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エセルフリーダ
通算成績14戦5勝
獲得賞金1億1,515万円
生年月日 2021.02.16(令和3年)毛色 鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | GIII中山牝馬S | 中山 芝1800 | 6人気 | 武藤雅 | 1:47.1 | 上り35.9 | 映像 | |
| 1 | 初富士S | 中山 芝2000 | 2人気 | 津村明秀 | 1:59.2 | 上り34.4 | — | |
| 4 | ウェルカムS | 東京 芝2000 | 6人気 | 武藤雅 | 1:58.1 | 上り34.7 | — | |
| 4 | イクイノックスM | 東京 芝2000 | 2人気 | 武藤雅 | 1:59.2 | 上り34.2 | — | |
| 15 | 垂水S | 阪神 芝2000 | 2人気 | 武藤雅 | 2:02.5 | 上り39.3 | — | |
| 1 | 館山特別 | 中山 芝2000 | 1人気 | 武藤雅 | 1:59.5 | 上り35.7 | — | |
| 2 | 箱根特別 | 東京 芝2400 | 2人気 | C.ルメール | 2:25.1 | 上り34.4 | — | |
| 2 | 南武特別 | 東京 芝2400 | 1人気 | 戸崎圭太 | 2:27.0 | 上り34.2 | — | |
| 2 | 3歳以上2勝クラス | 東京 芝2500 | 1人気 | 武藤雅 | 2:34.4 | 上り33.7 | — | |
| 8 | GI優駿牝馬 | 東京 芝2400 | 11人気 | 武藤雅 | 2:24.9 | 上り34.5 | 映像 | |
| 1 | ミモザ賞 | 中山 芝2000 | 3人気 | 武藤雅 | 2:00.4 | 上り35.1 | — | |
| 5 | 3歳1勝クラス | 中山 芝2000 | 9人気 | 武藤雅 | 2:00.4 | 上り36.2 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 東京 芝2000 | 2人気 | 武藤雅 | 2:01.7 | 上り35.0 | — | |
| 3 | 2歳新馬 | 福島 芝2000 | 5人気 | 武藤雅 | 2:04.0 | 上り36.8 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父キタサンブラックKitasan Black | ブラックタイド | サンデーサイレンスSunday Silence |
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | ||
| シュガーハート | サクラバクシンオーSakura Bakushin O | |
| オトメゴコロ | ||
| 母デルマオギン | ハービンジャーHarbinger | Dansili |
| Penang Pearl | ||
| センターステージ | スウェプトオーヴァーボードSwept Overboard | |
| ランニングヒロイン |
旅程 — この馬の物語
2021年生まれの鹿毛の牝馬。父キタサンブラック、母デルマオギン。主な勝ち鞍は中山牝馬S。
戦う女君主の名 ― 武藤家の一頭
良血の牝馬ではなかった。父はキタサンブラック――地味な血から這い上がり、やがて世界の頂を産み落とした父だが、母デルマオギンは四十一戦して二勝、賞金も三千六百万円ほどで現役を終えた馬である。母の父はハービンジャー。その先も、派手なタイトルの並ぶ牝系ではない。2021年2月16日、千歳の社台ファームに生まれた鹿毛の牝馬に、華やかな血の保証はなかった。 その一頭に、大きな名がついた。エセルフリーダ。10世紀のイングランドで「マーシアの女君主(Lady of the Mercians)」と呼ばれた実在の女性、Æthelflæd に由来する。アルフレッド大王の長女に生まれ、夫の死後はみずからマーシアを統べ、デーン人と戦い、城砦を築いて失われた土地を一つずつ取り戻した戦う女君主である。名付けたのは、管理する武藤善則調教師の長女で歌手の武藤彩未。父が育て、姉が名を贈った牝馬の手綱を取ったのは、その弟――武藤雅だった。 2023年7月、福島の新馬戦は3着。続く10月、東京の芝2000mでようやく初勝利を挙げる。新馬から初勝利まで、鞍上はいずれも武藤雅。父の厩舎、姉の名付けた馬、弟の手綱。一家の一頭として、この牝馬の旅は静かに始まった。
