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アーネストリー
通算成績29戦10勝
獲得賞金5億8,290万円
生年月日 2005.05.17(平成17年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11 | GI有馬記念 | 中山 芝2500 | 14人気 | 福永祐一 | 2:33.5 | 上り37.6 | 映像 | |
| 10 | GII金鯱賞 | 中京 芝2000 | 3人気 | 吉田隼人 | 2:01.4 | 上り35.9 | — | |
| 11 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 13人気 | 佐藤哲三 | 1:58.3 | 上り34.6 | 映像 | |
| 7 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 8人気 | 佐藤哲三 | 2:13.2 | 上り37.6 | 映像 | |
| 5 | GIII鳴尾記念 | 阪神 芝2000 | 3人気 | 佐藤哲三 | 2:00.8 | 上り33.3 | — | |
| 6 | GII産経大阪杯 | 阪神 芝2000 | 5人気 | 佐藤哲三 | 2:06.0 | 上り35.3 | — | |
| 10 | GI有馬記念 | 中山 芝2500 | 5人気 | 佐藤哲三 | 2:36.6 | 上り34.6 | 映像 | |
| 14 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 5人気 | 佐藤哲三 | 1:58.6 | 上り37.5 | 映像 | |
| 1 | GII産経賞オールカマー | 中山 芝2200 | 1人気 | 佐藤哲三 | 2:11.2 | 上り34.9 | — | |
| 1 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 6人気 | 佐藤哲三 | 2:10.1 | 上り35.1 | 映像 | |
| 3 | GII金鯱賞 | 京都 芝2000 | 3人気 | 佐藤哲三 | 2:02.9 | 上り36.7 | 映像 | |
| 3 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 2人気 | 佐藤哲三 | 1:58.7 | 上り34.8 | 映像 | |
| 1 | GII札幌記念 | 札幌 芝2000 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:59.4 | 上り35.4 | 映像 | |
| 3 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 3人気 | 佐藤哲三 | 2:13.2 | 上り36.6 | 映像 | |
| 1 | GII金鯱賞 | 京都 芝2000 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:59.5 | 上り34.0 | — | |
| 1 | GIII中日新聞杯 | 中京 芝2000 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:57.4 | 上り35.5 | — | |
| 2 | GIIアルゼンチン共和国杯 | 東京 芝2500 | 4人気 | 松岡正海 | 2:31.1 | 上り34.6 | — | |
| 1 | 夕刊フジ杯大原S | 京都 芝2000 | 1人気 | 佐藤哲三 | 1:58.0 | 上り34.6 | — | |
| 10 | GIIIエプソムカップ | 東京 芝1800 | 4人気 | 佐藤哲三 | 1:46.7 | 上り35.8 | — | |
| 5 | GIII新潟大賞典 | 新潟 芝2000 | 4人気 | 佐藤哲三 | 1:57.7 | 上り34.7 | — | |
| 4 | GII日経賞 | 中山 芝2500 | 2人気 | 佐藤哲三 | 2:32.3 | 上り36.3 | — | |
| 1 | 御堂筋S | 阪神 芝2400 | 1人気 | 佐藤哲三 | 2:28.2 | 上り35.1 | — | |
| 3 | 松籟S | 京都 芝2400 | 1人気 | 佐藤哲三 | 2:28.4 | 上り36.4 | — | |
| 2 | 修学院S | 京都 芝2000 | 2人気 | 佐藤哲三 | 2:01.4 | 上り36.2 | — | |
| 1 | 北野特別 | 京都 芝2000 | 2人気 | 佐藤哲三 | 2:00.8 | 上り34.2 | — | |
| 1 | 3歳以上500万下 | 札幌 芝2000 | 1人気 | 三浦皇成 | 2:02.0 | 上り36.1 | — | |
| 5 | 知床特別 | 札幌 芝2000 | 2人気 | 三浦皇成 | 2:01.6 | 上り36.9 | — | |
