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エスポワールシチー
通算成績40戦17勝
獲得賞金10億2,319万円
生年月日 2005.04.22(平成17年)毛色 栗毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7 | GIジャパンカップダート | 阪神 ダ1800 | 4人気 | 後藤浩輝 | 1:51.4 | 上り37.6 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠJBCスプリント | 金沢 ダ1400 | 1人気 | 後藤浩輝 | 1:27.1 | 上り37.5 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠマイルチャンピオンシップ | 盛岡 ダ1600 | 2人気 | 後藤浩輝 | 1:35.1 | 上り35.1 | — | |
| 2 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 3人気 | 浜中俊 | 1:38.1 | 上り37.9 | — | |
| 2 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 9人気 | 松岡正海 | 1:35.2 | 上り36.5 | 映像 | |
| 5 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 4人気 | 松岡正海 | 2:07.6 | 上り39.6 | — | |
| 10 | GIジャパンカップダート | 阪神 ダ1800 | 2人気 | 武豊 | 1:50.4 | 上り38.0 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠマイルチャンピオンシップ | 盛岡 ダ1600 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:35.9 | 上り35.5 | — | |
| 2 | GIIIエルムS | 札幌 ダ1700 | 2人気 | 佐藤哲三 | 1:42.2 | 上り36.2 | — | |
| 2 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 1人気 | 佐藤哲三 | 2:03.7 | 上り37.1 | — | |
| 1 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 3人気 | 佐藤哲三 | 1:36.5 | 上り36.8 | — | |
| 5 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 3人気 | 武豊 | 1:36.0 | 上り36.8 | 映像 | |
| 2 | GIII平安S | 京都 ダ1800 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:48.3 | 上り36.1 | — | |
| 3 | GIジャパンカップダート | 阪神 ダ1800 | 2人気 | 佐藤哲三 | 1:50.9 | 上り37.6 | 映像 | |
| 1 | GIIIみやこS | 京都 ダ1800 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:48.4 | 上り36.7 | — | |
| 4 | GIマイルCS南部杯 | 東京 ダ1600 | 2人気 | 松岡正海 | 1:35.1 | 上り37.3 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 2人気 | 佐藤哲三 | 2:02.9 | 上り37.6 | — | |
| 3 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:38.6 | 上り37.7 | — | |
| 1 | JpnⅢ名古屋大賞典 | 名古屋 ダ1900 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:58.4 | 上り38.0 | — | |
| 10 | GIBCクラシック | アメリカ ダ2000 | 佐藤哲三 | — | 映像 | |||
| 2 | JpnⅠマイルチャンピオンシップ | 盛岡 ダ1600 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:35.3 | 上り35.1 | — | |
| 1 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:36.8 | 上り36.1 | — | |
