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ディープブリランテ
通算成績7戦3勝
獲得賞金2億9,205万円
生年月日 2009.05.08(平成21年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8 | GIKジョージ6世&QES | イギリス 芝2400 | 6人気 | 岩田康誠 | — | — | ||
| 1 | GI東京優駿 | 東京 芝2400 | 3人気 | 岩田康誠 | 2:23.8 | 上り34.5 | 映像 | |
| 3 | GI皐月賞 | 中山 芝2000 | 3人気 | 岩田康誠 | 2:01.8 | 上り36.7 | 映像 | |
| 2 | GIIフジTVスプリングS | 中山 芝1800 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:50.9 | 上り35.8 | — | |
| 2 | GIII共同通信杯 | 東京 芝1800 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:48.6 | 上り33.9 | 映像 | |
| 1 | GIII東京スポーツ杯2歳S | 東京 芝1800 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:52.7 | 上り35.9 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 阪神 芝1800 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:49.7 | 上り34.9 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | Alzao | |
| Burghclere | ||
| 母ラヴアンドバブルズLove And Bubbles | Loup Sauvage | Riverman |
| Louveterie | ||
| バブルドリームBubble Dream | Akarad | |
| バブルプロスペクターBubble Prospector |
旅程 — この馬の物語
2009年生まれの鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母ラヴアンドバブルズ。主な勝ち鞍は東京優駿・東京スポーツ杯2歳S。
名と血 ― 父の輝きを継いで
2009年5月8日、パカパカファームに鹿毛の牡馬が生まれた。父は、無敗の三冠をその身に刻み、東京優駿を5馬身差で駆け抜けたディープインパクト。母はラヴアンドバブルズ。その全姉ハブルバブルは桜花賞と優駿牝馬に駒を進めた牝馬で、牝系には末脚の血が脈打っていた。 名は、父の「ディープ」に、イタリア語で「輝いて」を意味する「ブリランテ」を重ねた。父の名を継ぎ、自ら輝け――そういう願いだった。馬主はサンデーレーシング、預けられたのは栗東・矢作芳人の厩舎。2011年10月、阪神の芝1800mの新馬戦を、岩田康誠を背に勝ち上がる。続く東京スポーツ杯2歳ステークスも1番人気に応えて快勝し、早くも重賞のタイトルを手にした。デビューから引退まで、この馬の手綱は一度も岩田の手を離れることがなかった。
勝ちきれぬ春
明けて3歳。共同通信杯、フジテレビ賞スプリングステークス――いずれも1番人気に推されながら、どちらもわずかの差で2着に終わった。勝ち味の遅さというより、最後のひと押しが足りない。皐月賞では3番人気で運んで3着。先頭でゴールへなだれ込んだのは、のちの菊花賞馬ゴールドシップだった。 2歳で見せた輝きは本物だったが、クラシックの大舞台で、この馬はまだ「勝ちきる」術を掴みかねていた。道中で力みやすい気性が、ゴール前のわずかな伸びを削っていた。折り合い――それが、ディープブリランテに残された最後の宿題だった。
濃密な三週間
転機は、ダービーの三週間前に訪れた。5月6日のNHKマイルカップで、岩田は直線で内へ強引に斜行し、一頭を転倒させ落馬させてしまう。失格、そして騎乗停止。鞍を奪われた名手は、しかし沈まなかった。矢作に電話を入れ、ディープブリランテの毎日の追い切りに乗せてほしいと自ら志願したのだ。 厩舎には調教助手がいる。彼らの誇りもある。それでも矢作は、岩田の情熱に賭けた。「厩舎スタッフのことを信頼しているし、調教助手のプライドもある。でも、彼の情熱に賭けてみようと。これはかなりの賭けでしたね」[^1]。岩田は「自分のすべてをディープブリランテと過ごそう」と腹を決めた[^1]。騎乗停止の三週間は、罰ではなく、馬と心を通わせるための時間に姿を変えた。気持ちよく追い切りに向かい、気持ちよく終える。その朝の反復を、馬は確かに覚えていった。
出典:スポーツナビ「岩田とブリランテの絆、ダービー制覇への濃密な3週間」2012年5月28日配信、https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201205280001-spnavi 、閲覧日:2026年6月28日。
ハナ差、二十三センチ
2012年5月27日、第79回東京優駿。ディープブリランテは3番人気だった。ゼロスが逃げ、トーセンホマレボシが好位を進む。岩田はブリランテを中団に収め、力みを殺して脚をためた。 残り400メートル、満を持して追い出す。前を行くトーセンホマレボシを捉えて先頭を奪う。だが大外から、蛯名正義のフェノーメノが猛然と差し返してきた。二頭が並んでゴール板を駆け抜ける。内と外は離れていて、岩田には勝ったかどうか分からなかった。長い写真判定の末――ハナ差、約二十三センチ。ディープブリランテが、フェノーメノを抑えていた。 岩田は馬上で男泣きに泣いた。「僕はこの馬を信じていたし、信じて良かった。馬と向き合えたことが勝利に繋がったと思います」[^1]。岩田にとっても、矢作にとっても、初めてのダービーだった。そして父ディープインパクトは、2005年に自らが5馬身差で駆け抜けたこの一冠を、産駒2世代目で制した。史上7例目の、父仔ダービー制覇である。
出典:スポーツナビ「岩田とブリランテの絆、ダービー制覇への濃密な3週間」2012年5月28日配信、https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201205280001-spnavi 、閲覧日:2026年6月28日。
海、そして早すぎる幕
頂点の余韻も束の間、陣営は世界へ舵を切った。7月、英アスコットのキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス。だが慣れぬ欧州の馬場で末脚は不発に終わり、8着に沈んだ。 帰国後、中程度の屈腱炎が判明する。再起は難しい――その診断とともに、10月、ディープブリランテは現役を退いた。生涯わずか7戦。3歳の秋にはもう、競馬場にその姿はなかった。ダービー馬の現役は、あまりに短く幕を閉じた。けれど短さは、薄さではない。新馬から頂までを駆け上がり、その頂で岩田を男泣きさせた馬が、走り損ねた未来を悔やむ必要はなかった。
輝きは継がれて
種牡馬となったディープブリランテは、父ほど華やかな血の本流にはならなかった。それでも、確かに「輝き」を伝えた。初年度産駒のセダブリランテスがラジオNIKKEI賞と中山金杯を、モズベッロが日経新春杯を勝つ。そして2023年、エルトンバローズがラジオNIKKEI賞と毎日王冠を制した――三歳で古馬の一線級をねじ伏せた、あの半馬身の毎日王冠である。 父の名を継いで自ら輝けと名づけられた馬は、走った時間こそ短かったが、その光をいくつもの産駒の走りに灯し続けている。あの二十三センチのハナ差を巻き戻すたび、岩田の男泣きと、誰もいない朝の追い切りで馬と向き合った三週間が、まだそこにある。
産駒 — 旅を継ぐ馬
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