| 3 | 3歳500万下 | 阪神 芝2200 | 1人気 | 佐藤哲三 | 2:17.4 | 上り35.2 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 阪神 芝1800 | 3人気 | 佐藤哲三 | 1:48.7 | 上り35.3 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父グラスワンダーGrass Wonder | Silver Hawk | Roberto |
| Gris Vitesse | ||
| Ameriflora | Danzig | |
| Graceful Touch | ||
| 母レットルダムール | トニービンTony Bin | カンパラKampala |
| Severn Bridge | ||
| ダイナチャイナ | ノーザンテーストNorthern Taste | |
| アスコツトラップ |
旅程 — この馬の物語
2005年生まれの鹿毛の牡馬。父グラスワンダー、母レットルダムール。主な勝ち鞍は宝塚記念・中日新聞杯・金鯱賞。
本気で、という名前
2007年7月8日、阪神競馬場の芝1800メートル。2歳新馬戦のゲートに、508キロの鹿毛が入った。大きな馬だった。そしてこの508キロが、生涯でいちばん軽い出走体重になる。 単勝8.6倍の3番人気。鞍上は佐藤哲三。好位の内を突いて抜け出し、2着に2馬身の差をつけて勝ち上がった。 その2着馬はトールポピーといい、のちに阪神ジュベナイルフィリーズと優駿牝馬を勝つ。3着のドリームシグナルはシンザン記念を、8着のキャプテントゥーレは皐月賞を勝った。あとから「伝説の新馬戦」と呼ばれることになる一戦を、この馬は勝っている。 名はアーネストリー。英語で「本気で」。当時の馬主は古谷道昌――その年に馬主登録をしたばかりで、これが最初の所有馬だった。新馬戦を勝った直後、名義は前田幸治に移る。二人は同じ会社の役員同士だった。水色に赤い十字襷、前田の勝負服を着て走るのは、次走からになった。 そして手綱は、以後五年余り、ほとんど佐藤哲三が握り続けることになる。
脚元が、それを許さない
新馬戦のあと、アーネストリーは大山ヒルズへ放牧に出た。秋は黄菊賞から京都2歳ステークスへ、という青写真があったが、骨膜炎を発症して長い休養に入る。復帰は8か月後、3歳の3月。そのレースは3着で、翌月には右腰椎を捻挫し、また戦列を離れた。 当歳のころから馬体の良さで評価は高かったという。素質そのものは早くから認められていた。ただ、脚元と体質がそれを許さなかった。2歳で骨膜炎、3歳で腰椎の捻挫、5歳で蹄の外傷、6歳で腰痛。休むたびに、同期は先へ行った。 3歳の夏、札幌の知床特別で戻ってきたときの馬体重は548キロ、前走から38キロ増えていた。パドックでは大量に汗をかき、5着。それでも3週間後、デビュー一年目の三浦皇成を背に単勝1.4倍に応えて2馬身差で勝ち、秋の北野特別では逃げた2頭を交わし、外から来たタガノエルシコをクビ差でしのいだ。 4歳の2月、御堂筋ステークスをナムラクレセントに2馬身半差をつけて勝ち、オープンに上がる。だが重賞は遠かった。日経賞4着、新潟大賞典5着、エプソムカップ10着。秋に大原ステークスを3馬身半差で勝ち直し、アルゼンチン共和国杯では騎乗停止の佐藤に代わった松岡正海が2番手から進み、逃げるミヤビランベリに一度は並びかけて2着。 12月12日、中京の中日新聞杯。5番手から、逃げ粘るドリームサンデーをゴール前で捉えて1分57秒4。初めての重賞は、4歳の冬にようやく来た。これまでは行きたがるところがあったが折り合いがついた、成長している、と佐藤は勝ったあとに語っている。
一馬身
2010年、5歳。始動は右前脚の蹄壁欠損で遅れ、5か月半ぶりの実戦となった5月の金鯱賞――当時は京都で行われていた――を、2番手から抜け出して1馬身1/4差で勝つ。連勝で重賞2勝目。陣営は次に宝塚記念を掲げた。 6月27日、阪神。ブエナビスタ、ジャガーメイル、ドリームジャーニー。GI初挑戦のアーネストリーは3番人気に推された。ナムラクレセントが引っ張る流れの2番手を進み、直線を向いて先頭に立つ。内からブエナビスタが並びかけ、外からナカヤマフェスタが伸びてきた。差し切られ、競り負けて3着。レース後、佐々木晶三は、まだ本物ではない、と言った。今日の一馬身差をどう詰めるか、これから考える、とも。 夏の札幌記念では、内を突かず外へ回してダービー馬ロジユニヴァースを捕まえ、1馬身3/4差。秋の天皇賞は2番人気で、5、6番手からじりじりと伸びたが、抜け出したブエナビスタに3馬身半離され、後方から来たペルーサにも差されて3着だった。 走破時計は1分58秒7。25年前、母方の大伯父にあたるギャロップダイナが13番人気から追い込んでシンボリルドルフを半馬身差でとらえ、当時の日本レコードで駆け抜けたのが、同じ府中の2000メートルの1分58秒7である。同じ数字が、四半世紀を経て3着の時計になっていた。時代は速くなり、この馬はまだ何も手にしていなかった。 有馬記念へ向かうはずが、腰痛で回避。年が明けても、アーネストリーは休んでいた。
二分十秒一
