名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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ジェラルディーナのイメージビジュアル
ジェラルディーナGeraldina
Geraldina

ジェラルディーナ

通算成績23戦6勝

獲得賞金(海外含む・概算)約45,966万円

生年月日 2018.05.12(平成30年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ジェラルディーナの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
4 GI香港ヴァーズ シャティン 芝2400 4人気 W.ビュイック 映像
5 GIエリザベス女王杯 京都 芝2200 2人気 R.ムーア 2:12.9 上り34.7映像
6 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 3人気 団野大成 2:12.5 上り35.1映像
4 GI宝塚記念 阪神 芝2200 3人気 武豊 2:11.4 上り35.5映像
6 GIクイーンエリザベス2世カップ シャティン 芝2000 2人気 C.デムーロ
6 GI大阪杯 阪神 芝2000 5人気 岩田望来 1:58.0 上り34.9映像
3 GI有馬記念 中山 芝2500 3人気 C.デムーロ 2:33.1 上り35.7映像
1 GIエリザベス女王杯 阪神 芝2200 4人気 C.デムーロ 2:13.0 上り35.4映像
1 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 5人気 横山武史 2:12.7 上り35.1映像
3 GIII小倉記念 小倉 芝2000 1人気 福永祐一 1:58.2 上り35.0映像
2 GIII鳴尾記念 中京 芝2000 4人気 福永祐一 1:57.8 上り33.6映像
6 GIIサンスポ杯阪神牝馬S 阪神 芝1600 3人気 幸英明 1:33.2 上り33.4映像
4 GII京都記念 阪神 芝2200 4人気 福永祐一 2:12.2 上り33.6映像
4 GIIIチャレンジカップ 阪神 芝2000 2人気 福永祐一 2:01.8 上り34.1映像
1 西宮S 阪神 芝1800 1人気 福永祐一 1:46.1 上り33.3
1 筑後川特別 小倉 芝1800 1人気 福永祐一 1:47.8 上り33.1
1 マカオJCT 小倉 芝1800 2人気 福永祐一 1:45.3 上り35.0
8 城崎特別 阪神 芝1800 4人気 福永祐一 1:49.4 上り38.4
10 LエルフィンS 中京 芝1600 2人気 北村友一 1:36.6 上り33.8
7 GI阪神ジュベナイルフィリーズ 阪神 芝1600 8人気 岩田康誠 1:33.6 上り33.7映像
1 2歳未勝利 阪神 芝1800 2人気 北村友一 1:46.7 上り35.7
2 2歳未勝利 中京 芝1600 2人気 岩田康誠 1:34.5 上り35.6
3 2歳新馬 中京 芝1600 3人気 岩田康誠 1:35.8 上り34.5

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ジェラルディーナの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
モーリスMauriceスクリーンヒーローScreen HeroグラスワンダーGrass Wonder
ランニングヒロイン
メジロフランシスカーネギーCarnegie
メジロモントレー
ジェンティルドンナGentildonnaディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
ドナブリーニDonna BliniBertolini
Cal Norma's Lady
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの鹿毛の牝馬。父モーリス、母ジェンティルドンナ。主な勝ち鞍はエリザベス女王杯・産経賞オールカマー。

名牝の娘 ― 血と、名前

2018年5月12日、北海道安平町のノーザンファームで、一頭の鹿毛の牝馬が生まれた。母の名はジェンティルドンナ。桜花賞・オークス・秋華賞を勝って史上四頭目の牝馬三冠に輝き、ジャパンカップを連覇し、ドバイと有馬記念も制した――GIを七つ勝った、平成を代表する名牝である。イタリア語で「貴婦人」を意味するその名の娘には、母の血に連なる女性名がつけられた。ジェラルディーナ。父は香港と日本のマイル・中距離を席巻したモーリス、馬主はサンデーレーシング、生産はノーザンファーム。母の名がこれほど重くのしかかった娘も、そういない。 二〇二〇年九月、中京の芝千六百メートル。デビュー戦の手綱をとったのは、岩田康誠だった。かつて母ジェンティルドンナを桜花賞と秋華賞で勝たせ、ジャパンカップへと導いた、あの主戦である。母を頂へ運んだ男が、娘の最初の一完歩を引く。血の物語は、そこから静かに動き出した。

