名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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ホーエリートのイメージビジュアル
ホーエリートHohelied
Hohelied

ホーエリート

通算成績17戦3勝

獲得賞金15,362万円

生年月日 2021.04.24(令和3年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ホーエリートの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
14 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 7人気 戸崎圭太 3:16.1 上り37.4映像
5 GIIIダイヤモンドS 東京 芝3400 2人気 戸崎圭太 3:32.6 上り35.0映像
1 GIIステイヤーズS 中山 芝3600 2人気 戸崎圭太 3:47.2 上り34.0映像
6 GIIアルゼンチン共和国杯 東京 芝2500 2人気 戸崎圭太 2:30.4 上り34.7映像
5 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 3人気 横山武史 2:10.8 上り34.6映像
2 GII目黒記念 東京 芝2500 6人気 戸崎圭太 2:32.9 上り34.8映像
12 GIII福島牝馬S 福島 芝1800 2人気 原優介 1:47.3 上り35.6映像
2 GIII中山牝馬S 中山 芝1800 8人気 戸崎圭太 1:47.1 上り34.9映像
1 迎春S 中山 芝2200 2人気 戸崎圭太 2:13.0 上り35.1
10 GI秋華賞 京都 芝2000 14人気 北村友一 1:58.0 上り34.9映像
6 GII紫苑S 中山 芝2000 4人気 戸崎圭太 1:57.1 上り33.6
10 GI優駿牝馬 東京 芝2400 13人気 原優介 2:25.0 上り35.2映像
2 GIIIフラワーカップ 中山 芝1800 8人気 原優介 1:48.1 上り35.6映像
7 フリージア賞 東京 芝2000 8人気 戸崎圭太 2:00.5 上り34.0
6 百日草特別 東京 芝2000 6人気 北村宏司 2:00.2 上り34.7
1 2歳未勝利 東京 芝1800 1人気 戸崎圭太 1:49.7 上り34.7
3 2歳新馬 福島 芝1800 5人気 丸山元気 1:51.7 上り35.5

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ホーエリートの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ルーラーシップRulershipキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
エアグルーヴAir GrooveトニービンTony Bin
ダイナカール
ゴールデンハープステイゴールドStay GoldサンデーサイレンスSunday Silence
ゴールデンサッシュ
ケルティックハープクロフネKurofune
アイリッシュカーリ
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの鹿毛の牝馬。父ルーラーシップ、母ゴールデンハープ。主な勝ち鞍はステイヤーズS。

黄金の竪琴の娘 ― 名前と血

雅歌(がか)。旧約聖書のなかの、愛をうたう一篇の詩。ドイツ語でそれを Hohelied という。2021年4月24日、白老ファームに生まれた鹿毛の牝馬は、母の名から連想されたこの「賛歌」を背負って、ホーエリートと名づけられた。 母の名はゴールデンハープ――黄金の竪琴。竪琴が奏でる歌、それが雅歌。母から娘へ、名は一本の旋律のようにつながっている。 父はルーラーシップキングカメハメハを父に、名牝エアグルーヴを母に持ち、香港のクイーンエリザベスII世カップを制した中長距離の雄。母ゴールデンハープは母父にステイゴールドを置く。一方で、牝系をさかのぼると祖母ケルティックハープ、三代母アイリッシュカーリと続く血は、芝の短距離で速さを伝えてきた一族だった。ケルティックハープのきょうだいには短距離で走った馬が並ぶ。スピードの濃い母系に、父系のスタミナが注がれる――この配合がのちに何を引き出すのか、生まれた時点では誰にも分からなかった。

福島の新馬、戸崎との出会い

2023年7月2日、福島の芝1800m。丸山元気を背にしたデビュー戦は5番人気で3着。勝ちきれずに終わったが、素質は確かだった。 秋、東京の芝1800m。戸崎圭太に乗り替わると、ホーエリートは1番人気に応えて未勝利を勝ち上がる。ここから戸崎は、この牝馬の手綱をたびたび握る主戦となっていく。クラシックを目指す春までの道のりは平坦ではなく、年明けのフリージア賞は7着に沈んだ。 母ゴールデンハープ自身は中央で20戦2勝、重賞には届かなかった馬である。半きょうだいにも目立った活躍馬はいない。黄金の竪琴の娘は、母系の出世頭になりうる一頭として、静かに次の舞台へ向かっていた。

クラシックの壁 ― 二〇二四年の春と秋

2024年3月、中山のフラワーカップ。原優介を背に8番人気の評価ながら、ホーエリートは粘り強く伸びて2着に食い込んだ。人気薄での好走は、この馬の身上になっていく。 その走りでクラシックの扉が開く。だが、5月の優駿牝馬(オークス)は東京2400mで10着、秋の秋華賞も京都2000mで10着。三歳牝馬の頂は遠かった。同世代の精鋭がそろう舞台で、ホーエリートはまだ自分の距離を見つけられずにいた。 2400mで二桁着順に終わった事実は、しかし裏を返せば、まだ底を見せていないということでもあった。本当の適性は、もっと先の長い距離にあった。

距離が答えになる ― ステイヤーへの覚醒

明けて2025年1月、中山2200mの迎春Sを戸崎とともに快勝する。条件戦とはいえ、長めの距離で見せた完勝は転機だった。 3月の中山牝馬S(芝1800m)は8番人気で2着。そして6月1日、東京の目黒記念(芝2500m)。6番人気の低評価をはねのけ、ホーエリートはアドマイヤテラと最後まで競り合って2着に粘った。距離が延びるほど、この馬は強くなっていった。 短距離色の濃い母系から、父ルーラーシップのスタミナが引き出されていく。長い距離こそが、ホーエリートの答えだった。

三千六百メートルの賛歌 ― 三十九年ぶりの牝馬V

2025年12月6日、中山の芝3600m。中央競馬で最も長い距離を走る、ステイヤーズステークス。2番人気に支持されたホーエリートは、戸崎圭太を背に3、4番手の好位で運んだ。 最後の直線、力強く伸びたホーエリートが抜け出す。2着マイネルカンパーナに4分の3馬身、3分47秒2でゴール。重賞初制覇は、最長距離の頂だった。牝馬がこのレースを勝つのは、1986年のシーナンレディー以来、実に39年ぶりの快挙である。スピードの一族に生まれた牝馬が、誰よりも長い距離を走り切って初タイトルを掴んだ――配合の妙が、最後にこういう形で結実した。 年が明けた2026年、ダイヤモンドS(芝3400m)は2番人気で5着、5月の天皇賞(春)は京都3200mで14着に終わった。長距離の重賞戦線は甘くない。それでも、黄金の竪琴の娘が三千六百メートルで奏でた一曲は、確かに雅歌の名にふさわしい賛歌だった。母が届かなかった重賞のタイトルを、娘が掴んでみせた。物語はまだ続いている。

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