名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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ディープモンスターのイメージビジュアル
ディープモンスターDeep Monster
Deep Monster

ディープモンスター

通算成績29戦7勝

獲得賞金5805万円

生年月日 2018.03.05(平成30年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ディープモンスターの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
3 GI香港チャンピオンズ&チャターC 香港 芝2400 J.モレイラ 2:27.0
1 GIIエミールズトロフィ カタール 芝2400 T.マーカンド 2:26.4
11 GIジャパンカップ 東京 芝2400 11人気 松山弘平 2:22.3 上り35.6映像
1 GII京都大賞典 京都 芝2400 5人気 浜中俊 2:23.9 上り34.4映像
3 GIII新潟記念 新潟 芝2000 7人気 菅原明良 1:58.2 上り32.6映像
3 GIII小倉記念 小倉 芝2000 2人気 北村友一 2:00.3 上り36.3映像
4 GII目黒記念 東京 芝2500 13人気 松山弘平 2:33.4 上り34.3映像
7 GIIIエプソムカップ 東京 芝1800 7人気 M.ディー 1:44.7 上り34.8映像
5 GII東海テレビ杯金鯱賞 中京 芝2000 9人気 松山弘平 2:01.9 上り36.8映像
10 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 7人気 浜中俊 2:13.0 上り36.4映像
2 GIIIチャレンジカップ 京都 芝2000 6人気 浜中俊 1:58.5 上り35.0映像
4 LアンドロメダS 京都 芝2000 3人気 浜中俊 1:59.8 上り35.6
3 GIII小倉記念 中京 芝2000 2人気 浜中俊 1:56.7 上り34.5映像
5 GIII鳴尾記念 京都 芝2000 4人気 浜中俊 1:57.5 上り34.4映像
GIII小倉大賞典 小倉 芝1800 浜中俊 映像
1 LアンドロメダS 京都 芝2000 1人気 浜中俊 1:59.2 上り34.5
3 LオクトーバーS 東京 芝2000 1人気 浜中俊 1:58.5 上り33.9
14 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 9人気 浜中俊 3:18.9 上り38.0映像
5 GII金鯱賞 中京 芝2000 5人気 団野大成 2:00.3 上り34.7映像
1 OP関門橋S 小倉 芝2000 1人気 浜中俊 1:57.9 上り35.1
2 LアンドロメダS 阪神 芝2000 1人気 岩田望来 1:59.5 上り34.9
2 OP丹頂S 札幌 芝2600 1人気 川田将雅 2:41.8 上り36.9
5 L白富士S 東京 芝2000 3人気 武豊 1:57.8 上り34.5
5 GI菊花賞 阪神 芝3000 7人気 武豊 3:05.6 上り34.9映像
16 GI東京優駿 東京 芝2400 7人気 武豊 2:25.7 上り36.8映像
7 GI皐月賞 中山 芝2000 10人気 戸崎圭太 2:01.4 上り36.8映像
1 LすみれS 阪神 芝2200 1人気 武豊 2:12.4 上り34.6
1 梅花賞 中京 芝2200 1人気 武豊 2:13.6 上り34.7
2 エリカ賞 阪神 芝2000 1人気 武豊 2:03.5 上り34.1
1 2歳新馬 京都 芝2000 1人気 武豊 2:04.0 上り35.2
2歳新馬 小倉 芝1800 武豊

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ディープモンスターの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ウインドインハーヘアWind in Her HairAlzao
Burghclere
シスタリーラヴSisterly LoveBellamy RoadConcerto
Hurry Home Hillary
OdylicDixieland Band
Petite Diable
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの青鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母シスタリーラヴ。主な勝ち鞍は京都大賞典・アミールT。

怪物の名を負って ― 武豊と歩んだ若き日

父はディープインパクト。その仔に「怪物(モンスター)」と名づけたのだから、背負わされた期待の重さは推して知るべしだった。2018年生まれの青鹿毛、母はシスタリーラヴ。管理するのは栗東の池江泰寿――父ディープインパクトを手がけた厩舎の血を継ぐ調教師である。父の名と、父を育てた厩舎。二重の看板を背に、馬はターフへ出ていった。 2020年8月、デビュー予定だった小倉の新馬戦は放馬で除外。仕切り直しの10月、京都の芝2000mを武豊で快勝してみせる。明けて2021年、梅花賞、すみれステークスと連勝で素質を示し、クラシック戦線へ名乗りを上げた。すみれSを2馬身半で制したあと、武豊は「賞金的に恐らくクラシックは大丈夫でしょう」と手応えを語っている。だが、ここから歯車が軋み始める。皐月賞は武豊の負傷で戸崎圭太に手綱が渡り7着。武豊が戻った日本ダービーは、最後方を回って16着の惨敗を喫した。秋の菊花賞こそ5着に持ち直したが、阪神の3000mを差し届かず、無冠のまま三歳を終える。怪物の名は、この馬にはまだ重すぎた。

