名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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ホウオウビスケッツのイメージビジュアル
ホウオウビスケッツHo O Biscuits
Ho O Biscuits

ホウオウビスケッツ

通算成績21戦4勝

獲得賞金29,224万円

生年月日 2020.06.05(令和2年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ホウオウビスケッツの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
11 JpnⅠ川崎記念 川崎 ダ2100 5人気 岩田望来 2:18.7 上り41.9映像
12 GII東海テレビ杯金鯱賞 中京 芝2000 4人気 岩田望来 1:59.1 上り36.1映像
16 GIジャパンカップ 東京 芝2400 14人気 岩田康誠 2:23.8 上り37.7映像
13 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 7人気 岩田康誠 1:59.2 上り33.5映像
2 GII毎日王冠 東京 芝1800 2人気 岩田康誠 1:44.1 上り33.8映像
7 GII札幌記念 札幌 芝2000 1人気 岩田康誠 2:02.3 上り37.1映像
5 GI大阪杯 阪神 芝2000 5人気 岩田康誠 1:56.6 上り34.8映像
2 GII東海テレビ杯金鯱賞 中京 芝2000 1人気 岩田康誠 2:01.3 上り36.8映像
9 GIII中山金杯 中山 芝2000 2人気 H.ドイル 1:58.8 上り36.4映像
3 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 8人気 岩田望来 1:57.6 上り34.0映像
2 GII毎日王冠 東京 芝1800 4人気 岩田康誠 1:45.2 上り33.8映像
1 GIII函館記念 函館 芝2000 3人気 岩田康誠 1:59.2 上り35.3映像
1 OP巴賞 函館 芝1800 2人気 岩田康誠 1:46.8 上り35.1
3 L東風S 中山 芝1600 1人気 岩田康誠 1:33.7 上り35.6
3 GIII東京新聞杯 東京 芝1600 8人気 岩田康誠 1:32.3 上り33.9映像
12 GIII中日新聞杯 中京 芝2000 3人気 丸田恭介 1:59.7 上り35.7映像
6 GI東京優駿 東京 芝2400 16人気 丸田恭介 2:25.4 上り34.0映像
17 GI皐月賞 中山 芝2000 7人気 横山和生 2:03.7 上り39.6映像
2 GIIフジTVスプリングS 中山 芝1800 3人気 横山和生 1:49.1 上り36.9映像
1 フリージア賞 東京 芝2000 7人気 横山和生 1:59.3 上り34.3
1 2歳新馬 中山 芝1600 4人気 横山和生 1:34.9 上り35.3

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ホウオウビスケッツの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
マインドユアビスケッツMind Your BiscuitsPosseSilver Deputy
Raska
JazzmaneToccet
Alljazz
ホウオウサブリナルーラーシップRulershipキングカメハメハKing Kamehameha
エアグルーヴAir Groove
トラヴェシーアディープインパクトDeep Impact
マンファスManfath
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの鹿毛の牡馬。父マインドユアビスケッツ、母ホウオウサブリナ。主な勝ち鞍は函館記念。

鳳凰と、ビスケット ― 名前の由来

良血の看板を背負って生まれたわけではない。 父マインドユアビスケッツは、アメリカのダート短距離で鳴らし、ドバイの舞台まで駆け上がった快速馬。日本に渡ってからの初期の産駒に、芝の中距離で重賞を狙う器がいるとは、多くが思っていなかった。名は、馬主・小笹芳央の冠名「ホウオウ」に、その父の名の一片「ビスケッツ」を継いで決まった。鳳凰の名を負い、ビスケットの血を引く鹿毛である。 血の芯は、むしろ母の側にあった。母ホウオウサブリナの父はルーラーシップ、その祖母トラヴェシーアは、あのキングカメハメハの半妹にあたる。五代のうちにマンファス四×三――キングカメハメハを生んだ牝馬の血が、この馬の中で二重に響いていた。2022年12月10日、中山の芝1600m。横山和生を背に、4番人気のホウオウビスケッツは新馬戦を勝ち上がる。旅は、静かに始まった。

