名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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ディアドムスのイメージビジュアル
ディアドムスDear Domus
Dear Domus

ディアドムス

通算成績44戦7勝

獲得賞金12,892万円

生年月日 2012.01.24(平成24年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ディアドムスの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
13 報知オールスターカップ 川崎 ダ2100 13人気 町田直希 2:20.2 上り41.2
11 富士見OP 川崎 ダ2100 12人気 町田直希 2:19.0 上り40.8
8 JpnⅡ日本テレビ盃 船橋 ダ1800 10人気 町田直希 1:54.6 上り41.3
4 高津OP 川崎 ダ2000 5人気 町田直希 2:13.2 上り42.7
15 金盃 大井 ダ2600 16人気 石崎駿 2:55.1 上り44.5
8 大師OP 川崎 ダ1600 9人気 本田正重 1:42.1 上り37.6
11 勝島王冠 大井 ダ1800 12人気 本田正重 1:56.3 上り39.5
12 愛知県知事杯東海菊花 名古屋 ダ1900 6人気 真島大輔 2:08.5 上り45.8
7 富士見OP 川崎 ダ2000 4人気 御神本訓史 2:12.6 上り41.1
11 東京記念 大井 ダ2400 13人気 岡部誠 2:41.4 上り43.7
11 東京記念トライアル競 大井 ダ2400 5人気 岡部誠 2:39.4 上り42.6
1 卯月OP 川崎 ダ2100 3人気 御神本訓史 2:17.2 上り38.5
8 JpnⅡダイオライト記念 船橋 ダ2400 9人気 岡部誠 2:41.3 上り40.7
8 報知グランプリカップ 船橋 ダ1800 7人気 岡部誠 1:55.1 上り40.0
4 報知オールスターカップ 川崎 ダ2100 8人気 御神本訓史 2:17.2 上り40.3
10 勝島王冠 大井 ダ1800 8人気 御神本訓史 1:56.4 上り40.5
7 トゥインクルバースデ 大井 ダ2000 2人気 岡部誠 2:09.4 上り40.3
9 大井記念 大井 ダ2000 4人気 岡部誠 2:07.7 上り39.7
3 ブリリアントカップ 大井 ダ2000 2人気 岡部誠 2:07.7 上り39.0
6 JpnⅠ川崎記念 川崎 ダ2100 7人気 岡部誠 2:16.6 上り37.9
1 報知オールスターカップ 川崎 ダ2100 1人気 岡部誠 2:17.4 上り38.5
1 勝島王冠 大井 ダ1800 1人気 岡部誠 1:54.5 上り39.4
2 埼玉新聞栄冠賞 浦和 ダ1900 6人気 岡部誠 2:01.9 上り38.9
6 東京記念 大井 ダ2400 7人気 岡部誠 2:38.3 上り40.2
10 OPマリーンS 函館 ダ1700 14人気 勝浦正樹 1:44.5 上り37.7
12 OP大沼S 函館 ダ1700 13人気 柴山雄一 1:45.8 上り39.3
9 GIIIマーチS 中山 ダ1800 15人気 江田照男 1:52.6 上り38.0映像
11 OP総武S 中山 ダ1800 10人気 吉田豊 1:53.6 上り37.9
1 アレキサンドライトS 中山 ダ1800 8人気 田辺裕信 1:53.1 上り39.0
7 仲冬S 中山 ダ1800 9人気 田辺裕信 1:53.7 上り37.8
12 観月橋S 京都 ダ1800 10人気 岩田康誠 1:52.6 上り40.3
8 秋嶺S 東京 ダ1600 9人気 大野拓弥 1:37.3 上り36.1
3 安達太良S 福島 ダ1700 4人気 田辺裕信 1:45.4 上り37.1
8 麦秋S 東京 ダ1600 9人気 三浦皇成 1:37.6 上り36.7
GIIIレパードS 新潟 ダ1800 10人気 三浦皇成
11 JpnⅠジャパンダートダービー 大井 ダ2000 4人気 三浦皇成 2:11.5 上り43.2
8 GIIUAEダービー アラブ首長国連邦 ダ1900 6人気 三浦皇成 映像
4 OPヒヤシンスS 東京 ダ1600 7人気 三浦皇成 1:37.7 上り37.2
1 JpnⅠ全日本2歳優駿 川崎 ダ1600 3人気 三浦皇成 1:45.3 上り41.5
1 JpnⅢ北海道2歳優駿 門別 ダ1800 3人気 三浦皇成 1:54.9 上り38.1
5 プラタナス賞 東京 ダ1600 3人気 三浦皇成 1:39.8 上り36.8
1 2歳未勝利 札幌 ダ1700 8人気 三浦皇成 1:46.2 上り37.5
10 2歳未勝利 福島 芝1800 7人気 大野拓弥 1:52.7 上り37.8
8 2歳新馬 東京 芝1600 7人気 北村宏司 1:38.7 上り34.5

