名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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ファイアンクランツのイメージビジュアル
ファイアンクランツFeiern Kranz
Feiern Kranz

ファイアンクランツ

通算成績10戦2勝

獲得賞金12,768万円

生年月日 2022.03.29(令和4年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ファイアンクランツの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 GII目黒記念 東京 芝2500 3人気 D.レーン 2:29.8 上り33.7映像
2 GIIIダイヤモンドS 東京 芝3400 3人気 大野拓弥 3:32.2 上り34.4映像
12 GII朝日セントライト記念 中山 芝2200 3人気 J.モレイラ 2:12.6 上り36.4映像
9 GI東京優駿 東京 芝2400 14人気 佐々木大輔 2:24.6 上り34.9映像
2 GIIテレビ東京杯青葉賞 東京 芝2400 2人気 J.モレイラ 2:24.9 上り33.7映像
3 LすみれS 阪神 芝2200 1人気 R.キング 2:11.2 上り34.5映像
2 ゆりかもめ賞 東京 芝2400 1人気 R.キング 2:28.0 上り33.5
4 GII東京スポーツ杯2歳S 東京 芝1800 4人気 菅原明良 1:47.2 上り33.4映像
3 GIII札幌2歳S 札幌 芝1800 1人気 鮫島克駿 1:50.5 上り36.4映像
1 2歳新馬 札幌 芝1800 3人気 佐々木大輔 1:50.5 上り34.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ファイアンクランツの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ドゥラメンテDuramenteキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
アドマイヤグルーヴAdmire GrooveサンデーサイレンスSunday Silence
エアグルーヴAir Groove
カラフルブラッサムハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday Silence
アイリッシュダンス
トロピカルブラッサムTropical BlossomサンダーガルチThunder Gulch
Barbara Sue
STORY

旅程 — この馬の物語

2022年生まれの鹿毛の牡馬。父ドゥラメンテ、母カラフルブラッサム。主な勝ち鞍は目黒記念。

祝福の花輪 — 名と血

ドイツ語で「祝福の花輪」を意味する名を持つ。Feiern(祝う)とKranz(花輪・冠)。母はカラフルブラッサム——「色彩豊かな花」の名を持つ繁殖牝馬で、その牝系はトロピカルブラッサムを祖とする。花と彩りのモチーフが、母から仔へ言葉を替えて渡っていた。 2022年3月29日、安平のノーザンファームに鹿毛の牡馬が生まれた。父はドゥラメンテ。2015年の皐月賞・日本ダービーで二冠を制し、種牡馬に転じてからも数々の活躍馬を輩出した名馬は、2021年8月31日、急性大腸炎のため9歳で世を去っている。ファイアンクランツが生まれたのはその翌春——父の顔を知らない、最後の世代の一頭だった。 母カラフルブラッサムは父ハーツクライ。その産駒には、ダート界の頂点を連覇した半兄コスタノヴァ(父ロードカナロア、フェブラリーステークス2025・2026年連覇)がいる。芝の長距離とダートのGIという異なる舞台で、兄弟はそれぞれの花輪を目指した。

札幌の夏、1番人気の重さ

2024年7月、札幌の芝1800m。デビュー戦は3番人気、単勝は押さえ目の評価だった。だが返し馬から気配が違った。佐々木大輔を背に初陣を白星で飾り、上がり34秒8で入線した。 続く8月の札幌2歳ステークス(GIII)では1番人気。重賞デビューに、鮫島克駿が手綱を取った。2戦目でまだ若さを残し、3着止まり。鮫島は「背中が良くて能力がある。2戦目でまだ若さを見せたりしたが」[^1]と将来性を口にした。この時点では、まだ「素材」の段階だった。 秋の東京スポーツ杯2歳ステークス(GII)は4番人気で4着。菅原明良が騎乗し、上がり33秒4の鋭さを見せながら一歩届かなかった。重賞の流れを経験し続ける日々が続いた。