春の光と影 ― クラシックへ

明けて2023年、上昇の気配は本物だった。フリージア賞を7番人気で勝ち切り、スプリングステークスでは2着。クラシックへの扉に、確かに手をかけた。 だが皐月賞は、7番人気の評価に応えられなかった。中山の馬群の中でもがき、17着。夢は、いちど暗く沈む。 それでも東京優駿――ダービーでは、16番人気の伏兵として2番手を進んだ。直線、前を捉えにいったところへ、勝ち馬タスティエーラソールオリエンスが外から並びかけ、呑み込まれた。6着。掲示板には届かぬ着順ながら、最低人気に近い馬が最後まで見せ場を作った一戦だった。この春に受けた借りは、一年半後、思わぬ舞台で返しにいくことになる。

函館の夏 ― 岩田康誠と、重賞の初タイトル

2024年、鞍上にベテラン・岩田康誠が座った。東京新聞杯で3着に持ってくると、夏の函館へ矛先を向ける。 巴賞を制し、続く函館記念。逃げ馬を行かせて2番手に控えると、4コーナーで一気に先頭へ立ち、直線は後続を突き放した。3番人気での重賞初制覇。岩田は「後ろに脚を使わせる競馬ができた」[^1]と、してやったりのレース運びを振り返った。 デビューから二連勝で皐月賞・ダービーへ進みながら、勝ち鞍に恵まれずにいた鹿毛。その本格化を引き出したのは、函館の風と、老練な手綱だった。

出典:東スポ競馬「【函館記念結果&コメント】ホウオウビスケッツが会心のレース運びでV 岩田康「後ろに脚を使わせる競馬ができた」」2024年7月14日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/47221、閲覧日:2026年7月16日。

息子の逃げ ― 天皇賞・秋のラスト100メートル

秋、毎日王冠で2着。GIの天皇賞・秋へ駒を進めたとき、鞍上が替わった。岩田康誠が別の馬に騎乗するため、手綱は息子の岩田望来に託されたのだ。 8番人気。上位に推す声は多くなかった。それでも望来はゲートを決めると、迷わず先頭へ。1000m通過59秒9、GIにしては際どいスローに持ち込み、直線も渡さない。府中の坂を上り、残り100mまで、確かに先頭にいた。 そこへ差し込んできたのが、ドウデュースタスティエーラ――ともにダービーを制した馬たちだった。とりわけタスティエーラは、一年半前、この馬をダービーで呑み込んだ相手である。二頭に交わされ、3着。父から渡された馬で、息子はGIの主役に肉薄した。「力のある証拠。これからの馬ですから」[^1]。望来の言葉には、悔しさと、まだ見ぬ先への確信がにじんでいた。

出典:中日スポーツ「【天皇賞・秋】ホウオウビスケッツ、夏の勢い衰えず3着 岩田望「力のある証拠。これからの馬ですから」」2024年10月27日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/977834、閲覧日:2026年7月16日。

一番人気の重さ ― 開かない扉

以後、ホウオウビスケッツはGIの扉を叩き続ける。 2025年、金鯱賞では1番人気に応えられず2着。大阪杯は5着。夏の札幌記念では単勝1番人気に支持されながら7着に沈んだ。秋、毎日王冠で再び2着に好走したものの、天皇賞・秋は13着、ジャパンカップは16着と、大観衆の前で伸びを欠いた。 重賞で好走を重ね、上位人気に担がれるほどの実力馬になった。それでも、GIのタイトルだけは、ほんの少し先で扉を閉ざしたままだった。勝ち切れない馬の背に積もる期待は、時に重い。だがその重さは、走り続けてきた馬にしか背負えないものでもあった。

まだ、途上 ― 川崎への遠征

2026年、鞍上には再び岩田望来が戻ってきた。金鯱賞は12着。そして4月、川崎記念――初めてのダート、初めての地方遠征だった。父マインドユアビスケッツがアメリカのダートで名を上げた血が、いま試されるかのように。結果は11着。芝の重賞戦線とは違う景色の中で、答えはまだ出ていない。 鳳凰の名を負い、ビスケットの血を引く鹿毛は、GIの頂には手が届かなかった。けれど函館の夏を沸かせ、府中でダービー馬二頭をあと100mまで追い詰めた。その一戦一戦が、確かにこの馬の輪郭を刻んできた。物語は、まだ閉じていない。再び走る日を、静かに待てばいい。

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