名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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ダノンレジェンドのイメージビジュアル
ダノンレジェンドDanon Legend
Danon Legend

ダノンレジェンド

通算成績30戦14勝

獲得賞金36,748万円

生年月日 2010.02.24(平成22年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ダノンレジェンドの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 JpnⅠJBCスプリント 川崎 ダ1400 3人気 M.デムーロ 1:27.2 上り38.4映像
5 JpnⅡ東京盃 大井 ダ1200 1人気 M.デムーロ 1:12.7 上り38.6
1 JpnⅢクラスターカップ 盛岡 ダ1200 2人気 M.デムーロ 1:09.1 上り34.1
1 JpnⅢ北海道スプリントカップ 門別 ダ1200 1人気 M.デムーロ 1:09.9 上り35.8
3 JpnⅢ東京スプリント 大井 ダ1200 1人気 M.デムーロ 1:12.3 上り35.4
1 JpnⅢ黒船賞 高知 ダ1400 1人気 M.デムーロ 1:27.0 上り38.0
2 JpnⅠJBCスプリント 大井 ダ1200 1人気 M.デムーロ 1:11.0 上り36.0映像
1 JpnⅡ東京盃 大井 ダ1200 1人気 M.デムーロ 1:10.9 上り36.2
1 JpnⅢクラスターカップ 盛岡 ダ1200 1人気 M.デムーロ 1:11.1 上り35.9
3 JpnⅢ北海道スプリントカップ 門別 ダ1200 1人気 丸田恭介 1:12.8 上り37.1
1 JpnⅢ東京スプリント 大井 ダ1200 1人気 丸田恭介 1:10.6 上り36.2
1 JpnⅢ黒船賞 高知 ダ1400 2人気 丸田恭介 1:27.3 上り38.2
1 GIIIカペラS 中山 ダ1200 12人気 丸田恭介 1:09.5 上り36.2
5 OPオータムリーフS 京都 ダ1400 3人気 高倉稜 1:23.0 上り37.3
1 テレビ静岡賞 東京 ダ1400 1人気 高倉稜 1:24.1 上り36.1
3 大阪スポーツ杯 阪神 ダ1400 2人気 和田竜二 1:24.2 上り37.2
9 OP栗東S 京都 ダ1400 4人気 和田竜二 1:23.8 上り36.5
8 OP天王山S 京都 ダ1200 4人気 和田竜二 1:11.8 上り36.0
1 なにわS 阪神 ダ1200 4人気 和田竜二 1:11.3 上り36.3
1 4歳以上1000万下 阪神 ダ1400 4人気 和田竜二 1:25.1 上り36.7
6 4歳以上1000万下 東京 ダ1600 4人気 田中勝春 1:38.1 上り36.3
5 3歳以上1000万下 東京 ダ1600 7人気 田中勝春 1:37.8 上り35.7
7 市原特別 中山 ダ1800 10人気 田中勝春 1:54.2 上り37.9
1 数河特別 笠松 ダ1400 1人気 浜中俊 1:25.7 上り37.2
2 恵那峡特別 笠松 ダ1400 1人気 福永祐一 1:26.1 上り36.7
13 3歳500万下 京都 ダ1400 1人気 川田将雅 1:26.3 上り38.9
9 3歳500万下 京都 芝1600 3人気 浜中俊 1:35.1 上り35.2
2 3歳500万下 東京 ダ1600 1人気 横山典弘 1:38.7 上り37.2
2 ポインセチア賞 阪神 ダ1400 5人気 C.ウィリアムズ 1:25.3 上り38.9
1 2歳新馬 東京 ダ1400 3人気 浜中俊 1:26.6 上り37.2

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ダノンレジェンドの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
Macho UnoHoly BullGreat Above
Sharon Brown
Primal ForceBlushing Groom
Prime Prospect
マイグッドネスStorm CatStorm Bird
Terlingua
CaressingHonour and Glory
Lovin Touch

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2010年生まれの黒鹿毛の牡馬。父Macho Uno、母マイグッドネス。主な勝ち鞍はJBCスプリント・東京盃・カペラS。

