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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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フィオライアのイメージビジュアル
フィオライアFioraia
Fioraia

フィオライア

通算成績18戦6勝

獲得賞金13,140万円

生年月日 2021.03.02(令和3年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
フィオライアの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
18 GI高松宮記念 中京 芝1200 18人気 太宰啓介 1:08.9 上り34.8映像
10 GIIIオーシャンS 中山 芝1200 13人気 太宰啓介 1:07.4 上り33.7映像
1 GIIIシルクロードS 京都 芝1200 16人気 太宰啓介 1:08.0 上り33.5映像
6 L淀短距離S 京都 芝1200 8人気 松山弘平 1:09.2 上り34.6
13 LラピスラズリS 中山 芝1200 6人気 石橋脩 1:08.1 上り34.6
4 LルミエールオータムD 新潟 芝1000 10人気 国分恭介 0:55.9 上り33.3
5 LオパールS 京都 芝1200 5人気 国分恭介 1:08.2 上り34.5
10 GIIIキーンランドカップ 札幌 芝1200 10人気 坂井瑠星 1:08.8 上り35.1映像
1 OPUHB賞 札幌 芝1200 2人気 鮫島克駿 1:09.2 上り34.4
14 GIII函館スプリントS 函館 芝1200 15人気 小沢大仁 1:07.5 上り34.7映像
13 OP米子城S 阪神 芝1200 2人気 坂井瑠星 1:10.2 上り36.0
1 巌流島S 小倉 芝1200 2人気 国分恭介 1:10.0 上り36.3
5 南総S 中山 芝1200 3人気 石橋脩 1:07.6 上り34.5
1 賢島特別 中京 芝1200 2人気 坂井瑠星 1:08.4 上り33.6
1 小樽特別 札幌 芝1200 1人気 坂井瑠星 1:08.2 上り34.4
2 3歳以上1勝クラス 函館 芝1200 3人気 坂井瑠星 1:08.9 上り35.0
1 3歳未勝利 新潟 芝1200 4人気 丸山元気 1:10.7 上り35.8
2 2歳新馬 中山 芝1200 2人気 石橋脩 1:11.1 上り35.2

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
フィオライアの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ファインニードルFine NeedleアドマイヤムーンAdmire MoonエンドスウィープEnd Sweep
マイケイティーズ
ニードルクラフトNeedlecraftMark of Esteem
Sharp Point
フルールシチーサクラバクシンオーSakura Bakushin Oサクラユタカオー
サクラハゴロモ
ブーケティアラアグネスタキオンAgnes Tachyon
シンフォニーレディSymphony Lady
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの栗毛の牝馬。父ファインニードル、母フルールシチー。主な勝ち鞍はシルクロードS。

花売り娘 ― 名前と血

イタリア語で「花売り娘」を意味する名を、この栗毛の牝馬は授かった。フィオライア。母はフルールシチー、その母はブーケティアラ――フルールはフランス語の花、ブーケは花束を指す。三代にわたって花の名を継ぐ牝系の末に、花を売り歩く娘が生まれた。血の中身は、しかし可憐さとは別のものだった。父ファインニードルは二〇一八年に高松宮記念とスプリンターズステークスを勝った春秋スプリントの王者。母の父サクラバクシンオーは、一二〇〇メートルを電光石火で駆け抜けた稀代の快速馬にして、短距離の名種牡馬である。父系も母系も、混じり気のない短距離の血だった。花の名を持つ娘は、生まれながらに一二〇〇メートルの申し子として血を享けていた。二〇二一年三月、北海道日高町の日高大洋牧場に生まれ、友駿ホースクラブの所有馬となる。二〇二三年十月、中山の芝一二〇〇メートルの新馬戦。石橋脩を背に二着。花売り娘の旅は、勝ち切れない一戦から静かに始まった。

