名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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ファッショニスタのイメージビジュアル
ファッショニスタFashionista
Fashionista

ファッショニスタ

通算成績22戦8勝

獲得賞金24,349万円

生年月日 2014.03.25(平成26年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ファッショニスタの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 JpnⅠJBCレディスクラシック 大井 ダ1800 2人気 北村友一 1:51.1 上り37.5映像
1 JpnⅢスパーキングレディー 川崎 ダ1600 1人気 川田将雅 1:40.9 上り38.2
3 L栗東S 京都 ダ1400 2人気 鮫島克駿 1:22.0 上り36.5
4 JpnⅢTCK女王盃 大井 ダ1800 1人気 川田将雅 1:55.1 上り39.8
3 JpnⅠJBCレディスクラシック 浦和 ダ1400 1人気 川田将雅 1:26.1 上り39.0映像
2 JpnⅡレディスプレリュード 大井 ダ1800 1人気 大野拓弥 1:53.2 上り39.0
1 JpnⅢスパーキングレディー 川崎 ダ1600 1人気 川田将雅 1:40.6 上り39.4
2 OP天保山S 阪神 ダ1400 1人気 川田将雅 1:22.4 上り35.8
1 播磨S 阪神 ダ1400 2人気 川田将雅 1:22.7 上り36.5
4 堺S 阪神 ダ1800 1人気 福永祐一 1:53.2 上り37.4
3 JpnⅠJBCレディスクラシック 京都 ダ1800 5人気 大野拓弥 1:50.5 上り36.3
2 平城京S 京都 ダ1800 3人気 川田将雅 1:50.4 上り36.4
2 安芸S 阪神 ダ1400 1人気 川田将雅 1:24.2 上り36.6
9 OP栗東S 京都 ダ1400 1人気 松若風馬 1:23.7 上り35.7
1 鳴門S 阪神 ダ1400 1人気 川田将雅 1:24.3 上り36.6
2 播磨S 阪神 ダ1400 1人気 川田将雅 1:23.9 上り36.0
2 貴船S 京都 ダ1400 1人気 川田将雅 1:24.0 上り35.5
1 3歳以上1000万下 阪神 ダ1400 2人気 川田将雅 1:23.4 上り36.7
2 清里特別 東京 ダ1400 2人気 戸崎圭太 1:24.3 上り36.1
1 3歳500万下 阪神 ダ1400 1人気 川田将雅 1:24.8 上り36.5
2 3歳500万下 京都 ダ1400 1人気 北村友一 1:25.1 上り36.7
1 2歳新馬 阪神 ダ1400 1人気 川田将雅 1:25.7 上り36.6

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ファッショニスタの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ストリートセンスStreet SenseStreet CryMachiavellian
Helen Street
BedazzleDixieland Band
Majestic Legend
アクアリストAquaristコロナドズクエストCoronado's QuestフォーティナイナーForty Niner
Laughing Look
Oyster CatcherBluebird
Brigid
STORY

旅程 — この馬の物語

2014年生まれの鹿毛の牝馬。父ストリートセンス、母アクアリスト。

門別の鹿毛 ― 流行に通じた人

2014年3月25日、北海道日高町のダーレー・ジャパン・ファームに一頭の鹿毛の牝馬が生まれた。父はブリーダーズカップ・ジュヴェナイルとケンタッキーダービーを勝ったストリートセンス。母は英国生まれの栗毛アクアリスト。生産も所有もダーレー=ゴドルフィンで、纏うのは青に袖の水色一本輪の勝負服だった。 名はファッショニスタ。最新の流行に通じた人、という意味である。母の名アクアリストもまた、水の生き物を飼う人を指す言葉だ。母から娘へ、〈人〉を指す名が並んだ。 預けられたのは栗東の安田隆行厩舎。トランセンドカレンチャンロードカナロアを送り出し、短距離とダートに滅法強い厩舎として知られていた。師は騎手時代、トウカイテイオーで皐月賞と日本ダービーを勝った人でもある。 2016年12月17日、阪神ダート1400m。鞍上は川田将雅。単勝1.3倍という圧倒的な支持に、2馬身半差で応えた。生涯22戦のうち14戦で、この男が手綱を取ることになる。

一度きりの鞍上 ― 三歳の冬

明けて2017年1月22日、京都のダート1400m。この一戦だけ、鞍上に北村友一の名がある。1番人気に推されながらタガノカトレアの2着に敗れ、次走からは川田に戻った。北村の名は、そこから三年以上、彼女の戦績表に現れない。 2月25日、阪神で同じ条件を勝ち上がる。6月には初めての遠征で東京へ。清里特別は戸崎圭太を背に2着。9月、阪神に戻って挙げた3勝目では、3/4馬身うしろにのちの重賞勝ち馬ヴェンジェンスがいた。 昇級初戦の貴船Sは1番人気で2着。ここまで6戦、3勝、2着が3回。勝ち切れないが、崩れない。この馬の輪郭は、もうこの頃に決まっていた。