二〇〇〇年十一月四日、チャーチルダウンズ

その日、ケンタッキーのチャーチルダウンズでは二つの戴冠があった。ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルを、芦毛のマッチョウノがポイントギヴンをハナ差で退けて制する。同じ日のジュヴェナイルフィリーズを、単勝48倍の伏兵キャレッシングが制する。二頭はそろって、2000年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬・最優秀2歳牝馬に選ばれた。 十年後。種牡馬となったマッチョウノと、キャレッシングがストームキャットとの間に産んだ娘マイグッドネスとのあいだに、一頭の黒鹿毛が生まれる。2010年2月24日、生産者はアメリカのColts Neck Stables。同じ秋の同じ競馬場で頂点に立った二つの血が、一頭の馬のなかで結ばれた。 馬はダノックスの所有となり、海を渡って栗東・村山明厩舎に入る。父系はヒムヤー系。いまや世界的に数の少なくなった系統である。名は、ダノンレジェンド。 2012年11月10日、東京ダート1400mの新馬戦。浜中俊を背に3番人気。2番手から追い出すと後続を突き放し、7馬身差で勝ち上がった。

三年、扉は開かなかった

次走のポインセチア賞は、ハナ差の2着。前を行ったサマリーズは、その年の暮れに全日本2歳優駿を勝つことになる馬だった。惜敗というより、力は認められていた。 三歳になると、その評価が重荷に変わる。1月の東京ダート1600mは単勝1.9倍で2着。4月には芝に矛先を向けたが、京都の1600mで9着。生涯でただ一度の芝だった。5月、ダートに戻って1.6倍の支持を集めた京都1400mでは13着に沈む。 夏、笠松の交流戦に活路を求めた。7月の恵那峡特別は福永祐一を背に1.3倍で2着。8月の数河特別を、新馬戦と同じ浜中俊で勝ち、ようやく2勝目を挙げる。デビュー勝ちから9か月あまりが過ぎていた。 昇級すれば壁はまた厚くなる。中山の市原特別7着、東京の1000万下5着。四歳の初戦も6着。単勝1倍台に推されては敗れ、二桁着順にも沈む。強いのか強くないのか、判じかねる三年だった。

シャドーロールとブリンカー

転機は、走らせ方ではなく被せ方から来た。 2014年3月9日、阪神ダート1400mの1000万下。この日から鼻面にシャドーロールが着いた。和田竜二の手綱で勝ち上がると、中1週で臨んだなにわステークスでは2番手から抜け出して5馬身差。連勝でオープン入りを果たす。 だが5月、天王山ステークス8着、栗東ステークス9着。オープンの壁に二度弾かれ、降級して夏を休養にあてた。 秋、9月の大阪スポーツ杯は3着。続く10月のテレビ静岡賞では、今度はブリンカーを着けた。高倉稜を背に東京ダート1400mを逃げ切り、3馬身半差。再びオープンへ戻る。11月のオータムリーフステークスは逃げて5着だった。 視界を絞る道具を二つ与えられ、距離は1600mから1400mへ、やがて1200mへと削られていった。この馬に要ったのは、余計なものを見ないことと、走る距離を短くすることだった。

十二番人気のカペラステークス

2014年12月14日、中山ダート1200m、カペラステークス。重賞初挑戦で、単勝46.8倍、15頭中12番人気。鞍上には丸田恭介がいた。 2007年デビューの丸田は、2010年の福島記念で重賞初制覇を果たし、同じ2014年にはリトルゲルダで北九州記念とセントウルステークスを勝っていた。ただ、JRAのダート重賞にはまだ手が届いていない。 ゲートを出るとダノンレジェンドは快調に飛ばした。最短コースをロスなく回り、直線入口ではすでに3馬身のリード。逃げ脚は衰えず、2着サトノタイガーに5馬身差をつけて先頭でゴールを駆け抜ける。重賞初制覇であり、丸田にとってはJRAのダート重賞初勝利だった。 村山明厩舎にとって、2014年はそういう年だった。2月のフェブラリーステークスを16番人気のコパノリッキーで、12月のカペラステークスを12番人気のこの馬で。二度とも、単勝の数字は馬の力を測り損ねていた。

地方を巡る一年

2015年、ダノンレジェンドは地方のダートグレードを巡る旅に出る。 3月、高知の黒船賞。重馬場の1400mを3コーナーからハナに立ち、2着ドリームバレンチノに2馬身差。4月、大井の東京スプリント。不良馬場の1200mで、逃げるシゲルカガを2番手から捉えて2馬身差。丸田を背にした重賞3連勝だった。 6月の北海道スプリントカップは単勝1.4倍。だがスタートで後手を踏み、上がり最速で追い上げても3着まで。勝ったのは、前走で退けたシゲルカガだった。 8月の盛岡・クラスターカップから、鞍上はミルコ・デムーロに替わる。果敢に逃げて後続に脚を使わせ、直線では6馬身差。9月の大井・東京盃も、3コーナー手前で2番手につけると残り200mからは独走で、追い込むドリームバレンチノに2馬身差をつけた。 11月3日、大井のJBCスプリント。初のJpnI挑戦で単勝1.6倍。不良馬場の1200mで、しかし前を行くコーリンベリーが譲らなかった。4分の3馬身。届かなかったのは、それだけの距離だった。

