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エンペラーワケア
通算成績15戦7勝
獲得賞金2億1,098万円
生年月日 2020.05.02(令和2年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 6 | GIII根岸S | 東京 ダ1400 | 2人気 | 西村淳也 | 1:23.8 | 上り36.2 | 映像 | |
| 2 | JpnⅢサマーチャンピオン | 佐賀 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:27.0 | 上り37.2 | — | |
| 3 | JpnⅠさきたま杯 | 浦和 ダ1400 | 3人気 | 川田将雅 | 1:24.2 | 上り36.2 | 映像 | |
| 3 | JpnⅢ黒船賞 | 高知 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:30.8 | 上り41.2 | — | |
| 5 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 3人気 | 横山武史 | 1:36.0 | 上り36.2 | 映像 | |
| 1 | GIII東京中日S杯武蔵野S | 東京 ダ1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:36.0 | 上り36.5 | 映像 | |
| 1 | LエニフS | 中京 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:22.4 | 上り35.0 | — | |
| 2 | OP欅S | 東京 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:22.1 | 上り35.0 | — | |
| 1 | GIII根岸S | 東京 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:24.1 | 上り35.2 | 映像 | |
| 1 | 御影S | 阪神 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:23.4 | 上り37.2 | — | |
| 1 | ドンカスターC | 京都 ダ1400 | 1人気 | 松山弘平 | 1:24.7 | 上り36.4 | — | |
| 2 | 3歳以上2勝クラス | 阪神 ダ1400 | 1人気 | 松山弘平 | 1:24.4 | 上り38.5 | — | |
| 1 | 3歳以上1勝クラス | 中京 ダ1400 | 1人気 | 松山弘平 | 1:23.9 | 上り37.8 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 阪神 ダ1400 | 2人気 | 松山弘平 | 1:24.5 | 上り36.4 | — | |
| 5 | 2歳新馬 | 阪神 芝1600 | 2人気 | 松山弘平 | 1:36.1 | 上り34.8 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ロードカナロアLord Kanaloa | キングカメハメハKing Kamehameha | Kingmambo |
| マンファスManfath | ||
| レディブラッサム | Storm Cat | |
| サラトガデューSaratoga Dew | ||
| 母カラズマッチポイントKara's Match Point | Curlin | Smart Strike |
| Sherriff's Deputy | ||
| Home Court | Storm Cat | |
| Jewel Princess |
旅程 — この馬の物語
2020年生まれの鹿毛の牡馬。父ロードカナロア、母カラズマッチポイント。主な勝ち鞍は根岸S・東京中日S杯武蔵野S。
皇帝と、天空の神 ― 名前の由来
父の名は、ハワイの海の神から採られていた。ロードカナロア――大洋を司る神カナロアの名を負った快速馬である。その子に与えられたのは、皇帝を意味する「エンペラー」と、同じハワイ神話の神「ワケア」の名だった。ワケアは天空を司り、島々と、島を治める者たちの祖とされる神。海の神の血を受けた馬に、空の父神の名がついた。 馬主は草間庸文、生まれは北海道日高の下河辺牧場。名前こそハワイの神を戴くが、その体に流れるのはアメリカの砂の血だった。母カラズマッチポイントの父は、ブリーダーズカップ・クラシックとドバイワールドカップを制した米国の強豪カーリン。母系をさかのぼれば、三代母ジュエルプリンセスは1996年のブリーダーズカップ・ディスタフを勝ち、その年の最優秀古牝馬に選ばれた新大陸の女王である。神話は南の島の、血はアメリカのダートの――その取り合わせが、この馬の輪郭を決めていく。
芝に躓き、砂に生きる
2022年10月15日、阪神の芝1600メートル。松山弘平を背にした新馬戦で、2番人気に推されたこの馬は5着に敗れた。芝では、見どころを欠いた。 陣営はすぐに矛先を砂へ替える。翌月、同じ阪神のダート1400で未勝利戦に臨むと、馬は別の生き物のように走り、危なげなく勝ち上がった。血が砂を求めていた。カーリン、ストームキャット、ジュエルプリンセス――アメリカのダートを駆けた一族の記憶が、この足元でようやく目を覚ます。 長い休みを挟んで2023年の夏に戻ると、中京と阪神で足場を固め、秋には京都のドンカスターカップを制した。ここまで手綱を取り続けたのは松山弘平である。芝で躓いた馬を、砂の上で一戦ごとに勝ち馬へと育てた。その仕事が、やがて訪れる飛躍の土台になる。
川田将雅、手綱を継ぐ ― 初めての重賞
2023年12月、御影ステークスから鞍上が川田将雅に替わる。これも危なげなく勝つと、明けて2024年1月28日、根岸ステークス。ダート1400の重賞である。 1番人気。スタートを決めて5番手を追走し、勝負どころで手応え十分に進出すると、直線半ばで堂々と先頭へ立った。後続を2馬身半突き放しての完勝である。ドンカスターカップ、御影ステークスから続く3連勝で、初めての重賞タイトルを手にした。川田将雅は、これは重賞を獲れて当然の器だと太鼓判を押した。芝の新馬戦で躓いた馬が、着実に歩を進めて重賞ウイナーの座に立った。
千六の壁 ― 武蔵野の秋
重賞ウイナーとなっても、道のりは平坦ではない。続く欅ステークスは1番人気で2着に敗れ、連勝は止まった。それでもエニフステークスを快勝して立て直すと、2024年11月9日、東京中日スポーツ杯武蔵野ステークスへ向かう。 これまでの勝ち鞍はすべて1400まで。初めての1600だった。速い流れを好位の内でじっと我慢し、直線で馬群を割ってこじ開ける。抜け出したその脚は、距離延長の不安を力でねじ伏せていた。2着を1馬身きっちり抑えて重賞2勝目。レースのあと、川田将雅は「馬の力で勝ち切ることができました」と、勝利を馬に返した[^1]。1400のスピードだけの馬ではないと、府中のマイルが証明した。
出典:東京スポーツ「【武蔵野ステークス結果&コメント】エンペラーワケア快勝 川田将雅『馬の力で勝ち切ることができました』」2024年11月9日、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/51504、閲覧日:2026年7月16日。
開かない扉 ― GIと地方の遠征
2025年2月、フェブラリーステークス。初めてのGIだった。主戦の川田将雅はサウジアラビア遠征のため鞍上を離れ、代わって横山武史が跨る。3番人気に推されたが、伸びを欠いて5着。横山は、1400でも掛かるほど前へ行きたがる気性を、東京のマイルとペースのなかで持て余した、と敗因を語った。 川田が戻っても、扉は重いままだった。春は高知の黒船賞で3着、初夏の浦和・さきたま杯でも3着、佐賀のサマーチャンピオンは2着。地方のダートグレードを転戦しながら、いずれも人気に応えきれない。重賞を二つ持ちながら、その一つ上――GIやJpnIの称号には、どうしても指が届かなかった。
種子骨 ― 旅は途中
2026年2月1日、2年ぶりの根岸ステークス。重賞初制覇を飾ったのと同じ、東京ダート1400の舞台に、2番人気で戻ってきた。 だが、この日の走りは伸びを欠き、6着に終わる。レースのあと、右第一指節種子骨の骨折が判明した。休養の期間は、未定と発表された。 15戦7勝、重賞2勝、獲得賞金は2億円を超えた。GIの扉には手が届かないまま、旅はいま、止まっている。折れたのは骨であって、走りではない。父から受け継いだハワイの神の名は、いまも空の高みを指している。エンペラーワケアがもう一度あの砂を蹴る日を、静かに待てばいい。
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