名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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イングランドアイズのイメージビジュアル
イングランドアイズEngland Eyes
England Eyes

イングランドアイズ

通算成績18戦4勝

獲得賞金1999万円

生年月日 2020.04.01(令和2年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
イングランドアイズの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
15 GIII福島記念 福島 芝2000 4人気 松若風馬 2:01.1 上り34.1映像
5 GIIIチャレンジカップ 阪神 芝2000 5人気 松若風馬 1:58.3 上り34.9映像
1 GIII小倉記念 小倉 芝2000 9人気 松若風馬 1:59.9 上り36.2映像
7 垂水S 阪神 芝2000 5人気 北村友一 1:59.2 上り35.3
5 シドニーT 京都 芝2000 6人気 北村友一 2:05.2 上り33.9
1 千里山特別 阪神 芝2000 3人気 岩田康誠 1:59.8 上り35.0
11 RKB賞 小倉 芝2000 1人気 岩田康誠 2:03.2 上り36.7
6 オリエンタル賞 東京 芝2000 5人気 坂井瑠星 1:59.9 上り33.7
2 宗像特別 小倉 芝2000 1人気 松山弘平 2:00.8 上り36.6
1 若戸大橋特別 小倉 芝2000 1人気 坂井瑠星 1:59.3 上り35.0
3 4歳以上1勝クラス 東京 芝2000 1人気 北村宏司 1:59.2 上り34.4
4 3歳以上1勝クラス 阪神 芝1600 1人気 B.ムルザバエフ 1:34.4 上り33.0
6 3歳以上1勝クラス 京都 芝1800 1人気 横山和生 1:47.0 上り34.3
2 3歳以上1勝クラス 東京 芝2000 1人気 横山和生 1:57.3 上り34.0
16 GI優駿牝馬 東京 芝2400 11人気 横山和生 2:26.2 上り37.9映像
4 GIIサンスポ賞フローラS 東京 芝2000 3人気 横山和生 1:59.4 上り33.4映像
4 GIIIデイリー杯クイーンカップ 東京 芝1600 7人気 横山和生 1:33.2 上り34.3映像
1 2歳新馬 阪神 芝2000 5人気 横山和生 2:02.9 上り34.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
イングランドアイズの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
KingmanInvincible SpiritGreen Desert
Rafha
ZendaZamindar
Hope
ヌーヴォレコルトNuovo RecordハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday Silence
アイリッシュダンス
オメガスピリットスピニングワールドSpinning World
ファーガーズプロスペクトFager's Prospect
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの鹿毛の牝馬。父Kingman、母ヌーヴォレコルト。主な勝ち鞍は小倉記念。

イギリスの瞳 ― 名前と血

馬名の意味は、そのまま「イギリスの瞳」。2020年4月1日、遠いイギリスの牧場で生まれた鹿毛の牝馬である。父は英国の名マイラー、キングマン。そして母は、2014年のオークスを勝ったヌーヴォレコルト。 母がその栄冠を掴んだのは、東京の2400m。桜花賞で先着を許したハープスターを、直線で早めに抜け出してクビ差だけ差し返す、際どい勝利だった。手綱を取っていたのは岩田康誠。この一勝で史上7人目、地方競馬出身者としては初の5大クラシック完全制覇を成し遂げた男である。 母が勝ったオークスと、母を勝たせた手綱。その二つが、海を渡って生まれた娘の物語のなかで、もう一度だけ交わることになる。

母の舞台 ― 十六着のオークス

2022年11月、阪神の芝2000m。5番人気で迎えたデビュー戦を、横山和生の手綱で勝ち上がる。良血の三歳牝馬の船出だった。 明けて2023年、クイーンカップ4着、フローラステークス4着と足場を固め、娘は母の舞台へ向かう。5月21日、府中の芝2400m――9年前に母が制した、同じオークスである。だが結果は11番人気16着。この年、後続を6馬身ちぎって優駿牝馬を制したのはリバティアイランドだった。母の栄冠に手を伸ばした娘は、遠く後方に沈む。デビュー勝ちを届けた横山和生は、同じ手綱で、その大敗も引き受けた。

長い坂道 ― 条件戦の底から

オークスのあと、待っていたのは長い足踏みだった。2023年の秋から2024年の春にかけて、1勝クラスで2着、6着、4着、3着――良血の看板がかすむほど、勝ち星が遠い。鞍上も横山和生からムルザバ、北村宏司へと替わっていく。 ようやく出口が見えたのは2024年7月、小倉の若戸大橋特別。坂井瑠星を背に1勝クラスを抜け、続く宗像特別は2着。母がクラシックを駆けた齢を過ぎても、娘はローカルの条件戦で、坂を一段ずつ登っていた。血の格だけでは、勝ち鞍はついてこない。それでも歩みは止まらなかった。

同じ手綱 ― 母を勝たせた男

2025年、鞍上に岩田康誠を迎える。2月のRKB賞こそ1番人気で11着と沈んだが、3月、阪神の千里山特別を勝ち切った。 この手綱こそ、11年前に母ヌーヴォレコルトをオークスへ導いた、あの手だった。母にクラシックの栄冠をもたらした男が、娘には一つの条件戦の勝ち星をもたらす。華やかな舞台ではない。それでも血は、同じ手のひらの上で、静かに繋がっていた。娘は千里山特別からシドニートロフィー、垂水ステークスと相手を上げ、オープンの水に体を慣らしていく。

小倉の夏 ― 九番人気の戴冠

2025年7月20日、小倉記念。芝2000m、GⅢ。鞍上は松若風馬。メンバー中ただ一頭の牝馬という軽ハンデを味方に、しかし人気は9番手だった。 1馬身ほど出遅れながら、松若は押して好位のインへ。ロスなく脚をため、直線で馬群を割って抜け出すと、3番人気シェイクユアハートの追撃を1馬身3/4差だけ退けた。1分59秒9。上がりのかかる消耗戦を、好位から粘り抜いての重賞初制覇である。 「いいタイミングで乗せてもらいました」[^1]。松若の言葉は、多くの手を渡り歩いてきたこの牝馬への、静かな敬意のようだった。母が掴んだのは大舞台のオークス、娘が掴んだのは真夏の小倉の伏兵の戴冠。場所も格も違う。だが良血がついに、自分の名で刻んだ初めての重賞だった。

出典:東スポ競馬「【小倉記念結果&コメント】イングランドアイズ快勝 松若風馬『いいタイミングで乗せてもらえたと思います』」2025年7月20日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/60735、閲覧日:2026年7月17日。

北の牧場へ ― 母の隣で

小倉の栄光のあと、チャレンジカップは5着、福島記念は15着。そして2025年12月3日、競走馬登録は抹消された。娘が向かったのは、北海道千歳の社台ファーム。母ヌーヴォレコルトが繁殖牝馬として暮らす、その同じ牧場である。 オークスの栄冠には、ついに届かなかった。それでも娘は今、母の隣で、自分が母になる番を待っている。 十八戦四勝。その数字の内側には、遠いイギリスに生まれ、良血の看板を背負い、条件戦の坂を一つずつ登って、真夏の小倉で自分の名を刻んだ道のりがある。母がクビ差で掴んだオークスと、娘が1馬身3/4差で掴んだ小倉記念。栄光の格は違っても、際どいところで勝ち切る強さは、確かに血を伝って受け継がれていた。イギリスの瞳は、いま北の大地で、次の一頭を待っている。

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