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ディアドムスの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ジャングルポケットJungle PocketトニービンTony BinカンパラKampala
Severn Bridge
ダンスチャーマーDance CharmerNureyev
Skillful Joy
マイネランデブーアグネスデジタルAgnes DigitalCrafty Prospector
Chancey Squaw
ノーザンドライバーノーザンテーストNorthern Taste
ダイナドライブ
STORY

旅程 — この馬の物語

2012年生まれの鹿毛の牡馬。父ジャングルポケット、母マイネランデブー。

三百十五万円

2012年1月24日、北海道新冠町のビッグレッドファームで生まれた。父ジャングルポケット、母マイネランデブー、母の父アグネスデジタル。母は2005年生まれの栗毛で、現役時代は12戦2勝。中央では札幌のダート1700メートルで未勝利を脱したきり、あとは船橋の交流特別をひとつ拾った牝馬である。ディアドムスは、その母の初仔だった。四年後、母は同じジャングルポケットとの間にマイネルイヴィンスを産む。 2013年の北海道サマーセールに上場され、315万円で落札された。買ったのはディアレストクラブ。「ディア」はそのオーナーの冠名である。母の名は「マイネ」で始まるが、この初仔は買い手の二文字を先頭に置いた名で走ることになった。 預けられたのは美浦の高橋裕厩舎だった。1953年生まれ、1991年の開業。二年後の共同通信杯4歳ステークスをマイネルリマークで勝って重賞に届き、同じ年の皐月賞でGIにも初めて馬を送り出している。そこから二十年余り、いちばん大きなところにはまだ手が届いていなかった。

札幌ダート千七百

デビューは2014年6月21日、東京の芝1600メートル。北村宏司を背に7番人気、後方から追い込んで8着。7月20日、福島の芝1800メートルは大野拓弥で10着。芝では二度とも足りなかった。 三戦目、8月23日の札幌。初めての砂、1700メートル。鞍上は三浦皇成に替わっていた。8番人気。重馬場を走り切ったとき、二着との差は5馬身あった。1分46秒2は、札幌ダート1700メートルの2歳コースレコードだった。 六年前の夏、母マイネランデブーが未勝利を脱したのも、同じ札幌のダート1700メートルである。血が場所まで覚えているはずもないが、母と仔は同じ砂で最初の一勝を挙げた。 三浦皇成は2008年にデビューし、その年に91勝を挙げて、武豊が持っていた新人の年間最多勝記録を21年ぶりに書き換えた騎手である。GIには同じ年の秋、スプリンターズステークスで初めて騎乗して14着。以来、その一つだけが手元になかった。そして2009年6月、船橋のダートで三浦が一度きり跨った牝馬が、マイネランデブーだった。11着。五年を置いて、彼はその仔の背にいる。

川崎、二歳の砂王

10月18日、東京のプラタナス賞は3番人気で5着。勝ったのはタップザットだった。 11月6日、門別の北海道2歳優駿(JpnⅢ)。3番人気。好位から追走して直線で鋭く伸び、後続に4馬身をつける。重賞初制覇。 12月17日、川崎の全日本2歳優駿(JpnⅠ)。ダート1600メートル、稍重。3番人気。好位を進み、最後の直線の入り口で先頭に立った。ゴール前で1番人気のタップザットが並びかけてきたが、半馬身だけ前で走り切る。1分45秒3。プラタナス賞で先着を許した相手に、二歳の砂の頂点で借りを返した形になった。一着賞金は3500万円。落札価格の十倍を超えていた。 この一戦で、三浦皇成はGI・JpnIの初勝利を挙げた。デビュー七年目である。そして高橋裕にとっても、管理馬のGI級初制覇だった。開業二十四年目、皐月賞でGIに初めて挑んでから二十一年が経っていた。若い騎手と、定年まで十年を切った調教師が、同じ夜に同じ「最初」を分け合ったことになる。 七年前、この厩舎は同じ「ディア」を名に持つディアヤマトで、園田の兵庫ジュニアグランプリを勝っている。サマーセールで157万5000円だった一歳馬が、ダートの二歳重賞を獲った。同じ道筋を、今度はもう一段高いところまで辿った。

メイダン、そして四コーナー

2015年2月22日、東京のヒヤシンスステークスは7番人気で4着。 3月28日、ドバイ・メイダン競馬場。UAEダービー(GⅡ)、ダート1900メートル。日本のダート二歳王者として海を渡り、10頭立ての8着に終わった。勝ったのはムブタヒージ。 7月8日、大井のジャパンダートダービー(JpnⅠ)。不良馬場。4番人気に支持されながら11着、勝ったノンコノユメから5秒9離された。 8月9日、新潟のレパードステークス(GⅢ)。四コーナーで競走中止。勝ったのはクロスクリーガーだった。三歳の夏は、そこで断ち切られた。

