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ダノンファンタジー
通算成績18戦7勝
獲得賞金4億190万円
生年月日 2016.01.30(平成28年)毛色 鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3 | GII阪神カップ | 阪神 芝1400 | 2人気 | 藤岡佑介 | 1:20.6 | 上り34.7 | 映像 | |
| 1 | GIIMBS賞スワンS | 阪神 芝1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:20.7 | 上り34.5 | 映像 | |
| 7 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 9人気 | 藤岡佑介 | 1:31.9 | 上り33.0 | 映像 | |
| 12 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 8人気 | 藤岡佑介 | 1:10.0 | 上り35.6 | 映像 | |
| 5 | GIII阪急杯 | 阪神 芝1400 | 2人気 | 川田将雅 | 1:19.8 | 上り33.9 | 映像 | |
| 1 | GII阪神カップ | 阪神 芝1400 | 4人気 | 藤岡佑介 | 1:19.7 | 上り34.1 | 映像 | |
| 6 | GII府中牝馬ステークス | 東京 芝1800 | 2人気 | 川田将雅 | 1:49.6 | 上り37.2 | 映像 | |
| 5 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 6人気 | 川田将雅 | 1:31.5 | 上り33.5 | 映像 | |
| 5 | GIIサンスポ杯阪神牝馬S | 阪神 芝1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:33.3 | 上り34.3 | 映像 | |
| 8 | GI秋華賞 | 京都 芝2000 | 1人気 | 川田将雅 | 2:01.0 | 上り37.3 | 映像 | |
| 1 | GII関西TVローズS | 阪神 芝1800 | 1人気 | 川田将雅 | 1:44.4 | 上り33.1 | 映像 | |
| 5 | GI優駿牝馬 | 東京 芝2400 | 4人気 | 川田将雅 | 2:23.3 | 上り35.5 | 映像 | |
| 4 | GI桜花賞 | 阪神 芝1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:33.1 | 上り33.4 | 映像 | |
| 1 | GIIチューリップ賞 | 阪神 芝1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:34.1 | 上り34.0 | 映像 | |
| 1 | GI阪神ジュベナイルフィリーズ | 阪神 芝1600 | 1人気 | C.デムーロ | 1:34.1 | 上り34.0 | 映像 | |
| 1 | GIIIKBSファンタジーS | 京都 芝1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:21.8 | 上り33.8 | 映像 | |
| 1 | 2歳未勝利 | 阪神 芝1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:35.9 | 上り34.4 | — | |
| 2 | 2歳新馬 | 東京 芝1600 | 2人気 | 川田将雅 | 1:33.9 | 上り33.7 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | Alzao | |
| Burghclere | ||
| 母ライフフォーセールLife For Sale | Not for Sale | Parade Marshal |
| Love for Sale | ||
| Doubt Fire | Ski Champ | |
| My Little Life |
旅程 — この馬の物語
2016年生まれの鹿毛の牝馬。父ディープインパクト、母ライフフォーセール。主な勝ち鞍は阪神ジュベナイルF・KBSファンタジーS・チューリップ賞。
幻想と名づけて ― 名前と、母の血
「ファンタジー」。幻想。その一語を、馬主・野田順弘の冠名「ダノン」の後ろにそのまま据えた。幻想的な走りを期待して――名の由来は、それだけの、しかし大きすぎる願いだった。 2016年1月30日、ノーザンファーム生まれの鹿毛の牝馬。父はディープインパクト。母ライフフォーセールはアルゼンチンで10戦8勝を挙げ、かの地のGIを勝った牝馬で、2013年に海を渡って日本へやってきた。管理するのは栗東の中内田充正。 そして手綱を託されたのが川田将雅である。新馬戦から最後の勝利まで、この馬の背にはほとんどこの男がいた。ただし――生涯でただ一つのGIを手にしたその日、鞍上に川田はいない。幻想と名づけられた牝馬の物語は、乗っていた日と、乗れなかった日の両方でできている。
二馬身 ― デビュー戦にいた馬
2018年6月3日、東京競馬場の芝1600m、2歳新馬。川田を背に2番人気で送り出されたこの牝馬は、勝ち馬から2馬身離れた2着に敗れた。 先頭でゴール板を過ぎたのはグランアレグリア。時計は1分33秒6。それまでの2歳新馬レコードを1秒1も更新する、常識外れの数字だった。二馬身差で続いたダノンファンタジーの1分33秒9もまた、負けたとは思えない時計である。この日の東京の芝には、翌春に桜を摘む馬と、その年の暮れに2歳女王となる馬が、二頭そろって立っていたことになる。 9月16日、阪神の未勝利戦を1番人気で危なげなく勝ち上がる。名前の意味を証明する秋が、そこから始まった。
