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ハッピースプリント
通算成績36戦11勝
獲得賞金2億7,232万円
生年月日 2011.03.06(平成23年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3 | マイルグランプリトライアル | 大井 ダ1600 | 4人気 | 御神本訓史 | 1:42.0 | 上り39.4 | — | |
| 10 | スパーキングサマーカップ | 川崎 ダ1600 | 8人気 | 吉原寛人 | 1:42.6 | 上り38.4 | — | |
| 取 | サンタアニタトロフィー | 大井 ダ1600 | 御神本訓史 | — | — | |||
| 7 | ブリリアントカップ | 大井 ダ1800 | 8人気 | 吉原寛人 | 1:55.0 | 上り38.1 | — | |
| 1 | 隅田川オープン | 大井 ダ1600 | 6人気 | 御神本訓史 | 1:40.6 | 上り38.1 | — | |
| 7 | JpnⅡ名古屋グランプリ | 名古屋 ダ2500 | 8人気 | 宮崎光行 | 2:44.5 | 上り41.0 | — | |
| 4 | 道営記念 | 門別 ダ2000 | 3人気 | 宮崎光行 | 2:06.9 | 上り40.4 | — | |
| 4 | 瑞穂賞 | 門別 ダ1800 | 1人気 | 宮崎光行 | 1:55.6 | 上り40.2 | — | |
| 1 | ロードカナロア・プレ | 門別 ダ1800 | 1人気 | 宮崎光行 | 1:55.5 | 上り38.9 | — | |
| 14 | GIIIマーチS | 中山 ダ1800 | 14人気 | 蛯名正義 | 1:53.2 | 上り38.9 | 映像 | |
| 6 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 8人気 | 吉原寛人 | 2:15.9 | 上り38.9 | — | |
| 8 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 8人気 | 吉原寛人 | 2:08.1 | 上り38.0 | — | |
| 3 | JpnⅡ浦和記念 | 浦和 ダ2000 | 5人気 | 吉原寛人 | 2:08.4 | 上り39.6 | — | |
| 7 | マイルグランプリ | 大井 ダ1600 | 3人気 | 本橋孝太 | 1:41.4 | 上り40.4 | — | |
| 6 | JpnⅡ日本テレビ盃 | 船橋 ダ1800 | 4人気 | 宮崎光行 | 1:55.1 | 上り39.6 | — | |
| 7 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 7人気 | 宮崎光行 | 1:41.2 | 上り39.0 | — | |
| 6 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 4人気 | 宮崎光行 | 2:04.9 | 上り39.5 | — | |
| 1 | JpnⅡ浦和記念 | 浦和 ダ2000 | 2人気 | 宮崎光行 | 2:05.9 | 上り37.3 | — | |
| 5 | JpnⅠJBCクラシック | 大井 ダ2000 | 5人気 | M.デムーロ | 2:05.2 | 上り37.3 | 映像 | |
| 6 | JpnⅠマイルチャンピオンシップ | 盛岡 ダ1600 | 3人気 | 宮崎光行 | 1:38.0 | 上り39.2 | — | |
| 3 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 5人気 | 宮崎光行 | 2:03.4 | 上り38.8 | — | |
| 3 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 5人気 | 宮崎光行 | 1:37.9 | 上り37.7 | — | |
| 11 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 8人気 | 吉原寛人 | 1:36.9 | 上り36.2 | 映像 | |
| 4 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 2人気 | 吉原寛人 | 2:18.2 | 上り40.6 | — | |