出典:スポーツ報知 2024年8月31日配信、閲覧日:2026年6月25日。

クビ差の春 — ダービーへの道

3歳になり、陣営は長距離路線へ舵を切った。2025年2月のゆりかもめ賞(東京芝2400m)は1番人気で2着。3月のすみれS(阪神芝2200m、リステッド)も1番人気ながら3着。タイトルが遠い春だった。 しかし、4月の青葉賞(GII、東京芝2400m)でその距離適性が弾けた。J.モレイラを鞍上に、2番人気として出走。直線で馬群の外から長く脚を使い、ゴール前で最後の伸びを発揮したが、エネルジコにクビ差及ばず2着。「レース前のテンションは高かったが、いいスタートを切れた。力は出し切れた。最後に1頭差されましたね」[^1]とモレイラは振り返った。 クビ差の惜敗は、それでもダービーへの優先出走権を手にした。3着には鼻差で先着している。大舞台への切符は、ギリギリのところで掴み取られた。

出典:中日スポーツ 2025年4月26日配信、閲覧日:2026年6月25日。

14番人気の府中、大外枠から先団へ

6月1日の東京優駿(日本ダービー)。ファイアンクランツは14番人気。佐々木大輔が手綱を取り、外枠から好位に付けたが、直線では脚が伸びず9着。クロワデュノールが制したレースで、ファイアンクランツは主役の位置になかった。 それでも通過順は五番手、五番手、四番手、四番手。壁のできない大外の枠から先団に取り付き、四角までその位置を守り切っている。気性の激しさを抱えたまま府中の2400mを走り通したこと——それが、この馬の秋以降への手がかりだった。

ゲートの悪夢 — セントライト記念

秋初戦のセントライト記念(GII、中山芝2200m)。ファイアンクランツは3番人気に支持された。だがレースは、スタートを切る前に壊れた。 ゲート内で激しく頭をぶつけ、外枠発走に。12頭立てのしんがり12着。上がりタイム36秒4は、この馬の本来の数字ではなかった。モレイラは「スタート前にゲートで激しく頭をぶつけてしまった。その影響で走りのフォームに大きく影響があったと思います」[^1]と語った。レース後、調教再審査の対象にもなった。 高いテンション。返し馬からの興奮。ゲートの激突。この馬の内側にある激しさが、最悪の形で噴出した一戦だった。

出典:東京スポーツ 2025年9月15日配信、閲覧日:2026年6月25日。

冬の再起 — ダイヤモンドSの手応え

セントライト記念の惨敗から5か月。2026年2月のダイヤモンドステークス(GIII、東京芝3400m)に、大野拓弥とのコンビで挑んだ。 3400mという長丁場。スローペースの展開を後方でじっとためながら、残り800mから内側を伸びていく。先に抜け出したスティンガーグラスを捉えきれず2着。それでも大野は「落ち着いていたのがよかったですね。道中は終始リズムよく運べたし、遅いペースでも我慢できていました。距離の適性もありそうです」[^1]と語った。 秋の崩壊から立て直し、長距離で見せた落ち着き。ファイアンクランツは別の馬のように見えた。テンションを抑える術を、少しずつ身につけていた。

出典:東京スポーツ 2026年2月21日配信、閲覧日:2026年6月25日。

花輪が咲く日 — 目黒記念制覇

5月31日、東京競馬場。目黒記念(GII、東京芝2500m)。ファイアンクランツは3番人気。手綱はダミアン・レーン。 レーンは語った。「この馬はレース前、少しテンションが上がるところがありますが、今日はよく落ち着いていました。前のポジションから、すぐに折り合うことができました。道中もスムーズな展開になり、直線もスペースができた所で、うまくしっかり反応してくれました」[^1]。 好位中団から馬群の間を割り、直線で先頭に立つ。1番人気ウィクトルウェルスが猛然と迫ってきたが、ファイアンクランツはクビ差しのいだ。勝ちタイム2分29秒8、上がり33秒7。 10戦目、重賞挑戦は7度目。ゲートでの悪夢、クビ差の惜敗、折り合いとの長い格闘——すべてを経て、祝福の花輪はようやく咲いた。半兄コスタノヴァが砂のGIを連覇した同じ年に、ファイアンクランツは芝の中長距離で初めての重賞タイトルを掴んだ。

出典:東京スポーツ 2026年5月31日配信、閲覧日:2026年6月25日。

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