| 1 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:34.9 | 上り35.6 | 映像 | |
| 1 | GIジャパンカップダート | 阪神 ダ1800 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:49.9 | 上り37.1 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠマイルチャンピオンシップ | 盛岡 ダ1600 | 2人気 | 佐藤哲三 | 1:35.4 | — | — | |
| 1 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 2人気 | 佐藤哲三 | 1:35.9 | 上り35.7 | — | |
| 1 | GIIIマーチS | 中山 ダ1800 | 1人気 | 松岡正海 | 1:51.9 | 上り37.3 | — | |
| 4 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 5人気 | 佐藤哲三 | 1:34.8 | 上り36.0 | 映像 | |
| 2 | GIII平安S | 京都 ダ1800 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:50.4 | 上り36.0 | — | |
| 1 | OPトパーズS | 京都 ダ1800 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:50.8 | 上り37.8 | — | |
| 1 | 錦秋S | 東京 ダ1600 | 1人気 | 松岡正海 | 1:35.3 | 上り36.1 | — | |
| 1 | 西脇特別 | 阪神 ダ1800 | 2人気 | 佐藤哲三 | 1:51.6 | 上り36.5 | — | |
| 1 | 3歳以上500万下 | 小倉 ダ1700 | 4人気 | 角田晃一 | 1:42.4 | 上り36.4 | — | |
| 7 | 秋吉台特別 | 小倉 芝1200 | 3人気 | 佐藤哲三 | 1:09.2 | 上り35.6 | — | |
| 1 | 3歳未勝利 | 小倉 芝1200 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:08.5 | 上り35.2 | — | |
| 2 | 3歳未勝利 | 阪神 芝1400 | 4人気 | 佐藤哲三 | 1:22.7 | 上り35.7 | — | |
| 6 | 3歳未勝利 | 京都 芝1600 | 2人気 | 佐藤哲三 | 1:35.6 | 上り36.1 | — | |
| 5 | 3歳未勝利 | 福島 芝1800 | 1人気 | 中舘英二 | 1:54.7 | 上り40.9 | — | |
| 2 | 3歳未勝利 | 阪神 芝1400 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:23.0 | 上り35.4 | — | |
| 3 | 3歳新馬 | 阪神 芝1600 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:37.9 | 上り35.6 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ゴールドアリュールGold Allure | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ニキーヤNikiya | Nureyev | |
| Reluctant Guest | ||
| 母エミネントシチー | ブライアンズタイムBrian's Time | Roberto |
| Kelley's Day | ||
| ヘップバーンシチー | ブレイヴェストローマンBravest Roman | |
| コンパルシチー |
旅程 — この馬の物語
2005年生まれの栗毛の牡馬。父ゴールドアリュール、母エミネントシチー。主な勝ち鞍はジャパンカップダート・フェブラリーS・マーチS。
「希望」と名づけられた仔
