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ダノンプレミアム
通算成績15戦6勝
獲得賞金(海外含む・概算)約4億7,016万円
生年月日 2015.04.03(平成27年)毛色 青鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 6人気 | 池添謙一 | 1:32.3 | 上り34.1 | 映像 | |
| 4 | GI香港カップ | シャティン 芝2000 | 2人気 | W.ビュイック | — | 映像 | ||
| 4 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 6人気 | 川田将雅 | 1:58.2 | 上り34.0 | 映像 | |
| 13 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 4人気 | D.レーン | 1:33.6 | 上り36.0 | 映像 | |
| 3 | GIクイーンエリザベスS | ランドウィック 芝2000 | 1人気 | J.マクドナルド | — | — | ||
| 2 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:33.2 | 上り34.2 | 映像 | |
| 2 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 3人気 | 川田将雅 | 1:56.7 | 上り34.5 | 映像 | |
| 16 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 2人気 | 川田将雅 | 1:32.9 | 上り34.5 | 映像 | |
| 1 | GII読売マイラーズカップ | 京都 芝1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:32.6 | 上り32.2 | 映像 | |
| 1 | GII金鯱賞 | 中京 芝2000 | 2人気 | 川田将雅 | 2:00.1 | 上り34.1 | 映像 | |
| 6 | GI東京優駿 | 東京 芝2400 | 1人気 | 川田将雅 | 2:23.8 | 上り34.6 | 映像 | |
| 1 | GII報知杯弥生賞 | 中山 芝2000 | 1人気 | 川田将雅 | 2:01.0 | 上り34.1 | 映像 | |
| 1 | GI朝日杯フューチュリティステークス | 阪神 芝1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:33.3 | 上り33.6 | 映像 | |
| 1 | GIIIサウジアラビアロイヤルカップ | 東京 芝1600 | 2人気 | 川田将雅 | 1:33.0 | 上り34.4 | 映像 | |
| 1 | 2歳新馬 | 阪神 芝1800 | 1人気 | 川田将雅 | 1:48.7 | 上り34.6 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | Alzao | |
| Burghclere | ||
| 母インディアナギャルIndiana Gal | Intikhab | Red Ransom |
| Crafty Example | ||
| Genial Jenny | デインヒルDanehill | |
| Joma Kaanem |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2015年生まれの青鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母インディアナギャル。主な勝ち鞍は朝日フューチュリティ・サウジアラビアRC・報知杯弥生賞。
品のある馬 ― アイルランドの牝馬が連れてきた血
母インディアナギャルは、2005年2月にアイルランドで生まれた黒鹿毛だった。父はIntikhab、母の父はデインヒル。現地で46回ゲートに入り、6勝を挙げている。2009年にカーリングフォードステークスとサルサビルステークスというリステッド競走を二つ勝ち、翌年はリッジウッドパールステークスとブルーウインドステークスで、GIIIの2着に二度食い込んだ。派手な肩書きはない。ただ、芝の中距離を何度でも走り切る牝馬だった。 繁殖に上がった彼女が渡ったのは、北海道新ひだか町三石のケイアイファーム。2012年から産駒が生まれた。ロードグランツ、ロードプレミアム、ロードスタルディ。三頭とも重賞を勝つには至らなかった。四番仔として2015年4月3日に生を受けたのが、父ディープインパクトの青鹿毛の牡馬である。 買い受けたのは(株)ダノックス。冠名のダノンに、高品質・格別な働きへの期待を重ねて、ダノンプレミアムと名づけられた。預けられたのは栗東の中内田充正。16歳でアイルランドに渡ってJ・J・レノンに師事し、イギリス、フランス、アメリカと十年近くを国外で過ごしてから、2014年に厩舎を開いた調教師である。三番仔ロードスタルディも、同じ厩舎にいた。 中内田は当歳のこの馬を見て、バランスがとれて品がある、という印象を持ったという。そしてデビューを前に、調教でも乗ってもらった鞍上に、こう話したという。「将来を考えたら逃げて勝つというより、抑える競馬を教えていこうか」[^1] 2017年6月25日、阪神の芝1800m。1番人気に応えて好位の2番手につけ、4コーナーで先頭に立つと、2着スプリングスマイルに4馬身の差をつけた。抑えることを教わりながら、抑えきれないものが、最初の一戦から漏れ出していた。
