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ハタノヴァンクール
通算成績17戦7勝
獲得賞金2億3,794万円
生年月日 2009.05.16(平成21年)毛色 栗毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11 | JpnⅠJBCクラシック | 金沢 ダ2100 | 4人気 | 四位洋文 | 2:19.8 | 上り43.2 | 映像 | |
| 2 | JpnⅢ白山大賞典 | 金沢 ダ2100 | 2人気 | 四位洋文 | 2:13.7 | 上り37.8 | — | |
| 1 | JpnⅡブリーダーズゴールドカップ | 門別 ダ2000 | 2人気 | 四位洋文 | 2:04.9 | 上り37.1 | — | |
| 4 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 5人気 | 四位洋文 | 2:04.0 | 上り37.4 | — | |
| 5 | GIII平安S | 京都 ダ1900 | 3人気 | 四位洋文 | 1:57.6 | 上り36.9 | — | |
| 2 | JpnⅡダイオライト記念 | 船橋 ダ2400 | 1人気 | 四位洋文 | 2:35.2 | 上り37.4 | — | |
| 1 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 2人気 | 四位洋文 | 2:15.4 | 上り37.2 | — | |
| 2 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 3人気 | 内田博幸 | 2:06.0 | 上り38.7 | — | |
| 8 | GIジャパンカップダート | 阪神 ダ1800 | 8人気 | 四位洋文 | 1:50.2 | 上り36.6 | 映像 | |
| 10 | GIIIみやこS | 京都 ダ1800 | 2人気 | 四位洋文 | 1:51.1 | 上り37.7 | — | |
| 1 | JpnⅠジャパンダートダービー | 大井 ダ2000 | 1人気 | 四位洋文 | 2:05.3 | 上り36.0 | — | |
| 1 | OP端午S | 京都 ダ1800 | 1人気 | 四位洋文 | 1:50.9 | 上り36.1 | — | |
| 1 | OP伏竜S | 中山 ダ1800 | 3人気 | 四位洋文 | 1:53.5 | 上り36.8 | — | |
| 1 | 3歳500万下 | 京都 ダ1800 | 3人気 | 四位洋文 | 1:53.7 | 上り38.3 | — | |
| 15 | GIIIラジオNIKKEI杯 | 阪神 芝2000 | 14人気 | 四位洋文 | 2:05.2 | 上り37.8 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 阪神 ダ1800 | 2人気 | 四位洋文 | 1:55.3 | 上り38.4 | — | |
| 13 | 2歳新馬 | 京都 芝1800 | 3人気 | 四位洋文 | 1:53.5 | 上り37.0 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父キングカメハメハKing Kamehameha | Kingmambo | Mr. Prospector |
| Miesque | ||
| マンファスManfath | ラストタイクーンLast Tycoon | |
| Pilot Bird | ||
| 母ハタノプリエ | ブライアンズタイムBrian's Time | Roberto |
| Kelley's Day | ||
| ハヤベニコマチ | サンデーサイレンスSunday Silence | |
| ターンツーダイナ |
旅程 — この馬の物語
2009年生まれの栗毛の牡馬。父キングカメハメハ、母ハタノプリエ。
勝利者という名
