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ディクテオン
通算成績32戦11勝
獲得賞金4億6,784万円
生年月日 2018.03.10(平成30年)毛色 黒鹿毛性 セン
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 6人気 | 矢野貴之 | 2:03.1 | 上り36.7 | 映像 | |
| 5 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 2人気 | 矢野貴之 | 2:16.0 | 上り39.2 | 映像 | |
| 1 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 7人気 | 矢野貴之 | 2:04.3 | 上り38.2 | 映像 | |
| 1 | GIIIコリアカップ | ソウル ダ1800 | 3人気 | 矢野貴之 | 1:50.8 | 上り37.1 | 映像 | |
| 4 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 7人気 | 矢野貴之 | 2:03.9 | 上り37.7 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 6人気 | 矢野貴之 | 2:18.1 | 上り38.3 | 映像 | |
| 4 | JpnⅡダイオライト記念 | 船橋 ダ2400 | 4人気 | 吉原寛人 | 2:35.8 | 上り39.2 | — | |
| 4 | JpnⅡ浦和記念 | 浦和 ダ2000 | 1人気 | 横山和生 | 2:07.6 | 上り37.6 | — | |
| 1 | JpnⅢ白山大賞典 | 金沢 ダ2100 | 1人気 | 横山和生 | 2:11.1 | 上り37.2 | — | |
| 3 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 9人気 | 横山和生 | 2:07.4 | 上り38.0 | 映像 | |
| 4 | JpnⅡ名古屋GP | 名古屋 ダ2100 | 2人気 | 岡部誠 | 2:13.8 | 上り36.6 | — | |
| 4 | JpnⅡダイオライト記念 | 船橋 ダ2400 | 3人気 | 本田正重 | 2:35.3 | 上り39.4 | — | |
| 1 | JpnⅡ名古屋GP | 名古屋 ダ2100 | 2人気 | 岡部誠 | 2:12.4 | 上り38.3 | — | |
| 1 | JpnⅡ浦和記念 | 浦和 ダ2000 | 6人気 | 本田正重 | 2:06.6 | 上り37.0 | — | |
| 4 | Lブラジルカップ | 東京 ダ2100 | 4人気 | 菅原明良 | 2:10.4 | 上り36.0 | — | |
| 11 | OPスレイプニルS | 東京 ダ2100 | 3人気 | 菅原明良 | 2:10.9 | 上り36.2 | — | |
| 1 | LブリリアントS | 東京 ダ2100 | 4人気 | 菅原明良 | 2:10.0 | 上り36.0 | — | |
| 4 | OP名古屋城S | 中京 ダ1800 | 7人気 | 吉田隼人 | 1:51.0 | 上り36.3 | — | |
| 9 | GII東海S | 中京 ダ1800 | 11人気 | 松山弘平 | 1:53.0 | 上り36.7 | 映像 | |
| 1 | 晩秋S | 東京 ダ2100 | 1人気 | 川田将雅 | 2:11.0 | 上り35.7 | — | |
| 1 | 伊勢佐木特別 | 東京 ダ2100 | 1人気 | 松山弘平 | 2:11.6 | 上り35.8 | — | |
| 3 | 昇仙峡特別 | 東京 ダ2100 | 2人気 | 横山和生 | 2:08.4 | 上り34.8 | — | |
| 10 | 鷹取特別 | 阪神 ダ2000 | 6人気 | 岩田望来 | 2:08.1 | 上り40.1 | — | |
| 3 | 4歳以上2勝クラス | 東京 ダ2100 | 3人気 | 横山武史 | 2:10.6 | 上り35.4 | — | |
| 5 | 印西特別 | 中山 ダ2400 | 1人気 | 菅原明良 | 2:35.4 | 上り37.9 | — | |
| 1 | 4歳以上1勝クラス | 小倉 ダ2400 | 1人気 | 吉田隼人 | 2:36.1 | 上り37.3 | — | |
| 7 | 4歳以上1勝クラス | 小倉 ダ1700 | 5人気 | 吉田隼人 | 1:46.9 | 上り37.9 | — | |
| 1 | C20組 | 名古屋 ダ1400 | 1人気 | 岡部誠 | 1:29.3 | 上り38.0 | — | |
| 1 | 3歳十六名古屋モーニングF64 | 名古屋 ダ1400 | 1人気 | 岡部誠 | 1:28.4 | 上り37.3 | — | |
| 10 | 3歳未勝利 | 小倉 芝2000 | 6人気 | 藤井勘一郎 | 2:06.5 | 上り37.8 | — | |
| 9 | 3歳未勝利 | 新潟 ダ1800 | 9人気 | 岩田望来 | 1:55.7 | 上り39.8 | — | |
| 15 | 3歳未勝利 | 阪神 芝1800 | 8人気 | 岡田祥嗣 | 1:51.0 | 上り37.4 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父キングカメハメハKing Kamehameha | Kingmambo | Mr.Prospector |
| Miesque | ||
| マンファスManfath | ラストタイクーン | |
| Pilot Bird | ||
| 母メーデイアMedeia | キングヘイローKing Halo | ダンシングブレーヴ |
| グッバイヘイロー | ||