| 4 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 6人気 | 吉原寛人 | 2:04.4 | 上り37.7 | — | |
| 5 | 勝島王冠 | 大井 ダ1800 | 1人気 | 吉原寛人 | 1:53.7 | 上り40.0 | — | |
| 2 | JpnⅠジャパンダートダービー | 大井 ダ2000 | 1人気 | 吉原寛人 | 2:03.9 | 上り37.2 | — | |
| 1 | 東京ダービー | 大井 ダ2000 | 1人気 | 吉原寛人 | 2:05.9 | 上り37.0 | — | |
| 1 | 羽田盃 | 大井 ダ1800 | 1人気 | 吉原寛人 | 1:52.6 | 上り37.4 | — | |
| 1 | 京浜盃 | 大井 ダ1700 | 1人気 | 吉原寛人 | 1:47.6 | 上り37.2 | — | |
| 1 | JpnⅠ全日本2歳優駿 | 川崎 ダ1600 | 1人気 | 宮崎光行 | 1:40.4 | 上り38.9 | — | |
| 1 | JpnⅢ北海道2歳優駿 | 門別 ダ1800 | 1人気 | 宮崎光行 | 1:52.5 | 上り38.4 | — | |
| 1 | サンライズカップ | 門別 ダ1700 | 1人気 | 宮崎光行 | 1:49.0 | 上り36.8 | — | |
| 5 | OPコスモス賞 | 函館 芝1800 | 3人気 | 宮崎光行 | 1:52.4 | 上り36.4 | — | |
| 5 | GIII函館2歳S | 函館 芝1200 | 5人気 | 宮崎光行 | 1:10.4 | 上り35.8 | — | |
| 1 | OPJRA認定ウィナーズ | 門別 ダ1700 | 1人気 | 宮崎光行 | 1:50.9 | 上り38.7 | — | |
| 1 | JRA認定フレッシュ | 門別 ダ1200 | 3人気 | 岩橋勇二 | 1:14.2 | 上り38.4 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父アッミラーレ | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ダジルミージョリエDazzle Me Jolie | Carr de Naskra | |
| Mawgrit | ||
| 母マーゴーンMargone | Dayjur | Danzig |
| Gold Beauty | ||
| Whispered Secret | Secretariat | |
| Classy 'n Smart |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2011年生まれの鹿毛の牡馬。父アッミラーレ、母マーゴーン。
浦河の牧場から ― 幸せと、全力疾走
2011年3月6日、北海道浦河町。辻牧場に鹿毛の牡馬が生まれた。生産したのはこの牧場で、馬主として登録されたのもこの牧場である。自分のところで生まれた仔を、自分の名前で走らせる――オーナーブリーダーの馬だった。 父アッミラーレはサンデーサイレンス産駒。18戦6勝、重賞のタイトルは持たないまま種牡馬になった馬である。母マーゴーンはアメリカ生まれで、その父デイジュールは1990年に英国の年度代表馬と欧州最優秀短距離馬に選ばれた快速馬だった。ナンソープステークスをコースレコードで駆け抜けた脚が、母系の入口に据えられている。 血の奥には、もっと大きな名前がある。曾祖母クラッシーンスマートは、1991年を無敗で駆け抜けてカナダ三冠を制し、ブリーダーズカップまで勝ったダンススマートリーと、のちに北米のリーディングサイアーとなりカーリンを送り出したスマートストライクを産んだ牝馬である。祖母ウィスパードシークレットはセクレタリアトの娘で、その半きょうだいにあたる。北米の一等地の血が、三代を経て浦河の牧場に届いていた。 名は、幸せと全力疾走を重ねて付けられた。ハッピースプリント。 2013年5月15日、門別のフレッシュチャレンジでデビュー。鞍上は岩橋勇二、馬体重は506キロ。3番人気だったが4コーナーで先頭に立ち、2馬身半突き放して勝った。続くウィナーズチャレンジ2は宮崎光行に乗り替わり、スタートから先頭に立って4馬身差。二戦二勝、どちらも自分から動いて掴んだ勝ちだった。
芝では届かなかった