2005年4月22日、北海道の幾千世牧場に栗毛の牡馬が生まれた。母エミネントシチーにとって初めての仔で、その出産は難産だった。母胎を痛めたエミネントシチーは獣医から繁殖を止められ、母としての道をいったん閉ざされる。それでも彼女は生産者のもとに残され、数年を乗用馬として過ごした。 仔につけられた名は、エスポワールシチー。エスポワールはフランス語で「希望」、シチーは所有する友駿ホースクラブの冠名である。父はダートに強い産駒を送り出したゴールドアリュール、母の父はブライアンズタイム。牝系を遡れば、3代母コンパルシチーの半妹イタリアンシチーの仔に阪神3歳ステークスを勝ったゴールドシチーがおり、6代母ヒロイチは1955年の優駿牝馬を制している。古い一族に、長い間をおいて灯りが点る家系だった。 管理を引き受けたのは栗東の安達昭夫。騎手として通算125勝を挙げ、1994年に鞍を降りて調教師になった男である。手綱には佐藤哲三がいた。デビューから主戦を務め、小倉への遠征にも付ききりで通って自ら調教をつけた。「希望」という名を負った仔は、この二人の手の中で育っていく。
芝で六戦、砂で四連勝
2008年3月9日、阪神の芝1600メートル。1番人気に推された新馬戦は3着だった。以後、未勝利戦を四度使われ、2着が二度。勝ち切れないまま春が過ぎる。六戦目、7月20日の小倉、芝1200メートルでようやく勝ち上がったが、昇級初戦の秋吉台特別は7着。芝でのこの馬の答えは、そこまでだった。 陣営はダートへ舵を切る。8月30日、小倉のダート1700メートル。角田晃一を背にしたエスポワールシチーは、後続を7馬身ちぎって圧勝した。勝ち時計1分42秒4は、その開催で二番目に速い数字である。続く西脇特別を佐藤哲三で、東京の錦秋ステークスを松岡正海で5馬身、初のオープンとなったトパーズステークスは1コーナーまでに先頭を奪ってそのまま逃げ切った。砂に替わってから四連勝。ジャパンカップダートに登録したものの賞金が足りずに除外となり、三歳の秋はそこで終わる。芝では勝ち味の遅かった馬が、砂では四度とも先頭でゴール板を過ぎた。答えは足元にあった。
淀と府中と船橋 ― 二〇〇九年
明けて四歳、初めての重賞となる平安ステークスは1番人気。ここも先手を取ったが、ハミが抜けきらずワンダースピードにクビ差交わされて2着。ダートの連勝は四で止まった。 初のGI挑戦となったフェブラリーステークスでは、せっかくの大舞台だから力試しのつもりで行ったのだと佐藤は語っている。前半1000メートル58秒8という速い流れを自ら作り、直線で交わされながらも4着に粘った。次のマーチステークスは松岡正海に手綱が渡る。他馬を行かせて3番手、直線で抜け出して初の重賞制覇。松岡は、自分は乗っていただけだと馬をたたえた。 5月、初めての地方遠征となった船橋のかしわ記念。カネヒキリに次ぐ2番人気だったこの馬は、中団のやや後ろから4コーナーで3番手まで押し上げ、直線半ばでフェラーリピサを交わす。最後に迫ってきたカネヒキリを3/4馬身抑えて、初めてのJpnIだった。秋の南部杯ではスタート直後から先頭に立ち、サクセスブロッケンに4馬身差。重賞は三つ続いた。
最内の一番枠 ― 二〇〇九年ジャパンカップダート
陣営は暮れの阪神へ直行を決めた。ところが枠順が出ると、当たったのは最内の1番枠である。前日まで最内でのシミュレーションを繰り返した佐藤は、当日は考えすぎないようにゲームで気を紛らわせたという。 「この枠が出たときは、最後に大きな試練が来たなと思いましたね」[^1] 競りかけてきたティズウェイの動きを見て、1コーナー過ぎで先頭に立つ。折り合いには絶対の自信があったと本人が言うとおり、逃げてなお脚は残っていた。直線で突き放し、シルクメビウスに3馬身1/2をつけて1分49秒9。JRAのGIは、これが初めての勝利だった。創設十回目にして、四歳馬による初めてのジャパンカップダート制覇でもある。父ゴールドアリュールの産駒がJRAのGIを勝ったのもこの日が最初で、佐藤哲三と友駿ホースクラブにとっては2004年宝塚記念のタップダンスシチー以来のJRA・GI、安達にとっては初めてのJRA・GIだった。この年、エスポワールシチーはJRA賞最優秀ダートホースに選ばれる。
出典:スポーツナビ「エスポワールシチー砂の新王者に! 止まらんGI3連勝だ=JCダート」2009年12月6日配信、https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/200912090004-spnavi、閲覧日:2026年8月1日。
五連勝、そしてチャーチルダウンズ ― 二〇一〇年
明け五歳の初戦はフェブラリーステークス。単勝1.7倍、単勝支持率47.9パーセントは同競走史上二位という圧倒的な支持だった。逃げるローレルゲレイロを2番手で見ながら、直線で交わすと一気に加速する。テスタマッタに2馬身半をつけて、GIは四連勝になった。 招待されていたドバイワールドカップは、慣れない風土とオールウェザーを陣営が不安視して見送る。代わりに向かったのが、連覇のかかる船橋だった。道中3番手から、先に抜け出したフリオーソをゴール前で捉える。かしわ記念史上初の連覇であり、ダートのGI・JpnIは五連勝に伸びた。 そしてブリーダーズカップ・クラシックへの挑戦が表明される。前哨戦と位置づけられた南部杯は単勝1.0倍。だが馬体重は自身最重量の511キロで、遅い流れから直線でオーロマイスターに一瞬で突き放され、3馬身差の2着に敗れた。11月6日、チャーチルダウンズ競馬場。エスポワールシチーは4コーナーでいったん先頭に立つ見せ場を作り、そこから馬群に沈んで10着。本場の壁は厚かったが、日本のダート王が土を踏んだ事実は残った。この年も、最優秀ダートホースに選ばれている。