その名を分け合うレース、そして代役の手綱
11月3日、京都の芝1400m。ファンタジーステークス。自らの名の半分を冠したレースを1番人気で勝ち、重賞初制覇を飾る。名は、まだ願いのままではなくなっていた。 12月9日、阪神ジュベナイルフィリーズ。主戦の川田はこの日、香港へ遠征していて日本にいなかった。代わりに鞍上へ座ったのがクリスチャン・デムーロである。 デムーロはこの馬を後方3、4番手の外目に置いた。折り合いは終始崩れない。4コーナーで迷わず外へ持ち出すと、前を遮る馬のいない大外から追い出す。並びかけてきたのはクロノジェネシス。その競り合いを半馬身だけ制して、1分34秒1でゴールを駆け抜けた。2歳女王の座は、主戦の不在の日に決まった。 その年のJRA賞最優秀2歳牝馬に選出。投じられた276票のうち275票が、この馬の名を書いていた。
桜は、開かなかった
2019年3月2日、チューリップ賞。川田が戻ってきた。1番人気に応えて阪神のマイルを制し、隙のない形で本番へ向かう。 4月7日、桜花賞。単勝1番人気。だが阪神の直線で先に抜け出していったのは、あの新馬戦の勝ち馬だった。グランアレグリアが1分32秒7のレコードで桜を手にし、2着にシゲルピンクダイヤ、3着にクロノジェネシス。ダノンファンタジーは上がり33秒4の脚を使いながら、4着に届かなかった。デビュー戦で二馬身前にいた馬は、十か月後の桜の日にも、やはり前にいた。 5月19日の優駿牝馬は、初めて経験する2400m。大外から強襲したラヴズオンリーユーの決着を見る位置で5着に流れ込む。距離が長かったのか、この馬の型がもっと短いところにあったのか――答えは、まだ先にあった。
薔薇を摘み、秋に沈む
9月15日、ローズステークス。阪神の芝1800m。1番人気。道中は中団に構え、直線で上がり33秒1の脚を放って前を捕らえにかかる。ゴール前は際どかった。2着ビーチサンバとの差はクビ。1分44秒4。抜かせないところで抜き切っての重賞4勝目だった。 10月13日、秋華賞。台風19号のために東京の開催が中止となった週末、京都は予定どおり行われ、馬場は稍重だった。1番人気。しかし直線でいつもの伸びが来ない。上がりは37秒3までかかり、8着。勝ったのは、二歳の暮れに半馬身だけ先着していたクロノジェネシスだった。 牝馬三冠のどこにも、名は刻まれずに三歳の秋が終わる。最も支持されながら、届かない。それがこの馬に課された役どころのように見えた季節だった。
四歳、居場所を探す
2020年。4月の阪神牝馬ステークスは1番人気で5着。5月のヴィクトリアマイルも5着。10月の府中牝馬ステークスは東京の1800mで上がりが37秒2までかかって6着に終わった。マイルから先の距離では、勝ち切る形がどうしても見つからない。 変わったのは、暮れだった。12月26日、阪神カップ、芝1400m。鞍上は藤岡佑介、4番人気。好位の内でじっと脚を溜め、直線で外へ持ち出して抜け出すと、2着マルターズディオサに1馬身3/4の差をつけて先頭でゴールした。前年のローズステークス以来、1年3か月ぶりの重賞制覇である。 勝った舞台は1400m――重賞初制覇を飾ったファンタジーステークスと、同じ長さだった。一年を費やして探していた居場所は、はじめに立っていた場所だった。
五歳の秋、主戦が戻ってきた
2021年は、迷いから始まった。2月の阪急杯は川田を背に2番人気で5着。3月の高松宮記念は、18戦のなかで唯一の1200m戦。中京のスプリントは12着に終わった。5月のヴィクトリアマイルは9番人気という評価まで下がったが、それでも上がり33秒0の脚を使って7着まで押し上げてみせた。脚が鈍ったのではない。舞台が合っていなかった。 10月30日、スワンステークス。阪神の芝1400m。鞍上に、川田将雅の名が戻る。中団を追走し、直線で前をまとめて差し切る。上がり34秒5、1分20秒7。1番人気に応えての重賞6勝目だった。 新馬戦から三年あまり。乗り続けた男が最後に手綱を取った日に、この馬は最後の一つを勝った。二歳の暮れに、彼が日本を離れていた日から始まった長い遠回りが、ここで静かに閉じた。
幻を継ぐ ― 苫小牧の母
12月25日、阪神カップ。2番人気で3着。大外から一気に伸びて勝ったのはグレナディアガーズで、その鞍上には、三年前の暮れに彼女を2歳女王にした男――クリスチャン・デムーロが座っていた。これが最後の一戦になる。 2022年1月14日付で競走馬登録を抹消。18戦7勝、獲得賞金4億190万円。北海道苫小牧市のノーザンファーム空港へ移り、繁殖牝馬となった。 18回のゲートのうち、9回――ちょうど半分で、この馬は「最も強い」と見なされる一頭として枠に入っている。二歳女王の看板は軽くない。重賞六つは、その重さを背負ったまま積み上げた数字だった。 母ライフフォーセールは、その後も日本で仔を産み続けた。半弟スティンガーグラス(父キズナ)は2026年のダイヤモンドステークスを勝ち、初夏には宝塚記念のゲートにも立った。もう一頭の半弟オルネーロ(父サトノダイヤモンド)は、2026年1月の東京でクロッカスステークスを勝った。アルゼンチンから海を渡ってきた牝馬の血は、日本で確かに根を張った。 苫小牧の牧場で、ダノンファンタジーはいま母である。幻想と名づけられた鹿毛が、その名にふさわしい脚を仔へ手渡す日を、待っている人がいる。
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