長い谷 ― 勝てない日々と、継いだ手綱

三歳の暮れから、ディープモンスターの戦績はオープン特別と重賞の境目で足踏みを続けた。2022年は丹頂S2着、アンドロメダS2着。2023年に関門橋Sを勝ってオープンへ戻ったが、その勢いで挑んだ天皇賞(春)は京都の3200mで14着と大きく沈む。この頃から手綱は浜中俊が握るようになっていた。武豊が拓いた素質を、浜中が辛抱強く繋ぎ直す――そういう継承だった。 だが、勝ち切れない。2024年はアンドロメダSを勝った勢いも本番では実らず、鳴尾記念5着、小倉記念3着、チャレンジC2着。掲示板には乗る、しかし最後のひと差しが届かない。小倉大賞典では競走を取り消し、運にも見放された。重賞2着3度を含め、勝利の二文字から遠ざかったまま、馬は六歳、七歳と齢を重ねていく。新馬から数えて長い谷だった。それでも陣営は乗り替えで答えを探すより、浜中との関係を崩さなかった。素質を信じて乗り続けた騎手の辛抱が、この谷の底で静かに積み上がっていく。

京都の雨 ― 七歳の重賞初制覇

2025年10月5日、京都大賞典。稍重の芝2400m、ディープモンスターは5番人気だった。浜中俊は3番枠から好スタートを切り、道中はじっと内で脚を温める。直線、内が空いたその一瞬を突いて抜け出すと、逃げ粘る2番人気サンライズアースを半馬身、捉えきった。勝ちタイム2分23秒9。デビューから幾多の挑戦を重ねた末の、七歳にしての重賞初制覇――ついに、長い谷を抜けた。 「ディープモンスターと重賞を勝つことができ、本当に良かったです」。浜中俊は勝利の直後にそう語った。「今日の馬場状態は雨も降って、この馬にはちょうど良かった」「道中はじっと内で我慢して、狙ったレースになりました」。素質を背負わされ、それを長く果たせずにいた馬と、その馬を信じて乗り続けた騎手。京都に降った雨が、二人の長い我慢を一度に洗い流した。続く11月のジャパンカップは古馬一線級の壁に阻まれ11着に終わる。だが、谷を抜けた馬の旅は、まだ終わっていなかった。

砂漠を渡る ― 八歳、海外重賞へ

2026年2月14日、カタール・アルライヤン競馬場。八歳になったディープモンスターは、初めての海外遠征でエミールズトロフィ(GII・芝2400m)に臨んだ。鞍上は英国のトム・マーカンド。直線で力強く抜け出し、日本調教馬として初めてこのレースを制した。重賞2勝目を、海の向こうの砂漠の国で挙げたのである。 池江泰寿調教師の言葉が、この勝利の意味を言い尽くしている。「ディープインパクトの子供で海外の大きなレースを勝つことが私の夢であり、池江家一族の夢であったので、それがかなって本当に幸せな気持ちでいっぱいです」。父ディープインパクトは凱旋門賞に挑み、栄光のすぐ隣に蹉跌を刻んで帰ってきた馬だった。その仔が、父を手がけた厩舎の手で、海外重賞を勝ち切った。マーカンドは「日本競馬には特別な思いがある」「本当に素晴らしい走りでした」とこの遠征を称えた。そして三か月後、馬はさらに大きな海へ出る。2026年5月、香港・シャティンのチャンピオンズ&チャターC(GⅠ・芝2400)。J・モレイラを背に、世界の強豪が集う香港の最高峰で、堂々の3着に食い込んだ。勝利には届かなかったが、八歳の遅咲きが、ついにGⅠの檜舞台で渡り合うところまで来ていた。 怪物の名を負い、長い谷を歩き、七歳と八歳でようやく二つの重賞を掴んだ遅咲きの旅。背負わされた名に、馬はとうとう追いついた。

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