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フジノウェーブ
通算成績59戦23勝
獲得賞金3億8,948万円
生年月日 2002.04.27(平成14年)毛色 芦毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 12 | アフター5スター賞 | 大井 ダ1200 | 4人気 | 御神本訓史 | 1:15.1 | 上り39.8 | — | |
| 1 | 東京スプリング盃 | 大井 ダ1400 | 3人気 | 御神本訓史 | 1:26.8 | 上り38.1 | — | |
| 3 | マイルグランプリ | 大井 ダ1600 | 3人気 | 坂井英光 | 1:41.1 | 上り39.4 | — | |
| 7 | アフター5スター賞 | 大井 ダ1200 | 2人気 | 御神本訓史 | 1:12.9 | 上り37.2 | — | |
| 2 | JpnⅢ東京スプリント | 大井 ダ1200 | 5人気 | 坂井英光 | 1:10.8 | 上り35.8 | — | |
| 1 | 東京スプリング盃 | 大井 ダ1400 | 3人気 | 坂井英光 | 1:24.7 | 上り37.0 | — | |
| 9 | ゴールドカップ | 浦和 ダ1500 | 2人気 | 坂井英光 | 1:37.4 | 上り41.4 | — | |
| 3 | OP’11ロイヤルC | 大井 ダ1400 | 1人気 | 坂井英光 | 1:25.6 | 上り37.8 | — | |
| 2 | マイルグランプリ | 大井 ダ1600 | 4人気 | 御神本訓史 | 1:38.9 | 上り38.1 | — | |
| 除 | アフター5スター賞 | 大井 ダ1200 | 御神本訓史 | — | — | |||
| 7 | JpnⅡさきたま杯 | 浦和 ダ1400 | 7人気 | 御神本訓史 | 1:27.4 | 上り37.9 | — | |
| 10 | JpnⅢ東京スプリント | 大井 ダ1200 | 5人気 | 御神本訓史 | 1:11.7 | 上り36.5 | — | |
| 1 | 東京スプリング盃 | 大井 ダ1400 | 3人気 | 御神本訓史 | 1:24.3 | 上り36.9 | — | |
| 4 | OP’11ウインタースプ | 大井 ダ1200 | 2人気 | 御神本訓史 | 1:11.4 | 上り36.7 | — | |
| 5 | 船橋記念 | 船橋 ダ1000 | 3人気 | 御神本訓史 | 0:59.7 | 上り35.7 | — | |
| 7 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 7人気 | 柏木健宏 | 1:38.7 | 上り37.4 | — | |
| 2 | JpnⅢ東京スプリント | 大井 ダ1200 | 2人気 | 戸崎圭太 | 1:12.2 | 上り36.8 | — | |
| 1 | 東京スプリング盃 | 大井 ダ1400 | 1人気 | 戸崎圭太 | 1:25.5 | 上り38.1 | — | |
| 1 | OP’10ウインタースプ | 大井 ダ1200 | 1人気 | 戸崎圭太 | 1:11.2 | 上り35.8 | — | |
| 2 | 船橋記念 | 船橋 ダ1000 | 1人気 | 戸崎圭太 | 0:59.4 | 上り36.4 | — | |
| 12 | GIIIカペラS | 中山 ダ1200 | 10人気 | 戸崎圭太 | 1:10.4 | 上り36.0 | — | |
| 5 | JpnⅠJBCスプリント | 名古屋 ダ1400 | 4人気 | 戸崎圭太 | 1:27.6 | 上り37.8 | 映像 | |
| 5 | JpnⅡ東京盃 | 大井 ダ1200 | 4人気 | 的場文男 | 1:12.7 | 上り38.0 | — | |
| 3 | JpnⅢ東京スプリント | 大井 ダ1200 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:11.7 | 上り36.4 | — | |
| 1 | 東京シティ盃 | 大井 ダ1200 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:12.4 | 上り37.4 | — | |
| 9 | GIII根岸S | 東京 ダ1400 | 13人気 | 御神本訓史 | 1:23.2 | 上り36.3 | — | |
| 3 | GIIIカペラS | 中山 ダ1200 | 8人気 | 御神本訓史 | 1:09.1 | 上り35.4 | — | |
