名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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アイコンテーラーのイメージビジュアル
アイコンテーラーIcon Tailor
Icon Tailor

アイコンテーラー

通算成績28戦6勝

獲得賞金23,578万円

生年月日 2018.05.02(平成30年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
アイコンテーラーの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 JpnⅠJBCレディスクラシック 佐賀 ダ1860 2人気 松山弘平 2:01.0 上り38.2映像
2 JpnⅡレディスプレリュード 大井 ダ1800 2人気 松山弘平 1:53.2 上り37.2
5 JpnⅡエンプレス杯 川崎 ダ2100 2人気 松山弘平 2:15.4 上り40.0
3 JpnⅠ川崎記念 川崎 ダ2100 4人気 松山弘平 2:15.5 上り39.9映像
3 L仁川S 阪神 ダ2000 1人気 武豊 2:04.9 上り38.4
14 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 7人気 J.モレイラ 1:54.1 上り40.2映像
1 JpnⅠJBCレディスクラシック 大井 ダ1800 1人気 松山弘平 1:52.9 上り38.6映像
2 GIIIシリウスS 阪神 ダ2000 2人気 団野大成 2:04.6 上り37.6映像
1 LBSN賞 新潟 ダ1800 8人気 菱田裕二 1:50.8 上り36.9
12 OPメイS 東京 芝1800 6人気 菱田裕二 1:45.9 上り34.9
2 GIII愛知杯 中京 芝2000 7人気 菱田裕二 2:03.4 上り34.5映像
3 GIII中日新聞杯 中京 芝2000 10人気 菱田裕二 1:59.5 上り34.9映像
5 LアンドロメダS 阪神 芝2000 6人気 和田竜二 1:59.9 上り35.9
9 OP新潟牝馬S 新潟 芝2200 3人気 亀田温心 2:15.2 上り35.3
11 GIIIマーメイドS 阪神 芝2000 9人気 亀田温心 1:59.7 上り35.9
9 GIII新潟大賞典 新潟 芝2000 1人気 亀田温心 1:58.4 上り35.6映像
3 L大阪城S 阪神 芝1800 4人気 亀田温心 1:45.0 上り34.4
3 OP関門橋S 小倉 芝2000 3人気 亀田温心 2:00.8 上り34.7
5 GIII愛知杯 中京 芝2000 9人気 亀田温心 2:01.3 上り35.1映像
1 魚沼S 新潟 芝2000 1人気 亀田温心 1:59.7 上り34.5
1 村上特別 新潟 芝1800 3人気 亀田温心 1:47.5 上り33.2
8 GII関西TVローズS 中京 芝2000 17人気 亀田温心 2:00.7 上り34.7映像
8 GIIIラジオNIKKEI賞 福島 芝1800 13人気 亀田温心 1:49.0 上り35.9映像
1 早苗賞 新潟 芝1800 5人気 亀田温心 1:49.3 上り37.5
1 3歳未勝利 新潟 芝2000 9人気 亀田温心 2:04.6 上り37.2
7 2歳未勝利 阪神 芝1800 11人気 幸英明 1:49.3 上り35.0
6 2歳未勝利 阪神 芝1600 13人気 鮫島克駿 1:35.7 上り34.2
12 2歳新馬 京都 芝1400 14人気 酒井学 1:24.3 上り35.5

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
アイコンテーラーの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ドゥラメンテDuramenteキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
アドマイヤグルーヴAdmire GrooveサンデーサイレンスSunday Silence
エアグルーヴAir Groove
ボイルトウショウケイムホームCame HomeGone West
Nice Assay
ミッドナイトオアシスMidnight OasisJava Gold
Northernette
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの栗毛の牝馬。父ドゥラメンテ、母ボイルトウショウ。

新潟の得意舞台

2018年5月2日、静内の畠山牧場に栗毛の牝馬が生まれた。父は皐月賞と日本ダービーを制した二冠馬ドゥラメンテ、母はトウショウ牧場が育てたボイルトウショウ――中央で五戦して勝ち星のない繁殖牝馬である。名はアイコンテーラー。「アイコン」はコンピューターに並ぶ小さな記号を指す。華やかな良血というより、どこにでもいる一頭として、その馬は競馬場に現れた。 デビューは2020年11月、京都の芝1400メートル。14番人気で12着。名を覚えられるような走りではなかった。転機は新潟だった。翌2021年、3歳未勝利を9番人気で勝ち上がると、早苗賞、村上特別、魚沼Sと、新潟の芝で勝ち星を重ねていく。手綱を取り続けたのは若手の亀田温心。人気薄でも堅実に脚を使うその走りで、彼女は新潟の芝を得意にする一頭になっていた。