初めての大舞台 ― 優駿牝馬
明けて2024年。3歳1勝クラスは5着に沈んだが、3月のミモザ賞(中山・芝2000m)を3番人気で勝ち上がると、思いがけず大舞台への扉が開いた。 5月19日、優駿牝馬(オークス)。芝2400mのGIに、エセルフリーダは11番人気の伏兵として立った。桜の季節を彩った実績馬たちが並ぶなか、地味な血の牝馬に大きな期待は集まらない。結果は8着。掲示板には届かなかったが、条件戦を勝ち上がったばかりの馬が世代の頂点を争う場所まで駆け上がり、最後まで自分の脚で走り切った。まだタイトルは無い。それでも、大きな名にふさわしい舞台を、この牝馬は一度、確かに踏んだのだった。
二着の壁
夏を越え、エセルフリーダは条件戦に戻る。だが、ここからが長かった。 10月の2勝クラス(東京・芝2500m)は1番人気で2着。11月の南武特別(東京・芝2400m)も戸崎圭太を背に1番人気で2着。年が明けた2月の箱根特別(東京・芝2400m)は、ルメールに手綱を託して2着。名手が乗り替わり立ち替わり跨っても、あと半馬身が、あと僅かが届かない。勝ち切れない惜敗が続いた。 壁を破ったのは、武藤雅が戻った2025年3月の館山特別(中山・芝2000m)だった。好位の内から抜け出し、危なげなく3勝目。1番人気にきっちり応え、ようやく3勝クラスへ駒を進める。長い足踏みの末に掴んだ、価値ある一勝だった。
崩れた一戦
上り調子かに見えた矢先、思わぬ落とし穴が待っていた。 6月の垂水S(阪神・芝2000m)。単勝2番人気に推されながら、エセルフリーダは持ち味を出せぬまま15着に大敗する。上がりは39秒台。何かが噛み合わなかったこの一戦を境に、牝馬は半年近く戦列を離れた。 秋、東京に戻ってきたときも、歯車はすぐには噛み合わなかった。11月のイクイノックスメモリアルは4着、続くウェルカムSも4着。走りそのものは戻っている。しかし、勝利の女神はなかなか微笑まない。惜しいところまでは来る。あと一つが、遠かった。
連勝で辿り着く ― 中山牝馬S
転機は、年が明けて訪れた。2026年1月の初富士S(中山・芝2000m)。津村明秀を背に2番人気に応え、エセルフリーダは久々の白星を掴む。長いトンネルを抜けた、復活の一勝だった。 そして3月7日、中山牝馬ステークス。舞台はGIII、芝1800m。手綱には再び武藤雅が戻っていた。6番人気の評価をよそに、道中は2番手を追走し、直線で前の逃げ馬を捉えて先頭へ。追いすがる11番人気ビヨンドザヴァレーを1馬身4分の1抑えて押し切った。得意の中山で、連勝で掴んだ、初めての重賞タイトルだった。 この勝利は、鞍上にとっても悲願だった。武藤雅、デビュー10年目。JRAの重賞は、この日で八十五回目の騎乗にして、初めて手が届いた。しかも、父・武藤善則の管理馬で、である。「とにかくうれしいです。本当に普段からお世話になっている厩舎ですし、父の厩舎の馬で勝ててうれしいです」[^1]。デビュー当初から手綱を託してくれた馬主・高橋文男への感謝も、忘れなかった。2019年の関東オークスも父の管理馬で勝っていたが、中央の重賞は、この牝馬が初めて運んできた栄冠だった。
出典:競馬ラボ「【中山牝馬S】雌伏の時を超えて悲願達成!エセルフリーダが重賞初制覇!」2026年3月7日配信、https://www.keibalab.jp/topics/46001/、閲覧日:2026年7月16日。
旅は続く
姉が名を贈り、父が育て、弟が乗った。戦う女君主の名を負った地味な血の牝馬は、親子タッグに初めてのJRA重賞を運んできた。長く勝てなかった息子の初タイトルに、父はこう漏らしている。「長かったね。これでだいぶ楽になる」[^1]。飾らないその一言に、親子で重ねてきた歳月の重さがにじんだ。 オークスの8着、三度の惜しい二着、崩れ落ちた垂水S――一つずつ壁にぶつかり、そのたびに越えてきた。かつて城砦を築きながら失われた土地を取り戻していった女君主の名の通り、この牝馬もまた、届かなかった一つを、辛抱の末にようやく手にした。 今は放牧地で英気を養う身。次にどこを目指すかは、まだ決まっていない。それでも、一家の名を負って走るこの牝馬の旅は、まだ途中である。
出典:競馬ラボ「【中山牝馬S】雌伏の時を超えて悲願達成!エセルフリーダが重賞初制覇!」2026年3月7日配信、https://www.keibalab.jp/topics/46001/、閲覧日:2026年7月16日。
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