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ディスペランツァ
通算成績9戦3勝
獲得賞金5,558万円
生年月日 2021.03.02(令和3年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7 | GIII京成杯オータムH | 中山 芝1600 | 6人気 | 石川裕紀人 | 1:31.6 | 上り33.4 | 映像 | |
| 9 | GIII関屋記念 | 新潟 芝1600 | 4人気 | M.デムーロ | 1:33.5 | 上り32.8 | 映像 | |
| 7 | GINHKマイルカップ | 東京 芝1600 | 6人気 | 鮫島克駿 | 1:33.3 | 上り34.1 | 映像 | |
| 1 | GIIIアーリントンC | 阪神 芝1600 | 1人気 | J.モレイラ | 1:34.1 | 上り32.4 | — | |
| 1 | 3歳1勝クラス | 阪神 芝1600 | 3人気 | M.デムーロ | 1:33.4 | 上り33.1 | — | |
| 9 | GIホープフルS | 中山 芝2000 | 10人気 | L.モリス | 2:01.1 | 上り36.2 | 映像 | |
| 6 | GIIIラジオN杯京都2歳S | 京都 芝2000 | 9人気 | M.デムーロ | 2:00.0 | 上り35.2 | 映像 | |
| 1 | 2歳未勝利 | 阪神 芝2000 | 3人気 | M.デムーロ | 2:01.9 | 上り35.2 | — | |
| 5 | 2歳新馬 | 小倉 芝2000 | 2人気 | 西村淳也 | 2:04.7 | 上り36.0 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ルーラーシップRulership | キングカメハメハKing Kamehameha | Kingmambo |
| マンファスManfath | ||
| エアグルーヴAir Groove | トニービンTony Bin | |
| ダイナカール | ||
| 母ルパンII Lupin | Medaglia d'Oro | El Prado |
| Cappucino Bay | ||
| Promising Lead | デインヒルDanehill | |
| Arrive |
旅程 — この馬の物語
2021年生まれの鹿毛の牡馬。父ルーラーシップ、母ルパン。主な勝ち鞍はアーリントンC。
希望の名 ― 血と願い
2021年3月2日、日高の谷川牧場に、一頭の鹿毛の牡馬が生まれた。父はキングカメハメハとエアグルーヴの血を継ぐルーラーシップ、母はアメリカ産のルパン。一口クラブの一頭として世に出るこの馬に、人は「希望の光」という願いを託した。ディスペランツァ――イタリア語で「希望」を意味するその名には、「勝ち続けて、クラブの希望の光となってほしい」という祈りが込められていた。 血の裏づけもあった。母ルパンは、すでに一頭の重賞馬を送り出している。半兄ファントムシーフ。2023年の共同通信杯を勝ち、皐月賞で3着に食い込んだ、クラシックの主役候補である。祖母プロミシングリードは、アイルランドのG1プリティポリーステークスを制した牝馬。欧州の良血が、日本の大地で「希望」という名を得た。兄が歩いたクラシックの道を、この弟もまた辿るはずだった。
クラシックへ ― 二〇〇〇メートルの壁
2023年8月、小倉の芝2000m。西村淳也を背にした新馬戦は、2番人気に推されながら5着に終わる。だが素質は本物だった。翌月の未勝利戦、鞍上をミルコ・デムーロに替えると、阪神の2000mを危なげなく勝ち上がる。兄と同じ、クラシックを見据えた中距離での初勝利だった。 しかし、そこから先が長かった。11月のラジオNIKKEI杯京都2歳ステークスは6着、暮れのホープフルステークスは9着。よりによって「希望」の名を持つ馬が、「希望」を冠したG1で二桁人気に沈み、見せ場をつくれずに終わる。皮肉な符合だった。2000mの一線級は、まだ遠かった。
マイルの光 ― アーリントンカップ
転機は距離だった。陣営はこの馬をマイルへ導く。2024年3月、阪神の芝1600mで組まれた3歳1勝クラス。デムーロを背に、ディスペランツァは一変した。鋭い末脚で突き抜け、1分33秒4で完勝。距離が、隠れていた才能を解き放った。 続くアーリントンカップ、鞍上はジョアン・モレイラに替わり、1番人気に推された。中団のインでじっと脚をため、直線で外へ持ち出す。先に抜け出したのは15番人気の伏兵アレンジャー。だが、ディスペランツァの脚色は違った。ゴール寸前、外から鋭く伸びてアレンジャーを差し切る。1/2馬身差、重賞初制覇。「希望の光」は、クラシックの2000mではなく、マイルの直線で灯った。レース後、モレイラは次の舞台を見据えて言い切った。「東京コースでさらにいいと思います」[^1]。NHKマイルカップへの優先出走権を手に、希望は東京へ向かう。
出典:東京スポーツ(東スポ競馬)「【アーリントンカップ結果&コメント】ディスペランツァが強烈差し切りV モレイラ『東京コースでさらにいいと思います』」2024年4月13日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/44091、閲覧日:2026年7月16日。
東京の壁 ― 届かなかった予言
2024年5月、NHKマイルカップ。鞍上は鮫島克駿。だが上がり34秒1、伸びきれずに7着。「東京でさらにいい」――モレイラの見立ては、この日は現実にならなかった。 夏の関屋記念は9着、秋の京成杯オータムハンデキャップは7着。関屋では上がり32秒8の鋭い脚を使いながら、それでも前をとらえきれない。走れば末脚はあった。ただ、アーリントンカップで灯した光を、もう一度大きく輝かせるだけの何かが、あと一つ足りなかった。
静かな抹消 ― もう一つの光
京成杯オータムハンデキャップが、ディスペランツァの最後の一戦になった。やがて右前脚に浅屈腱炎を発症する。腱の故障は、走る馬にとって最も重い傷のひとつだ。長い療養を経ても本来の脚は戻らず、2026年3月、競走馬登録を抹消された。9戦3勝。重賞1勝を、マイルの直線に残して。 「希望の光」は、クラシックの頂には届かなかった。兄ファントムシーフが3着に食い込んだ皐月賞の舞台にも、この馬は立てなかった。それでも、距離という一点を変えたとき、ディスペランツァは確かに光った。アーリントンカップの直線で見せた一瞬の伸びは、名のとおりの希望そのものだった。 いま、この馬は長野のホースクワッドで乗馬として第二の馬生を歩んでいる。ターフで灯した光は消えても、人を背に山あいを歩く日々のなかで、名の意味はかたちを変えて生き続ける。希望とは、勝ち鞍の数のことではない。走り切った一頭が、次は誰かを支えて生きること――それもまた、ひとつの希望の光だ。
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