| 7 | JpnⅠJBCスプリント | 園田 ダ1400 | 4人気 | 御神本訓史 | 1:27.2 | 上り37.0 | 映像 | |
| 1 | JpnⅡ東京盃 | 大井 ダ1200 | 4人気 | 御神本訓史 | 1:11.6 | 上り36.7 | — | |
| 5 | JpnⅢさきたま杯 | 浦和 ダ1400 | 4人気 | 坂井英光 | 1:27.3 | 上り38.2 | — | |
| 4 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 4人気 | 御神本訓史 | 1:38.4 | 上り37.7 | — | |
| 2 | マイルグランプリ | 大井 ダ1600 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:39.7 | 上り38.1 | — | |
| 12 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 11人気 | 御神本訓史 | 1:37.7 | 上り37.2 | 映像 | |
| 2 | アフター5スター賞 | 大井 ダ1200 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:11.6 | 上り35.8 | — | |
| 1 | JpnⅠJBCスプリント | 大井 ダ1200 | 7人気 | 御神本訓史 | 1:11.0 | 上り36.2 | 映像 | |
| 11 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 6人気 | 御神本訓史 | 2:06.5 | 上り39.3 | — | |
| 4 | JpnⅢさきたま杯 | 浦和 ダ1400 | 3人気 | 御神本訓史 | 1:26.5 | 上り37.1 | — | |
| 1 | マイルグランプリ | 大井 ダ1600 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:39.3 | 上り39.4 | — | |
| 1 | 東京シティ盃 | 大井 ダ1200 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:11.8 | 上り37.1 | — | |
| 1 | OP’07ウインタースプ | 大井 ダ1200 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:11.9 | 上り36.3 | — | |
| 1 | OPゆりかもめオープン競 | 大井 ダ1600 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:40.6 | 上り38.3 | — | |
| 1 | ’06ムーンライトカ | 大井 ダ2000 | 1人気 | 御神本訓史 | 2:07.2 | 上り38.5 | — | |
| 1 | ’06メトロポリタン | 大井 ダ1800 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:52.6 | 上り37.5 | — | |
| 1 | リエンダ賞 | 大井 ダ1600 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:39.9 | 上り38.3 | — | |
| 1 | 涼風賞 | 大井 ダ1800 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:53.6 | 上り36.3 | — | |
| 1 | アルタイル賞 | 大井 ダ1600 | 2人気 | 御神本訓史 | 1:40.3 | 上り38.5 | — | |
| 1 | コルヒドレ賞 | 大井 ダ1800 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:55.4 | 上り39.1 | — | |
| 2 | 北斗七星賞 | 大井 ダ1600 | 3人気 | 御神本訓史 | 1:41.5 | 上り38.6 | — | |
| 4 | イーバンク特別 | 大井 ダ1200 | 2人気 | 早田秀治 | 1:13.4 | 上り37.4 | — | |
| 5 | ディセンバースター賞 | 川崎 ダ1600 | 2人気 | 早田秀治 | 1:43.1 | 上り41.4 | — | |