2009年5月16日、北海道日高町の門別で、栗毛の牡馬が生まれた。生産したのはグッドラック・ファーム。そして馬主も、同じグッドラック・ファームである。自分の牧場で作った馬を、自分で持って走らせた。 父はキングカメハメハ。母ハタノプリエは浦河山口牧場の生まれで、中央で12戦2勝、稼ぎは2008万円という牝馬だった。その母ハヤベニコマチは地方で5戦2勝、総賞金193万6000円。さらにその母ターンツーダイナは、社台ファームの生産で社台レースホースの所有馬、中央で10戦して一度も勝てないまま繁殖に上がった鹿毛である。勝てなかった牝馬から始まった枝は、早来から浦河へ、浦河から日高へと流れながら、途中で一頭の天皇賞馬を出していた。2010年の天皇賞(春)を勝ったジャガーメイル。ハヤベニコマチの息子であり、母ハタノプリエの半弟——つまりこの馬の叔父にあたる。 名は冠名の「ハタノ」に、フランス語をひとつ足して付けられた。ヴァンクール。勝利者。同じ母から10頭を超えるきょうだいが生まれ、半姉ハタノギャランは2008年に大井の東京プリンセス賞で2着、半兄ハタノゼフィロスは2013年に門別のコスモバルク記念で3着まで来ている。だが重賞を勝った産駒は、結局この一頭だけだった。 預かったのは栗東の昆貢。1958年に北海道で生まれ、11年間の騎手生活で1121戦92勝を挙げてから調教助手に転じ、2000年に自分の厩舎を開いた男である。日高の馬にこだわり、社台グループが強くなりすぎてしまったら競馬自体が面白くない、と語ってきた調教師でもあった。門別で生まれた栗毛は、この厩舎に、収まるべきところへ収まるように入ってきた。
芝で二度、砂で五度
2011年11月20日、京都の芝1800メートル。18頭立ての2歳新馬戦で、鞍上には四位洋文がいた。2007年にウオッカで、翌2008年にディープスカイで日本ダービーを連覇した男である。そのディープスカイを預かっていたのが昆貢厩舎で、つまり調教師と騎手は、三年前にダービーを一緒に勝った間柄だった。 3番人気に推されて、結果は13着。勝ったサンライズマヌーから2秒3も離された。二週間後、阪神のダート1800メートルに替わると、2番人気に応えて0秒7差で勝ち上がる。それでも陣営は暮れの阪神・芝2000メートル、ラジオNIKKEI杯2歳ステークスへ向かった。単勝230.4倍の14番人気、16頭の15着。2秒8差だった。 この一戦を最後に、この馬が芝を走ることは二度となかった。年明けの京都、ダート1800メートルの500万下を勝ち、4月には中山の伏竜ステークス、月末には京都の端午ステークスを続けて自分のものにする。オープン特別を二つ。芝では二度走って二度大敗し、砂では走るたびに勝った。17戦のうち芝はこの2戦きりで、残る15戦はすべてダートだった。
大井の十一頭
2012年7月11日、大井。ジャパンダートダービーの11頭に、単勝2.9倍の1番人気として入った。芝を捨ててから、砂では五戦して五勝。三歳の砂の頂点を決める一戦で、その戦績がそのまま支持に変わっていた。 先行したのはトリップだった。前で粘るその一頭を、四位はゴール前で捉えて差し切る。1馬身、時計にして0秒2。2分5秒3、上がりは36秒0だった。重賞そのものは初挑戦ではない——芝で15着に沈んだラジオNIKKEI杯が最初の重賞だった——が、初めての重賞制覇は、いきなり最上級のJpnIだった。叔父のジャガーメイルも、初めての重賞勝ちが天皇賞(春)というGIだった。この母系は、重賞を小さいところから順に取っていく血ではないらしい。 この日、5着に敗れた馬がいる。ホッコータルマエ。同じ2009年の生まれで、誕生日は十日しか離れておらず、父も同じキングカメハメハだった。三歳の夏、この世代の砂の上でいちばん高いところに立っていたのは、日高町の牧場が生産から所有まで引き受けた一頭のほうだった。
古馬の砂へ