王座は、守るほうが難しい ― 二〇一一年
六歳の初戦、名古屋大賞典は単勝1.1倍。2番手から早めに抜け出し、ワンダーアキュートらの追撃を1分58秒4のコースレコードで振り切った。だが、そこからの一年は勝ち切れない。かしわ記念はスタートで出遅れて3着、帝王賞は逃げるスマートファルコンに9馬身も離されての2着。 秋の南部杯は、佐藤が前週に落馬負傷したため松岡へ乗り替わり、先行して直線で突き放しにかかったところをトランセンドらに交わされて4着。京都のみやこステークスこそ3馬身半差で圧勝したが、ジャパンカップダートでは逃げるトランセンドを2番手で追いかけ、直線で突き放され、内から来たワンダーアキュートにも交わされて3着に終わった。 頂に立った馬は、そこから先を守り続けなければならない。六歳のエスポワールシチーは勝ち鞍を二つに減らしながら、走った六戦のすべてで上位に踏みとどまっていた。
十月八日、盛岡 ― 佐藤哲三との最後
七歳。平安ステークスは2着。フェブラリーステークスの直前になって佐藤が落馬負傷し、代わって武豊が初めて手綱を取ったが5着に敗れた。5月、佐藤が戻ったかしわ記念では2番手から4コーナーで先頭に立ち、フリオーソに2馬身半差をつけて三度目の戴冠。帝王賞は2着、エルムステークスはローマンレジェンドとの叩き合いでクビ差の2着。そして10月8日、盛岡のマイルチャンピオンシップ南部杯。4コーナーで先頭に立つと、そのまま押し切った。二度目の南部杯制覇だった。 これが、佐藤哲三がこの馬に跨った最後のレースになる。 11月24日、京都競馬第10競走。最後の直線で佐藤は落馬し、コース柵の支柱に激突した。全身七か所の骨折に外傷性気胸、右肘関節脱臼。二年のあいだに六度の手術を重ねても左腕は戻らず、2014年、佐藤は騎手を引退する。デビュー戦から遠征の朝まで付ききりで作り上げた馬に、彼はもう二度と乗れなかった。 主戦を失ったエスポワールシチーは、暮れのジャパンカップダートを武豊で10着、東京大賞典はスタートで躓いて5着。七歳の年は、静かに終わった。
八歳の秋、帰ってきた男と
2013年、八歳になった。フェブラリーステークスは9番人気。松岡を背に、競走中に鼻出血を発症しながら2着に粘る。かしわ記念は浜中俊とのコンビで逃げ、ホッコータルマエに交わされて2着。そこから約五か月の休養に入った。 10月14日、盛岡。南部杯の鞍上は後藤浩輝だった。前年5月のNHKマイルカップで落馬して首を痛め、9月に復帰したその日にまた落馬して頸椎を骨折し入院、およそ一年ぶりに騎乗を再開したのが、この年の10月5日である。復帰後初めての重賞挑戦が、この一戦だった。スタートを決めて逃げ、そのまま押し切る。南部杯の連覇は史上四頭目。後藤にとっては2000年のゴールドティアラ以来、十三年ぶりに手にした南部杯でもあった。 11月4日、金沢のJBCスプリント。1400メートル、道中3番手から4コーナーで先頭に立ち、そのまま押し切った。GI・JpnI通算九勝目。九つという数字は、ヴァーミリアンに並ぶ日本競馬の最多タイだった。 12月1日、阪神のジャパンカップダートで7着。四十戦目を走り終えて、エスポワールシチーは現役を退いた。
希望は砂に継がれる
2014年から、新冠の優駿スタリオンステーションで種牡馬になった。初年度から100頭を超える牝馬が集まり、産駒の多くは地方の砂へ出ていく。2017年には地方のファーストシーズンリーディングサイアー。2019年、ヴァケーションが川崎の全日本2歳優駿を勝って産駒に初めてのJpnIをもたらし、2022年にはペイシャエスがユニコーンステークスを制した。同じ2022年度、獲得賞金9億2068万円で地方競馬のリーディングサイアーに立つ。七年続いたサウスヴィグラスの時代が、そこで替わった。 2023年11月3日、大井のJBCスプリント。兵庫のイグナイターが直線で抜け出し、父が十年前に勝ったのと同じ競走を、父子二代で勝った。 母エミネントシチーにも続きがあった。2009年、獣医の許可が下りて繁殖に戻る。復帰後に産んだ最初の牡馬は生まれてまもなく世を去ったが、その次に生まれた全弟プレジールシチーは中央で三勝を挙げた。閉じられかけた母の道は、息子が砂で稼いだ時間のぶんだけ開き直された。 この馬を最後にGI級へ導いた後藤浩輝は、2015年2月27日に四十歳で急逝した。デビューから作り上げた佐藤哲三は、ついに鞍へ戻れないまま、競馬を語る側に回った。三歳の春から八歳の暮れまで四十戦十七勝。「希望」と名づけられた栗毛はいまも新冠で草を食み、その血は各地の砂の上を走り続けている。
産駒 — 旅を継ぐ馬
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