認定競走を勝ったことで中央への出走資格が生まれ、7月21日、函館2歳ステークスに駒を進めた。初めての重賞、初めての芝、そして1200メートル。出脚が鈍く後方からの競馬になり、直線で外に持ち出して上がり最速タイの脚で追い上げたが、勝ったクリスマスから0秒8差の5着だった。続く函館のコスモス賞は芝1800メートル。3番人気に推されながら、これも5着に終わる。 芝の二戦で分かったのは、この馬の武器が別の場所にあるということだった。10月15日、門別に戻ってサンライズカップ。序盤は最後方に控え、3コーナーから4コーナーにかけて逃げるエイシンホクトセイに並びかけると、直線で2馬身半突き放した。重賞初制覇。砂の上でなら、後ろからでも間に合った。
二歳の王
11月7日、北海道2歳優駿。ダートグレード競走で中央馬と初めて顔を合わせる一戦だったが、単勝1.5倍の1番人気に支持された。中団から進み、4コーナーで逃げるアースコネクターを捕まえ、直線で2馬身振り切る。ダートグレードのタイトルを、地元の門別で手にした。 12月18日、川崎。二歳のダート王を決める全日本2歳優駿にも、2.5倍の1番人気で臨んだ。3番手を進み、4コーナーで逃げるスザクに並びかけると、そこからは二頭だけの叩き合いになる。競り落として1馬身半。JpnIのタイトルだった。 北海道の二歳は強い――そう言われながら、その世代はJpnIのタイトルになかなか手が届かずにいた。田中淳司は、これ以上ないほど感激していると語っている。 その年のNARグランプリで、ハッピースプリントは2歳最優秀牡馬に選ばれ、さらに年度代表馬にも選出された。まだ二歳だった。
金沢から来た男
南関東の牡馬クラシックに挑むため、明けて2014年、ハッピースプリントは大井の森下淳平厩舎へ移った。田中淳司の手を、一度離れる。 鞍上に指名されたのは、金沢競馬の吉原寛人だった。2001年に金沢でデビューし、各地へ遠征しては勝ち星を積み上げてきた男である。当時の南関東には、他地区所属の騎手はダートグレード競走では原則として自分の所属競馬場などの馬にしか騎乗できない、という規定があった。つまりこのコンビは、南関東の重賞なら組めても、三冠目のジャパンダートダービーでは組めない。その事実を抱えたまま、二人は春を走り出した。 3月12日の京浜盃、単勝1.1倍。先団の後ろから直線で抜け出し、追い込んできたドラゴンエアルに1馬身3/4差。4月23日の羽田盃も1.1倍。3番手から3コーナー、4コーナーで先頭に並びかけ、直線でドバイエキスプレスを5馬身突き放した。一冠目。 6月4日、東京ダービー。15頭立ての大外15番枠、単勝1.1倍、支持率は70パーセントに達した。好位から3コーナー、4コーナーで前に取りつき、直線で抜け出すとスマイルピースに4馬身差。2011年のクラーベセクレタ以来の二冠馬が誕生した。 ゴール後、吉原はウイニングランを行った。南関東以外の地区に所属する騎手が東京ダービーを勝ったのは、これが史上初めてである。勝利騎手インタビューで、彼は涙を隠さなかった。夢だったダービージョッキーになれた、と言った。
ハナ差
三冠目のジャパンダートダービーは、規定のままなら吉原が乗れないはずだった。ところが大井は、羽田盃と東京ダービーの両方を勝った二冠馬が出走する場合に限り、その両競走で騎乗していた他地区所属の騎手はその馬にだけ騎乗できる、という取り扱いを新たに定めた。ルールのほうが、一頭の馬と一人の騎手のために道を空けた。 7月9日。九州へ近づいた台風の影響で、大井には本降りの雨が落ちていた。馬場は稍重。ダートに限ればここまで8戦8勝、単勝1.4倍の1番人気である。 レースは理想に近い形で進んだ。3番手に控え、3コーナーで2番手へ上がり、直線でノースショアビーチを交わして先頭に立つ。そこへ、スタートで挟まれて最後方まで下げていた一頭が、大外から矢のように伸びてきた。カゼノコ、鞍上は秋山真一郎。二頭は並んでゴール板を通過し、写真判定はカゼノコに軍配を上げた。着差はハナ。3着フィールザスマートまでは、さらに半馬身あった。 カゼノコを管理する野中賢二は、道中で最後方に置かれても慌てなかった理由をこう明かしている。「この馬の競馬をして届かなかったら仕方ないと、ジョッキーとは話していた」[^1]。相手の腹の据わり方が、トーシンブリザード以来13年ぶり、史上2頭目の南関東三冠を、ハナの差だけ遠ざけた。 吉原は、4コーナーの手応えはとてもよかった、直線もよく伸びていた、それ以上に外の馬に来られてしまった、と悔しさを口にしている。
出典:スポーツナビ「カゼノコの末脚、13年ぶり三冠切り裂く=その差しは母譲り!3歳新ダート王誕生」2014年7月9日配信、https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201407090009-spnavi、閲覧日:2026年7月28日。