| ウィッチフルシンキングWitchful Thinking | Lord Avie | |
| Halloween Joy |
旅程 — この馬の物語
2018年生まれの黒鹿毛のせん馬。父キングカメハメハ、母メーデイア。主な勝ち鞍は東京大賞典・コリアカップ。
メーデイアの仔 ― 名の由来
母の名は、メーデイア。ギリシャ神話の魔女の名を負ったこの牝馬は、走ってはダートの女王だった。2013年、金沢のJBCレディスクラシック。ダート重賞を勝ち継いだ実績が単勝1.0倍という圧倒的な支持を呼び、その期待に応え、タイレコードで戴冠する。母系をさかのぼれば、半姉に福島牝馬ステークスを勝ったロフティーエイム、姪には札幌記念など重賞三勝のサングレーザー――ダートと芝にまたがる一族だった。 その女王が追分ファームで産んだ黒鹿毛の牡が、2018年3月10日に生まれたディクテオンである。名は母の神話つながり――ギリシャ・クレタ島のディクテ山、全知全能の神ゼウスが生まれたとされる洞窟の名から採られた。神々の生地の名を負って、しかしこの馬はやがて去勢され、セン馬となる。母の血を仔へ継ぐ役目は、負わなかった。
最下位のデビュー ― そして名古屋へ
2021年5月1日、阪神の芝1800メートル。三歳未勝利のデビュー戦で、ディクテオンは最下位の15着に沈んだ。続く新潟のダート、小倉の芝でも9着、10着。母がダートの女王でも、仔の門出はターフの底からだった。 夏、栗東を離れて名古屋・角田輝也厩舎へ移る。舞台を地方の1400メートルダートに移すと、モーニング競走とC級戦をたてつづけに制し、初めて勝つことを覚えた。この二連勝を手土産に、暮れには栗東・吉岡辰弥厩舎へ再び戻る。惨敗を重ねた中央のターフではなく、地方の砂が、この馬に走り方を教えた。
砂を上る ― 交流重賞の扉
中央に戻ったディクテオンは、下級条件をひとつずつ上っていく。2022年、小倉の1勝クラスを皮切りに、東京ダート2100メートルの伊勢佐木特別、晩秋ステークスと白星を積んだ。長い距離のダートで我慢が利く――そういう馬に育っていた。 2023年の秋から冬にかけて、矛先は地方との交流重賞へ向かう。11月、浦和記念(JpnⅡ)を6番人気で差し切り、初めての重賞タイトル。年末には名古屋グランプリ(JpnⅡ)も奪って重賞二勝目とした。翌2024年秋には、金沢の白山大賞典(JpnⅢ)を1番人気で勝ち切る。奇しくも、母メーデイアがJpnⅠを戴いたのと同じ金沢の砂だった。伏兵は、いつの間にか重賞戦線の常連になっていた。
大井の馬になる
2025年1月、ディクテオンは大井・荒山勝徳厩舎へ移った。トレーニングセンターの馬から、南関東の馬へ。鞍上には大井のトップジョッキー、矢野貴之が定まる。 この荒山という調教師には、東京大賞典をめぐる因縁があった。1993年、父・荒山徳一が管理する牝馬ホワイトシルバーに騎乗し、騎手として大晦日の大井を制していたのだ。父子でつかんだ栄冠から、三十年あまり。いまは自らの厩舎から、その大レースを狙う立場になっていた。 移籍初年、ディクテオンは川崎記念(JpnⅠ)を6番人気ながら2着に善戦する。帝王賞では4着。JpnⅠの大舞台で、あと半馬身が届かない日がしばらく続いた。
海を越えて ― コリアカップ
2025年9月7日、韓国・ソウル競馬場。国際G3のコリアカップに、大井のセン七歳が海を渡った。 矢野貴之はスタートを決めながらも馬のリズムを優先し、後方でじっと脚をためる。向正面から差を詰め、最後の直線、先行勢の叩き合いが続くその前へ、ただ一頭だけ違う脚色で外から迫っていった。ゴール前、一馬身。差し切って、大金星である。地方競馬所属馬による海外ダート国際グレード競走の制覇は、史上初の快挙だった。遠征を厭わぬタフさが、初めて国境の外で報われた。
大晦日の大井 ― 東京大賞典
2025年12月29日、大井2000メートル。立ちはだかるのはJRAのダート上位勢で、ディクテオンの単勝は7番人気にすぎなかった。 ナチュラルライズがハナを主張し、前半から緩みのない速い流れになった。矢野貴之は中団で折り合いをつけ、向正面の半ばからじわりと押し上げる。四コーナーから直線、内でミッキーファイトが抜け出しにかかった。その外へ持ち出したディクテオンは真っ向から並びかけ、残り100メートルでグイと差し込む。クビ差。JRA勢をねじ伏せて、地方所属馬としては2005年のアジュディミツオー以来二十年ぶり、大井所属では1993年のホワイトシルバー以来三十二年ぶりの東京大賞典制覇だった。 その1993年に大井を勝った騎手こそ、いまディクテオンを管理する荒山勝徳その人である。騎手として、そして調教師として、三十二年をまたいだ二度目の戴冠。ウイニングランを終えた矢野は、言葉が追いつかなかった。「心臓がバクバクして何をしゃべろうか……頭の整理が追いついていないです」[^1]
出典:スポーツナビ「「ドバイに行くしかない」20年ぶり快挙の地方馬ディクテオン JRA勢倒し、いざ海外へ」2025年12月30日配信、https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/2025123000015-spnaviow、閲覧日:2026年7月21日。
残すもの
セン馬は血を残せない。母メーデイアがダートの女王として伝えるはずだった血を、ディクテオンが仔へ継ぐことはない。けれど競馬において、一頭の馬が残せるのは血だけではない。走った記録が残る。 阪神で最下位に敗れた牡が、名古屋の砂で勝つことを覚え、中央の条件戦を上り、交流重賞を獲り、海を越え、そして大晦日の大井でJRAの一線級をねじ伏せた――その道のりそのものが、記録として残る。母が金沢のJpnⅠで示した強さを、仔は大井のGIで、血ではなく走りによって受け継いだのだ。 2026年、八歳。川崎記念、帝王賞と、ディクテオンはなお一線で走り続けている。神々の生地の名を負った黒鹿毛の旅は、まだ途上にある。
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