2011年5月28日、京都の金鯱賞。約7か月ぶりの実戦は不良馬場で、ルーラーシップの3着。これを叩いての宝塚記念だった。前年3番人気だった評価は、6番人気まで下がっていた。二つ下の世代が主役になり、ブエナビスタは女王のままで、6歳馬に寄せられる期待は多くない。 厩舎の確信だけが動いていなかった。佐々木は、この馬が100パーセントの状態ならGIを勝てると信じており、当日はパドックで馬を見て、負けるわけがないと思ったと明かしている。 6月26日、阪神競馬場に5万9000人。最内枠から押して逃げるナムラクレセントの2番手で、アーネストリーは折り合った。前半1000メートル通過58秒7。速い。直線の入り口で先頭に立つと、1番人気ブエナビスタが外から上がり最速の脚で追い、エイシンフラッシュがハナ差でこれに続く。届かない。1馬身半差。前年の直線で自分を交わしていったブエナビスタを、この日は最後まで前に出させなかった。あの一馬身は、そういうふうに詰められた。 「後ろの馬を気にしていたらアーネストリーの競馬をできない」[^1]。佐藤哲三は、ウイニングランのあいだ何度もこぶしを突き上げた。 勝ち時計2分10秒1は当時のコースレコードで、7年前に佐藤と佐々木のコンビがタップダンスシチーで刻んだ宝塚記念のレースレコードを、まるまる1秒更新していた。自分たちの数字を、自分たちで消したことになる。 父グラスワンダーは1999年にこのレースを勝っている。宝塚記念では初めての父子制覇だった。そして2着ブエナビスタの父スペシャルウィークは、その1999年にグラスワンダーの前で敗れた2着馬である。12年を隔てて、父たちの決着がもう一度なぞられた。 のちに佐藤は、ダートのエスポワールシチーで掴んだものを芝で試していたのだと振り返っている。走る軌道によって馬の体が入りやすくなる――それが分かってからは、トントン拍子だった、と。
出典:スポーツナビ「アーネストリー覚醒のGI勝利! 佐藤哲「本格化の第一歩」=宝塚記念」2011年6月26日配信、https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201106300009-spnavi 、閲覧日:2026年8月1日。
レコードの秋
夏の札幌記念は左前球節の軽い捻挫で回避し、復帰は9月25日、中山のオールカマーになった。単勝1.4倍。3番手から直線半ばで先頭に立ち、後方から伸びたゲシュタルトを1馬身半しのぐ。2分11秒2はレースレコード。重賞5勝目だった。宝塚記念とオールカマー、勝った二戦で、二つのレコードを置いていったことになる。 10月30日の天皇賞(秋)は大外18番。出遅れ、押して3、4番手まで挽回したものの、直線で後退して14着。勝ったトーセンジョーダンの1分56秒1は、芝2000メートルの日本レコードだった。 暮れの有馬記念は、外からハナを切って極端に遅い流れに落とし、直線でも粘ったが10着。中山を制したのは3歳のオルフェーヴルである。世代が入れ替わっていく音が、はっきり聞こえる冬だった。
最後の一鞍
2012年、7歳。産経大阪杯は中団から伸びずに6着、鳴尾記念は最後方を進んで5着。連覇のかかった宝塚記念は4コーナーで一度先頭に立ったが、そこまでだった。7着。勝ったのはオルフェーヴルである。 10月28日、天皇賞(秋)。13番人気の11着で、勝ち馬から1秒以上離された。このときは誰も知らない――それが、この馬と佐藤哲三の最後のレースになることを。 11月24日、京都競馬場の第10競走。最後の直線で佐藤は落馬し、内埒に激突した。全身七か所の骨折を含む重傷だった。六度の手術とリハビリを重ねても、騎手として戻ることはできなかった。同じ佐々木厩舎で佐藤が乗っていた3歳馬キズナは武豊に手綱が渡り、翌年の東京優駿を勝つ。 アーネストリーは12月の金鯱賞に吉田隼人、有馬記念に福永祐一を背にして走り、どちらも二桁着順に終わった。2013年1月9日、競走馬登録抹消。29戦10勝。
同じ人の牧場へ
種牡馬になった。日高のブリーダーズ・スタリオン・ステーションから、2015年に新ひだかのアロースタッドへ移る。2016年11月、門別でウィックドクイーンが産駒初勝利を挙げた。そして2021年2月25日、佐賀のたんぽぽ賞――九州産の3歳馬が集うJRA交流の重賞――をイロエンピツが大差で制し、父に初めての重賞タイトルを届ける。鞍上はデビュー5か月目の飛田愛斗で、その子の背が、若い騎手に初めての重賞をもたらした。 2019年11月、用途変更で種牡馬を退く。以後はノースヒルズで功労馬として繋養されている。新冠のノースヒルズマネジメントで生まれた馬が、その牧場へ帰った。 佐藤哲三は2014年9月に引退を表明し、10月12日、京都競馬場で引退式を行った。1万686戦954勝。同じとき、ノースヒルズが運営する育成施設・大山ヒルズの騎乗技術アドバイザーに就くことが発表されている。アーネストリーが新馬戦を勝ったあと、最初の放牧に出された牧場である。 体質が弱いと言われ続けた馬が、デビューから四年をかけて阪神の二千二百メートルにたどり着いた。前を向いて、行きたいだけ行かせる――名前のとおりの走り方でしか勝てない馬であり、その走り方を最後まで通させた騎手がいた。二人はほどなくして鞍を降り、行き着いた先は、どちらも同じ人の牧場だった。
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