| 1 | 深秋賞 | 大井 ダ1200 | 1人気 | 早田秀治 | 1:12.6 | 上り36.8 | — | |
| 1 | C1三 | 浦和 ダ1400 | 1人気 | 早田秀治 | 1:28.2 | 上り38.7 | — | |
| 1 | きんもくせい特別 | 大井 ダ1800 | 1人気 | 早田秀治 | 1:56.1 | 上り37.2 | — | |
| 6 | 黒潮盃 | 大井 ダ1800 | 7人気 | 安藤光彰 | 1:54.6 | 上り41.3 | — | |
| 3 | 3歳以上500万下 | 阪神 ダ1800 | 11人気 | 安藤光彰 | 1:51.6 | 上り38.0 | — | |
| 1 | ホームページ開設3周 | 名古屋 ダ1600 | 3人気 | 尾島徹 | 1:42.4 | — | — | |
| 4 | 名古屋まつり花バス特 | 名古屋 ダ1600 | 5人気 | 安藤光彰 | 1:44.9 | — | — | |
| 中 | 3歳2組選抜 | 笠松 ダ1400 | 7人気 | 安藤光彰 | — | — | ||
| 6 | 3歳2組選抜 | 笠松 ダ1400 | 3人気 | 安藤光彰 | 1:32.9 | — | — | |
| 取 | ジュニアクラウン | 笠松 ダ1400 | 安藤光彰 | — | — | |||
| 1 | JRA認定新馬チャレ | 笠松 ダ800 | 1人気 | 安藤光彰 | 0:49.7 | — | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ブラックタイアフェアーBlack Tie Affair | Miswaki | Mr. Prospector |
| Hopespringseternal | ||
| Hat Tab Girl | Al Hattab | |
| Desperate Action | ||
| 母インキュラブルロマンティックIncurable Romantic | Stop the Music | Hail to Reason |
| Bebopper | ||
| One I Love | Sir Ivor | |
| Delta Empress |
旅程 — この馬の物語
2002年生まれの芦毛の牡馬。父ブラックタイアフェアー、母インキュラブルロマンティック。
八百メートルの新馬戦
2004年9月16日、笠松競馬場。ダート800メートル、七頭立ての新馬戦である。単勝2.5倍の一番人気に推された芦毛の牡馬は、49秒7で走り切り、二着に0秒3をつけて勝った。鞍上は安藤光彰。長く笠松を代表してきた騎手で、JRAの安藤勝己は実弟にあたる。 生まれは北海道浦河町、笹島政信の生産。父ブラックタイアフェアー、母インキュラブルロマンティック——英語にすれば、治らないロマンチスト、という意味になる。母はアメリカで二十一戦四勝、1994年にサンノゼの芝のハンデ戦を勝っている。三歳上の半兄に、父フォーティナイナーのキネティクスがいた。 翌月のジュニアクラウンは出走を取り消した。年が明けた三月の笠松で六着、四月の笠松では競走を中止している。五月と六月は名古屋へ遠征し、二度目の名古屋でデビュー以来二つ目の勝ち鞍を拾った。七月、阪神。中央競馬への初出走となった三歳上500万下のダート1800メートルを、単勝七十四倍の十一番人気で三着に粘る。八月、初めて大井の砂を踏んだ黒潮盃は六着だった。 この一戦のあと、厩舎が変わった。
サブちゃんの厩舎
移った先は、大井の高橋三郎厩舎である。 高橋は1944年、岩手県西根村の農家の三男に生まれた。中学を出て集団就職で千葉の牧場に入り、そこから競馬の世界へ入っている。十六歳で大井の小暮嘉久厩舎に入門し、地方競馬全国協会が八王子に開いた騎手養成長期課程の第一期生になった。デビュー年に七十九勝。以後、南関東のトップジョッキーの一人として東京ダービーを四度、帝王賞を三度制し、地方通算3975勝を積み上げる。 1985年11月、調教中に馬が暴走して右足に重傷を負った。一時は切断も考えられたという。転院と二年余りのリハビリを経て1987年に復帰したが、右足は左足の半分ほどの太さのままだった。1997年に騎手を引退し、調教師になる。癖のある馬を扱わせたら右に出る者はいない、と現役の頃から言われた男である。愛称はサブちゃん。 転厩後の三歳秋は、五戦して三勝。十月の大井・きんもくせい特別、浦和のC1、十一月の大井・深秋賞と三つ続けて勝った。三連勝は、この馬にとって初めてのことだった。暮れの川崎で五着、年末の大井で四着。
十連勝
