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ゴスホークケン
通算成績15戦2勝
獲得賞金7,707万円
生年月日 2005.03.03(平成17年)毛色 黒鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9 | OPニューイヤーS | 中山 芝1600 | 12人気 | 武士沢友治 | 1:33.5 | 上り36.4 | — | |
| 12 | OP福島テレビOP | 福島 芝1800 | 10人気 | 伊藤直人 | 1:49.8 | 上り38.3 | — | |
| 16 | OP欅S | 東京 ダ1400 | 8人気 | 伊藤直人 | 1:27.2 | 上り39.8 | — | |
| 9 | OP東風S | 中山 芝1600 | 9人気 | 勝浦正樹 | 1:34.5 | 上り35.6 | — | |
| 13 | OPバレンタインS | 東京 芝1400 | 11人気 | 勝浦正樹 | 1:23.4 | 上り36.3 | — | |
| 17 | OP朱鷺S | 新潟 芝1400 | 11人気 | 石橋脩 | 1:22.7 | 上り37.1 | — | |
| 15 | GIIIアイビスサマーD | 新潟 芝1000 | 10人気 | 石橋脩 | 0:57.8 | 上り35.3 | — | |
| 15 | GIII京成杯オータムH | 中山 芝1600 | 4人気 | 柴田善臣 | 1:34.0 | 上り38.1 | — | |
| 10 | GIIIキーンランドカップ | 札幌 芝1200 | 5人気 | 勝浦正樹 | 1:09.0 | 上り35.0 | — | |
| 5 | GIII函館スプリントS | 函館 芝1200 | 3人気 | 松岡正海 | 1:09.0 | 上り36.2 | 映像 | |
| 12 | GINHKマイルカップ | 東京 芝1600 | 4人気 | 内田博幸 | 1:35.9 | 上り36.7 | 映像 | |
| 12 | GIIニュージーランドトロフィー | 中山 芝1600 | 1人気 | 内田博幸 | 1:36.0 | 上り37.1 | — | |
| 1 | GI朝日杯フューチュリティステークス | 中山 芝1600 | 3人気 | 勝浦正樹 | 1:33.5 | 上り35.2 | 映像 | |
| 4 | GIII東京スポーツ杯2歳S | 東京 芝1800 | 1人気 | 田中勝春 | 1:47.9 | 上り35.2 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 東京 芝1600 | 1人気 | 田中勝春 | 1:34.9 | 上り34.8 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父Bernstein | Storm Cat | Storm Bird |
| Terlingua | ||
| La Affirmed | Affirmed | |
| La Mesa | ||
| 母オールザウェイベイビー | Grand Slam | Gone West |
| Bright Candles | ||
| Lustily | Kris S. | |
| Shahriza |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2005年生まれの黒鹿毛の牡馬。父Bernstein、母オールザウェイベイビー。主な勝ち鞍は朝日フューチュリティ。
犬の名をもらった鷹
2005年3月3日、アメリカのFour Horsemen's Ranchで、黒鹿毛の牡馬が生まれた。父はStorm Catの仔Bernstein、母オールザウェイベイビーは母の父にGrand Slamを持つ黒鹿毛で、この牡馬が初仔にあたる。オカラで開かれたブリーダーセールでこの一頭を買ったのが、藤田与志男だった。 渋谷に生まれ杉並に育ち、青山学院大学の経済学部を出てテレビ局の関連企業に入り、28歳で辞めて海を渡った人である。ノースカロライナの大学で学び、輸入貿易の会社を興し、1995年ごろまずアメリカで馬主になった。中央競馬の馬主資格を取ったのは1997年12月。使った冠名は「シベリアン」と「マルターズ」――どちらも犬の名だ。犬好きで、マルターズのほうは飼っていたマルチーズに由来する。口取りには必ず野球帽をかぶって並ぶ人だった。 その人がこの黒鹿毛に与えた名が、ゴスホークケン。ゴスホークは英語でオオタカを指し、「ケン」は日本語の犬である。猛禽の名の後ろに、犬が一頭ついていた。 2007年10月14日、東京の芝1600m。田中勝春を背に1番人気に応え、この馬はデビュー戦を勝った。
八分の一
2戦目の東京スポーツ杯2歳ステークスも1番人気に推されたが、フサイチアソートの4着に終わる。1勝のまま、暮れの朝日杯フューチュリティステークスへ向かった。当時の表記はJpnI。同じ収得賞金で並ぶ1勝馬が8頭いて、そこから出走枠に滑り込めるのは1頭だけだった。その抽選を引き当てたのが、ゴスホークケンである。 2007年12月9日、中山の芝1600m、16頭立ての1枠1番。単勝6.2倍の3番人気。鞍上は勝浦正樹に替わっていた。 好スタートを切ると、ためらわずにハナへ立った。最内をそのまま運び、直線を向いても先頭は動かず、後続を引き連れたまま最初にゴール板を通過する。2着レッツゴーキリシマに2馬身半。3着に入ったキャプテントゥーレは、翌春の皐月賞を勝つ馬だった。 勝浦にとっては、2002年にテレグノシスで制したNHKマイルカップ以来、5年7か月ぶりのGI級の勝利。調教師の斎藤誠にとっても、馬主の藤田与志男にとっても、これが初めてのJpnIだった。資格を取って10年目の、最初の一つである。
