名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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グランディアのイメージビジュアル
グランディアGran Dia
Gran Dia

グランディア

通算成績26戦5勝

獲得賞金17,296万円

生年月日 2019.03.13(令和元年)毛色 鹿毛セン

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
グランディアの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 GIII新潟大賞典 新潟 芝2000 7人気 西村淳也 1:58.9 上り33.7映像
3 L大阪城S 阪神 芝1800 2人気 西村淳也 1:44.2 上り34.4
3 GIII中山金杯 中山 芝2000 4人気 横山武史 2:00.3 上り34.0映像
2 LディセンバーS 中山 芝1800 3人気 T.マーカンド 1:47.4 上り34.9
13 GIII函館記念 函館 芝2000 5人気 三浦皇成 1:59.3 上り36.5映像
5 L福島民報杯 福島 芝2000 1人気 三浦皇成 2:00.1 上り34.8
7 GII中山記念 中山 芝1800 11人気 三浦皇成 1:45.4 上り34.3映像
4 LオクトーバーS 東京 芝2000 1人気 三浦皇成 1:57.8 上り34.1
2 GIII函館記念 函館 芝2000 4人気 三浦皇成 1:59.8 上り35.3映像
6 GIIIエプソムカップ 東京 芝1800 5人気 三浦皇成 1:45.3 上り34.1映像
1 スピカS 中山 芝1800 4人気 三浦皇成 1:47.6 上り34.0
3 常総S 中山 芝1800 4人気 菅原明良 1:47.0 上り33.7
4 修学院S 京都 芝2000 2人気 R.ムーア 1:59.6 上り34.2
8 佐渡S 新潟 芝1800 1人気 川田将雅 1:46.0 上り33.6
2 むらさき賞 東京 芝1800 5人気 川田将雅 1:45.2 上り33.7
2 錦S 京都 芝1600 3人気 西村淳也 1:34.5 上り33.9
6 但馬S 阪神 芝2000 4人気 坂井瑠星 2:00.9 上り33.2
1 3歳以上2勝クラス 中山 芝1800 7人気 D.イーガン 1:47.9 上り34.4
5 武田尾特別 阪神 芝1800 4人気 岩田望来 1:47.7 上り33.3
8 GIIIラジオNIKKEI賞 福島 芝1800 6人気 坂井瑠星 1:47.5 上り35.3映像
5 LプリンシパルS 東京 芝2000 3人気 戸崎圭太 1:59.2 上り34.2
4 L若駒S 中京 芝2000 2人気 川田将雅 2:02.6 上り35.3
1 3歳1勝クラス 中京 芝2000 1人気 川田将雅 2:00.1 上り36.1
3 黄菊賞 阪神 芝2000 2人気 藤岡佑介 2:03.5 上り34.5
1 2歳未勝利 中京 芝2000 1人気 川田将雅 2:01.2 上り34.8
2 2歳新馬 小倉 芝1800 1人気 川田将雅 1:49.9 上り34.4

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
グランディアの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ハービンジャーHarbingerDansiliデインヒルDanehill
Hasili
Penang PearlBering
Guapa
ディアデラノビアサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ポトリザリスPotrizarisPotrillazo
Chaldee
STORY

旅程 — この馬の物語

2019年生まれの鹿毛のせん馬。父ハービンジャー、母ディアデラノビア。主な勝ち鞍は新潟大賞典。

恋人の日の血 ― 母ディアデラノビアの一族

母の名を、アルゼンチンの言葉で「恋人の日」という。ディアデラノビア――サンデーサイレンスを父に持つこの牝馬は、2005年のフローラステークス、2007年の京都牝馬ステークスと愛知杯を勝った重賞3勝の名牝だった。その母ポトリザリスはアルゼンチンの生まれ。血の底には、南米の乾いた風が流れている。 この一族の産駒には、スペイン語の「日(ディア)」を冠した名が並ぶ。半姉ディアデラマドレ――「母の日」を意味するその牝馬もまた、マーメイドステークス・府中牝馬ステークス・愛知杯と重賞を三つ勝ち、母娘で愛知杯を制した。全兄サンマルティンは44戦を走って10勝を挙げた息の長い馬で、この一族には、華やかな一発よりも長く堅実に走り続ける気質が通っていた。 2019年3月、ノーザンファーム。母が英キングジョージを圧勝した名馬ハービンジャーとの間に儲けた一頭に、また「日」の名が与えられた。グランディア。スペイン語で読めば、グラン・ディア――大いなる、晴れの一日。その名が現実になるまでに、この馬は7年を要することになる。