出典:Number Web「ダノンプレミアムは真にプレミアム。中内田調教師が生かす海外での経験。」2018年2月28日配信、https://number.bunshun.jp/articles/-/830043?page=2 、閲覧日:2026年7月25日。
二つのレコード ― 府中と阪神
三か月の休みを挟んだ二戦目は、10月7日の東京・サウジアラビアロイヤルカップ。2番人気。好スタートから2番手を進み、直線で一気に先頭へ出る。外から追い込んできた1番人気ステルヴィオに、1馬身3/4差。勝ち時計1分33秒0は、東京競馬場の2歳芝1600mのコースレコードだった。 12月17日、阪神の朝日杯フューチュリティステークス。1枠1番から、単勝2.7倍の1番人気。2番手で折り合い、最終コーナーは馬なりのまま進出する。直線に入って先頭に立つと、川田がムチを二つ三つ入れただけでリードは広がった。ゴール前、鞍上は流す余裕を見せて首を撫でている。上がり3ハロン33秒6はメンバー最速。2着ステルヴィオとの着差は3馬身半。勝ち時計1分33秒3は、2004年のマイネルレコルトを0秒1上回るレースレコードだった。この競走で2着馬に3馬身半以上の差をつけたのは、1993年に勝って三冠馬となったナリタブライアン以来、24年ぶりのことである。 無敗でのGI制覇。中内田にとっては開業4年目、最初のGIタイトルでもあった。年末のJRA賞では記者投票275票を集めて最優秀2歳牡馬に選ばれ、日本のレーティングでは、当時の2歳馬として最も高い117という数字が与えられた。 そしてこの日のメンバーの厚みは、あとから効いてくる。2着ステルヴィオはマイルチャンピオンシップを、3着タワーオブロンドンはスプリンターズステークスを、4着ケイアイノーテックはNHKマイルカップを、5着ダノンスマッシュは高松宮記念と香港スプリントを、それぞれのちに勝つ。その全員の前を、この青鹿毛は3馬身半空けて走っていた。
挫石 ― 開かなかった春の扉
明けて2018年、始動は3月4日の中山・弥生賞。東京スポーツ杯2歳ステークスを勝ったワグネリアンらが集まったが、単勝1.8倍の1番人気に推される。道中は2番手。第3・第4コーナーでは荒れた内を避けてわざと外へ持ち出し、直線入口で先頭に立つと、2着ワグネリアンに1馬身半差をつけた。無傷の四連勝。この馬の春は、まっすぐ皐月賞へ続いているはずだった。 3月30日、右前脚に挫石が見つかる。その後の調整が合わず、4月5日、陣営は皐月賞の回避を公表した。ダノンプレミアムのいない中山を勝ったのは、7番人気のエポカドーロだった。 5月27日、東京優駿。ぶっつけの怪我明けにもかかわらず、単勝2.1倍の1番人気に支持される。だが府中の2400mで最後に前へ出たのは、弥生賞で1馬身半後ろにいた馬のほうだった。ワグネリアンが残り50mでエポカドーロを捉え、福永祐一が19度目の挑戦でダービーを初めて勝つ。ダノンプレミアムは6着。勝ち時計との差は、わずか0秒2だった。デビューからの連勝は、ここで途切れる。 秋は天皇賞(秋)へ直行する予定が発表された。だが調整は進まず、回避。結局、3歳の秋はゲートに一度も入らないまま暮れていった。
九か月半 ― 帰還と、マイルの手応え
復帰は2019年3月10日、中京の金鯱賞。ダービーから九か月半が空いていた。GI勝ち馬が五頭も顔を揃えた一戦で、道中はインコースの3番手。直線で抜け出し、2着に1馬身1/4差をつける。退けたその2着馬はリスグラシュー――この年の年度代表馬に選ばれる牝馬だった。 4月21日、京都のマイラーズカップは単勝1.3倍。逃げるグァンチャーレの2番手をぴたりと追走し、直線ではごく楽な手応えのまま抜け出した。上がり3ハロン32秒2。芝1600mで繰り出したその数字は、この馬が本当はどこで走るべきなのかを、静かに示していた。厩舎の内でも、マイルなら負けないのではないか、という評価があったという。 重賞2連勝。三歳の春に閉じた扉のかわりに、四歳の春、別の扉が開きかけていた。
府中の芝の上で ― 二〇一九年六月二日
安田記念は、GIを5連勝中だったアーモンドアイとの二強対決と見られ、ダノンプレミアムは2番人気に推された。 だが、ゲートが開いた直後にロジクライが内へ斜行し、この馬はまともに割を食う。中団まで下げさせられ、直線でも残り400m付近で脚色が鈍った。16頭立ての16着。勝ったのはインディチャンプだった。 レースのあと、川田はコース上で下馬した。故障が疑われる事態になったが、検査の結果、異常は認められなかった。残ったのは、発走直後の不利という事実と、どこも壊れていないという事実の、二つだけである。