約束された春
年が明けて、ゴスホークケンは2007年度のJRA賞最優秀2歳牡馬に選ばれた。授賞式の席で、陣営はこの馬の一年の設計図を明かしている。春はニュージーランドトロフィーからNHKマイルカップへ。秋は、その2戦を連勝することを条件に、ブリーダーズカップ遠征。生まれた国へ戻す、という青写真だった。 4月12日、中山のニュージーランドトロフィー。鞍上は、3月1日に大井から中央へ移ってきたばかりの内田博幸。単勝2.3倍の1番人気に支持されたが、12着だった。勝ったのはサトノプログレス。 2歳王者の春は、最初の一戦でつまずいた。それでも設計図はまだ消えていない。次はNHKマイルカップだった。
五月十日
藤田与志男は、その年の4月から体調を崩して入院していた。5月10日、心不全で世を去る。67歳だった。 翌5月11日、東京競馬場でNHKマイルカップが行われた。ゴスホークケンは4番人気で12着。勝ったのはディープスカイで、この馬は3週間後に日本ダービーも勝つことになる。訃報が伝えられたのは、13日のことだった。 所有馬と、水色に赤の縦縞、袖に赤一本輪という勝負服の柄は、妻の藤田在子に引き継がれた。10年かけて手に入れた一つ目のJpnIから、5か月しか経っていなかった。 ブリーダーズカップの秋は、来なかった。
短くなっていく距離
夏、陣営は距離を詰めた。7月の函館スプリントステークス、芝1200m。松岡正海を背に3番人気で5着。勝ったのは、のちに高松宮記念を連覇するキンシャサノキセキである。この5着が、朝日杯のあとに残した最上の着順になった。 8月のキーンランドカップには勝浦正樹が戻ってきて10着、9月の京成杯オータムハンデキャップは15着。そこから10か月、この馬はターフから姿を消す。 預け先も途中で替わっている。デビューから世話になった斎藤誠のもとを離れ、同じ美浦の手塚貴久へ。2009年7月、復帰戦のアイビスサマーダッシュは芝1000mで15着、続く朱鷺ステークスは17着。2010年はバレンタインステークス13着、東風ステークス9着――どちらも鞍上は勝浦正樹だった。5月には芝を離れて欅ステークスのダートを試して16着、6月の福島テレビオープンが12着。 1000mから1800mまで、芝もダートも、鞍上も替えて、陣営は最後まで扉を探し続けている。2011年1月15日、中山のニューイヤーステークス9着。手綱を取ったのは武士沢友治だった。これが最後の一戦になり、1月19日付で競走馬登録を抹消された。15戦2勝、獲得賞金7707万6000円。うち6117万円あまりは、あの12月9日の一日で稼いだものである。
マルターズという冠
種牡馬として日高スタリオンステーションに立ち、2016年からは新冠の白馬牧場へ移った。8シーズンの供用で血統登録は30頭。多い数ではない。母オールザウェイベイビーもやがて日本へ渡り、2009年からはディープインパクトの仔を産んでいる。 初年度産駒は5頭だった。その中の一頭が、マルターズアポジーである。母はマルターズヒート――2003年のフェアリーステークスを勝った牝馬で、藤田与志男の勝負服で走っていた馬だ。夫が遺した牝馬に、夫が遺した牡馬を配し、生まれた仔は妻・藤田在子の名義で走った。冠に戻ってきた「マルターズ」は、あの愛犬の名である。 2015年2月28日、中山の新馬戦。マルターズアポジーは逃げ切って勝ち上がった。ゴスホークケン産駒によるJRA初勝利であり、その鞍上は武士沢友治――父の最後の一戦で手綱を取った騎手だった。 この仔は2016年の福島記念で重賞を初めて勝ち、2017年に小倉大賞典と関屋記念を加える。3つとも、先頭に立って、そのまま押し切る勝ち方だった。父が中山の1枠1番でやってみせたのと、同じやり方である。
白馬牧場の五月
2018年5月20日、ゴスホークケンは繋養先の白馬牧場で大動脈破裂のため死んだ。13歳。牧場はその3日前の17日にテイエムオペラオーを見送ったばかりで、6月15日、2頭の合同慰霊祭が営まれた。 知らせを受けた藤田在子は、「G1をプレゼントしてくれた馬ですし、種牡馬となった初年度の産駒からオープン馬を出してくれました」と語っている[^1]。 15戦のうち勝ったのは2回。だがそのうちの一つは、8頭の抽選を1枠だけ引き当てた1勝馬が、暮れの中山で、並んだ15頭の誰にも前を譲らずに走り切った日だった。その年の2歳王者は、その一日で決まっている。 オオタカの名と犬の名をひとつずつ背負って生まれた馬は、13年でその名を返した。ただし片方――犬のほうは冠名として仔に渡り、その仔が三度、父と同じ形で先頭のままゴールした。走り方は、血よりも確かに残ることがある。
出典:スポーツニッポン「ゴスホークケンが死亡 07年朝日杯FS優勝」2018年5月24日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/05/24/kiji/20180524s00004048171000c.html、閲覧日:2026年8月1日。
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