名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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インビンシブルパパのイメージビジュアル
インビンシブルパパInvincible Papa
Invincible Papa

インビンシブルパパ

通算成績14戦6勝

獲得賞金12,474万円

生年月日 2021.09.17(令和3年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
インビンシブルパパの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
10 GIII函館スプリントS 函館 芝1200 5人気 佐々木大輔 1:08.0 上り34.2映像
15 GI高松宮記念 中京 芝1200 9人気 佐々木大輔 1:07.9 上り35.4映像
15 GIIIオーシャンS 中山 芝1200 6人気 佐々木大輔 1:08.0 上り35.5映像
6 GIBCターフスプリント デルマー 芝1000 11人気 佐々木大輔 映像
1 GIIICBC賞 中京 芝1200 5人気 佐々木大輔 1:07.4 上り33.4映像
4 GIII函館スプリントS 函館 芝1200 7人気 横山武史 1:07.0 上り34.5映像
1 L京葉S 中山 ダ1200 1人気 J.モレイラ 1:11.1 上り36.4
7 GIIIカペラS 中山 ダ1200 5人気 三浦皇成 1:10.5 上り37.2映像
1 グランアレグリアC 京都 ダ1400 1人気 C.ルメール 1:23.5 上り37.5
1 3歳以上2勝クラス 中山 ダ1200 1人気 C.ルメール 1:10.7 上り37.1
2 3歳以上2勝クラス 中山 ダ1200 1人気 C.ルメール 1:11.1 上り37.4
1 3歳1勝クラス 中山 ダ1200 1人気 川田将雅 1:10.6 上り36.3
1 3歳未勝利 中山 ダ1200 1人気 C.ルメール 1:10.5 上り37.0
3 3歳未勝利 東京 ダ1400 4人気 B.ムルザバエフ 1:26.3 上り38.2

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
インビンシブルパパの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ShalaaInvincible SpiritGreen Desert
Rafha
GhurraWar Chant
Futuh
ShwaimsaCanford CliffsTagula
Mrs Marsh
Sharp PointロイヤルアカデミーII Royal Academy
Nice Point
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの鹿毛の牡馬。父Shalaa、母Shwaimsa。主な勝ち鞍はCBC賞。

オーストラリアから来た馬 ― 名と血

「無敵のおとうさん」。そのまま訳せば、いくらか滑稽に聞こえる名だ。だがこの鹿毛の牡馬は、その名の重さをゆっくりと証明していくことになる。 2021年9月17日、オーストラリアのアローフィールド牧場に生まれた。父はShalaa(シャラー)――欧州の快速血脈インヴィンシブルスピリットの直仔で、2015年に仏プリモルニー賞・英ミドルパークSと2歳スプリントGⅠを連勝した快足馬。母ShwaimsaはCanford Cliffsを父に持つアイルランド産牝馬で、日本への縁は珍しい血筋だった。 馬名の由来は父の名に宿る「Invincible(無敵)」をそのまま受け継ぎ、「Papa(父)」を添えた。インヴィンシブルスピリットの孫として、その速さと不屈の名を背負うための名だった。 馬主は迫田三果子。管理を任されたのは美浦の伊藤大士厩舎。オーストラリアで産まれ、日本のターフを走るために海を渡ったこの馬は、当初から芝を走る血として期待されていた。ところが、脚元の不安が重なり、最初の舞台はダートになる。

ダートの四勝 ― 名手たちが乗り継いだ道

2024年2月、東京の3歳未勝利(ダート1400m)で3着のデビュー。手綱を取ったのはムルザバエフだった。3着。速さは見えていた。足りなかったのは経験だけだった。 翌月、中山ダート1200mへ舞台を移すと、今度は鞍上ルメールで未勝利を突破。4月には川田将雅が跨り、1勝クラスをきっちり制した。夏を越えて秋、再びルメールと組んだ2勝クラスは2着を挟んで連勝。11月の京都グランアレグリアカップも逃げ切ってオープン入りを果たした。デビューからわずか10か月で4勝。日本最高峰の名手たちがひとりひとり手綱を取り、その都度「速い」と感じた馬だった。 12月のカペラS(GⅢ・ダート)では7着に敗れた。ダートGⅢの壁を前に、陣営はひとつの問いを抱えた。この馬の本当の舞台は、もしかしてダートではないのではないか。

