名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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ドゥレッツァのイメージビジュアル
ドゥレッツァDurezza
Durezza

ドゥレッツァ

通算成績13戦5勝

獲得賞金57,243万円

生年月日 2020.04.24(令和2年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ドゥレッツァの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
GIジャパンカップ 東京 芝2400 プーシャ 映像
8 GII京都大賞典 京都 芝2400 4人気 横山武史 2:24.5 上り35.4映像
9 GI宝塚記念 阪神 芝2200 4人気 横山武史 2:12.4 上り36.7映像
3 GIドバイシーマクラシック メイダン 芝2410 5人気 C.スミヨン 映像
2 GIジャパンカップ 東京 芝2400 7人気 W.ビュイック 2:25.5 上り33.4映像
5 GI英インターナショナル ヨーク 芝2050 5人気 C.ルメール
15 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 2人気 戸崎圭太 3:19.8 上り40.5映像
2 GII金鯱賞 中京 芝2000 1人気 C.ルメール 1:58.4 上り35.0映像
1 GI菊花賞 京都 芝3000 4人気 C.ルメール 3:03.1 上り34.6映像
1 日本海S 新潟 芝2200 1人気 戸崎圭太 2:11.4 上り34.4
1 ホンコンJCT 東京 芝2000 1人気 C.ルメール 1:59.2 上り32.7
1 山吹賞 中山 芝2200 1人気 横山武史 2:16.3 上り33.9
1 2歳未勝利 東京 芝2000 1人気 C.ルメール 2:00.9 上り33.4
3 2歳新馬 中山 芝2000 1人気 C.ルメール 2:04.2 上り35.7

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ドゥレッツァの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ドゥラメンテDuramenteキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
アドマイヤグルーヴAdmire GrooveサンデーサイレンスSunday Silence
エアグルーヴAir Groove
モアザンセイクリッドMore Than SacredMore Than ReadyサザンヘイローSouthern Halo
Woodman's Girl
DanalagaデインヒルDanehill
Tamarino
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの青鹿毛の牡馬。父ドゥラメンテ、母モアザンセイクリッド。主な勝ち鞍は菊花賞。

父の名を継いだ楽語

ドゥレッツァ——イタリア語で「激しさ、厳しさ」を指す音楽用語である。その名は、父ドゥラメンテから連想して付けられた。ドゥラメンテもまた「激しく、荒々しく」を意味する楽語で、父から子へ、同じ楽譜の指示が受け渡された格好になる。 父ドゥラメンテは、2015年の皐月賞と日本ダービーを鮮烈に制した一頭だった。だが4歳春に故障して早々に種牡馬入りし、2021年8月31日、急性大腸炎のためにわずか9歳で世を去る。ドゥレッツァが生まれたのは2020年4月24日。父が逝ったとき、この青鹿毛はまだ走ることを知らない一歳の若駒で、二頭がターフで交わることは、ついに一度もなかった。 母モアザンセイクリッドはニュージーランドオークスを勝った牝馬で、海を渡ってノーザンファームに繋養された。生産はノーザンファーム、馬主はキャロットファーム、管理は美浦の尾関知人。父の遺した血が、静かに次の一頭へと流れ込んでいた。

条件戦を駆け上がる

2022年9月、中山の芝2000メートル。デビュー戦の鞍上はクリストフ・ルメールだった。1番人気に推されたが結果は3着で、勝ち上がりは次戦へ持ち越しとなる。だが、つまずきはそこまでだった。 二戦目の未勝利戦を勝つと、そこから馬は止まらなくなった。年が明けて山吹賞、ホンコンジョッキークラブトロフィー、日本海ステークス——中山、東京、新潟と舞台を移しながら、一つずつクラスを上げて勝ち続けた。重賞には一度も出ていない。世間の目が届かない条件戦のなかで、ドゥレッツァは静かに階段を上っていた。四連勝で、菊の季節を迎える。

菊花賞、五連勝で頂へ

2023年10月22日、京都の芝3000メートル。ドゥレッツァにとって、これが初めての重賞であり、初めてのGIだった。相手は皐月賞馬ソールオリエンス、ダービー馬タスティエーラ。春のクラシックを分け合った世代の主役たちが、4番人気の伏兵を待ち受ける。 鞍上のルメールは、迷わなかった。ゲートが開くと馬は元気に飛び出し、一周目の三、四コーナーで一度ハナへ立つ。「馬が元気だったのでフライングスタートをしました」[^1]。二周目の向正面でパクスオトマニカとリビアングラスの二頭を行かせて好位に控えると、最後の直線で一気に抜け出した。二着タスティエーラに三馬身半。条件戦から続く五連勝が、そのまま菊の大輪になった。 重賞を一度も走らないままGIを掴んだ馬。尾関は勝ち方に驚き、夢のなかにいるようだと語った。

出典:東スポ競馬「【菊花賞結果&コメント】ドゥレッツァ圧勝!ルメール『馬が元気だったのでフライングスタートをしました』」2023年10月22日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/37804、閲覧日:2026年7月17日。

王道の壁

菊花賞馬として迎えた2024年。始動戦の金鯱賞は1番人気に推されたが、二着に敗れた。差はわずかでも、無敗の頃の勢いは、もうそこにはない。 そして天皇賞(春)。二番人気で臨んだ淀の三千二百メートルで、ドゥレッツァは大きく崩れた。十五着。上がりは四十秒を超えた。当日は気温三十度を上回る酷暑で、レース後に軽い熱中症の症状が確認され、さらに右第一指骨の剥離骨折が判明する。全治三か月。菊の頂から一転、長い休養に入った。

世界の舞台で、あと半馬身

骨折から戻った馬は、国内に留まらなかった。夏、イギリスのヨークへ渡り、インターナショナルステークスに挑む。芝二千五十メートルの異国の直線で五着。世界の一線級との距離を、その身で測った。 帰国して臨んだ十一月のジャパンカップ。七番人気は、菊花賞馬への評価がすっかり下がっていたことの裏返しでもあった。鞍上はウィリアム・ビュイック。中団から向正面で一気に先頭へ押し上げ、直線で懸命に粘る。外から伸びてきたドウデュースには交わされたが、内で食い下がったシンエンペラーと二着同着。上がり三十三秒四は、この日の府中でいちばん速かった。勝利までは、あと半馬身も届かなかった。

旅する菊花賞馬

2025年、ドゥレッツァはさらに遠くへ向かった。春、ドバイのメイダンでシーマクラシック三着。世界のGIで、また掲示板に名を刻む。だが宝塚記念は九着、秋の京都大賞典は八着と、勝ち鞍は遠いままだった。暮れのジャパンカップは出走取消。淀の菊を鮮やかに攫ったあの日から、勝利の二文字は、なかなか戻ってこない。 重賞を一度も走らないまま条件戦を駆け上がり、初めての大舞台でクラシックを奪った馬。栄光の頂は高く、そこからの道は険しかった。それでもドゥレッツァは、国内のGIから英国へ、ドバイへと、菊花賞馬の看板を背負って旅を続けた。父ドゥラメンテがついに走れなかった長い距離と歳月を、その仔が代わりに駆けている。次にゲートが開く日を、静かに待ちたい。

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