、命に関わる重さではない。中央の現役馬として登録を残したまま、熊本生まれの色事師はいま、静かに放牧地で脚を癒している。あらゆる舞台に色目を使い、最後にただ飛ぶことへ本気で恋をした馬。その恋がもう一度あの障害コースへ帰ってくる日を、牧草の匂いのなかで、待っている。
出典:東京スポーツ「【中山グランドジャンプ結果&コメント】イロゴトシが連覇 黒岩『ゴトシが頑張ってくれました!』」2024年4月13日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/44097、閲覧日:2026年7月22日。
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