積み上げる ― 未勝利からオープンへ

初勝利は年を越した二〇二四年五月、新潟の未勝利戦だった。丸山元気とともに芝一二〇〇メートルを勝ち上がると、そこからは坂井瑠星と組み、札幌の小樽特別、中京の賢島特別を連取する。勝つのはいつも短い距離で、前に付けて押し切る形。器用さより、先手を取ってしぶとく粘る一本気な走りが持ち味だった。明けて二〇二五年二月、小倉の巌流島ステークスを制して三勝クラスを卒業し、オープンの扉を開く。だが上のクラスは甘くない。単勝二番人気に推された翌月の米子城ステークスでは、見せ場なく十三着に沈んだ。人気を背負った日にあっさり凡走する脆さも、この馬は隠さなかった。積み上げた勝ち星の隣には、いつも取りこぼしが並んでいた。

灰色の夏 ― 埋もれていく人気

オープンに上がってからの一年余りは、短距離重賞の壁との我慢比べだった。二〇二五年六月の函館スプリントステークスは十五番人気で十四着。八月、札幌のUHB賞を鮫島克駿とともに勝ってオープン初制覇を飾るが、その二週後のキーンランドカップは十番人気で十着に沈む。秋はオパールステークス、ルミエールオータムダービー、ラピスラズリステークスとリステッド競走を渡り歩き、掲示板をつかむ日もあれば、人気を裏切って二桁着順に落ちる日もあった。重賞にはまだ手が届かず、オープンの勝ち星もUHB賞ただ一つ。名の売れた快速馬たちがひしめく短距離の一線で、フィオライアの単勝人気は、じりじりと後ろへ下がっていった。年が明けた一月の淀短距離ステークスは八番人気で六着。彼女はもう、人気の圏外へこぼれ落ちていく一頭になりつつあった。

十六番人気 ― シルクロードステークス

二〇二六年二月一日、京都の芝一二〇〇メートル。フィオライアの単勝は、十六番人気だった。手綱を取るのは太宰啓介。一九九八年にデビューし、初めて重賞を勝つまでに十四年を要した、通算六百に迫る勝ち鞍を持つベテランである。人気を落としきった牝馬と、大舞台に縁の薄い苦労人の騎手。下馬評に、この組み合わせの名は無かった。ゲートを出るとフィオライアはためらわずハナを切った。四コーナー手前で一度は内の一頭に先頭を譲るが、直線の入口で気力を振り絞って差し返し、再び先頭に立つ。あとは持てる粘りのすべてで、追いすがる差し馬を凌ぎ切った。ゴール板の上でも勝ったと言い切れないほどの際どさで、十六番人気の逃げ切りが決まる。三連単は二百四十三万八千九百九十円。このレースの史上最高配当を大きく塗り替える大波乱だった。フィオライアにとって、初めての重賞。太宰にとっては、数えるほどしかない大舞台の勝利だった。管理する西園正都は、この年の三月に定年で調教師を退くことが決まっていた。長く世話になった師へ捧げるように、ベテランは静かに言った。「ずっとお世話になっているので、いい結果を出せてよかったです」[^1]

出典:東京スポーツ(東スポ競馬)「【シルクロードステークス結果&コメント】16番人気フィオライア激走V 太宰啓介『いい結果を出せて良かった』」2026年2月1日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/68020、閲覧日:2026年7月16日。

花の行方

シルクロードの熱狂が冷めやらぬ二月末、オーシャンステークスは十三番人気で十着。重賞の壁は、一度勝ったくらいでは崩れてくれない。そして三月、西園正都は定年を迎えて厩舎を解散する。三月四日、フィオライアは、新規開業したばかりの柴田卓の厩舎へ移った。師を見送り、真新しい師のもとで、花売り娘は次の舞台へ向かう。三月二十九日、中京の高松宮記念。父ファインニードルが八年前に勝った短距離の頂に、その娘が立った。だが結果は、十八番人気の評価のままの十八着。父が駆け上がった大舞台に、娘はまだ届かない。それでも――重賞未勝利のまま埋もれていくはずだった牝馬が、父の走ったGIのゲートにまで辿り着いた事実は、消えない。混じり気のない短距離の血と、拾い上げるように重ねてきた六つの勝ち星と、彼女を勝たせようとした幾人もの手。花の名を継ぐ娘の旅は、まだ途中にある。京都で一度だけ大輪を咲かせたあの逃げ足で、次はどの一二〇〇メートルを走り抜けるのか。花売り娘は、また新しい花束を抱えて、ゲートに立つ。

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