モレイラの一言 ― 芝への転換

背中を押したのは、世界的名手のひと言だった。 2025年4月の京葉S(ダート)、鞍上はジョアン・モレイラ。外枠から好スタートを決め、後続を寄せ付けずオープン戦初勝利。モレイラはレース後、伊藤大士調教師にこう伝えた。「いい馬です。もし次に僕が乗れるなら、芝のレースで乗りたいです」[^1]。 それは助言というより、惚れ込んだ名手のリクエストだった。伊藤調教師はのちに振り返る。もともと芝デビューを考えていたものの、脚元の不安とダートでの好走で踏み切れずにいた。4歳になって脚元の状態が良くなり、モレイラの言葉が最終的に背中を押す形になったと[^2]。 6月、函館スプリントS(GⅢ・芝1200m)。初めての芝、初めてのGⅢ。横山武史が跨り、ハイペースの逃げに持ち込むと粘り続けて4着。勝てはしなかったが、芝で通用する確かな速さが刻まれた一戦だった。伊藤調教師が注目したのは左回りでの体の使い方の違いだった。右回りより左回りのほうが手前を替えるタイミングが自然で、馬の動き方が格段に良い。次の舞台は決まっていた。

出典:中日スポーツ「【京葉S】休み明けのインビンシブルパパが快勝、成長を実感するモレイラ『いいスタートが切れましたし、リズム良く運べました』と賛辞」2025年4月20日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/1055849、閲覧日:2026年6月29日。/デイリースポーツ「【CBC賞】インビンシブルパパ 名手モレイラのひと言で路線変更 快速馬の芝重賞2戦目に高まる期待」2025年8月10日配信、https://news.yahoo.co.jp/articles/4901b11330065e8972d6209bad322aad3f450beb、閲覧日:2026年6月29日。

中京の夏 ― 逃げ切りの重賞

2025年8月10日、中京競馬場。第61回CBC賞(GⅢ・芝1200m)、18頭立て。鞍上は佐々木大輔――2022年デビューの若手騎手で、この日は前日に続いて二日連続の重賞制覇を狙っていた。 17番枠から抜群のスタート。二の脚で内の馬を制して先頭に立つ。前半3ハロン34秒0、息を入れながら絶妙なラップを刻んだ。5番人気とそれほど高く評価されていたわけではない。だが芝転向2戦目のインビンシブルパパは、後続の追い上げをしのいでゴールへ飛び込んだ。2着のジューンブレア(1番人気)に半馬身差。タイム1分7秒4。芝での重賞初制覇だった。 佐々木は言った。「若干最後馬も止まってたんですけど、よく粘ってくれたなっていう気持ちですね」[^1]。伊藤大士調教師は口もとをほころばせた。「感無量ですね」[^2]。

出典:スポーツ報知「【CBC賞結果&コメント】インビンシブルパパで連日重賞Vの佐々木大輔『体の使い方がすごく上手』」2025年8月10日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/61414、閲覧日:2026年6月29日。/デイリースポーツ「【CBC賞】インビンシブルパパ逃げ切りV!芝転向2戦目で重賞初制覇 伊藤大師『感無量ですね』 佐々木2日連続重賞勝ち」2025年8月11日配信、https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/dailysports/sports/20250811027、閲覧日:2026年6月29日。

デルマーの壁、そして今

CBC賞の余韻が冷めないうちに、陣営は次の目標を定めた。11月、米カリフォルニア州デルマー競馬場のBCターフスプリント(GⅠ・芝1000m)。日本から海外GⅠへの挑戦。伊藤調教師は日刊スポーツの連載で、遠征の日々を「無敵パパのBC奮闘記」として届けた。 12番ゲート(大外)を引いた佐々木は「今年を表しているような枠」と苦笑いした。当日、好スタートから2番手に進んだが、世界の快速馬の間で踏ん張り切れず6着。佐々木は「スピードのレベルが違ってびっくりしました」と率直に語り、伊藤調教師は「世界は広かった。次に活かしていきたい」[^1]と噛み締めた。 帰国後の2026年春、高松宮記念では初のブリンカーを着けて大逃げを打ち、前半600m32秒5という同レース史上最速のラップを刻んで見せた。結果は15着。一瞬の輝きに、この馬のスピードがGⅠ規格であることは示された。6月の函館スプリントSも10着に終わり、2025年の輝きを取り戻す道はまだ途中だ。 それでも、オーストラリアから海を渡った鹿毛は、まだ5歳だ。モレイラが「芝で乗りたい」と言った惚れ込みも、伊藤調教師が「感無量」と絞り出した一日も、消えていない。次の逃げ切りを、インビンシブルパパはどこで見せるか。

出典:競馬のおはなし「【BCターフスプリント】伊藤大師『世界は広かった』…インビンシブルパパ果敢に先行も6着」2025年11月2日配信、https://keibana.com/news/124158/、閲覧日:2026年6月29日。

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