三歳の秋、相手が変わった。11月の京都、みやこステークスは2番人気で10着。勝ったローマンレジェンドから1秒5も離される。12月2日の阪神、ジャパンカップダート——のちにチャンピオンズカップと名を改めるレースである——では8番人気の評価どおり8着に終わり、ニホンピロアワーズから1秒4差だった。古馬の一線級は、三歳の砂の王者をまだ王者として扱わなかった。 12月29日、大井の東京大賞典。この一戦だけ、手綱は内田博幸に渡っている。17戦のうち16戦を四位洋文が務めたこの馬にとって、鞍上が替わった唯一のレースだった。12頭の3番人気で、ローマンレジェンドに0秒1差の2着。秋に1秒5もつけられた相手を、暮れの大井では0秒1まで詰めていた。三歳の暮れ、この馬はもう古馬のGIで足りていた。
0秒1の年
2013年1月30日、川崎の2100メートル。稍重の砂で、1番人気に推されたのは古豪ワンダーアキュートだった。四歳になったばかりのハタノヴァンクールは2番人気。前で抜け出し、追ってくるワンダーアキュートを0秒1だけ抑え込む。2分15秒4。最上級のタイトルは二つになった。 そこから先は、背負う重さの話になる。3月の船橋、ダイオライト記念は単勝1.2倍の圧倒的1番人気で臨んだが、2400メートルの長い砂でオースミイチバンに0秒1差の2着に敗れた。5月の京都、平安ステークスは59キロで5着。6月の大井、帝王賞は57キロを積んで4着——勝ったのはホッコータルマエだった。前の年の夏に大井で置いていったはずの同期に、一年後の同じ大井で置いていかれている。 8月15日、門別。58キロのブリーダーズゴールドカップは8頭立ての2番人気で、三連覇のかかったシビルウォーを2馬身半、0秒5差で下した。重賞3勝目を挙げた砂は、自分が生まれた町にある競馬場のそれだった。10月の金沢、白山大賞典では60キロを背負わされ、エーシンモアオバーに0秒1差の2着。斤量が増え続けるということは、強いと見られ続けているということである。 この馬は、17戦で一度も3着に入っていない。勝った7回、0秒1差で敗れた3回、そして届かなかった7回。負け方は二種類しかなく、その片方はすべて0秒1差だった。
金沢、入線のあとで
2013年11月4日、金沢の2100メートル。ひと月前に60キロで2着だったのと同じコースで、JBCクラシックが行われた。4番人気。 勝ったのはホッコータルマエだった。2分12秒6。一年四か月前の大井で5着に沈んでいた同期は、この日、砂の王座に手をかけた。ハタノヴァンクールの時計は2分19秒8で、11着。そして入線したあと、四位洋文は馬から降りた。下馬である。 診断は左前脚の浅屈腱炎。11月9日付で競走馬登録が抹消された。四歳の十一月、17戦7勝。獲得賞金2億3794万6000円のうち、1億8583万円は地方の砂で稼いだものだった。中央で9戦、地方で8戦。二年に足りないキャリアは、二つの競馬にほとんど半分ずつ置かれていた。 同じ日に走り、同じ父を持ち、十日違いで生まれた二頭の道が、金沢の砂で分かれた。片方はさらに三年走って通算39戦を数え、片方はここで終わった。
新冠に立つ
種牡馬入りが発表され、アロースタッドに入った。だが脚元の状態が良くなく、一度そこを出ている。馬体を立て直すため生まれ故郷のグッドラック・ファームで二年ほど静養し、2015年12月に改めてアロースタッドへ入って、2016年から供用が始まった。走るのをやめてから種牡馬として立つまでに、二年余りかかったことになる。 産駒は各地の地方競馬へ散った。2020年生まれの牝馬スティールグレイスが、2022年に門別のリリーカップを勝っている。父が58キロで重賞を勝ったのと同じ、日高町の競馬場の砂だった。 叔父のジャガーメイルは引退後ノーザンホースパークで乗馬になり、2022年の春に岡山県真庭市の功労馬牧場へ移った。四位洋文は2020年2月に鞍を降り、翌2021年3月に栗東で厩舎を開き、2023年3月、名古屋大賞典で調教師としての初めての重賞を勝った。砂の交流重賞である。この人はこの馬の17戦のうち16戦で背にいて、最後にその背から降りた。 ハタノヴァンクール自身は、いまも北海道にいる。新冠町のクラック・ステーブル。十七歳。2026年の種付料は、プライベートと記されている。社台で10戦して勝てなかった牝馬から流れ出した血は、浦河を経て日高に届き、そこで最上級のタイトルを二つ持ち帰った。日高の馬を追い続けた厩舎が受け取ったのは、そういう血だった。
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