六十キロ

2016年も黒船賞から始まった。不良の高知1400mを2番手で運び、直線で抜け出して2着ニシケンモノノフに1馬身差。連覇である。 4月の東京スプリントはスタートでやや出遅れ、追い込んで3着。前を行ったのは、またコーリンベリーだった。6月の北海道スプリントカップは、逃げるノボバカラとゴールまで続いた叩き合いをハナ差で制した。前年に3着と敗れた舞台で、ようやく頂点に立つ。 8月の盛岡・クラスターカップでは、60キロを背負わされた。稍重の1200mを1分09秒1、上がり3ハロン34秒1。前年に自身が勝ったときの時計を2秒縮めての連覇だった。斤量を積まれるほど強く見える、というのが六歳のこの馬だった。 9月の東京盃は逃げて5着。三着以内を外したのは、2014年11月のオータムリーフステークス以来のことだった。

川崎、十一月三日

2016年11月3日、川崎競馬場。JBCスプリントは、この年ダート1400mで行われた。前年の1.6倍とは違い、単勝5.3倍の3番人気。パドックに姿を見せたときの馬体重は、11キロ減だった。 ゲートが開くと、ソルテが先手をうかがう。ダノンレジェンドは内から並びかけてハナを主張し、向正面では後続を3馬身ほど離す形になった。勝負どころでも逃げ脚は衰えない。直線に向くと一気に突き放し、2着ベストウォーリアに3馬身差。1分27秒2。六歳の秋、30戦目にして、初めてのJpnI制覇だった。前年に自身の前で逃げ切ったコーリンベリーは、3着に終わっている。 ゴール後、デムーロは馬場まで迎えに来た厩務員を鞍上から抱き寄せた。直線は西日が眩しかった、と彼は振り返っている。そして言った。「負けてもまたチャンスをくれた馬主さん、調教師さんにありがとうという気持ちです」[^1] 村山は、年内は走らせず休ませると語り、来年は海外も考えていいかもしれない、と続けた。だがその三週間後、11月25日付で競走馬登録は抹消される。30戦14勝。中央16戦5勝、地方14戦9勝。最後の一戦が、生涯でただ一つのJpnIになった。

出典:競馬女子部(公益社団法人日本軽種馬協会)阿部典子「大盛況!JBCを写真と関係者コメントで振り返りました」2016年11月8日配信、https://girls.jbis.or.jp/2016/11/jbc-2ca7.html、閲覧日:2026年7月29日。

浦河の丘、絶えなかった系統

引退後、ダノンレジェンドは北海道浦河町のイーストスタッドで種牡馬になった。 初年度産駒は2020年にデビューする。7月18日、函館の2歳新馬をアルナージが勝って産駒初勝利。同じ年の12月26日には、高知の金の鞍賞をブラックマンバが制し、産駒の重賞初制覇となった。以後、ストリーム、スペシャルエックス、サヨノネイチヤと、地方の重賞戦線に父の名を持つ馬が並んでいく。2024年にはミッキーヌチバナがアンタレスステークスを勝ってJRAの重賞を制し、ハッピーマンが兵庫ジュニアグランプリを、翌年には兵庫ゴールドトロフィーを加えた。 父マッチョウノは2024年8月、フロリダで26年の生涯を終えた。あのチャーチルダウンズの秋から二十四年。ヒムヤー系の後継として日本で種牡馬になったのは、その息子だった。 血は横にも伸びた。母マイグッドネスは日本に渡ったのち、2016年にディープインパクトとの間にダノンキングリーを産む。半弟は2021年の安田記念を勝った。祖母キャレッシングの息子で、母の半弟にあたるWest Coastは、2017年のエクリプス賞最優秀3歳牡馬に選ばれている。そのキャレッシングは2021年9月、23歳で世を去った。 人にも続きがあった。カペラステークスで手綱を取った丸田恭介は2022年3月、ナランフレグで高松宮記念を制し、デビューから16年目にしてGIに手が届く。村山明は2025年3月、調教師を勇退した。 毎年2月、イーストスタッドの展示会に、あの黒鹿毛が引き出される。川崎の直線を西日ごと突き抜けた脚は、いま浦河の丘に立っている。走る仕事は終わり、伝える仕事が続いている。

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