名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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グリーンエナジーのイメージビジュアル
グリーンエナジーGreen Energy
Green Energy

グリーンエナジー

通算成績5戦2勝

獲得賞金4,903万円

生年月日 2023.01.29(令和5年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
グリーンエナジーの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
16 GI東京優駿 東京 芝2400 10人気 戸崎圭太 2:24.2 上り34.4映像
7 GI皐月賞 中山 芝2000 2人気 戸崎圭太 1:57.0 上り33.6映像
1 GIII京成杯 中山 芝2000 2人気 戸崎圭太 1:59.3 上り33.8映像
1 2歳未勝利 東京 芝2000 1人気 戸崎圭太 2:01.2 上り32.9
3 2歳新馬 東京 芝1800 3人気 戸崎圭太 1:47.7 上り34.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
グリーンエナジーの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
スワーヴリチャードSuave RichardハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday Silence
アイリッシュダンス
ピラミマUnbridled's Song
キャリアコレクション
シンバルII CymbalSingspielIn the Wings In The Wings
Glorious Song
ValdaraDarshaan
Valverda
STORY

旅程 — この馬の物語

2023年生まれの栗毛の牡馬。父スワーヴリチャード、母シンバル。主な勝ち鞍は京成杯。

再生可能な夢 ― 浦河の栗毛と一世紀の願い

北海道浦河町の辻牧場が創業して、2026年で百十六年になる。この老舗の日高牧場を、現社長の辻助が継ぐずっと前から、祖父の芳雄はいつも同じ言葉を口にしていたという。「ダービー、ダービー」と。最期まで言い続けていたその言葉が、一頭の栗毛の誕生で、ふたたびターフに放たれることになった。 2023年1月29日、シンバルは牡の仔を産み落とした。父はスワーヴリチャード、2018年大阪杯と2019年ジャパンカップを制した名馬で、種牡馬デビューはごく近年。その初年度産駒の一頭が、この栗毛だった。母シンバルの父はSingspiel——イギリスの名伯楽ニューアラブルが育てたシェイク・モハメッド所有の快速馬で、世界各地のGIを渡り歩いた。血統表の奥には、Glorious Song(英GI馬)の名も光る。 馬主は鈴江崇文。再生可能エネルギー企業グリーンエナジー&カンパニーの創業者で、彼が落札したのは2024年のセレクトセール、9200万円だった。その馬に与えた名が、グリーンエナジー。「環境にやさしいエネルギー」——自身が追い求めるビジョンを、一頭の馬の名に重ねた。 育てるのは美浦の上原佑紀調教師。平成生まれ初のJRA調教師として開業わずか三年目、かつて獣医師として馬に向き合い、その後ノーザンファーム空港牧場で育成を学び、英仏へ渡って研鑽を積んだ若き指揮官は「古い常識にとらわれない」という言葉で自らの仕事を語る。その厩舎に、長い夢を乗せた栗毛が入った。

鼻血の洗礼、そして33秒台の閃光 ― 未勝利から京成杯へ

2025年6月8日、東京。グリーンエナジーは芝1800mで競走馬としての一歩を踏み出した。3番人気に推されたが、デビュー戦は3着に終わる。ひと夏を越えて馬体を作り直し、秋の東京芝2000mで迎えた未勝利戦でも、試練は降ってきた。競走中、鼻出血が発症した。 しかし、手綱を握った戸崎圭太は動じなかった。上がり32秒9——メンバー最速の脚で突き抜け、3馬身差の圧勝。グリーンエナジーは初勝利を掴んだ。レース後、JRAの規定によりしばらくの出走制限が課されたが、馬の本質は何も変わっていなかった。 明けて2026年1月18日、中山。第66回京成杯、芝2000m。戸崎は後方のインに馬を置いた。直線、外に持ち出す。ほかの馬が上がり34秒台で足を使う中、グリーンエナジーただ一頭が33秒8を刻んだ。先に抜け出したマテンロウゲイルを、最後の最後でクビ差捉えた。勝ちタイム1分59秒3。重賞初制覇だった。 戸崎は勝利のあとにこう話した。「まだ緩さはありますが、一戦ごとにしっかりして来ていますし、ポイントになるテンションもしっかり落ち着いて来ているので、そのあたりで力を出し切れているのだと思います。クラシック路線で活躍していって欲しいと思います」[^1]。上原師が即座に見据えたのは、その先だった。皐月賞直行、あるいはダービー直行——常識に縛られない選択肢を口にしながら、「ダービーを全力で取りにいきたい」[^2]と言い切った。

出典:スポーツ報知 2026年1月18日配信、閲覧日:2026年6月25日。/東京スポーツ 2026年1月18日配信、閲覧日:2026年6月25日。

春の壁と、続く旅 ― 皐月賞からダービーへ

2026年4月19日、皐月賞。2番人気の支持を受けてグリーンエナジーは中山のゲートに入った。中団後方からのレースで、直線で外を回して追い込んだ。上がり33秒6はメンバー2位タイの末脚だったが、前を行く馬たちには届かず7着。戸崎は「直線で右にヨレるところがあった」[^1]と振り返った。直線でのモタれは、京成杯の時より顕著に出た——上原師はそう総括し、左回りの東京ならまっすぐ走れると前を向いた。 五月三十一日、東京優駿。グリーンエナジーは芝2400mのダービーに進んだ。10番人気。上原師は共同会見で「距離はあればあるほど良い」「良い状態まで戻ってくれた」[^2]と手応えを語っていた。辻牧場の辻助社長もまた、祖父から受け取った言葉を胸にスタンドからその走りを見つめた。「じいちゃんがいつもダービー、ダービーと言っていて。最期まで言い続けていました」[^3]。 結果は16着。勝ち馬との間には大きな着差が刻まれた。しかし、グリーンエナジーは3歳の春を駆け切った。まだ緩さが残ると言われながら、一戦ごとに体を作りながら、重賞を勝ちGIの舞台に立った。それだけの事実が、確かにある。平成生まれの指揮官と、一世紀の願いを育んだ浦河の牧場と、再生可能エネルギーの名を持つ栗毛は、まだ旅の途中だ。

出典:東京スポーツ 2026年4月19日配信、閲覧日:2026年6月25日。/東京スポーツ 2026年5月31日配信、閲覧日:2026年6月25日。/日刊スポーツ 2026年5月31日配信、閲覧日:2026年6月25日。

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