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ジェンティルドンナ
通算成績19戦10勝
獲得賞金17億2,603万円
生年月日 2009.02.20(平成21年)毛色 鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | GI有馬記念 | 中山 芝2500 | 4人気 | 戸崎圭太 | 2:35.3 | 上り34.1 | 映像 | |
| 4 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 1人気 | R.ムーア | 2:24.0 | 上り35.5 | 映像 | |
| 2 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 2人気 | 戸崎圭太 | 1:59.8 | 上り34.4 | 映像 | |
| 9 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 3人気 | 川田将雅 | 2:15.1 | 上り36.2 | 映像 | |
| 1 | GIドバイシーマクラシック | アラブ首長国連邦 芝2410 | 2人気 | R.ムーア | 2:27.2 | — | 映像 | |
| 6 | GII京都記念 | 京都 芝2200 | 1人気 | 福永祐一 | 2:16.5 | 上り34.6 | — | |
| 1 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 1人気 | R.ムーア | 2:26.1 | 上り33.9 | 映像 | |
| 2 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:58.2 | 上り35.8 | 映像 | |
| 3 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 1人気 | 岩田康誠 | 2:13.8 | 上り35.9 | 映像 | |
| 2 | GIドバイシーマクラシック | アラブ首長国連邦 芝2410 | 1人気 | 岩田康誠 | — | 映像 | ||
| 1 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 3人気 | 岩田康誠 | 2:23.1 | 上り32.8 | 映像 | |
| 1 | GI秋華賞 | 京都 芝2000 | 1人気 | 岩田康誠 | 2:00.4 | 上り33.1 | 映像 | |
| 1 | GII関西TVローズS | 阪神 芝1800 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:46.8 | 上り33.2 | 映像 | |
| 1 | GI優駿牝馬 | 東京 芝2400 | 3人気 | 川田将雅 | 2:23.6 | 上り34.2 | 映像 | |
| 1 | GI桜花賞 | 阪神 芝1600 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:34.6 | 上り34.3 | 映像 | |
| 4 | GIIIチューリップ賞 | 阪神 芝1600 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:36.1 | 上り34.7 | — | |
| 1 | GIII日刊スポシンザン記念 | 京都 芝1600 | 2人気 | C.ルメール | 1:34.3 | 上り34.7 | 映像 | |
| 1 | 2歳未勝利 | 阪神 芝1600 | 1人気 | I.メンディザバル | 1:36.7 | 上り34.1 | — | |
| 2 | 2歳新馬 | 京都 芝1600 | 1人気 | M.デムーロ | 1:41.0 | 上り36.7 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | Alzao | |
| Burghclere | ||
| 母ドナブリーニDonna Blini | Bertolini | Danzig |
| Aquilegia | ||
| Cal Norma's Lady | リファーズスペシャルLyphard's Special | |
| June Darling |
旅程 — この馬の物語
2009年生まれの鹿毛の牝馬。父ディープインパクト、母ドナブリーニ。主な勝ち鞍は桜花賞・優駿牝馬・秋華賞。
貴婦人 ― 名前と血