素質と去勢 ― セン馬になった夏

2021年7月、小倉の芝1800。デビュー戦の鞍上は、当代屈指の名手・川田将雅だった。単勝1番人気に応えきれず、逃げ粘る相手をわずかに捉えられずに2着。だが素質は本物で、2か月後の未勝利戦を中京の2000で危なげなく勝ち上がると、明けて2022年1月、3歳1勝クラスも川田を背に1番人気で完勝してみせた。 血が約束する器はあった。足りないのは、気性だった。高すぎるテンションが走りに影を落とし、春のプリンシパルステークス、夏のラジオNIKKEI賞と、重賞・準重賞の舞台では持てる力を出しきれない。そして3歳の夏、陣営はひとつの決断を下す。去勢――セン馬となることで、この馬は牡としての未来と引き換えに、走ることへの集中を手に入れた。

善戦の背中 ― 届かない重賞

角が取れた。去勢明けの2022年暮れ、中山の2勝クラスを7番人気で勝ち切ったのは、落ち着きを得た証だった。翌年、京都の錦ステークスで初めて手綱を取った若手・西村淳也とのコンビでは2着。むらさき賞でも2着と、勝ちきれない善戦が続いたが、2024年3月、三浦皇成を背にスピカステークスを制し、ついにオープンの舞台へ辿り着く。 そして7月、洋芝の函館記念。中団から末脚を伸ばし、重賞で初めて連対を果たす2着に走った。鞍上の三浦は、この馬はいずれ重賞戦線で活躍する、と将来を託した。だが、その言葉が現実になるまでの道は平坦ではなかった。1番人気に推されたオクトーバーステークスは4着、明けての中山記念は11番人気で7着、再び挑んだ翌年の函館記念にいたっては13着の大敗。重賞のタイトルは、いつも指の先をすり抜けていった。

越後の大きな日 ― 新潟大賞典

それでも、この馬は崩れなかった。2025年暮れのディセンバーステークスで2着、明けての中山金杯も3着と、掲示板の内側へ戻ってくる。2026年3月の大阪城ステークスでふたたび手綱を取ったのは、まだ重賞に手が届かなかった頃に錦ステークスで跨っていた、西村淳也だった。3着。歯車は、ゆっくりと噛み合いはじめていた。 5月16日、新潟大賞典。7歳、単勝7番人気。中団を追走したグランディアは、直線の半ばで馬群を割ると、残り300メートルで先頭に立つ。内から食らいついてきた12番人気バレエマスターを、クビ差。1着から4着までが首の差という叩き合いを、越後の長い直線で制した。2年2か月ぶりの勝利が、そのまま重賞初制覇だった。26戦目のことである。三浦が託した言葉は、別の男の手で現実になった。ウィナーズサークルで、西村は言った。「7歳でもまだフレッシュです」[^1]。

出典:東京スポーツ「【新潟大賞典結果&コメント】グランディア重賞初V 西村淳也『7歳でもまだフレッシュです』」2026年5月16日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/71690、閲覧日:2026年7月19日。

グラン・ディア ― 大いなる一日

母の名は「恋人の日」、その血を継ぐ子らには「日」の名が並んだ。そしてこの馬に与えられたのは、大いなる一日――グラン・ディア。2026年5月、新潟の直線で、名の通りの一日がやってきた。7年と、26のレースを費やして。 名牝ディアデラノビアは、2023年の春に世を去っている。息子が掴んだ最も大きな一日を、母は見ていない。だが、母娘で愛知杯を勝った半姉のように、この一族はいつも、時間をかけて花をひらかせてきた。遅咲きは、血の約束どおりだったのかもしれない。 競馬という営みで血を繋ぐのは、この一族の牝馬たちの役目だろう。去勢を受けたグランディアに託されたのは、ただ走り続けること――残せるのは血ではなく、走った一日だ。7歳にして、まだフレッシュ。その名の通りの大きな一日を、この馬はもう一度、静かに待っている。

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