重賞の、あと一歩

条件戦を勝ち上がり、舞台は重賞へ移る。だが、そこには薄い膜のような壁があった。2022年12月の中日新聞杯は10番人気ながら3着に食い込み、2023年1月の愛知杯では7番人気で2着。菱田裕二を背に、人気以上の走りで馬券圏を賑わせる。それでも、勝利の額縁にだけは手が届かない。1番人気に推された新潟大賞典では9着に沈んだこともあった。善戦するたび、勝ち切れなさが影のように濃くなっていく。芝の重賞で彼女に残されたのは、2着と3着の記録ばかりだった。

砂へ

2023年5月、東京のメイS。芝のオープンで12着に終えたこの一戦を最後に、陣営は大きく舵を切る。調教師は河内洋。騎手として数々の大レースを勝ち、鞍を下りて調教師となった名手である。五歳の夏、彼はこの牝馬を初めてダートに送り出した。 八月二十六日、新潟のBSN賞。ダート1800メートル。8番人気の評価をよそに、アイコンテーラーは砂の上で一変した。前めの位置から押し切って、初めてのダートを初勝利で飾る。続く九月のシリウスSでも、牡馬を相手に2着と好走した。芝で三年をかけて届かなかった手応えが、砂の上ではあっけないほど素直に返ってくる。合わない布を無理に着せられていたのだと、走りそのものが証していた。

代打の戴冠

2023年11月3日、大井。JBCレディスクラシック、ダート1800メートル。ダート転向からわずか三戦目で、アイコンテーラーは1番人気に推されていた。 騎乗するはずだった武豊は、怪我のために手綱を握れなかった。急な代打として鞍上に座ったのは松山弘平。初めて跨る馬で、大レースのゲートに入る。 発走後は二番手を進み、三コーナーで先頭に立つと、直線は独走だった。二着のグランブリッジに四馬身の差をつけ、JpnⅠの舞台を圧勝で駆け抜ける。新潟の条件馬が、砂の女王へと姿を変えた瞬間だった。「すごく強くて、いい競馬をしてくれました」[^1]。松山の言葉は、借り物の手綱で掴んだ勝利とは思えないほど落ち着いていた。

出典:東スポ競馬「【JBCレディスクラシック結果&コメント】アイコンテーラーが4馬身差の完勝 松山弘平「代打で結果を出せて良かった」」2023年11月3日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/38332、閲覧日:2026年7月20日。

砂の底で

戴冠のひと月後、アイコンテーラーはチャンピオンズカップに駒を進めた。牡馬も交じる暮れの大一番で、相手は一枚も二枚も上だった。7番人気14着。頂に立ってなお、その先にはさらに高い壁がそびえていた。 明けて2024年。仁川Sでは、前年に乗れなかった武豊がようやく手綱を取り、三着。川崎記念でも3着、レディスプレリュードで2着と、女王の地力は随所で示した。それでも、勝利にはもう手が届かない。十一月、佐賀で行われたJBCレディスクラシックに連覇を懸けて臨むも、2番人気で7着。これが、現役最後の一戦になった。

一頭だけの称号

通算28戦6勝。2024年11月15日、アイコンテーラーは競走馬登録を抹消され、繁殖牝馬となった。 母ボイルトウショウは中央で一勝もできずに繁殖へ上がった牝馬で、これまでに送り出した産駒のうち、重賞を勝ったのはアイコンテーラーただ一頭である。良血の看板を負っていたわけではない。芝で三年を費やし、五歳でようやく自分に合う舞台を見つけ、そこで頂点に立った。回り道の分だけ、砂の上の四馬身は重かった。 勝負服を脱いだいま、彼女は血をつなぐ側に回る。器用でも派手でもなかった一頭が、遠回りの末に掴んだ一つの称号を、次の世代へ手渡していく。

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