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ファインニードル
通算成績28戦10勝
獲得賞金4億9,141万円
生年月日 2013.04.26(平成25年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8 | GI香港スプリント | シャティン 芝1200 | 3人気 | 川田将雅 | 1:09.4 | — | 映像 | |
| 1 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 1人気 | 川田将雅 | 1:08.3 | 上り34.5 | 映像 | |
| 1 | GII産経賞セントウルS | 阪神 芝1200 | 1人気 | 川田将雅 | 1:08.8 | 上り34.6 | 映像 | |
| 4 | GIチェアマンズスプリント | シャティン 芝1200 | 6人気 | T.ベリー | 1:09.2 | — | 映像 | |
| 1 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 2人気 | 川田将雅 | 1:08.5 | 上り34.5 | 映像 | |
| 1 | GIIIシルクロードS | 京都 芝1200 | 4人気 | 川田将雅 | 1:08.3 | 上り33.9 | 映像 | |
| 12 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 6人気 | 内田博幸 | 1:08.3 | 上り34.1 | 映像 | |
| 1 | GII産経賞セントウルS | 阪神 芝1200 | 1人気 | M.デムーロ | 1:07.5 | 上り33.4 | 映像 | |
| 5 | GIIITV西日本北九州記念 | 小倉 芝1200 | 1人気 | M.デムーロ | 1:07.7 | 上り34.5 | 映像 | |
| 1 | 水無月S | 阪神 芝1200 | 1人気 | M.デムーロ | 1:07.1 | 上り33.7 | — | |
| 7 | OP安土城S | 京都 芝1400 | 4人気 | 藤岡康太 | 1:20.4 | 上り35.0 | — | |
| 4 | OP鞍馬S | 京都 芝1200 | 6人気 | 幸英明 | 1:07.6 | 上り33.9 | — | |
| 1 | アクアマリンS | 中山 芝1200 | 1人気 | S.フォーリー | 1:08.5 | 上り34.5 | — | |
| 2 | 山城S | 京都 芝1200 | 2人気 | 浜中俊 | 1:10.3 | 上り35.4 | — | |
| 4 | 六甲アイランドS | 阪神 芝1400 | 12人気 | A.アッゼニ | 1:22.4 | 上り36.3 | — | |
| 11 | 南総S | 中山 芝1200 | 3人気 | 蛯名正義 | 1:09.3 | 上り35.1 | — | |
| 10 | 浜松S | 中京 芝1200 | 2人気 | M.デムーロ | 1:08.5 | 上り33.6 | — | |
| 1 | 芦屋川特別 | 阪神 芝1200 | 2人気 | 浜中俊 | 1:08.8 | 上り34.0 | — | |
| 9 | 札幌スポニチ賞 | 札幌 芝1200 | 3人気 | 浜中俊 | 1:10.0 | 上り34.7 | — | |
| 1 | 3歳500万下 | 京都 芝1200 | 1人気 | 浜中俊 | 1:08.6 | 上り33.9 | — | |
| 3 | 3歳500万下 | 京都 芝1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:21.9 | 上り33.9 | — | |
| 4 | 3歳500万下 | 阪神 芝1400 | 3人気 | 川田将雅 | 1:23.0 | 上り36.9 | — | |
| 4 | 3歳500万下 | 阪神 芝1400 | 2人気 | F.ヴェロン | 1:21.6 | 上り35.1 | — | |
| 10 | GIII日刊スポシンザン記念 | 京都 芝1600 | 13人気 | F.ヴェロン | 1:34.8 | 上り36.0 | 映像 | |
| 2 | 2歳500万下 | 阪神 芝1200 | 2人気 | A.アッゼニ | 1:09.6 | 上り34.7 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 京都 芝1400 | 2人気 | 藤岡康太 | 1:21.8 | 上り34.8 | — | |
| 3 | 2歳未勝利 | 京都 芝1400 | 4人気 | 藤岡康太 | 1:22.3 | 上り35.0 | — | |
| 4 | 2歳新馬 | 阪神 芝1400 | 3人気 | 藤岡康太 | 1:23.3 | 上り34.7 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父アドマイヤムーンAdmire Moon | エンドスウィープEnd Sweep | フォーティナイナーForty Niner |
| Broom Dance | ||
| マイケイティーズ | サンデーサイレンスSunday Silence | |