2006年4月13日、大井の北斗七星賞。三番人気で二着に敗れたこの一戦から、御神本訓史が手綱を取るようになる。 御神本は島根県益田市の生まれで、父の御神本修は益田の騎手であり、調教師でもあった。1999年に益田でデビューし、二年目と四年目に当地のリーディングを獲る。2002年8月に益田競馬が休止になると、その移籍先をめぐって各地が動くほどの注目を集め、大井へ移った。ところが2003年5月13日、大井のレースで落馬し、外傷性クモ膜下出血と脳挫傷で一時は意識不明の重体になる。一年近いリハビリを二度繰り返して、本格的に戦線へ戻ったのが2005年である。2006年3月、東京シティ盃で南関東の重賞を初めて勝った。その翌月からの騎乗だった。 以後、勝ち続けた。五月のコルヒドレ賞、六月のアルタイル賞、八月の涼風賞、九月のリエンダ賞、十月のメトロポリタン、十一月のムーンライトカップ、そして大晦日のゆりかもめオープン。七連勝である。この年に走った八戦は、すべて1600メートルから2000メートルのあいだにあった。のちに1200メートルのJpnIを勝つ馬が、四歳の一年をマイル以上だけで過ごしていたことになる。 2007年の始動は、2005年の暮れ以来となる1200メートル戦だった。二月のウインタースプリントを勝ち、三月の東京シティ盃を勝ち、四月のマイルグランプリを勝つ。連勝は十まで伸びた。
止まった夏
連勝はさきたま杯で止まった。2007年5月30日、浦和。初めてのダートグレード競走は、この年に交流重賞を四つ続けて勝つことになるメイショウバトラーが制し、四着に終わった。六月の帝王賞は2000メートルで、十一着に沈んだ。 七月、鞍から御神本が消えた。五月に調整ルームへ入らなかったことで十日間、六月には指定のタクシーに乗らなかったことなどで十二日間——騎手としての義務を怠ったとして、騎乗停止の処分が重なっていた。当初は半年ほど乗れない見込みで、引退の噂まで流れたという。処分が緩和され、彼が騎乗を再開したのは九月である。 その夏は、競馬そのものが揺れた夏でもあった。八月に馬インフルエンザが広がる。この馬も帝王賞のあと予定が狂い、一度も実戦を使えないまま秋を迎えた。 十月三十一日、大井。ぶっつけで、JBCスプリントへ向かうことになる。
十月三十一日、大井
日が落ちてからのレースだった。発走は十九時二十五分。空は曇り、大井の砂は良。 中央から五頭が来ていた。一番人気は、その年に交流重賞を四つ勝った七歳の牝馬で、鞍上は武豊。二番人気は前走の東京盃でその牝馬を負かした馬、乗るのは当時まだ大井に所属していた内田博幸。三番人気にはその年の阪急杯を勝った八歳馬がいて、その背には安藤勝己がいた。三年前、笠松の八百メートルでこの馬にまたがっていた男の、実弟である。 フジノウェーブは七番人気だった。 ゲートが開く。先手を奪ったのは内の枠から出た中央の五歳馬で、そのすぐ後ろに三番人気と、南関東の二冠馬が続いた。芦毛は埒沿いへ潜り込む。四番手。前を行く三頭のすぐ後ろ、埒との隙間に体を入れて、そこから動かない。前半六百メートルは34秒3。逃げた馬が刻んだ数字である。 三コーナーを回っても、四コーナーを回っても、順番は変わらなかった。内の四番手のまま、直線を向く。 残り百メートル。そこで、前を行く馬をとらえた。 ゴール板へ向かっていったのは三頭である。先頭で通ったのはフジノウェーブだった。二着まではクビ、三着までさらにクビ。時計は1分11秒0。 地方に所属する馬がJBC競走を勝ったのは、これが初めてだった。御神本にとっては、指定交流のJpnI初勝利。六十三歳の高橋三郎にとっても、初めてのJpnIだった。
遠くまで行く
半兄キネティクスは、その一年前の十月に富士ステークスを勝っていた。十六番人気での重賞初制覇である。ただし2007年5月末で競走馬登録を抹消され、のちに福島県南相馬市の乗馬施設で功労馬として繋養され、相馬野馬追にも出た。兄が競馬場を去った翌年から、弟は日本中の砂を回りはじめる。 2008年2月、東京のフェブラリーステークス。中央のGIに初めて出て十二着。勝ったのはヴァーミリアンだった。五月、船橋のかしわ記念は四着。先頭でゴールしたボンネビルレコードは、三年前の黒潮盃でもこの馬の前にいた馬である。月末のさきたま杯は坂井英光に乗り替わって五着。 四か月ほど間を置いて、秋は十月の東京盃から始まった。四番人気で、二着ディープサマーを抑えて勝つ。JpnIIである。十一月、園田のJBCスプリントには前年の覇者として臨んだが、出足がつかず十番手を追走し、三コーナーから押し上げても届かず七着に終わった。 十二月、中山。この年に創設された、ダート1200メートルの重賞カペラステークス。八番人気で三着に入った。大井へ移って以来、輸送のある重賞で馬券に絡んだのは、これが初めてだった。 2007年度のNARグランプリでは四歳以上最優秀馬と最優秀短距離馬に選ばれ、2008年度も最優秀短距離馬に選出されている。