二年ぶりの一勝

次に競馬場へ戻ってきたのは、十か月後の2016年6月4日、東京の麦秋ステークスである。8着。三浦皇成が跨ったのは、これが最後になった。 7月16日、福島の安達太良ステークスは田辺裕信で3着。勝ったリッカルドとの差は0秒1。 その一か月後の8月14日、札幌競馬場で三浦は騎乗馬の故障によって落馬し、肋骨九本と骨盤を折る重傷を負う。復帰までおよそ一年を要した。 秋、ディアドムスは東京・京都・中山を回って勝てないまま年を越す。そして2017年1月22日、中山のアレキサンドライトステークス、ダート1800メートル。8番人気。田辺裕信を背に、二年ぶりの勝利を挙げた。三浦はまだ戻っていない。 これが中央での最後の勝ち鞍になった。総武ステークス11着、3月のマーチステークス(GⅢ)は15番人気で9着。函館に移って大沼ステークス12着、マリーンステークス10着。7月26日付でJRAの競走馬登録を抹消された。中央16戦2勝。

南関東の秋

移った先は、大井の森下淳平厩舎だった。中央から地方への移籍であり、デビュー以来の高橋裕厩舎を離れることでもあった。 9月13日、大井の東京記念で南関東初戦を迎えて6着。10月18日、浦和の埼玉新聞栄冠賞では、二周目の三コーナーから、道中二番手につけていたカンムルと長い競り合いになり、鼻差だけ届かず2着。翌朝のスポーツ紙は、勝った三歳馬を称えるかたわらで、競り合った相手を「G1馬ディアドムス」と書いた[^1]。中央を去った馬の肩書きは、地方の紙面でまだ生きていた。 11月29日、大井の勝島王冠。1番人気に応え、2着タイムズアローに4馬身差をつける。移籍後初勝利。手綱は岡部誠。 年が明けた2018年1月3日、川崎の報知オールスターカップ。ふたたび1番人気で、オメガスカイツリーを退けて重賞連勝を決めた。二歳の暮れに頂点を取ったのと同じ川崎の砂で、六歳の正月に、この馬はもう一度勝った。

出典:スポーツニッポン「【浦和・埼玉新聞栄冠賞】カンムル重賞連勝!競り合い鼻差制す」2017年10月19日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/10/19/kiji/20171019s00004049045000c.html、閲覧日:2026年7月27日。

卯月

1月31日、川崎記念(JpnⅠ)。古馬の統一GIに初めて挑んで6着。4月のブリリアントカップは2番人気で3着。そこから先、勝ち星は遠のいていく。大井記念9着、7月の大井は7着、暮れの勝島王冠は10着だった。 2019年に入っても、報知オールスターカップ4着、報知グランプリカップ8着、ダイオライト記念(JpnⅡ)8着。 4月4日、川崎のダート2100メートル、卯月オープン。3番人気。御神本を背に勝った。生涯七つ目の勝利であり、最後の勝利になった。 その後は名古屋まで遠征し、大井へ戻り、やがて川崎の山崎裕也厩舎へ移る。二度目の転厩だった。八歳、九歳。町田直希が手綱を取るようになっていた。2020年8月の高津オープン4着が、最後の掲示板になる。 2021年1月3日、川崎、ダート2100メートル、報知オールスターカップ。13番人気で13着。三年前に勝ったのと同じ競馬場の、同じ距離の、同じレースだった。1月21日付で地方競馬の競走馬登録を抹消。44戦7勝、獲得賞金1億2892万6000円。315万円の一歳馬が、44回ゲートを出入りして残した数字である。

浦河で

引退後、ディアドムスは浦河の軽種馬育成調教センターの研修馬になった。生産と育成の現場で働くことを志す人たちが、一年をかけて馬の扱いと騎乗を覚える施設である。川崎のゴール板を先頭で駆け抜けた馬は、いま、まだ馬に乗れない人間を背中に乗せている。 鞍上だった男の話には、続きがある。三浦皇成がJRAのGIを勝つまでには、そこからさらに時間がかかった。2025年9月28日、中山のスプリンターズステークス。ウインカーネリアンで大外枠から二番手を進み、直線の叩き合いを頭差でしのぐ。GI初騎乗も、同じスプリンターズステークスだった。127回目の挑戦である。 「いやぁー長かった。本当に長かったですね」[^1] その十八年の途中に、川崎の暮れの一夜がある。三番人気の二歳馬が直線の入り口で先頭に立ち、半馬身を守り切って、若い騎手と開業二十四年目の調教師に、最初の大きなタイトルを渡した夜だ。あの馬はいま浦河の丘にいて、誰かの最初の一鞍を、静かに預かっている。

出典:日刊スポーツ「【スプリンターズS】「本当に長かったですね」三浦皇成騎手が127回目の挑戦でG1初制覇!」2025年9月28日配信、https://www.nikkansports.com/keiba/news/202509280000948.html、閲覧日:2026年7月27日。

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