銀の重なり ― 二〇一八年

4歳。播磨Sで2着、鳴門Sを単勝1.8倍で快勝してオープン馬になる。だが昇級初戦の栗東Sは松若風馬を背にスタートで後手を踏み、9着。連対を外したのはデビュー以来これが初めてで、しかも22戦を終えてみれば、掲示板を外したのもこの一戦だけだった。 夏の安芸Sはハナ差の2着。秋、初めて1800mを試した平城京Sも0秒差の2着。着差はいつも、指の幅ほどしかない。 11月4日、京都で行われたJpnI・JBCレディスクラシックに駒を進める。5番人気、鞍上は大野拓弥。勝ったアンジュデジールから0.1秒差の3着。1400mを主戦場にしてきた牝馬が、砂の女王を決める舞台で、届く位置にいることを示した。

川崎の灯 ― 五歳の夏

2019年、前年に敗れた播磨Sを3馬身突き放して再びオープンへ。天保山Sは逃げる形をとったが、ヴェンジェンスに交わされて2着。 7月4日、初めて地方競馬の門をくぐる。川崎のダート1600m、初めてのナイター。1番人気に応え、2着サルサディオーネに4馬身の差をつけた。スパーキングレディーカップ。デビューから16戦目、5歳の夏に、彼女はようやく重賞のタイトルを手にする。 10月のレディスプレリュードはアンデスクイーンにアタマ差の2着。そして11月4日、浦和のJBCレディスクラシック。単勝2.4倍の1番人気に支持されたが、重馬場の1400mで、勝ったヤマニンアンプリメから1.6秒離された3着に終わった。前年の京都では0.1秒差、この年は1.6秒差。近づいたはずの距離が、開いた。

連覇 ― 二〇二〇年の川崎

6歳初戦は大井のTCK女王盃。初めての57キロを背負い、1番人気で4着。勝ったのはマドラスチェックだった。 5月の栗東Sは鮫島克駿と初めて組んで3着。そして7月15日、ふたたび川崎へ。単勝1.9倍。先行して押し切り、2着メイクハッピーに0.1秒差。スパーキングレディーカップ連覇。 6歳の牝馬が、地方の小回りコースで二年続けて同じレースを勝つ。派手さはない。ただ、崩れない芯の強さだけが、年を追うごとに厚くなっていた。

三度目の大井 ― 二〇二〇年十一月三日

三度目のJBCレディスクラシックだった。京都で3着、浦和で3着、そして大井。 この日、川田将雅の鞍にファッショニスタはいなかった。主戦が跨ったのはマルシュロレーヌ。ダート転向後に連勝を重ね、レディスプレリュードを3馬身差で制して単勝1.3倍に支持された4歳牝馬である。代わって彼女の背に戻ってきたのが、北村友一だった。2017年1月の京都で一度だけ手綱を取って以来、三年九か月ぶりの騎乗である。 15頭立て、稍重の大井1800m。2番人気。直線でマドラスチェックと馬体を併せ、一完歩ずつ削り合って、アタマ差だけ先にゴール板を過ぎた。1分51秒1。1番人気は0.6秒うしろの3着に沈んでいた。 一月に自分の前でゴールした馬を退け、主戦を背に乗せた1番人気も退けて、22戦目で初めてのJpnI。四度目の秋に、砂の女王の座は彼女のものになった。 11月11日、競走馬登録抹消。戴冠から八日後、ファッショニスタは静かに現役を退いた。

ブリジッドの娘たち ― 血の続き

血をさかのぼると、3代母は1991年生まれの栗毛ブリジッドに行き着く。母アクアリストの母オイスターキャッチャー(1996年生)の半妹が、2007年の英フィリーズマイルを勝ったリッスン。リッスンの娘が2015年のローズステークスを勝ったタッチングスピーチで、その姪が阪神ジュベナイルフィリーズとヴィクトリアマイルを制したアスコリピチェーノにあたる。リッスンの全姉セコイヤはヘンリーザナヴィゲーターを産んだ。芝の一流馬を各国へ送り出してきた一族で、日本のダートに旗を立てたのがファッショニスタだった。 引退後は生まれ故郷のダーレー・ジャパン・ファームで繁殖牝馬となった。初仔は2024年生まれの牡馬クロダテ、父はキタサンブラック。美浦・田中博康厩舎から競走生活を始めている。 あの日、彼女の0秒6うしろでゴールしたマルシュロレーヌは翌2021年、米国デルマーでブリーダーズカップ・ディスタフを制し、日本で調教された馬として初めて海外のダートG1を勝った。大井の1800mで退けた1番人気は、そういう馬だった。北村友一もまた、翌年の落馬による長い離脱を越えて鞍に戻り、のちにダービージョッキーとなる。 22戦8勝、2着8回。大差の圧勝も、連勝の派手さもない。来る日も来る日も砂を掻いて、六歳の秋にいちばん高いところへ届いた一頭である。日高の放牧地に戻ったいま、その走りは次の世代に渡された。

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