表彰式は行われなかった
2009年、二月の根岸ステークスは九着。三月、大井の東京シティ盃を一番人気で快勝した。四月の東京スプリントも一番人気に推されたが、直線で伸びず三着。 九月二日、船橋。御神本が6798戦目で地方通算1000勝に到達する。十四日に予定されていた記念の表彰式は、行われなかった。調整ルームに入ったあと無断で外出したとして、十日間の騎乗停止処分を受けたためである。そこから彼は、長く騎乗を自粛した。 九月末の東京盃は的場文男で五着。十一月、名古屋のJBCスプリントは戸崎圭太に替わって五着、勝ったのはスーニだった。十二月のカペラステークスは終始後方のまま十二着に大敗する。 2010年、鞍上は戸崎圭太になった。一月の船橋記念で二着、二月のウインタースプリントを勝ち、そして三月三日。 この年、大井に新しい重賞ができていた。前年まで準重賞スプリングカップとして行われていたダート1400メートル戦を格上げした、東京スプリング盃である。その第一回に一番人気で臨み、五十九キロを背負って四馬身差で勝った。通算二十勝目だった。 四月の東京スプリントはスーニの二着。五月五日、船橋のかしわ記念は柏木健宏で七着。その二十六日後、御神本が南関東での騎乗を再開する。二月から高知で期間限定の騎乗を続け、五月半ばの福山を最後に高知を離れての復帰だった。 馬のほうは、そこから八か月走らなかった。
三月の大井
2011年1月19日、船橋記念。八か月ぶりの実戦で、背にいたのは御神本訓史だった。 五着。続くウインタースプリントは四着。そして三月九日の東京スプリング盃を、三番手から抜け出して勝つ。連覇である。 そこから先は苦しい。四月の東京スプリント十着、六月のさきたま杯七着。八月のアフター5スター賞は左前脚の挫石で競走除外となった。十一月のマイルグランプリで二着に食い込み、十二月のロイヤルカップ三着、暮れの浦和・ゴールドカップは九着。 2012年3月7日、坂井英光を背に三連覇。二着に三馬身半をつけた。十歳の馬が南関東の重賞を勝ったのは、これが初めてだった。翌月の東京スプリントはセイクリムズンの二着。八月のアフター5スター賞七着、十月のマイルグランプリ三着。 2013年3月6日。十一歳になっていた。同じ1400メートル、同じ大井、鞍上は御神本。四連覇である。第一回から数えて、このレースはまだ、彼以外の勝ち馬を知らなかった。 八月二十八日、アフター5スター賞。十二着。レース後に右第一指節種子骨の剥離骨折と種子骨靭帯炎が判明し、九月十日付で競走馬登録を抹消された。五十九戦二十三勝。中央競馬では五戦して、一度も勝てていない。
先頭を歩くはずだった
引退後は、大井競馬場で誘導馬を目指すことになっていた。本馬場入場のとき、出走馬の列の先頭を歩く馬である。九年間走り続けた砂の上を、これからは走らずに歩く。九月十日、東京シティ競馬がそう告知している。十月二十三日、去勢手術の最中の不慮の事故で、この馬は死んだ。十一歳だった。 十一月七日、東京シティ競馬は東京スプリング盃をフジノウェーブ記念と改めると告示する。高橋三郎はその一年半後に調教師を勇退した。騎手として3975勝、調教師として498勝。JpnIを勝ったのは、六十三歳のあの夜である。御神本訓史はこの馬が引退した年に南関東のリーディングを初めて獲り、二年後には騎手免許の更新試験に受からず、大井の厩舎で調教厩務員として二年を過ごしてから鞍へ帰ってきた。2019年、浦和のJBCスプリントをブルドッグボスで勝つ。地方に所属する馬がこの競走を勝ったのは2007年の大井以来、十二年ぶり二度目で、二度とも背にいたのは彼だった。2025年12月、川崎で地方通算3000勝に届いたとき、四十四歳になっている。「数字は特に意識してないが、無事に達成できて感謝している」[^1] 第一回から四度、ひとつの名前しか刻まれなかった大井の1400メートルには、いまは別の馬たちの名が並んでいる。それでも、そこに掲げられている競走名は変わらない。列の先頭を歩く役目には間に合わなかった芦毛が、年に一度、レースの名前そのものになって、大井の砂に立っている。
出典:スポーツニッポン「【地方競馬】御神本訓史が3000勝 すでに廃止の益田競馬が生んだ天才「無事に達成できて感謝」」2025年12月18日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2025/12/18/articles/20251218s00004049333000c.html 、閲覧日:2026年8月2日。
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