古馬の海 ― 二度目の年度代表馬
夏に休養を挟み、秋は大井の勝島王冠から。1番人気に支持されながら4コーナーで手応えが怪しくなり5着。それでも暮れの東京大賞典では、三歳で古馬の一線級に挑み、ホッコータルマエの4着まで詰めている。NARグランプリでは3歳最優秀牡馬に選ばれた。 翌年度からは、他地区所属騎手のダートグレード競走での騎乗制限そのものが緩和された。2015年、門別で手綱を取り続けてきた宮崎光行が、大井所属になったこの馬の鞍上に戻ってくる。壁の高さを測り続ける一年だった。川崎記念4着。中央のフェブラリーステークスは流れに乗れず11着。かしわ記念はゴール前まで先頭を争い、勝ったワンダーアキュートから0秒5差の3着。帝王賞はホッコータルマエから0秒7差の3着。盛岡のマイルチャンピオンシップ南部杯はスタートでつまずいて6着、不良馬場のJBCクラシックはM.デムーロを背に5着。川崎記念と帝王賞を勝ったのはホッコータルマエ、フェブラリーステークスとJBCクラシックを勝ったのはコパノリッキー。古馬の頂は、まだ高いところにあった。 12月2日、浦和記念。中央のチャンピオンズカップに登録したものの除外対象となり、代わりに向かった一戦である。3コーナーで抜け出したサミットストーンの直後につけ、直線で先頭に立って押し切った。東京ダービー以来、1年半ぶりの勝利だった。 暮れの東京大賞典は6着。それでも地方所属馬では最先着で、宮崎はこの競馬が次に生きると言った。この年、ハッピースプリントは二度目のNARグランプリ年度代表馬に選ばれる。4歳以上最優秀牡馬も同時に受賞した。
消えた一年半、そして門別へ
2016年は勝てなかった。中央にも川崎記念にも向かわず、5月のかしわ記念が初戦で7着。夏を全休し、秋の日本テレビ盃も掲示板を外す。大井のマイルグランプリでは、乗る予定だった宮崎光行が負傷し、同じ森下厩舎のプレティオラスで東京ダービーを勝っていた本橋孝太が代役に立った。初めての大井内回りと、キャリア最高の59キロ。7着だった。浦和記念3着、東京大賞典8着で、この年を終える。 2017年は2年ぶりの川崎記念で6着。3月26日、蛯名正義を背に中山のマーチステークスへ向かったが、コーナーで置かれ、中央の速い流れにも対応できずに14着と大敗した。馬体重は540キロ。キャリアで最も重い数字だった。 そこから、この馬の名前はどこにも並ばなくなる。休養の理由は、のちに蹄の不安だったと伝えられた。1年半近い空白ののち、2018年、ハッピースプリントは門別へ戻る。迎えたのは、デビューを預かった田中淳司だった。7月30日に能力検査を受け、8月29日のロードカナロア・プレミアムで復帰。楽な手応えのまま2着に3馬身差をつけた。2015年の浦和記念以来の勝利だった。 10月の瑞穂賞では1番人気に推されて4着。秋の道営記念にはファン投票3位で出走権を得て、4コーナーから外を回して仕掛けたが、これも4着。暮れの名古屋グランプリはチュウワウィザードの7着だった。七歳になっても、地元はこの馬を主役の側に置いていた。
八歳の春と、浦河への帰還
2019年、ハッピースプリントは再び大井の森下淳平厩舎に籍を置いた。3月19日、隅田川オープン。八歳、6番人気。中団から鋭く伸びてトーセンブルに1馬身3/4差をつけ、御神本訓史を背に快勝する。この馬はまだ、勝ち方を忘れていなかった。 4月のブリリアントカップは7着。7月のサンタアニタトロフィーは出走を取り消し、8月のスパーキングサマーカップは10着。9月19日のマイルグランプリトライアルで3着に入ったのが、最後の一戦になった。2020年10月13日付で競走馬登録を抹消。19日、引退が発表される。36戦11勝、獲得賞金2億7232万5000円。NARグランプリ年度代表馬2回。 引退後はイーストスタッドで種牡馬となり、いまは生まれ故郷の辻牧場につながれている。産駒は南関東と北海道を中心に、佐賀でも笠松でも園田でも走る。大井の森下淳平厩舎には牝馬ストライドスターがいて、門別の田中淳司厩舎には牡馬レイスプリントがいる。この馬を最初に預かった人と、二冠へ送り出した人が、今度はその仔を預かっている。 東京ダービーで涙を見せた男も、走り続けた。2025年12月7日、吉原寛人は金沢の中日杯を勝って地方競馬の重賞通算201勝に到達し、安藤勝己の記録を23年ぶりに更新して単独最多となった。 その仔らの名には、ハッピーが残り、スプリントが残っている。幸せと、全力疾走。名付けられたとおりのものを、この馬はまだ配り続けている。
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