遅れてきた ― 二歳の壁

デビューは三着だった。二戦目も二着。血統への期待に、走りはすぐには応えない。三戦目、十一月の阪神・未勝利戦を北村友一で勝ち上がってようやく初勝利を挙げると、その勢いのまま暮れの阪神ジュベナイルフィリーズへ駒を進めた。だが二歳女王を決める大一番では八番人気の七着。年が明けてのエルフィンステークスも、二番人気に支持されながら十着に沈む。母は二歳の暮れにはすでに素質を示していた。娘は、まだそこにいなかった。血が約束するものと、いま走れるものの距離を、この牝馬は最初から背負っていた。

福永祐一と、ひとつずつ

三歳の春、手綱は福永祐一に託される。六月の城崎特別こそ八着に敗れたが、そこから歯車が噛み合った。七月のマカオジョッキークラブトロフィー、九月の筑後川特別、十月の西宮ステークス――福永を背に、条件戦を三つ、危なげなく勝ち抜く。一足飛びの飛躍ではない。一勝ずつ、階段を上るような勝ち方だった。十二月のチャレンジカップ、明けての京都記念と、重賞では四着が続く。あと一歩が遠い。それでも福永は、この牝馬の重心の低い伸びを信じて乗り続けた。名牝の血は、派手にではなく、地道に開きはじめていた。

差し、届く ― オールカマーの最内

四歳、二〇二二年。マイルの阪神牝馬ステークスは忙しく六着。だが距離を戻した六月の鳴尾記念で上がり三十三秒六の脚を使って二着に迫り、一番人気に推された八月の小倉記念でも三着と、末脚は確かに鋭くなっていた。 迎えた九月、中山の産経賞オールカマー。鞍上は横山武史に替わり、人気は五番手。それでも直線、横山は迷わず最内を突いた。内でじっと脚を溜め、開いた隙間を一気に抜けて先頭に立つ。デビューから二年、十五戦目にして掴んだ、初めての重賞タイトルだった。遅れてきた才能が、ようやく時計の針に追いついた。

大外から ― 母の名に、追いつく

十一月十三日、阪神。エリザベス女王杯。無敗の三冠牝馬デアリングタクトが一番人気に立つ古馬牝馬の頂上戦で、ジェラルディーナは四番人気だった。鞍上はクリスチャン・デムーロ。 最後の直線、デムーロは馬群の大外へ持ち出した。外を回した距離のロスをものともせず、鹿毛は一頭だけ違う脚色で伸びてくる。ゴール前、二着に一馬身四分の三の差をつけて、先頭で駆け抜けた。一番人気のデアリングタクトは六着に沈んでいた。 GIを七つ勝った母の産駒で、初めてのGI制覇だった。四歳の十一月、遅れてきた娘は、ついに母の名に追いついた。この年、ジェラルディーナはJRA賞最優秀四歳以上牝馬に選ばれる。

一馬身の出遅れ ― 有馬記念の三着

勢いのまま、暮れの有馬記念へ向かう。三番人気。だがスタートで一馬身の出遅れを喫し、後方からの競馬を強いられた。それでも直線、外から懸命に脚を伸ばす。前を行くのは、この年三歳で世代の頂点に立った怪物イクイノックスと、僅差で食い下がるボルドグフーシュ。二頭には届かず、三着。勝ち切れはしなかったが、暮れのグランプリで古馬の一線に食い込む三着は、名牝の娘が確かに一流の中にいることの証明だった。出遅れさえなければ――そう惜しませるだけの脚が、最後まで残っていた。

旅の終い ― そして、次の世代へ

五歳の二〇二三年は、勝ち星から遠ざかる一年になった。大阪杯は岩田望来を背に六着。母ジェンティルドンナを桜花賞と秋華賞で勝たせ、娘のデビュー戦にも跨がった岩田康誠――その息子である。母を勝たせた父の手綱から、その子の手綱へ。血のめぐりあわせのなかで、娘はもう一度その家族に託された。香港のクイーンエリザベス二世カップで六着、武豊を背にした宝塚記念は後方から仕掛けて直線で力尽き四着。秋のオールカマー六着、連覇を狙ったエリザベス女王杯は五着。そして十二月、香港ヴァーズの四着を最後に、ジェラルディーナは競走生活を終えた。二十三戦六勝、うちGI一勝。 引退後、生まれ故郷のノーザンファームで繁殖牝馬となった彼女は、二〇二五年一月、初めての仔――牝馬を産んだ。母から受け継いだ血が、また一つ下の世代へと渡っていく。遅れてきた名牝の娘は、こうして母になった。

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