| ケイティーズファーストKaties First | ||
| 母ニードルクラフトNeedlecraft | Mark of Esteem | Darshaan |
| Homage | ||
| Sharp Point | ロイヤルアカデミーII Royal Academy | |
| Nice Point |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2013年生まれの鹿毛の牡馬。父アドマイヤムーン、母ニードルクラフト。主な勝ち鞍は高松宮記念・スプリンターズS・産経賞セントウルS。
針仕事の一族に生まれた細針
母の名は、針仕事という意味だった。 ニードルクラフト。2002年にアイルランドで生まれた栗毛の牝馬で、現役時代はフランスとイタリアでGIIIを二つ勝っている。その母はSharp Point――鋭い先端。ニードルクラフトが産み落とした仔たちには、アップリケ、タティング、ボドキン、シームストレスと、貼り縫い、レース編み、太針、お針子の名が順に与えられていった。糸と布と針の一族である。 2013年4月26日、北海道日高町のダーレー・ジャパン・ファームで、その母に鹿毛の牡馬が生まれる。父はアドマイヤムーン。馬主はH.H.シェイク・モハメド。与えられた名の意味は、細針といった。 預けられたのは栗東の高橋義忠厩舎である。1969年、滋賀県生まれ。もともとは飛行機が好きで、大学ではパイロットを目指していた男だった。進路に迷って父に相談したところ、牧場関係者の紹介でイギリスへ渡ることになる。ノース・ヨークシャーのクリス・ソーントン厩舎、ニューマーケットのマーク・プレスコット厩舎。プレスコットの厩舎には、1992年のカルティエ賞年度代表馬ユーザーフレンドリーが在厩していた。そこで競馬に惹かれ、1994年に競馬学校の厩務員課程へ入り、厩務員と調教助手を務めたのち、1999年に実父である高橋成忠の厩舎へ移る。父の定年を翌年に控えた2010年に調教師試験へ受かり、2011年3月、父の管理馬を引き継ぐ形で自分の厩舎を開いた。 デビューは2015年9月19日、阪神の芝1400m。藤岡康太を背に3番人気で4着。10月の未勝利では3着に敗れ、11月28日の京都で三戦目にしてようやく初勝利を挙げる。年末の500万下は、短期免許で来日していたアンドレア・アッゼニに手綱が渡って2着だった。
一六〇〇は、遠すぎた
明けて2016年、3歳初戦に選ばれたのは京都のシンザン記念だった。18頭立ての13番人気。道中は3番手で脚を溜めたが、直線で伸びを欠いて10着。芝1600mは、この馬の距離ではなかった。 春は1400mを三度使って4着、4着、3着。答えが出たのは5月22日、京都の芝1200mである。浜中俊を背に1番人気へ応え、好位から抜け出して3馬身半。距離を詰めた途端、走りは別のものになった。 夏の札幌スポニチ賞は9着。10月1日の芦屋川特別を4番手から抜け出して3勝目を挙げる。ところが12月に1600万下を三度使うと、浜松ステークス10着、南総ステークス11着、六甲アイランドステークス4着。3歳が終わっても、この馬にはまだ何の肩書きもなかった。
昇っては、落ちて
2017年2月5日、京都の山城ステークス。2番手からレースを進めたが、逃げ粘るウインムートを最後まで捕まえられずに2着。二十日後、中山のアクアマリンステークスでは4、5番手から直線で先頭に立ち、レーヴムーンらの追撃を振り切って4勝目を挙げる。オープン入りだった。 だが、そこからが長い。5月7日の鞍馬ステークス4着、5月28日の安土城ステークスは1400mに戻して7着。二連敗で準オープンに降格する。上がったばかりの階段を、そのまま下ろされたことになる。 6月17日、阪神の水無月ステークス。57.5キロという重い斤量を背負いながら、3番手の内で脚を溜め、直線で抜け出して1馬身4分の1差。もう一度オープンへ戻ってきた。4歳の夏を迎えて、重賞のタイトルはまだ一つもない。
四歳九月、阪神
8月20日、小倉の北九州記念で久々に重賞へ挑む。1番人気に推されたが、中団から伸び切れずに5着。勝ったのはダイアナヘイローだった。 三週間後の9月10日、阪神のセントウルステークス。ミルコ・デムーロを背に好位を進み、直線で抜け出すと、馬群の内から伸びてきたラインミーティアに1馬身4分の1差をつけた。1分7秒5。通算21戦目にして、ようやく重賞のタイトルが手に入る。 そして10月1日、中山のスプリンターズステークス。初めてのGIだった。デムーロは同じレースをレッドファルクスで勝ち、ファインニードルは内田博幸を背に6番人気で12着。勝ち馬から0秒7差の惨敗である。セントウルSを勝った流れで、経験を積ませる意味もあっての一戦だったという。ここで一度、休養に入った。
茨城の坂路と、一八キロ
休養先は、茨城県のミッドウェイファームの中にあるゴドルフィンの厩舎だった。冬のあいだ、この馬はそこの坂路を登り続ける。のちに高橋は「あそこの坂路で鍛えられ、いい筋肉がついて帰ってきた」[^1]と、その冬を振り返っている。 2018年1月28日、京都のシルクロードステークス。馬体重は488キロ、前走から18キロ増えていた。鞍上は川田将雅。2016年5月の京都以来、一年八か月ぶりのコンビである。4番人気という評価を、好位から鮮やかに抜け出して2馬身差でひっくり返した。2着は、前年の高松宮記念を勝ったセイウンコウセイだった。 重賞二つ目のタイトルを手にして、この馬は春の大一番へ、主役の一頭として向かうことになる。