ジェンティルドンナ。イタリア語で「貴婦人」を意味する。母はイギリスで走ったドナブリーニ。母名の「ドナ」がイタリア語で女性を指すことに、娘の名は静かに応えている。父は、無敗の三冠馬ディープインパクト。 2009年2月20日、鹿毛の牝馬。馬主はサンデーレーシング、管理は栗東の石坂正。デビューは2011年11月、京都の新馬戦。1番人気に推されたが不良馬場に脚をとられ、前を捉えきれず2着に敗れた。最強牝馬の物語も、躓きから始まる。だがこの一敗を最後に、貴婦人は牝馬の歴史を書き換える快進撃へと駆け上がっていく。
牝馬三冠 ― 二〇一二年の春と秋
明けてシンザン記念を勝ち、桜花賞へ。ライバルはヴィルシーナだった。桜花賞は岩田康誠を背に、そのヴィルシーナをハナ差しのいで戴冠。オークスでは一転、2着に5馬身差をつけ、2分23秒6のレコードで府中を制す。距離不安など、どこにもなかった。 秋華賞、再びヴィルシーナとの叩き合い。決着はわずか7センチ。三たび宿敵を抑えて、牝馬三冠を達成した。桜花賞・オークス・秋華賞――史上4頭目。そして父ディープインパクトもまた三冠馬であり、これは日本競馬史上初の「親子三冠」だった。だが本当の衝撃は、この秋のさらに先で待っていた。
オルフェーヴルを降した日 ― 二〇一二年十一月二十五日
2012年11月25日、ジャパンカップ。三歳牝馬の身で、最強牡馬オルフェーヴルらが待つ府中2400mへ挑む。直線、先に抜け出すオルフェーヴル。その外に並びかけたビートブラックとの間隙へ、ジェンティルドンナがこじ開けるように突っ込んだ。 二頭は接触し、はじき合うように伸びる。ゴールはハナ差、内のジェンティルドンナが先着。長い審議のすえ入線順位は支持されたが、岩田康誠は強引な進路取りを問われ2日間の騎乗停止を受けた。批判も称賛も渦巻いた。だが記録は動かない――三冠牝馬による牡馬混合GI制覇、そして三歳牝馬のジャパンカップ制覇は、いずれも史上初だった。貴婦人は、当代最強の牡馬を真正面から降してみせた。
勝ちきれぬ古馬の季節 ― 二〇一三年の影
四歳になった貴婦人を、しかし「勝ちきれなさ」が包む。初の海外、ドバイシーマクラシックはセントニコラスアビーに2馬身1/4及ばず2着。宝塚記念は1番人気でゴールドシップに屈して3着。秋の天皇賞も、化け物じみたジャスタウェイに4馬身差をつけられての2着だった。 GIの常連であり続けながら、勝利だけが遠い。三歳のあの輝きは幻だったのか――そんな声に、この馬は11月のジャパンカップで答える。デニムアンドルビーの追撃をハナ差で振り切り、史上初のジャパンカップ連覇。鞍上はライアン・ムーアに替わっていた。勝ちきれぬ季節の真ん中で、一番大きな扉だけは、もう一度こじ開けた。
ドバイの夜と、宝塚の影 ― 二〇一四年
2014年、五歳。三度目のドバイシーマクラシックで、ついに海外GIを手にする。シリュスデゼーグルを1馬身半抑えての完勝だった。世界の舞台で、貴婦人は貴婦人であることを証明した。 だが帰国後の宝塚記念は9着。生涯最低の着順だった。秋の天皇賞はスピルバーグに0.1秒届かず2着、連覇を狙ったジャパンカップもエピファネイアの5馬身差の前に4着に沈む。衰えか、距離か、あるいは積み重ねた遠征の疲れか。歴戦の牝馬の身体に、確かな影が差していた。それでも陣営は、最後の一戦を年末の中山に定める。引退レース――有馬記念。
貴婦人の有終 ― 二〇一四年有馬記念
2014年12月28日、有馬記念。引退レースに、戸崎圭太が手綱をとった。4番人気。もう全盛は過ぎた、という評価だった。 だが直線、貴婦人は最後の力を振り絞る。トゥザワールドの追撃を抑え、先頭でゴールへ飛び込んだ。タイム2分35秒3。牝馬による有馬記念制覇は史上5頭目。引退レースを勝って去る――名牝にだけ許された幕引きだった。通算19戦10勝、GI7勝。当時、父ディープインパクトと並ぶ最多タイ。長距離GI5勝は日本馬最多。獲得賞金17億2603万円。三歳の無謀から、五歳の有終まで。貴婦人は、最後まで貴婦人だった。
十一月二十五日に還る ― 母として、記憶として
2016年、ジェンティルドンナは史上32頭目の顕彰馬に選ばれた。引退後はキングカメハメハやモーリスらと配合され、7頭を産む。なかでもモーリスとの娘ジェラルディーナは、2022年のエリザベス女王杯を制し、母に続いてGIの舞台に立った。貴婦人の血は、確かに次代へ受け継がれた。 2025年5月、繁殖牝馬を引退。そして同年11月25日、北海道のノーザンファームで世を去った。16歳。容態が悪化し、起立できなくなった末の最期だったという。その11月25日は――13年前、三歳の彼女がオルフェーヴルを降して府中を制した、まさにその日付だった。 ヴィルシーナとの数センチ、オルフェーヴルとの叩き合い、ドバイの夜、有馬の有終。すべてを抱えて、貴婦人は自らの最も輝いた日付に還っていった。牝馬三冠と、牡馬の頂を降した記憶は、その蹄とともに残る。
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