女王の背中 ― 二着、二着
夏を休養に充て、秋初戦に選んだのは天皇賞(秋)。改元を祝う慶祝競走として行われたこの一戦には、皐月賞馬サートゥルナーリアを含め、天皇賞史上最多となる10頭のGI馬が集まった。ダノンプレミアムは、アーモンドアイ、サートゥルナーリアに次ぐ3番人気。 レースでは女王の後ろ、中団を進んだ。直線で抜け出したアーモンドアイの背中に、最後まで食らいついた。届かず、3馬身差の2着。川田はスムーズに運べたことを認めたうえで、やはりアーモンドアイは強い、と完敗を認めている。 続くマイルチャンピオンシップは1番人気。先行集団を見る好位から、直線で確かな伸びを見せた。だが馬場の真ん中から進出してきたインディチャンプに交わされ、また2着。半年前の府中で自分の前を走り去った馬に、今度は最後まで食い下がりながら、やはり届かなかった。 二度続けて、勝ち馬の背中を見た秋だった。それでも、この二戦のダノンプレミアムは、GIの一線級と互角に渡り合える馬であることを、はっきりと証明していた。
逃げた日 ― ランドウィックから府中へ
5歳の初戦は海を渡った。2020年4月11日、シドニーのロイヤルランドウィック競馬場、クイーンエリザベスステークスの芝2000m。鞍上は現地のジェームズ・マクドナルド。不良まで悪化した馬場で、直線ではいったん2番手まで上がりながら、そこから伸びを欠いた。英国馬アデイブの3着。マクドナルドは敗因に馬場を挙げ、前年、前々年のこのレースの馬場状態だったなら結果はまるで違っていたはずだ、と語っている。新型コロナウイルスの影響で、この年の賞金は半額になっていた。 帰国初戦は前年と同じ安田記念。デビューから国内の全レースで手綱を取ってきた川田がアドマイヤマーズに騎乗することになり、ダミアン・レーンとの初コンビで臨んだ。4番人気13着。レーンは、残り500mあたりでバランスが崩れてリズムが悪くなった、と振り返っている。 半年の休み明けで迎えた11月1日の天皇賞(秋)。手綱は2戦ぶりに川田へ戻った。そしてこの日、ダノンプレミアムはハナを切る。最初のコーナーから最後のコーナーまで、ずっと先頭だった。デビュー前、逃げて勝つより抑えることを覚えさせようと言われた馬が、5歳の秋に、自分から前へ出たのである。直線でアーモンドアイ、フィエールマン、クロノジェネシスに交わされて4着。勝ち時計との差は0秒4だった。 暮れの香港カップは、シャティンの好位から運んで4着。帰国すると、生まれ故郷のケイアイファームへ放牧に出された。
同じ勝負服 ― 二〇二一年六月六日
また半年を休んで、6歳初戦はやはり安田記念だった。三年続けての府中のマイル。鞍上は池添謙一。好位から運んだが伸びを欠き、7着。 その日、府中を勝ったのは、まったく同じ勝負服だった。白地に赤の一本輪、赤い袖に白の一本輪。ダノックスの勝負服を着たダノンキングリー。父も同じディープインパクト。そして鞍上は、川田将雅だった。中団で脚をため、直線で外に持ち出し、内から抜け出したグランアレグリアをアタマ差で捉える。単勝4760円の8番人気。前年の天皇賞(秋)で、ダノンプレミアムと同じレースを走って12着に敗れていた馬である。 新馬戦からこの馬を導いてきた男が、同じ服を着て、別の馬で府中を勝った。それが、ダノンプレミアムの最後のレースになった。 7月1日付で競走馬登録を抹消。15戦6勝、GI一つを含む重賞五勝。生まれ故郷のケイアイファームで種牡馬としての身体を作り直し、9月10日の午前10時、新ひだか町のアロースタッドに到着した。同行したケイアイファームの獣医師・加藤健は、こう言葉を残している。「生産者として関わってきた馬が、優れた競走成績を残しただけでなく、種牡馬となれたことをとてもうれしく思います」[^1] アロースタッドがあるのは新ひだか町。この馬が生まれた町と、同じ町である。翌2022年2月の種牡馬展示会には、朝日杯フューチュリティステークスをレースレコードで勝った青鹿毛が列に並んだ。2026年の種付シーズンにも、その名はまだ名簿にある。産駒たちは、中央でも地方でも走り始めた。この馬のあとには、同じダノックスの所有で同じ中内田厩舎に入った半弟が二頭いる。ダノンフォルツェとダノンジャッカル。だが、四番仔が二歳の暮れに阪神で刻んだ数字に並んだ仔は、まだいない。 抑えることを教わって走り出し、抑えきれないものを見せ、そして最後には自分から前へ出た馬。その旅は、始まった場所へ還って、次の世代を待っている。
出典:中日スポーツ・東京中日スポーツ「ダノンプレミアム種牡馬としての第一歩 繋養先のアロースタッドに到着 同行の獣医師「産駒の活躍に期待」」2021年9月10日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/327839 、閲覧日:2026年7月25日。
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