出典:デイリースポーツ「【高松宮記念】ファインニードル上積み確実 川田『いい状態で来られた』」2018年3月22日配信、https://www.daily.co.jp/horse/2018/03/22/0011089934.shtml、閲覧日:2026年7月26日。
ハナ差、中京
馬主名義はH.H.シェイク・モハメドからゴドルフィンへ変わり、勝負服も新しくなっていた。青い服で迎える、初めてのGIである。 2018年3月25日、中京。晴、良馬場。平年より早く咲いた桜の下でゲートが開く。18頭のうち16頭までが重賞ウィナーで、そのうち6頭がGI馬という一戦だった。 1番枠から出たセイウンコウセイに、阪急杯を逃げ切ったダイアナヘイローが競りかけていく。川田はスムーズに出して6番手の外につけた。経験の少ない左回りも問題はなく、馬は気持ちよさそうに走っている。1番人気のレッドファルクスは後ろから二頭目、末脚に賭ける策だった。 直線、粘るセイウンコウセイを内から交わしたのは、前年の高松宮記念とスプリンターズSで二度2着に泣いたレッツゴードンキである。後続を振り切りにかかるその外から、ファインニードルが来た。並んで脚を伸ばすナックビーナスをまず競り落とし、最後にレッツゴードンキを捉えたところがゴール。ハナ差だった。 「届いてくれてホッとした」[^1]。川田はそう振り返っている。 厩舎を開いてから七年。高橋義忠にとって、初めてのGIだった。そしてゴドルフィンにとっても、日本で初めてのGI制覇だった。
出典:日本中央競馬会「第48回 高松宮記念 レース結果」2018年3月25日、https://www.jra.go.jp/datafile/seiseki/g1/takamatsu/result/takamatsu2018.html、閲覧日:2026年7月26日。
クビ差、中山
次に選ばれたのは香港のチェアマンズスプリントプライズだった。主戦の川田には先約があり、鞍上はトミー・ベリー。4月29日、沙田の9頭立てを6番人気で4着。香港勢の壁は厚かった。 夏を休んで、始動は9月9日のセントウルステークス。手綱は川田に戻る。重馬場の阪神で58キロを背負い、危なげなく抜け出してラブカンプーに1馬身2分の1差をつけた。連覇である。 本番は9月30日、中山。台風が近づき、雨が落ち、芝は稍重で踏みとどまっていた。1番人気のファインニードルは中団の馬群にいる。ワンスインナムーンが刻んだ前半3ハロン33秒0は、良馬場だった前年よりも速い。川田は行きたい馬をやり過ごしたものの、欲しかった位置には先に入られて外を回らされ、4コーナーでの手応えも良くはなかった。 直線、力強く抜け出したのは3歳牝馬ラブカンプーだった。ナックビーナスらをねじ伏せて先頭に立つ、その前へ、ファインニードルが飛んでくる。捉えたのはゴールの寸前、クビ差だった。 「春もハナ差だったけれど、わずかの着差でも両方勝ち切ったのが、この馬の凄さ」[^1]。川田はそう言った。 同じ年に春と秋のスプリントGIを制したのは、1996年のフラワーパーク、2001年のトロットスター、2009年のローレルゲレイロ、2013年のロードカナロアに続いて史上5頭目。この年のJRA賞最優秀短距離馬に選ばれた。
出典:日本中央競馬会「第52回 スプリンターズステークス レース結果」2018年9月30日、https://www.jra.go.jp/datafile/seiseki/g1/sprint/result/sprint2018.html、閲覧日:2026年7月26日。
日高へ帰る
12月9日、沙田の香港スプリント。ゲートの中で長く待たされた影響もあって8着に終わる。勝ったのはミスタースタニングだった。 年が明けた2019年1月8日、高橋義忠が現役引退を発表する。翌9日付で競走馬登録は抹消された。通算28戦10勝、獲得賞金4億9141万3600円。勝ち上がるまでに三戦を要し、降格も味わい、重賞の初勝利は21戦目。GIを二つ手にしたのは、5歳のその一年だけだった。 向かった先は日高町のダーレー・ジャパン・スタリオンコンプレックス。生まれた町と、同じである。毎年二月、種牡馬の展示会に引き出される姿が、いまも日高から届く。 2023年11月、カルチャーデイが15番人気でファンタジーステークスを勝ち、産駒に初めての重賞をもたらした。2025年2月2日にはエイシンフェンサーがシルクロードステークスを制している。父が2018年に勝ったのと同じ重賞での父子制覇で、鞍上の川又賢治にとってはデビュー9年目、重賞26度目の挑戦での初勝利だった。同じ年、アブキールベイが葵ステークス、エイシンディードが函館2歳ステークスを勝ち、2026年にはフィオライアが16番人気で、またシルクロードステークスを勝っている。 母の一族も走り続けている。母ニードルクラフトの半弟Fractionalはフランスで重賞を四つ勝ち、母の半妹の仔インビンシブルパパは2025年のCBC賞を制した。針仕事の名を継ぐ牝系は、いまも短い距離に速い脚を伝えている。 細針、という名前だった。二つのGIで勝ち負けを分けたのは、ハナ差とクビ差である。糸が通るか通らないか、その隙間だけを正確に通していった馬だった。日高の風の中で、いまは次の糸を送り出している。
産駒 — 旅を継ぐ馬
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